フランスのMavic社のWTS=Wheel Tyre Systemは自転車乗りにはおなじみのものです。ホイールとタイヤをセットで考えるマビックのテクノロジーないしスタイルです。
マビックの小売用のホイールには出荷の段階で純正タイヤがホイールにバンドルします。マビック店長のオススメセットメニューというところです。
WTSのデメリットは好みのタイヤを使えないことです。ホイール単品の販売はマビック的には非推奨です。ちなみにマビックのタイヤはHutchinson製です。
このマビックのつぎのイチオシスタイルがUSTです。Universal-System-Tubelessの略称で、チューブレスシステムの一つです。
USTはマビックの専売特許です。他社の技術ではTLR、Tubless easy、TCS、TLC、2wayfitなどがあります。
USTはチューブレス専用
USTのスタートは2000年ごろです。その後、MTBではチューブレスがメインになりますが、ロードでは旧来のクリンチャーが主役の座を譲りません。
ロードのチューブレスはMTBよりやや神経質です。理由はリムの細さと空気圧の高さです。15cや13cのリムはチューブレス化にはちとハードです。
実際、ぼくは以前にキットを使って、13c内径のミニベロホイールとタイヤをなんちゃってチューブレス化しました。
バルブ付近のリムウォールとタイヤビードの関係性がよろしくありません。各部が寄り合って、ぎゅうぎゅう詰めになります。
昔の細いロードのホイールとタイヤでも同じ問題が起きました。結局、メンテ性の悪さが仇となって、ロードの初期USTは歴史の日陰に追いやられました。
しかし、2015年以降にワイドリムが普及して、カーボンクリンチャー、ディスクロードがあれよあれよと一般化します。
ことさらにワイドリム化はチューブレスには最高の後押しです。ロードバイクのホイールの数mmの差は大です。服のSサイズがMサイズになるようなものだ。
で、マビックのロードのUSTがひさびさに表舞台に浮上しました。初登場でなく、復活祭です。
かつてのユーザーの不満を払拭するように「嵌めやすさ」や「取り付けのしやすさ」を全面にアピールします。
実際、この数年でチューブレスタイヤの全般が明らかにフレンドリーになりました。ぼくは特別な理由を考慮しなければ、チューブレスモデルをファーストチョイスします。
チューブレス専用とチューブレス互換
ややこしいのはチューブレス専用とチューブレス互換のちがいです。
MAVIC USTはチューブレス専用です。USTモデルのタイヤにUSTモデルのホイールが正解です。
それ以外の組み合わせ、USTホイール+TLCタイヤ、TLRホイール+USTタイヤなどはマビック的にはイレギュラーです。USTの最大の性能は出ません。
「大将はこのてんぷらを塩で食えと言うが、おれはタレにべチャ付けして食っちゃうぜ!」
そういうことです。
チューブレス専用とチューブレス互換の最大の違いはシーラントの有無です。パンク防止剤やシーラントを使う=チューブレス互換です。
一方のUST=チューブレス専用にはシーラントは不要です。タイヤだけで気密性を確保します。MAVICとかIRCとかですね。
しかし、チューブレス専用に少量のシーラントを入れるのはパンク防止や空気漏れに有効な手立てです。
TLC、TCS、TLR、2way-fit、Tubless easyなどはおおむねチューブレスです。シーラントなしではタイヤの気密性が十分ではありません。
シーラントとテープのおすすめはSTANS NOTUBEのやつです。