数年前まで自転車のカーボンパーツは文句なしの高級機材でした。しかし、いまやちょっとしたスポーツバイクのフレームはカーボン製です。
さらに有名無名の格安カーボンクリンチャーホイールが世にあふれます。Fulcrum Racing Quattroカーボンは10万、Prime PR50は9万、OEM工場直販中華カーボンは5万です。
カーボンの次世代の素材はまだ出てきません。ハイエンドモデルのフレームのブレイクスルーはしばらくおあずけでしょう。元気なミドルグレード、エントリーモデルにぐいぐい差を詰められます。
じゃあ、カーボン製品の特有の悩みの種がコアユーザーのものばかりでなくなります。
はじめてのカーボン、はじめてのクラック
このトレンドに乗って、ぼくもカーボンフレームを買いました。ロードバイクじゃありません。カナダの自転車ブランドKONAの29erのハードテイルのBOOSTのMTBフレームです。2017モデル。

フレームに試着
29erのBOOST(148mmスルーアクスルエンド)のハードテイルのカーボンフレームはまだまだレアです。この2017モデルがKONA初のフルカーボンハードテイルです。15万円はお値打ちです。
で、このフレームをベースにして、2017年5月にオールロード風の完成車をくみ上げて、7か月で約4000kmを走りました。買い出し、街乗りからビワイチ、アワイチまでこなします。
フレームの本来の用途はオフロードのトレイル走行です。見た目の通りにダウンチューブ、ステー、BB回りはがっちりボリューミーです。ぶつけても、こかしても、不安を覚えません。
ところが、先日のフレームの洗車のときにシートチューブにイヤなものを見つけてしまいました。

カーボンクラックだぁ!
クラック! クラッキングです。5mmほどの筋が縦にぱきっと走ります。いや、気のせいでしょうか? 横から伺いましょう。

カーボンクラック横から
はい、剥離でした、現実でした、クラッキングでした。カーボン層の隙間に砂粒が見えるね、ははは・・・師走の寒さを吹き飛ばす今年の最大の悲劇です。
原因はポストクランプのトルク
さて、クラックの原因はなんでしょうか? 車体をこかしても放り投げても、こんなところをぶつけません。
ポストチューブの割りのすぼまり方からクラックの原因は多分にクランプの締めすぎでしょう。オーバートルクです。適正トルクの5-7N.mをこの写真で初見しました。
もともと31.8mmのTHOMSONのドロッパーポストをアダプターで34.9mmのポストチューブに入れました。34.9mmの手ごろなドロッパーてのがなかったからなあ。

シートポストシム
で、ずれを不安視して、トルクをきつめに掛けます。じゃあ、このクラッキングです。ちなみにトルクレンチみたいなものはうちにありません。トルクは常に手探りマイベストトルクです。
「あほめ! ずぼらが仇になったな!」
いや、しかし、専用のトルクレンチがあっても、ぼくの性格ではオーバートルクが必定でしょう。おまけにトルクレンチの数値は万能じゃありません。割れるときには割れる。
ついでに多少の破損やキズはオフロードのフレームにつきものです。オンロードフレームみたいに無傷ではいられません。こうゆう状況はしばしばあります。

