ママチャリ改造計画の第三弾です。U型のパナソニックのアルミフレームが前回の身体測定で1.8kgてゆう意外な好成績をたたき出しました。
ハイテンやスチールのシティチャリ、ママチャリフレームはこんなに軽くなりません。そして、鉄系フレームは野ざらし雨ざらしでことごとく錆びますし。ビバ・アルミ!
が、表面の塗装は直射日光でひび割れします。パナソニックのロゴがビキビキです。屋外放置のチャリは過酷です。実質、真夏の日差しはマイルドなビーム兵器だ。
メンテで箸休め
フレームの全体をぱっと見渡して、ひとつの気がかりを見つけます。BBやトップチューブのフェイスの精度です。
BBハンガーのフェイスがだんだん畑だあ! 最初のカットのあらさでしょうか、表面の銀塗装の残り香でしょうか?
そのうえ、スチール系のBBわんがもれなくサビサビを残してくれやがりました。
加工派か未加工派か?
メーカー販売のフレーム、完成車の仕上げはピンきりです。見た目と価格は一流、組み付けと細部の精度は三流、みたいなことはままあります。
良心的な販売店は完成車をいちいちばらして、細部をこまかくチェックして、組み直し、パーツグレードアップ、タッピングやフェイシングをしなおします。
自転車のDIYには二つの傾向があります。ひとつはパーツの組み立てのみに徹して加工しない派です。
「しろうとのパーツ加工は百害あって一利なし!」
わりと潔癖症のA型さんです。
もうひとつは削り、穴あけ、曲げ、焼きをばりばりやっちゃう派です。ぞくに『魔改造』と称されます。自転車カスタム派のなかでは少数派の異端児です。
実際、板金や旋盤や溶接の技術を使えば、自転車をめちゃくちゃにいじくりたおせます。メタルバイクはヒジョーにシンプルです。鉄系パーツの加工や溶接はわりと気軽です。
むしろ、技術より道具と場所が肝心です。ごりごりバチバチやって怒られない環境の有無です。工房や倉庫や基地があるかないか。
うちにはない!
BBハンガーのフェイシング
で、タッピングやフェイシングです。これは完全に金属加工系の作業です。
エクスペンシブ! プロは元を取れるけど、パンピーは元を取れません。専用工具中で最強クラスの価格です。
てことで、しろうとテキトーDIY派は代用品でやっちゃいましょう。ずぼらなO型はむずかしく考えません。
代用品を考える
圧入系工具はだいたい力技でOK牧場です。逆に手頃なスプロケ外し、クランク外し、チェーンカッターとかの代用品が思いつきません。
平たいものを用意します。ベストな物体が玄関先から見つかりました。CNCステムの底面はベリーフラットでしょう。
で、これに荒めの紙やすりをセットします。はしっこをクランプに噛ませると、良い具合に固定できます。
これでBBフェイスをガリガリくんします。なるべく平面に均等に力を加えて、ガリガリゴリゴリガリガリゴリゴリします。
じゃあ、数分で大方のでこぼこが失せました。
想像以上のCNCステムの持ちやすさと削り勝手です。気をよくして、左のBBシェルとトップチューブのフェイスまで一気にやっちゃいました。
はい、十分な仕上がりです、100点! そして、120点を目指して、耐水ペーパーを買ってきます。400番です。
これをステムにセットして、二度目のガリガリくんをします。むしろ、シャリシャリくんです。アルミの粒子が細かくなります。手がかさ付く。
おお、アラが取れました! 120点です。そして、どとうの200点を目指して、最後の仕上げに取りかかります。
紙やすりからのピカール
カモン、ピカール!
こんなときに多用しないと、ぜんぜん使い切りません、缶入りピカール。これをべたべた塗りたくって、ピカピカピカチュウします。色合いがピカチュウだし。
ところで、この魔法のみがき粉ピカールの原料は油とアルミナの粒子です。これはルビーやサファイアクラスの硬度です。大方の金属を研磨できます。
ちり紙でから拭きを繰り返して、ぴかぴかピカチュウに仕上げましたで。
オー、アメイジング! 鏡面仕上げのむだづかい! 200点!
かんじんの精度は?
さて、見た目は見違えましたが、フェイシングの精度はどうでしょうか? BBカップを付けてみます。うん、ちがいはよく分からない! そんなもんだよ!
しかし、DIYで大切なことは満足感です。「フェイシングを工具なしでしてやったぜ!」てばくぜんとした上級者ぽさはプライスレスです。いや、もうそれがすべてです。
次回はキャリパーブレーキ取り付け編です。