秋はスポーツの秋、食欲の秋、そして、自転車弄りの秋です。何故かこの時期に新しいチャリンコ欲しい欲しい病が発症します。花粉症のようなものでしょうか。
折よく我が家にはサイクリング用の自転車がありません。街乗り兼遠出号はダホンの14インチの折り畳み自転車の役目です。
結果、北海道一周2500kmでこのDAHON DOVE PLUSは中破しました。お買い物号にロングツーリングをさせるのは酷です。
あとの2台は山用のMTBとパーク用のダートジャンプです。中~長距離のサイクリングや自転車旅には全く向きません。
MTBに軽量ホイールを入れて、クロスバイク風にセッティングすれば、~300kmまで行けます。しかし、こういう代用は地味に煩雑です。
ということで、増車の大義名分は立ちます。ただし、予算はありません。おまけに物価は急激に上昇します。
これらを踏まえて、ジャンクパーツや中古品、お下がりを駆使して、5万円でサイクリング用のロードバイクを組み立てることにします。
バラ完ロード5万円チャレンジ
ぼくは基本的に王道を外して、キワモノや変わり種、変態、魔改造、ナンバーワン・ヨリ・オンリーワンを好みますが、本件では常道を逸しません。
その理由はパーツの流通の減少と価格の高騰です。数年前より市井の自転車関連商品の出物が少なくなりましたし、価格がめっきり上がりました。
特に2022年中盤からの急激な円安で海外通販のお得さが薄れました。『レーゼロ69000円!』とか『105フルセット40000円!』みたいなのがけっこうあったのに・・・
こんな魔改造も手軽でなくなりました。
中古ロードのバラ完しかできない理由
そんな訳で定番のパーツを国内で地味に安くかき集めるしかできません、BIKE DIY in 2022 AW.
結果、オーソドックスなロードバイクしか組めません。え、中古の完成車を5万円で買う? それが何のネタになります?
ちなみに2022年現在の入門用ロードバイクの2023モデルの新車の価格はおおむね110000~150000円です。
- GIANT CONTEND 2 129800円
- BIANCHI VIANORONE 7 147400円
- SPECIALIZED ALLEZ SPORT 115500円
スペシャライズドが意外と奮闘しますね。ビアンキは高すぎる!
そして、数年前のモデルより個々のパーツ類が着実にグレードダウンします。フルシマノやフルスラムがほぼない。
メーカー物の新車は予算面で、中古の完成車はいじり甲斐のなさで候補から外れます。
自転車のテーマ
今回の自転車のテーマです。
- ロードバイク
- サイクリング、ツーリング用
- 格安
- バラ完
- 走行性能と見た目を両立する
前回のロードバイクの組み立てが2021年前半です。あまりに間を置くと、乗り方や規格を忘れてしまいます。
このアレースプリントは良いフレームでしたが、52サイズがぼくにはちと大きめでしたし、見た目がややレーシーでした。
個人的に競技系のスタイルやアスリートちっくなスタンスは好みではありません。この系統はない。また、スペシャの規格は独特ですし。
ぼくがロードバイクで重要視するのはサイズ、カラー、コスパです。重量、素材、ブランド、新旧、アカデミックさは二の次です。
ジャンクなクロモリフレーム
で、ヤフオクやメルカリや中古ショップを徘徊して、これに辿り着きました。
はい、ジャンクな古いクロモリフレームです。シマノ2300のクランク、フォーク、ヘッドパーツ付きで3000円ぽっきりでした。
ヤフオクで即決して、枚方まで20km爆走して、出品者さんから直接に受け取りしましたから、余分な送料と巨大段ボールの処分の手間を省けました。
3000円のものに2000円のヤマト代を払うのは微妙ですしねえ・・・まあ、帰路の風貌は完全に自転車フレームドロボーにしか見えませんが。
このgan Wellのクロモリフレームは訳アリの格安出品でしたが、ガリ傷や塗装剥がれの他は特に問題なしでした。
あ、クランクのねじが固着ぽいです。このシマノ2300は外れません。でも、クランク交換は予算オーバーの序曲です。
変速の段数とかぬるぬるさとかはぼくの中では下の下です。コンポに金をじゃぶじゃぶ使うのはド素人かド金持ちです。
走りを決めるのはホイールとタイヤです。予算を振るなら、ここに振ります。てことで、このシマノ2300を使うことにします。で、逆算で必然的に8速化が確定します。
フレームの年式は車体の点検シールの日付から2011年でしょう。gan Well CM1という完成車の写真が画像検索で出てきました。たぶんこれだ。
gan Wellは京都の老舗の自転車企業の岩井商会のレーベルです。国産のメーカー物のフレームですよ。刻印がmade in chinaであっても。
ちなみに2010年のgan Well CM1の販売価格は65500円です。京都のきゅうべえのブログに価格がありました。→GanWell(ガンウェル)ニューモデル@第47回イワイサイクルフェアー
当時としても格安のモデルです。当時のドル円レートはだいたい90円です。海外旅行と個人輸入がエクセレントでした。
2022年に同じ構成で完成車を売るとすれば、ぎり10万アンダーの99800円で行けるか? フルクラリスでは組めんか?
