Uber Eats =ぐちゃぐちゃの飯
世間の一部にはこんなイメージがはびこります。ネットニュースとSNSのせいです。実際にはぐちゃぐちゃの飯はレアケースです。
ぼくは10年近くお酒の配達をやりましたが、40本くらいしかビールを割りませんでした。
中瓶1ケース20本が道路に散乱すると、ホップの香りが充満し、アスファルトが金色に泡立ちます。ナウシカのラストシーンのようだ!
と、配達業務に物品の破損や過失は付き物です。
大阪の繁華街の一角を黄金色に塗り替えた元ごりごりの運び屋の目線からUber Eats のぐちゃぐちゃ問題の傾向と対策を伝授しましょう。
まあ、フードやドリンクがどんなにぐちゃぐちゃになっても、ナウシカのラストシーンは再現されません。
業界の逸話ではトラック一台分の瓶ビールをぶちまけた強者のエピソードが伝わります。理由はたしか荷台の固定ベルトの掛け忘れです。
料理がぐちゃぐちゃになる原因
そば屋と寿司屋の出前は昔からおなじみです。大量のそばを肩に担いで自転車で走る江戸っ子の図が思い浮かびます。
往時のプロは100人前を一回で運んだそうです。まさに職人技だ。これには運び手の技術と詰み方の様式が必須です。
基本的にしろうと仕事
Uber Eats などの新興サービスの配達パートナーは旧世紀のそば屋の兄ちゃんのような歴戦のプロではありません。
国内サービスの展開がこの数年、普及がこの数か月ですし。
しかも、Uber Eats 配達パートナーはUber Eats の従業員ではなく、表記通りのビジネスパートナーです。
運営と運び手には直接の雇用関係がない。つまり、パートナーは個人事業主で、売り上げは事業収入です。
ゆえに業務の遂行の仕方はパートナーの能力や心がけに掛かります。
- 料理をうまく運ぶコツ
- きれいな梱包の方法
- 接客の仕方
- 店から嫌われないテクニック
- 車道の安全な走り方
運営はこんなことを事細かにレクチャーしません。なぜなら配達パートナーは直属の従業員でないから。
教わる機会がない
コロナのせいで実店舗のパートナーセンターが休業して、Uber Eats の運営とパートナーとの関わりはさらに薄くなりました。
今や登録からバッグの受け取りまでネット上で完了します。
DiDi Foodでは実店舗での最終テストやバッグの受け取りが継続中です。
店頭で対面して口頭でやり取りすれば、配達業務の疑問や質問をあれこれ聞けますし、初回配達の不安を減らせます。
現在のUber Eats には駆け込み寺がない。細かい研修がない。同僚や先輩がいない。むしろ、街中の配達パートナーは同業者でライバルです。
結果的に大半の配達パートナーが見切り発車で稼働を始めて、何回かの失敗を重ねながら、ようやくLV1の『ぱーとなー』に達します。
頼みの綱はネットの記事やYouTubeのレポートくらいです、まじで。
フードのぐちゃぐちゃはこの段階で多く起こります。ゲームのチュートリアル中の1ミスのようなものです。
それをSNSやネットニュースがラスボス戦の全滅のように過剰に書き立てます。現代人の闇は深い。
大半の注文者はこんな事情を知りません。彼らは最初からLV100の絶対神です。均一の100%の完全なサービスを求めます。
が、Uber Eats の仕組みにそれを求めるのが間違いです。キャンプ場に温泉旅館のおもてなしを求めます?
