前回、中古のママチャリのフレームを購入して、ジャンクなBBとヘッドパーツのわんを外して、完全なありのままにして、おふろでざっと丸洗いしました。
シールやステッカーの跡となぞの削れが目に付きます。アルミ特有の白サビがダウンチューブ裏側にぽつぽつ浮き出ます。
でも、走行にクリティカルなダメージは見当たりません。ダウンチューブはごんぶとどっしりですし、根元溶接とステーブリッジで補強度はばっちりです。
そして、手応えはわりと軽めです。この機会に重量やサイズを計測しましょう。ママチャリの単体フレームをじっくり吟味するのは貴重な体験です。
ママチャリ身体測定 重さやサイズは?
スポーツ自転車界の床しい合言葉に『軽さは正義!』てのがあります。軽いバイク=良いバイク=高いバイク、そんな定説はしぶとく生き残ります。
が、近年のトレンドは『エンデュランスは正義!』か『エアロは正義!』です。上りで勝敗を決した時代は過去になりました。快適性と空力からのパフォーマンス向上が昨今のトレンドです。
これはレースチャリのはなしです。ホビーチャリはフリーダムです。「軽さは正義!」は成立します。安カーボンをちりばめれば、たやすくおやすく6.8kgの壁を破れちゃいます。
ホビーバイクがレースバイクより軽量だ、てのはふしぎなものです、ははは。
そして、どしろうとにはシンプルな指標はありがたいものです。快適性、空力性は目に見えない! 計測がたいへんです。
空洞実験装置はおうちになくとも、キッチンばかりや体重計はふつうにあります。軽さはジャスティスです。
体重測定
では、このフレームをぽんと乗っけましょう。
はい、1.8kgです。数値は1.7kgと1.8kgを行き来します。1700g後半から1800g前半でしょう。
完成車のママチャリのイメージからすると、この1.8kgは破格の軽さです。ロードバイクの軽量カーボンフレーム+1kgです。
じゃあ、まるまるロード用の軽量パーツを完全移植すれば、7.8kg前後に仕上げられちゃいます。ミドルグレードのロードより軽くなる。
でも、今回のカスタムの方針は街乗りお買い物用です。予算は5万円です。10kgを下回れば、及第としましょう。
ちなみに原産は”Made in China”です、アメイジング! Made in TaiwanやMade in USAやMade in Japanはママチャリじゃありません。中華こそがママチャリの本場です、ははは。
126mmの正爪エンド
さあ、デジタルのぎすやアナログじょうぎフレームを用意して、各部をてきぱき採寸しましょう。特段の気がかりはフレームのエンドです。
これはトラックエンド、ぞくに正爪エンドです。『せいづめ』か『まさつめ』か『しょうづめ』かはさだかじゃありません。ぼくはなぜか『せいづめ』と読んでしまう・・・
ピストバイク、シングルスピード、内装系のフレームエンドはこのタイプです。留め具はクイックリリースでなく、無骨なボルトナットです。
アナログじょうぎをエンド幅に当てて、めでたく実測します。
きっちり126mmです。この数値は外装変速6段7段のボスフリータイプのカセットとホイールに一致します。でも、形状はシングルスピード系です。
てことは、もともとの完成車は内装変速でしょうか? シマノのINTER3 SG-3R40のOLDが120-126.8mmです。ママチャリやシティチャリの標準装備です。
この126mm幅は中途半端ですが、DIY視点ではおもしろいサイズです。
旧来のクイックリリース式のロードバイクのエンド幅が130mmです。126mmとのギャップは4mm、片側2mmです。
アルミは鉄みたいにぐいぐいしなりませんが、片側2mmの遊びはよゆうのよっちゃんです。
逆に120mmのピュアシングルハブを使うなら、3mmのスペーサーを左右に噛まして、センタリングします。
今回、外装変速は完全に蚊帳の外です。予算が足りませんし、手間がかかります。フレームの特性を活かしましょう。
さきざき皮算用するけど、700cのホイールを嵌められるかあ? そう思って、手持ちのホイールを当ててみました。
これはMTB用の29erホイール+40cタイヤの車輪です。タイヤが下ステーのブリッジ付近とやや干渉します。
でも、30mm以下のタイヤを使えば、問題なくセットできましょう。ハブの芯の位置をまだ下げられますし。
リアブレーキの台座がない!
当面の問題はリアブレーキです。キャリパー用の穴、Vブレーキ用の台座がありません。もともとはステー直付けのバンドブレーキでしょう。
左ステーにそれらしい痕跡が残ります。
ピスト化すればクランク逆回転でブレーキをかけられます。しかし、日本の交通法的にはザ・アウトです。『前後が別々に駆動するブレーキ』が軽車両には必須です。
さいわいにこのブリッジが役立ちます。
どちらかにL字金具を取り付ければ、絶好のキャリパーブレーキ取り付け穴にできます。もともとはフェンダー用ですかね?
BBシェル幅、リアセンターなどを計測
採寸を続けます。BBシェル幅がこうです。
ネジ切り式のBSA70.8mmだあ?! 68mmか73mmじゃないの?! ITA? いえ、BSAの70mmはママチャリの定番規格の一つです。
BBわんのタイプは左正ネジ、右逆ネジです。別途のBBのカップはすんなり入ります。てことは、スレッドのピッチがふつうです。つまり、オーソドックスなBSAタイプです。
中空系タイプのBBを使うなら、スペーサーを減らします。ホローテック2のスペーサーが左一枚、右二枚です。右一枚にすれば、問題なく使える?
スクエアBBにして、ピスト系のクランクを使うか~。
シートチューブの内径は27.2mmです。ミニベロの忘れ形見のカーボンシートポストがポン付けで入ります。
リアセンターはざっと45cmです。まあまあ長めです。シートチューブ上-BB芯の距離=フレームサイズは39cmです。クロスバイクのXSクラス相当になります。
ヘッドチューブが1インチノーマルサイズ
最後の関門がヘッドチューブです。手持ちのオーバーサイズ=1 1/8inch=28.6mmのフォークコラムはわんの入り口でつっかえます。
それはそうです。ママチャリのヘッドチューブは基本的にノーマルサイズ=1inch=25.4mmです。で、コラムの上にネジきりがあって、クイルステムがここにくっつきます。
25.4mmの軽量フォーク探しはなんぎだあ、はあ~。
理想はノーマルサイズ25.4mmのスレッドレスのキャリパー用カーボンフォークです。これに28.6mmのアダプターをつけて、オーバーサイズ用のアヘッドステムを付けます。
で、このハイライザーカーボンハンドルをセットする。
言うはやすし、行うはかたしです。ママチャリのフェイシング編につづきます。