自転車のホイールは2種類です。バラのパーツから組み立てる手組か、パッケージ売りの完組か。
あ、最初から車体に付属するものもあります。たいてい鉄下駄ですが。
手組ホイールはセミオワコン?
メーカー完組ホイールの登場以前にはスポーツバイクのホイールは手組ばかりでした。自分でパーツを調達してDIYで組むか、ショップに頼んで組ませるか。
しかし、このご時世にはメーカー完組、OEM、中古、中華セミオーダー、通販ストアPBなどのさまざまなパッケージホイールがあふれかえります。
![MAVIC コスカボ UST 2020](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2020/09/cad6d24c2c948e165ab21261ad2c7378.jpg)
が、この手組文化の衰退はオンロード系のロードレーサーのはなしです。オフロードでは手組は普通です。
この10年で26インチ、29インチ、27.5インチとホイールサイズのトレンドがめまぐるしく変わりますし、さらにこの数年で20mm、30mm、40mmとリム幅が一挙に拡大します。
フロントは29インチのノーマル、リアは27.5のプラス系、みたいな前後異径すらがふつうにあります。
あと、完組のラインナップが超ハイエンドのプロ仕様か初心者向けのエントリーグレードしかありません。両極端。そこそこのレベルのやつがない。
てことで、今後の充実なオフロードチャリンコライフを考えて、ホイールの手組みの実績を解除しましょう。
ホイールを組む 下準備編
ホイール組みの工具です。
- ニップル回し
- 振れ取り台
- スポーク押さえ
- スポークテンションメーター
- センターゲージ
最重要パーツはニップル回しです。かんたんな振れ取り、部分的なスポークやニップルの交換はこれひとつでOKです。
振れ取り台以下の工具は一気にプロっぽくなります。使用頻度は数か月に一回か一年に一回でしょう。
振れ取り台の売れ筋はミノウラ、パークツール、PWT、GORIXなどです。ミノウラのセンターゲージ付きの振れ取りセットはネットでよく見かけます。
うちのは中華のなぞブランドの3万の振れ取り台です。決め手はダイヤルゲージとホイールの適応サイズです。
![振れ取り台完成](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/d54f9f8c98e82a4f9d74cc23230c1bc4.jpg)
重さはしっかり4.7kg。ロード用からファットバイクの超ワイドホイールまでOKです。
たしかミノウラの旧型FT-1 COMBOは135mmのハブ幅までしか対応しません。スルーアクスルアダプタは別売りですし。FT-50の評判はビミョーです。
ホーザンの旧式の鋳物のやつはさすがに骨董品レベルです。やぼったいデザインと色が生理的に受け付けません。
といって、新型のC300は画像から安っぽさがわかります。72900円の商品には見えない。
ピスト用フロントホイールをバラす
ホイール組みはパズルのようなものです。完成形の逆算の土台はリムかハブになります。そこからレイアウトが決まって、さらにスポークのサイズ、ニップルのタイプが確定します。
ことさらに初心者を悩ませるのはスポークのサイズです。リム高、レイアウト、ハブのフランジから適切な長さを計算しますが、最初から最後まで疑心暗鬼にとらわれます。
が、今回は練習です。手持ちの完組ホイールをばらして、それを組み立てましょう。調達の手間がはぶけます。
生贄はMicheのピストホイールです。
![Miche Pistard フロントホイール](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/6667b15bcf92f4b489202f76532e0492.jpg)
1年前にヤフオクで買いました。出品者は芦屋の中古自転車屋のビチアモーレです。状態は未使用の新古品で、振れ取り済み、チューブラータイヤ装着済みです。
現状のコンディションはふつうです。違和感はありません。ノータッチが最良のメンテナンスでしょう。しかし、いけにえは必要です。手持ちのなかで最安のホイールがこれですし。
また、ロードバイクやピストバイクのフロントホイールは自転車ホイールの中でもっともシンプルです。
リムとハブはシンメトリックな左右対称ですし、スポークレイアウトは放射型の『ラジアル』です。スポーク本数は24本です。
パーツ重量の実測
完組ホイールの闇の部分が個別のパーツの実測重量です。メーカーやブランドはリムの重さの公表をいやがります。でも、ユーザーの興味はそこにあります。
Miche Pistardのリムの実測です。
![Miche Pistard リム390g](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/343ac264c52b5a402968599342e4746a.jpg)
はい、390gです。ふつうの平凡なチューブラー用のアルミリムですが、クリンチャー全般にははるかにまさります。
が、最近のMTB用のフックレスのチューブレスカーボンには負けます。
ホイールを組む 作業編
元が完成形です。サイズのミスや規格の失敗はありえません。疑心暗鬼がひとつ減ります。あとは根気と腕次第です。
最初に個別のパーツをふきふきします。
![ワイプオールでそうじ](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/481c35b1fffd0da07febc295495ebc0f.jpg)
ちなみにハブのベアリングはぬるぬるのスルスルです。ピストホイールは雨にも風にも屋外駐輪にも負けません。質実剛健です。
スポークをハブに通す
スポークをハブに通します。て、そのまえにチェーンルブをねじやまに塗りましょう。効果は焼き付け防止と増し締めの補助です。
で、スポークをハブに通します、外から内に。ヘッドは表を向きます。
![ハブとスポーク](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/064f71d319d40507619e81a81d1b2bec-1.jpg)
ラジアル組のフロントのスポークはぜんぜん交差しません。じつにシンプル&イージーです。
ニップルをセットする
ニップルをリムにセットします。たまたまこのニップルのケツが六角型で、パークツールのインターナルニップル回しのソケットにフィットしました。
て、二三個をぼやっと締めた後でだいじなことを思い出しました。リムのニップル穴には左右の振り分けがあります。
![リムの穴の振り分け](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/8118f9e6007618cad294c81ad8e1c95c.jpg)
まんなかの大きい穴がチューブバルブ用のホールです。その上が右、その下が左です。
バルブの穴の延長にハブのロゴをポジショニングしましょう。
![バルブ穴からハブのロゴをうかがう](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/ed695dbb06a65b105609161149483e6a.jpg)
振れ取り
いよいよ作業が正念場をむかえます。個々のニップルを増し締めして、全体のテンションを上げて、ホイールを張ります。
ニップルの締め方の基本はこうです。
![赤・ニップル締め 黄・リムの寄り 青・スポークの縮み](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/5bc9fb5a34b0525f7881a5331d61ec4e-1.jpg)
1のニップルが赤方向に回ると、リムが黄色方向に寄ります。
初期のホイールはほんとにいびつなグニャグニャのわっかです。右へ左へ、外へ内へぐにゃぐにゃ波打ちます。
これを左右対称のきれいなまんまるにするのがホイールの振れ取りです。
この振れ取り台には上記のようなクワガタ式のアナログゲージがありますし、虎の子の3つのデジタルダイヤルゲージがあります。0.01mm単位の追い込みが可能です。
縦振れ3mm、横振れ1mmてのが通常使用の目安です。こだわり派は縦1mm、横0.5mmをOKとします。一部の狂信的なショクニンハダ系の人は縦0.1mm、横0.05mmまで追求します。
ぼくはせっかくのダイヤルゲージを活かして、縦振れ0.5mm、横振れ0.2mm前後までやりました。
あと、リムのつなぎ目の数値は局所的にぶれます。このリムでは縦が膨らんで、横がへこみました。ゲージがそのあたりで瞬間的にぶれます。
![リムのつなぎ目はぶれる](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2018/08/bbab8f74d6af5364cfb05543789d09cb.jpg)