注文者は注文者で何回かの失敗を重ねながら、汁物を控えるとか、配達料0円を狙うとか、クーポンを使うとかして、LV1の『ゆーざー』に成長します。
料理がぐちゃぐちゃになる原因
配達や運搬には破損や過失が付き物です。
昨今のフードデリバリーの仕組みではそれが少し多く起こり、ネット社会では少し大きく取り上げられます。
しろうとがミスってアホが怒る、これが本質です。
不都合な真実から目を背けて、物理的な問題を見て行きましょう。
料理はいつ、どこで、どのようにぐちゃぐちゃになるか? 原因は注文者、加盟店、配達パートナーのそれぞれにあります。
店の梱包
Uber Eats の配達パートナーはUber Eats のバイトや従業員ではありません。同じくUber Eats の加盟店はUber Eats のチェーン店やフランチャイズではありません。
極論、これらの関係性はアプリで緩くつながるネットワークでしかない。
上述のようにUber Eats の運営は放任主義です。配達パートナーに細かい指令を出しません。Uber Eats 公式バッグも推奨であって、強制ではない。
同様にUber Eats は加盟店にも細かい指示を出しません。デリバリーの価格、料理の内容、梱包の方法などを決めるのは加盟店の仕事です。
「この梱包材を使え」
「価格をこうしろ」
「汁を少なくしろ」
「配達パートナーを雑に扱うな」
こんな細かいことをいちいち言いません。そのようなノウハウやテンプレートはそもそもありません。
つまり、店は店で何回かの失敗を重ねながら、価格を上げるとか、汁を少なくするとかして、LV1の『かめいてん』に成長します。
デリバリーの一律のサービスを持つ&用意できるのは全国展開の大型チェーンだけです。
こちらはマクドナルドの配達員、マックデリバリーです。
マクドの配達員はれっきとしたマッククルーの一員で、マクドナルドと直接雇用を結ぶ従業員です。
このバッグは支給品でしょう。これを自前で調達しろと言われても困る。
ご存知のようにマクドナルドのような大手チェーンには研修や研修期間が存在します。
外食のアルバイトの研修期間の時給はだいたい正規のバイトから~50円引きですね。
またまたご存知のようにマクドナルドのバーガーの梱包紙やコップは全国統一です。備品は本部から店舗に支給されます。
店長がネットでてきとうな袋をポチるとかはありえません。
それ以外の個人経営や小規模チェーン店はパック、コップ、ラップ、袋などなどを自前で用意しなければなりません。
下の図はインドカレーの典型的な梱包スタイルです。ナンはアルミホイル、ルーは丸いプラ容器です。このパターンが王道です。
紙おしぼりやスプーンの有無も店のルールによります。ちなみにこれにはスプーンがなく、ルーがめっちゃ余りました。
この現場は自宅から35kmの奈良公園です。
出前や持ち帰りのノウハウを持たない個人経営の飲食店は見切り発車の手探り状態でUber Eats デビューを求められます。
でも、なんで加盟店や配達パートナーはそんな不完全なサービスを使うのか? じっくり準備してからできないのか?
個人経営の飲食店や配達パートナーのような零細商売人は時代や状況にスピーディに対応しないとリアルに終わります。
じっくり準備する間に倒産して廃業して路頭に迷います。緊急事態宣言中の経済が良い証拠です
大事なことは今日明日の売り上げです。
注文内容
液体は個体より流動的です。汁もの、ドリンクは液体です。普通にこぼれます。それが物理法則です。
ゴンチャのタピオカドリンクのようなものは最初から持ち帰りとデリバリーを想定して設計されます。
上蓋は圧着式の完封タイプです。中身はコップの上のぎりぎりまで満杯です。
他方、デリバリーや持ち帰りを常としない飲食店は汁ものやドリンクの梱包のノウハウを持ちません。
春先のコロナ不況から出前を始めたようなところはとくにそうです。プラ容器の蓋をして、ラップを巻くのがせいぜいだ。
しかしながら、注文者は能天気なものですから、全ての飲食店やパートナーに一律の完璧な梱包と配達を求めます。
汁ものやドリンクをうまく運ぶ秘訣があるか? ありません!
そこらの店やそこらのパートナーはそこらの一般人より少しうまく料理を包めて、少しうまく配達できる普通の人間です。
大部分の容器や梱包材は市販品です。工場の機械的パッキングは不可能です。
それを顧みず、雨の日や風の日に3km先の店にラーメンを頼んで、数分の遅れやスープの零れにぶうぶう言うのは愚の骨頂です。
なぜに汁なし担々麺やチャーシュー丼を頼まない?!
汁ものやドリンクは鬼門ですが、すしも意外な難敵です。すしはわりと片寄る。
ぼくはスーパーの見切りのパック寿司をたまに買いますが、6割くらいの確率で中身は一方へスライドします。おー、握りずしが押しずしに!