水没!
むしろ、このこのラフさで気軽に扱っても、ぜんぜんジャンクにできません。ぼくの当初のイメージよりぜんぜんタフでフランクです、カーボンフレーム。ロードフレームはまた別物だあ?
幸か不幸かこのシートポストチューブのクラックは浅め、短め、じみめです。サドルをべた下げして、どっかり座りして、どすどす階段下りしても、違和感を覚えません。周りが極太ですし。
現状、特段の必要性を感じませんが、カーボンの修理の方法や費用を調べましょう。
カーボンの修理方法
カーボンの修理方法のたしかな手段は業者への依頼です。もちはもち屋、カーボン修理はカーボン修理屋です。
人気のカーボンドライジャパン
いちばんの有名どころはカーボンドライジャパンです。愛知のカーボン屋です。リペアからカスタムまで手掛けます。実績、知名度共にぴかいちです。
注目の修理費用は5万~です。費用はフレームのグレードに寄りません。安カーボンも高カーボンも5万~です。
50万のフレームに5万の修理費は許容範囲ですが、15万のフレームに5万のコストはNGです。車体価格の10-15%がせいぜいの維持費でしょう。
そして、実績、知名度が業界ナンバーワン! となれば、全国各地からオーダーが集中します。納期は数ヶ月~です。延期はあっても、短縮はありません。人気業者のネックは料金でなく、納期です。
そして、ぼくの車体は秘蔵の一台、長年の愛機、終売の貴重品じゃない。性格的に物品への愛着が希薄です。納期待ちのあいだに新しいバイクに手を出しかねません。てか、かくじつに買いますわ。
サブ機はママチャリベースのピストバイクてゆうキワモノ中のキワモノですし。これでは遠出できません。
1クールをメイン機なしで過ごすのは根っからのチャリダーにはこくです。真冬の湯めぐりライドが遠のいてしまう。
購入店に相談
カーボン修理の二つめは購入店への相談です。手練れの自転車屋は軽微なクラックを自分のところでちゃちゃっと修理しちゃいます。
しかし、ぼくは店頭にはついぞ行かず、ショップのウェブ通販でぽちっと購入しました。KONAは通販OKな自転車ブランドです。
そのときのメールのやり取りから通販のフレーム売りのアフターサポートには消極的なふんいきがなんとなく漂います。物自体は代理店のAKIからの取り寄せですし。
これを購入店に持ち込んでも、一見さん扱いであしらわれかねません。
メーカー保証
この世であてにならないのは「一生のおねがい」と「今からやろうと思ったのに」と「明日から本気出す」と「自転車のメーカー保証」です。フレーム、ホイールのメーカー保証への道は国家試験クラスの狭き門です。
例えば、TREKはフレームの永久保証をうたいますが、これの実質的な適応範囲は初期不良のみです。しかも、この保証にさえあれやこれやのきびしい条件が付きまといます。
これに伴う手間や精神的負担を時給べースで考えますと、メーカー保証にはデメリットしか見出せません。最悪、『モンスターユーザー』や『クレーマー』のお墨付きを頂けます。
カーボンドライジャパンや業者に金を払って『お客』と認められる方がましです。
で、今回のフレームのクラックはオーバートルクです。ザ・整備不良です。ザ・保証の適応外理由です。『まことに申し訳ありませんが・・・』て、ていねいな断りメールが目に見えます。
DIY
リペアのクオリティは定かじゃありませんが、ぼくのようないじりたがりがいちばんに納得できるのはDIYです。この場合、修理の課程が目的になります。極論、治るか治らないかは問題じゃない。
カーボンの修理は大がかりなものじゃありません。溶接バーナーや旋盤みたいな大物は不要です。用具はシートと接着剤ばかりです。
カーボンクロスとエポキシ樹脂で3000円です。
なにもしない
正味、しろうとのざつな修理は逆効果にしかなりません。過去の経験からスルーこそが最上の良薬です。キズは小さめですけど、逆にリペアにはむずい状態に思えます。貼る? 巻く? 挟む?
見切り発車で修理しようとして、何台のゲームやPCやスマホをぶっ壊しましょうか。小さいねじは常に余ります。
こうゆう人に接着や圧着みたいな一発勝負の作業をさせるのは命取りです。あと、こうゆうせかっちさんは乾燥時間を待てずにちまちま触って、接着をだめにしてしまいます。
過ぎたるはなお及ばざるがごとしです。触らない、いじらない、へたに手を出さない・・・て、頭で理解しても、ふらふらとカーボンの修理法をつぶさに検索し始めるぼくがいる。
なんでもかんでもアマゾンで買えてしまうのは考え物です~。年明けの暇な時間が危ういところです、ははは。
あ、さきに練習でこの25.4mm径のカーボンライザーバーを31.8mm径にカスタムしてみようか? 中央のクランプ部分にカーボンシートを巻き巻きすれば、大口径にボリュームアップできんけ? 仕上げの汚さは隠れるし。

カーボンライザーバーにセット
ほら、余計なことを思いついたあ!