サイズは50、カラーはクラシックグレー、スタイルはややレトロ、仕様は一世代前のオーソドックスなキャリパーロードです。
この部分が二世代前の126mmエンドやクロス系の135mmエンドだと、ホイールの調達がややこしくなります。→クロスバイクのホイール交換 135mmエンドの壁
ディレイラーハンガーの曲がりやステー内側の凶悪なガリ傷、致命的な車体番号の削れもありません。このジャンクフレームは当たりです。
8速コンポ >>越えられない壁>>11速コンポ
5万円のバラ完でコンポに予算を割くのはナンセンスです。所詮変速機は飾りです、シングルスピードは正義です、偉い人にはそれが分かりません。
しかし、シングルの自転車は手元にあります。ダホンの折り畳みとダートジャンプです。平地やパークや駅前では無敵ですが、上り坂と逆風にはめっきり無力です。
とくに小径車で峠越えに挑むと、車体を言わします。
では、最低限の変速機を組み込みましょう。はい、クランクのチェーンリングの仕様から自動的に8速を採用します。シマノはクラリス、スラムはSシリーズですね。
また、このシマノ2300のクランクはクラリスの前世です。互換性を考慮して、クラリスを探します。
まあ、8速コンポはアバウトでルーズでトレランスですから、MTBドライブトレインとはそんなにミスマッチしませんが。
サイクルハンターの生まれ変わりの西宮の自転車ショップのサイボスに行って、コンポと小物を買いました。お支払いは6760円です。
パーツの内訳です
- シマノクラリス R2000 2200円
- シマノレボシフト8s 880円
- サンレース 8速カセット 1200円
- シートポスト 27.2mm 980円
- Canonndale C4ステム 1500円
8速のメリットは安さと強さです。チェーンとギアの厚みが11速や12速と全く違います。自ずと耐久度や維持費も変わります。コスパ最強!
ざっくり計算しましょう。
- 6,7,8速チェーン=1500円
- 12速チェーン=4500円
8速チェーンが12速チェーンの二倍長持ちするとすれば(もっと持つか?)、3年で22500円が浮きます。
そして、8速の変速調整は11速や12速より断然に簡単です。ずぼらなO型さんが5分でしゃきっとセッティングできます。
安い、強い、速い! 8速サイキョー!
あ、そうそう、例のごとくフロントディレイラーは省略されました。フロントディレイラーこそは飾りです、でかいギアが正義です、偉い人にはそれがわかりません。
ブレーキはSORA
ところで、ぼくの辞書にドロップハンドルの文字はありません。あれは肩疲労、腰困憊、背中緊急事態発生装置です。
故にハンドルは快適快走フラットバー否ライザーバーとなり、姿勢は安心安全アップライトとなります。
このロードバイクの用途はサイクリングであって、レースではありません。ドロハンのスタイルもビジュアルも好みではない。却下否論外。
おまけにドロップハンドル=ドロハン用レバー=バーテープ巻きが確定します。手間と費用が余計に掛かる。
何より適当なライザーバーが手元にありますし。うしろの真ん中のやつです。
アイスグレー系のカラーがフレームとマッチします。これだわー。
あと、ハンドルは長尺ですから、わりと送料が嵩みます。商品1000円、送料1000円とかは何かビミョーな気持ちになりません?
