ママチャリ改造第五弾です。
「夏休みの自由研究だ!」
という軽いノリで始まった改造企画ですが、ママチャリ特有の規格のせいでなかなか進みません。
前回、100円で買ったMERIDAのキャリパーブレーキをリアに取り付けました。固定力は未知数、てか、あきらかに不足です。おいおい新しいL字金具を買いに行きましょう。
今回のパーツは大物です。
ついに1インチフォークが来たよ! ママチャリにぴったりだあ?!
待望のノーマルサイズのアヘッドフォーク
ママチャリの本体です。
はい、がっちんのママチャリフレームです。モデルはPanasonic Alfitです。無印Alfitはもうカタログにありません。Alfit ViViて電動シリーズが現役です。
ママチャリは日本生まれの日本育ちの自転車です。じゃあ、フレームはJIS規格のかたまりです。BBはねじ切りJISです。で、ベアリング系はだいたいカップアンドコーンです。
しかし、このJISねじきりBBはそんなクリティカルじゃありません。これは金属フレームでは十二分に現役選手です。イージーJISです。
ややこしさの究極はヘッドチューブです。ハードJISです。
ママチャリや軽快車のフォークは1インチのノーマルサイズのストレートのネジきりタイプです。ステムはクイルステムです。
一方、スポーツバイクのフォークはOS、オーバーサイズです。径は1 1/8インチ=28.6cmです。
カーボンフレームでは上下異径のフォークが主流です。根元が太くなりますが、上の細いところはオーバーサイズの28.6mmです。
ステム、スペーサー、スターファングルナット、プレッシャーアンカー、トップキャップなどはことごとくOS、オーバーサイズ、1 1/8インチ、28.6mm用です。
で、ノーマルサイズはママチャリ、軽快車でこそ標準ですが、スポーツバイクではイレギュラーです。ノーマルサイズのパーツはだいたいヴィンテージ、補修用です。
オーバーサイズのフレームにノーマルサイズのフォークを付けられるようなスペーサーないしアダプターは存在しますが、特段のメリットを持ちません
「今の車体でクイルステムにして、昔風のふんいきを出したい!」
こういう用途にしか使い道が思い浮かびません。単純に大サイズ→小サイズへの改造はダウングレード、バージョンダウン、時代逆行になっちゃいます。
だって、ノーマルサイズの強度が物足りなくなって、オーバーサイズが生まれましたし、ネジ切りクイルステムの調製の効かなさが問題になって、アヘッドステムが生まれましたから。
てことで、スポーツバイクのヘッド周りのノーマルサイズはレア・ニッチ・イレギュラーです。
新品、中古、正規、非正規、いずれの条件で流通量はがたっと落ちます。正味、オーバーサイズの100分の1です。
なら、ママチャリのノーマルサイズグッズを使うかと妥協しても、目当てのものをやすやすとゲットできません。
なぜならママチャリや軽快車のパーツはバラではなかなか出回りないから。
1万のママチャリの安パーツを個別にばらして、きれいにして、値段を付けて・・・だれもそんな手間をかけません。
そんな事情からフォークとヘッドパーツにはながなが悩まされましたが、何の気なしにサイクリーを覗いて、このSurlyのフォークを発見しました。
ポイントは
- 1インチ
- アヘッド
- コラムがたっぷり
- 10000円以内
これ以前にブックオフの大型店のスポーツコーナーでパナソニックのカーボンの1インチのアヘッドのフォークを見つけました。値段は5980円です。
しかし、コラムがカット済みで15、6cmしかありません。
ママチャリのヘッドチューブは約14cmです。ヘッドパーツのわんの上下が3cm、ステムのクランプ部分が4cm前後です。適正なコラムの下限は22cmです。
やっぱし、ISO/ITAのノーマルサイズ
Surlyはアメリカの自転車ブランドです。ファットバイクのオリジン的なところです。メイドインUSAのクロモリ製自転車にこだわって、根強い人気を持ちます。
その遊び心と茶目っ気からアーバン・ストリート系の文化と好相性です。
で、JIS規格はJの頭文字のとおりにJapanese Industrial Standardsの略称で日本工業規格を意味します。これの世界版がISOです。
で、日本生まれ、日本育ちのジャパニーズバイクの代表のママチャリはくだんのようにJISの申し子です。
