2017年は自転車界、とくにロードバイク界のエポックメイキングな年になりました。ツールドフランスにディスクブレーキのロードバイクが登場し、たくさんの勝ち星を重ねました。快挙です。
ここまでの道のりは多難でした。基本的に保守的で閉鎖的な自転車界、そのなかのさらにトラディショナルでアカデミックなツール界でディスクブレーキは長らく不当な扱いを受けます。
やれ、安全性がどうだ、重さがそうだ、整備がこうだ、やいやいやいて声が多数を占め、キャリパーの過大評価とディスクの過小評価が常態化します。ああ、なげかわしいことだ。
その象徴が去年のトップレースのトライアル解禁からの不可解な事故とレポートの流れでしょう。が、カンパニョーロがディスクブレーキを発表した途端にその声がはたと止みました、ははは。
で、ディスクブレーキの再解禁からのツールドフランスの出場、区間ステージの勝利までは予想外の早さでした。世間のイメージは、
「あれえ、ツールにディスクロードがおるで?」
「あれえ、ディスクロードが勝ったで?」
てなものです。ディスイズ・キツネにつままれた気分です。しかし、とにかく、これで勝利の前例ができました。これはディスクブレーキの普及に大きな前進です。
ディスクブレーキローターの種類
てなふうにディスクブレーキはピュアなツール界ではまだまだ新顔のニューカマーですが、オフロードではすでに10年選手です。2000年代前半からMTBはディスクブレーキです。
さらにこの数年のニュージャンル、ファットバイク、オールロード、アドバイク、グラベルバイク、X系は最初からディスクブレーキをします。
これらのバイクのブレーキは時代をさかのぼって、Vブレーキやカンチブレーキにはならなかった。新型のすんごいVブレーキ、カンチブレーキてものがほぼありませんし。
今後の注目はママチャリやシティチャリのブレーキがバンド、ローラー、ドラム、サーボからディスクに置き換わるか、です。まあ、これらもハブブレーキのはしくれではありますが。

ママチャリエンド部
実際、これの制動力はまあまあです。弱点は鳴きとメンテナンス製の悪さです。ナットを外して、ネジを外して、スタンドを外して・・・てしないと、取り外しできません。
スポバイのディスクブレーキはこんなです。

Formula Rx 油圧ディスクブレーキャリパー
油圧ディスクブレーキです。モデルはFormula RXです。2ピストン、ポストマウント(アダプタ付き)、軽量タイプです。街乗りではこれが主流です。
山乗りではこんな4ピストンの重厚タイプがあります。マウントはピュアポストマウントです。キャリパーのクランプ、フレームの台座がともにポストマウントタイプです。

Hope tech e4
さらに6ピストンて化け物みたいなのがあります。エクストリーム系のやつです。
で、最近、ディスクロードの標準がようやく定まりました。フロント12/100mm、リア12/142mmのスルーアクスル、マウントは専用のフラットマウントです。
フラットマウントはシマノ由来の新機軸です。ポストマウントのマイルド版です。
フラットマウントとポストマウント
上の図のようにフレームのステーの台座がぼこっとしません。フラットです。じょうぶさはポストマウントに劣りますが、しゅっとしたコンパクトイケメンになります。
アダプターをつければ、ポストマウント台座にフラットマウントのキャリパーを付けられます。てことは、インターナショナルにもアダプターtoポスト+アダプターtoフラットで付けられます。
ローターのサイズ
ローターのサイズは140、160、170、180、200、203mmです。数値はローターの円盤の直径です。標準は160mmサイズです。

ディスクブレーキローターとボルト
このローターが大きくなると、制動力が強くなります。エクストリームやダウンヒルのやつは200や203です。やっぱし、各種のアダプターで対応します。
ちなみにシマノ系が203mm、そのほかが200mmです。さらにシマノは独自路線を行って、センターロック式のマウントを推します。
カンパニョーロやフルクラムのオプションのAFS=センターロック式です。主流は6h=6ホールのボルト式です。例のごとくAFS→6Hのアダプターがあります。逆はむりです。
しかし、ディスクロードのけん引役はシマノです。センターロック式とフラットマウントがイニシアチブを持ちます。デュラエースやアルテグラはこの方式です。
そして、ディスクロードのブレーキローターの標準は140mmです。制動力はマイルドになって、重さがほんのすこし軽くなります。
単純にポストマウントの台座のでっぱりを廃して、ローターを小さくしたものがフラットマウントです。
SFS、シマノフラットマウントシステム・・・耳新しくものすごく聞こえますが、そんなたいそうなもんじゃない。実態はちっさいポストマウントです。
ツール系のディスクロード以外のドロハンディスクブレーキバイクはSRAM系&サードパーティ系フレンドリーです。フロントシングルの1xがスタンダードになります。規格はばらばらです。
しかし、オールロード系やニュージャンルの分野では競技系みたいな統一規格は特段に重要じゃありません。むしろ、ごたまぜのカオス感が魅力です。
現実、ディスクロードの規格の安定は2015年以降です。じゃあ、2016モデル以降のものはだいたいこの通りになります。基準はシマノのデュラエースR9170です。
問題はちょい古のディスクロード、2013-2015モデルのプレR9170系デュラ時代のディスクロードです。ポストマウント、160mmサイズ、クイックリリース式などが混在します。
むしろ、それらはやや古のオフロードバイクとの親和性を持ちます。初期の29er時代のオフロード系ですか。
逆に2016モデル以降のフラットマウント、スルーアクスルのポストR9170系デュラ時代のディスクロードとはややかけ離れます。
ディスクロード化=チューブレス化?
余談です。ディスクロードが普及すると、クリンチャーがすたれて、チューブレスが台頭します。げんに先日のフルクラムの2018モデルの第一弾はRacingシリーズのDBモデルでした。
fulcrum racing db wheel 2018
シリーズの4567がことごとくDB化して、チューブレス互換の2wayfitになります。げにディスクブレーキとチューブレスはベストマッチです。
リムブレーキのチューブレスは構造上の欠点をもちますが、ディスクブレーキのチューブレスはこれを克服します。
ディスクロード化のつぎはディスクチューブレス化です。じゃあ、タイヤメーカーのターンです。Vittoria、michelin、コンチなどの動向が気がかりです。
そして、ディスクブレーキのホイールのスポークレイアウトは前後で同じになります。そして、後輪基準です。じゃあ、おのずとフロントのラジアル組みのカウントダウンが始まります。
Shimano WH-RS700
ディスクブレーキにはナンセンスです。ぱっと見でへにゃへにゃの頼りなさが知れます。ディスブレではよじれる。ものの数年でMTBの26インチホイール級のなつかし規格になりかねません。