ディスクブレーキは航空機、自動車、オートバイ、電車、そして、自転車などなどの乗り物の全般に広く使われる制動システムです。
車輪に付属する円盤状のローターをパッドでぐっと挟んで、回転を止めます。
MTB界では10年以上前からこのディスクブレーキが主流です。オフロードバイクの舞台からVブレーキはめっきり消えうせました。
現代のVブレーキはクロスバイク、ミニベロ、ルック車に活躍の場を移します。
より安価なママチャリやシティサイクルのブレーキはまた別物です。
バンドブレーキ、ローラーブレーキ、ドラムブレーキです。構造的にはディスクブレーキの親戚亜種で、ハブブレーキ群に属します。
ディスクブレーキのメリット
ディスクブレーキのメリットは安定のブレーキ力、軽さ、メカニカルなルックス、スピードコントロール、トラブルーフリーです。
キャリパー内のパッドがローターを両側から挟むと、車輪が回転を止めます。うらはらにキャリパーブレーキやVブレーキはホイールのリム面を直に挟みます。
さらにディスクローターは地面から遠いポジションにあります。反対にホイールのリム面は地面から数センチの距離にあります。
とうぜん、水や土はブレーキングの大敵です。とくに水分は摩擦をてきめんに減らします。ウェットなリムブレーキを止めるのは至難の業です。
「ブレーキレバーを引き切るのに、ぜんぜん止まれない!」
て場面はめずらしいものじゃありません。
その点、ディスクブレーキは雨にも雪にも負けません。
「効きすぎて危ない」
げんにワイヤー引きの力加減で油圧ディスクを引けば、がつんと急停止してしまいます。しかし、結局、それは乗り手の力加減の問題です。
ロードバイクの固いサドルにママチャリの要領でどっこらせと座れば、ケツをいためちゃいます。
でも、じきに慣れます。ディスクブレーキのコントロールもおんなじです。じきに慣れます。
スポーツバイクのスタンダードは油圧ディスクブレーキに統合されます。これから本格チャリを買う人はディスクブレーキのものを買いましょう。
ディスクブレーキの台座の規格
さて、ロードバイクのディスクブレーキの規格はフラットマウントタイプです。MTBのポストマウントタイプより新しい仕様になります。
提唱者は例のごとく業界最大手のシマノです。違いです。
フラットマウントではそれまでの160mmより小ぶりな140mmローターを使えます。
このフロントフォークはポストマウントです。
リアはインターナショナルスタンダードです。
ロードバイクのルックスにこれらのぼてっとした肉厚な台座のでっぱりは似合いません。また、オフロードバイクほどの強度は不要です。
で、フレームのステーに直通するようなスマート取り付けタイプが新規格のフラットマウントです。
いずれのタイプでもフレームの台座がカギです。台座なしのフレームにはディスクキャリパーを取り付けられません。
これは239円の安物アダプターです。
ママチャリとかシティサイクルにこんなふうに使います。
うーん、ワイルド! これを商品の使用例のところにどうどうと載せちゃうのがおおらか大陸スピリッツだ!
で、これを参考にして、ぼくはふるいVブレーキの26インチMTBに付けてみました。
でも、後付けアダプターは明らかに強度不足です。安物だし。ブレーキングでバンドがずるっとずれるし緩みます。怪我する前にはずしますしょう。
リア側ですが、フロント側はフォークの変更でOKです。前だけをディスクブレーキにしても、ディスクブレーキ化の恩恵を十分に受けられますよ。じつにVブレーキの3倍の安心力です。統一感はなくなりますが、ははは。
そして、ロード用のディスクブレーキ用のフォークはそんなに高くありません。サスペンションがないので。MTBのDH系のハイエンドモデル、BOXXERやDORADOは15万円前後ですし。
インターナショナルの台座には致命的な欠点があります。位置が調整不能です。おかげでメーカーやモデルや年式で取り付けの互換性はまちまちです。調整にはワッシャーが必要でした。
はじめのころにはシマノがインターナショナル派で、これをばかすか作りましたが、たくさんの苦情を受けて、路線変更を余儀なくされました。
で、それを解消したのが現在の主流のポストマウントです。キャリパーの取り付け穴に遊びがあります。これで左右の調整が可能になりました。
キャリパーの取り付けの穴に左右の数ミリの遊びがあります。これで調整が可能になります。インターナショナルスタンダードの取り付け部の穴はボルト径とほぼ一緒です。遊びがありません。
もっとも、インターナショナルスタンダードのブレーキキャリパーはほぼ淘汰されて、めったに見当たりません。大半がポストマウントタイプです。取り付けで苦戦することはレアケースでしょう。
機械式と油圧式
ディスクブレーキには機械式(メカニカル)と油圧式(ハイドロ)があります。さらにはより先進的な水圧ブレーキさえが存在します。
機械式=メカニカルはおなじみのケーブルワイヤー引きです。キャリパーのピボットアームをワイヤーで引っ張って、パッドを閉じて、ローターを挟みます。
メカニカル式のワイヤーケーブルは経年で劣化・伸び縮みしますし、キャリパーまでの曲がりや捩れでパワーをロスします。リアはフロントより明らかに効きません。
油圧式はまんまオートバイみたいなブレーキです。ブレーキケーブルのなかにブレーキオイルがみっちり詰まります。
これに圧をかけて、パッドをにゅるっと押し出します。摩擦やパワーロスがありません。
レバーのところにオイルリザーバーという油の貯蓄タンクがあります。
ブレーキレバーが引かれると、このリザーバーのオイルがピストン式にケーブル側へにゅっと押し出されます。終点はキャリパーのパッドです。
この圧力は常に一定です。液体は気体みたいにそうそう圧縮されません。オイルはケーブルの中で右へ左へ素直に動きます。まさに液体の導線です。
この操作性は圧倒的です。ブレーキングが自由自在です。コントロールが楽しくなります。イメージどおりに減速、低速できる、これが油圧式ブレーキのメリットです。
デメリットはメンテのしきいの高さです。オイル交換には上級者向けのイメージがまとわりつきます。
まあ、しかし、何回かやればふつうに出来ます。むしろ、ぼく的にはワイヤー取り回しのがめんどうです、ははは。
油圧式がジャスティス!
総合的に油圧式ディスクブレーキが現代のスポーツ自転車のスタンダードです。『ロードバイク=キャリパーブレーキ』て固定観念は日に日に薄れます。
2018モデル以降に人気自転車ブランドのロードバイクはすっかりディスク化しました。キャリパーはオプションです。メジャーとマイナーが反転した!