あと、学校の弁当も片寄る。
配達パートナーの技術
Uber Eats の配達パートナーは旧世紀のそば屋の兄ちゃんのような職人ではありません。足で日銭を稼ぐしがないフリーランスや副業の一般人です。
配達パートナーがUber Eats から受ける依頼内容は『料理Aを加盟店Bから注文者Cへ運ぶこと』です。
『きれいに運ぶこと』や『マナーを守ること』などは蚊帳の外です。
仮にぐちゃぐちゃの料理を注文者が受け入れれば、その業務は及第点です。ただし、モラルやマナーやコモンセンスには反しますが。
目的のために手段を選ばないなら、赤信号を無視できますし、タバコ吸いながらマック地蔵できますし、料理をそのへんに破棄できます。
それは個人の信条や良心の問題です。
また料理がぐちゃぐちゃになることは注文者には一大事でしょうが、運営には些細なことです。
再配達、返金、謝罪などの対応で事が収まります。
そして、ぐちゃぐちゃは配達パートナーだけの責任ではありません。店の梱包、注文者の注文が一蓮托生です。
仮にラーメンの汁漏れやすしの片寄りを嘆く奇特な方が司法に訴えるにしても、原因を特定して立証できないと裁判では勝てません。
パートナーが「私は丁寧に運びました」と証言すれば、無罪判決がほぼ確定します。それを否定できる材料がない。
『段差Aを時速Bキロで乗り越えたために車両Cが想定外に弾み、ラーメンスープDがEミリットルこぼれた。監視カメラFにそのときの記録がある。なお車両Cの設計G、加盟店Hの梱包Iには問題がなかった。しかしながら、段差Aには自治体Jの整備不良の疑いがある』
これはオーバーな例ですが、ぐちゃぐちゃ=配達運搬業務中の破損や過失は日常茶飯事です。
Uber Eats のぐちゃぐちゃ問題がやけに目立つのは食い物を粗末に扱うことをタブーとする日本人の気質のせいでしょう。
ネットニュースやインフルエンサーには簡単にヘイトを稼げる鉄板ネタです。
だれも好き好んで料理をぐちゃぐちゃにしません。不可抗力です。この世界の全てのオーダーが弁当タイプになれ!
Uber Eats のぐちゃぐちゃまとめ
配達運搬業務中の荷物の破損や過失は一般的なことです。Uber Eats の料理だけの問題ではありません。
実際のぐちゃぐちゃ発生率は保証なしの定形郵便の紛失くらいの割合でしょうか?
ぐちゃぐちゃは注文者のオーダーミス、店の梱包ミス、パートナーの配達ミスからなります。
配達パートナーの技術の過大評価と利用者の注文内容の過小評価が深刻で恣意的です。ラーメンは零れるし、すしは片寄ります。
注文者は配達パートナーに文句の一つも言ったら、サポセンにクレームを入れて、再配達や返金の交渉をしましょう。
利用者同士のいざこざはお互いのためになりません。
ちなみにUber Eats のサポセンの電話の人も派遣さんのようです。真の従業員はどこにいる?
加盟店目線でこの記事を読む人は少数派でしょうが、汁物やドリンクの蓋には工夫をしてください。ラップ一枚で済まそうとしない。
Uber Eats の問い合わせ先
最後にUber Eats の問い合わせ先を紹介します。注文者と配達パートナーとでは問い合わせ先が違います。
Uber Eats 注文時の問い合わせ先は
0800-700-6754 フリーダイヤル
03-4510-1243 有料
です。
配達パートナーの問い合わせ先はUber Eats の稼働エリアで異なります。
エリア | 電話番号 |
東京 | 0800-080-4117 |
神奈川 | 0800-080-4255 |
千葉 | 0800-080-4117 |
埼玉 | 0800-080-4117 |
愛知 | 0800-123-6931 |
大阪 | 0800-080-4270 |
兵庫 | 0800-080-4288 |
京都 | 080-0170-0024 |
福岡 | 0800-080-4153 |
判明分は以上です。2020年3月にパートナーセンターが閉鎖してしまって、それ以降の新規エリアの電話番号が見つかりません。
バッグの指定はありませんが、底が広くないと、すしがてきめんに片寄ります。