本体のフレーム、回転駆動系のドライブトレイン、仕上げのフィニッシュ小物、そして、足回りのホイール、これが自転車パーツの4大元素です。
で、今日の主役はこれです、ホイール! 緩んだホイール!

一般車のホイールの緩みやへたりは盛大に看過されますが、MTBやロードバイクのそれは走行性能ダウンや機能障害に直結します。
ママチャリのホイール=サンダル
スポーツバイクのホイール=競技用スパイク
スパイクの靴ひもが緩むと、パフォーマンスが落ちませんか? そういうことです。で、靴ひもを締めなおすにニップルを締めなおすのが自転車乗りのたしなみです。
ホイールの振れ取りについて
ホイールの振れ取りは自転車整備の上級コースです。専用工具のオンパレードだ。
| 工具 | 価格 | 備考 |
| ニップル回し | ~1000円 | 通常用とインターナル用あり |
| 振れ取り台 | 5000円~ | MINOURAのものや中華製が安価 |
| テンションメーター | 5000円~ | より本格的にやるなら |
| センター出し工具 | ~5000円 | 同上 |
と、初期投資が2万円です。一回二回では元を取れません。初心者は素直に整備のプロに頼むか、自転車屋に駆け込みましょう。

ただし、多少の無茶を許容すれば、全部を代替して、完全無料でできます。
ホイールはゆるむ
ホイールのへたりはおもに連結部分に出ます。古い靴のアッパーの縫い目やソールの繋ぎ目がパカパカするようにニップルやスポークがゆるみます。
このゆるみが度を過ぎるorスポークやニップルが破損すると、『振れ』が出て、リムがぐにゃぐにゃ波打ちます。通称ぽてち。
2025年末に買ったジャンクの650cホイールはまさにこの「ぽてち」でした。ぐにゃぐにゃ。

このような古式のリムブレーキ用のホイールの振れはより深刻です。リムサイドがブレーキパッドに抵触して、しゅっ…しゅっ…と断続的な音を出す。目ざわり、耳ざわり。
で、この不具合を解消するのがホイールの振れ取り作業です。
ホイールの振れ取りの基本
振れ取りの作業はシンプルです。スポークニップルを締めるor緩める。これを繰り返して、リムの張りを均一にして、ホイールを真円に近づけます。
ニップルとスポーク
振れ取りのポイントはニップルとスポークです。ニップルが雌ネジ、スポークが雄ネジです。

ニップルやスポークが何がしかの不具合を起こすと、テンションの均一性が失われて、リムが部分的にぐにゃぐにゃ歪みます。これが振れです。
また、ニップルやスポークは経年で緩みますが、締まりません。また、素材のアルミやしんちゅうは雨で痛みます。
具体的には古いアルミは割れ、しんちゅうは錆びます。これはディープホイールのインターナルアルミニップルです。ある日、ぱっかり割れました。

工具はニップル回し
振れ取り作業の最重要アイテムがニップル回しです。これはスタンダードなマルチタイプです。

数値はスポークヘッドのサイズです。14=2mmや15=1.8mmが標準的です。数字が大きくなると、ニップルサイズは小さくなります。
手組ホイールでは14=2mmが主流です。DTコンペ、DTチャンピオン、SAPIM、HOSHI、ピラーなどです。10、11、12サイズはめったにでません。
こちらはインターナルニップル用のY字型ニップル回しです。リムのなかに隠れたニップルを外側から回します。

ソケット形状は六角or四角です。
さて、ニップル回しをモンキーレンチやペンチで代用できるか? ぎり行けますが、3つくらいで詰みます。素直に工具を買いましょう。
自転車をひっくりかえす
振れ取りのもう一つの重要アイテムが振れ取り台です。ホイールをこれに乗っけて、こまかな調整します。カリカリのチューンナップには必須です。

が、この振れ取り台はかさ高、割高、出番少です。初心者が見切り発車で買ってしまうと、十中八九でもてあまします。元を取れない。
同じ金額でプロに振れ取りを頼めます。工賃は実費別で3000円~です
てなわけで、伝統的な振れ取り台の代用方法が自転車乗りの間に伝わります。それが自転車ひっくりかえし作戦です。
そもそも振れ取り台みたいな専用工具を通販でぽんぽん買えるのはせいぜい2010年以降の事情です。旧世紀の自転車乗りたちはおおむねこの方法で急場をしのぎました。

で、ブレーキパッドやフレームのステーを振れ取り台のハンド部分に見立てて、左右バランスを見ます。

はたまた、フレーム側に結束バンドを取り付けて、アンテナみたいにするか。
ニップル締める
スポークはリムからホイールの回転軸のハブの左右のふち=フランジに向かいます。方向は規則的です。右左右左…

上の図の1のスポークのニップルが赤矢印方向に締まると、スポークが青矢印方向にぴんと張って、リムが黄色矢印方向によります。
また、1のスポークの張りが十分であれば、両隣の2、3が緩んでも、リムは黄色矢印方向によります。まさに綱引きのイメージです。
ニップルの締めと緩め、振れ取りはこの作業のくりかえしです。で、最終的にいびつな部分をなくして、ホイールをきれいな円にする。
全体のテンションを低くすれば、やわらかいホイールにできます。テンションを高くすればば、リムをかちかちにできます。
ただし、この簡易な方式では部分的なスポークの修正は可能ですが、一からの手組は不可です。テンションメーターが必須です。あと、センター出し工具も。
しかし、ひどい振れを大雑把に修正するなら、ニップル回しとひっくり返し、根気で3mm以内に収められます。