ママチャリフォーク=1インチのノーマルサイズのJISのネジ切りタイプです。
一方のSurlyはアメリカ生まれのアメリカ育ちのピュアUSAブランドです。アメリカ規格はANSIですが、チャリパーツでは見かけません。米式バルブてのはありますが。
で、ANSI=ISOみたいなものです、世界のアメリカさまですから。
チャリのパーツではイングリッシュ=BSA、イタリア=ITA、日本=JIS、世界=ISOが混在します。しかも、パーツの部位で互換性がばらばらです。
ネジきりのボトムブラケットのBSAとJISは同等、ITAだけが別物です。BSAとJISの右わんは左回しで締まる逆ネジですが、ITAの右わんは右回しで締まる正ネジです。
ノーマルサイズのヘッド周りではこの区別はあてになりません。JISのヘッドチューブの内径は30.0mmですが、BSA、ISO、ITAの圧入部は30.2mmです。
このヘッドパーツはJISのノーマルサイズのフレーム用になります。
0.05mmは誤差ですが、0.2mmはそうじゃありません。缶ジュースや缶ビールのアルミ缶の厚さが約0.1mmです。
で、このママチャリのトップチューブはJISです。JISのヘッドパーツを使います。が、JISのヘッドパーツはISOのフォークには合いません。
正確には一部分だけがピンポイントに違います。下玉押しの圧入部です。JISのフォークは27mmですが、ISO、BSA、ITAは26.4mmです。
さて、Surlyのフォークはどうでしょうか?
26.45mmです。完全なISOです。洋物です。さすがのアメリカブランドだあ! あたりまえです。そもそもフレームがJISじゃないしさ。
案の定、0.6mmの差はもうぜんぜん別次元です。片側でアルミ缶3枚分です。
解決策はつぎのとおりです。
JISヘッドパーツにITA=ISO下玉押し
はい、1インチのJISヘッドパーツにITA=ISO下玉押しです。実のところ、流通品のJISとISOの違いは下玉押しのみで、そのほかはほぼ同じです。
JIS用のベアリング、ISO用のベアリングてものはありません。汎用の工業用ベアリングです。わんの外形や内径も同じです。下玉押しの違いがJIS、ITAの違いです。
そして、国内の世界的ヘッドパーツ屋のTANGEがこのオプションをしますし、スモールパーツをします。
つまり、
- 1インチのJISのアヘッドのヘッドパーツのセットx1
- 同型のITAの下玉押しx1
のぽちぽちカートインで決着は付きます。
結果的にJISの下玉押しが余りますが、これが最善策です。
「ITAのヘッドパーツを買って、フレームのヘッドチューブを均一に0.2mmだけ削って、強引にインストールしちゃうぜ!」
みたいなノリノリのDIYはずぼらなぼくにはハードです。おそらく紙やすりでテキトーにごりごりやって、圧入部を不均一にしてしまって、後々のクラックや不具合を引き起こしちゃいます。
アルミパーツぶっ壊しの前科が二つほどありますし。
「0.2mmくらいなんかごり押しで削れへんか~? 行けんちゃうの~? たったの0.2mmですぜ~?」
これはDIYの悪魔のささやきです。
『0.』てコンマ小数点がクセモノだ。こいつのおかげで薄く見える。0.2mmと読まずに、200ミクロンてしましょう。一気に1000倍です。
「金属の0.2mmは薄くない」とキモに銘じましょう。
で、ヘッドパーツをあさひサイクルの通販で注文しました。8月20日までの購入分は3000円から無料です。21日以降の購入分は5000円から無料になります。
ついでにブレーキアウターケーブル、厚歯のシングルチェーンを買って、計3000円ちょいにしました。
コラムはよゆうの30cmです。むしろ、1インチコラム用のスペーサーが必要です。自作するか、コラムを切ろう~。
コラム外径は25.4mm、内径は22.2mmです。ここらはJIS、ISO、ITAのいずれに共通します。なんでJISの下玉押しだけがピンポイントで違うよ? えらい人が決めたから?!
で、みてのとおりのVブレーキ用です。肩上の穴はドロヨケ用かロック用でしょう。キャリパーブレーキは付きません。100円ブレーキがむだになったあ!
シム付きステムをコラムにはめて、紙やすりを間に挟んで、BBの要領でがりがりフェイシングしました。
下準備はこんなもんですかね。最大の問題がひと段落して、気が楽になりました。