で、ハンドルがこれですから、シフターとブレーキレバーもフラット系になります。
シフターは上記の通りにレボシフトです。これはロード/MTB兼用だったか? 現物合わせでは特に違和感は出ません。まあ、8速はおおらかO型さんですし。
ブレーキレバーの理想もキャリパー・Vブレーキ兼用です。つまり、豊富で安価なMTB系街乗り系の機械式レバーは候補から外れます。
まあ、過去にはダイレクトマウントブレーキをVブレーキ専用レバーで引いた猛者がいたとかいなかったとか・・・
キャリパーブレーキとVブレーキ用レバーには完全な互換性はありません。引きが微妙に甘くなったり、タイトになったりします。A型さんにはおすすめではありません。
Vブレーキ・キャリパーブレーキの兼用レバーはいくつかあります。
- AVID SPEED DIAL
- シマノR系フラット用レバー
AVID SPEED DIALのグレーが理想ですが、いつの間にか2500円/1本です。左右セット3000円とかじゃなかった?!
そんな最中、ウエムラパーツサイクルの店頭で2500円のSORAブレーキを見つけました。
これは大体のワイヤー引きのブレーキを引ける優れものです。初期状態でロード用のキャリパーブレーキに対応します。
具体的にはブレーキインナーケーブルのタイコ受けの軸の取り付け位置が2つあります。※下は初期出荷状態です。
ぼくが店に寄ったときにはSORAブレーキの方が下位グレードのCLARISより安価でした。これと8速チェーンをせしめて帰還します。
後日、これに合わせて、ソラのキャリパーブレーキをビチアモーレのヤフオクストアから購入しました。
- SORA BL-R3000 2540円
- シマノ8速チェーン 1500円
- SORA キャリパー 1780円
このようにコンポとブレーキの調達はネットの最安値圏で短期間に完了しました。
ホイールに全振りする
自転車に乗ることはホイールに乗ること、究極的にはタイヤに乗ることです。『チャリもおしゃれも足元から!』がこの世の鉄則です。
結論から言いましょう。ロードバイクのホイールはチューブラー以外にあり得ません。
仮に予算をじゃぶじゃぶに使えるなら、チューブレスホイール&ディスクブレーキを選びます。
クリンチャーは便利ですが、中途半端です。軽さでチューブラーに、転がりでチューブレスに劣る。そして、アホみたいにパンクする。
この3万円の中古の手組ホイールのアルミリムはアンブロシオのクロノです。実測重量はだいたい370gです。はい、10万のカーボンクリンチャー並みですね。
この圧倒的な軽さを備えながら、チューブラーは一般ユーザーには不人気です。取り付けと運用が一癖ですから。
リムセメント(トルエン含む)のケミカル臭はたしかにハードです。それでも、ぼくはたまのロード組み立てにはチューブラーを多く使います。
ホイールを3万円、タイヤを6000円/2本でゲットしました。
このパナのタイヤは意外にサイクルベースあさひで最安でした。カタログ重量270g、実測重量285gです。
クロノリム370g+パナタイヤ285g+糊10g=665gです。この外周の軽さをクリンチャーで実現するには2~3倍の値段を掛けねばなりません。
- ホイール 31500円
- タイヤ 6160円
ただし、ホイールにお金を使いすぎて、5万円バラ完チャレンジに失敗しました。レコードハブとクロノリムに一目ぼれしてしもたのや~
5万円の格安ロードバイク
今回のバラ完ロードの購入物のまとめです。
パーツ | 購入先 | 価格 |
gan Well CM1 クロモリフレームセット | ジャンク | 3000円 |
シートポスト | 中古 | 980円 |
シマノクラリスリア変速 | 未使用 | 2200円 |
サンレースカセット | 中古 | 1200円 |
キャノンデールC4ステム | 未使用 | 1500円 |
シマノレボシフト | 未使用 | 880円 |
シマノソラブレーキレバー | 新品 | 2500円 |
シマノ8速チェーン | 新品 | 1540円 |
シマノソラブレーキキャリパー | 中古 | 1780円 |
手組ホイール | 中古 | 31500円 |
パナレーサープラクティス 2本 | 新品 | 6160円 |
サドル | お下がり | 0円 |
ハンドル | お下がり | 0円 |
ペダル | お下がり | 0円 |
グリップ | お下がり | 0円 |
合計 | 53240円 |
近場のパーツ屋で主要な部位を集められて、送料を最低限に抑えられました。ホイールを抑えれば、お下がりを使わなくても、5万円でぜんぜん行けましたね。
で、52340円ロードの完成形です。
見た目はちょいレトロな街乗り風、走りは30万級です。重量はだいたい9.5kgです。重い? いやいや、足回りはカーボンクリンチャーにさくっと勝つるから!
サドルをブルックスとかセラアナトミカとかの本革サドルにすれば、ビジュアルをさらにアゲアゲにできますねえ。
とりあえず、これでこの秋冬のサイクリングはばっちりです。