ロードバイク初心者の失敗失態集 サイクリングビギナー七つの大罪


ちまたにあふれるレーシーなドロップハンドルのロードバイク、駅前にゆるゆる行きかうフルサスペンションのマウンテンバイク・・・

 

これらのスポーツバイクは基本的には競技用機材です。スポーツ用品。ママチャリやシティサイクルとは一線を画します。ぺろぺろのサンダルとビス付きのスパイクシューズくらいのギャップがある。

 

専用性と汎用性はコインの表と裏です。競技用機材・専門用品はそのジャンルに特化しますから、汎用性や使い勝手をうしないます。

 

駐輪場の悲劇です。ミスマッチングだあ!

 

太タイヤの受難

太タイヤの受難

 

ママチャリ、チャリ通号の習慣や経験値があてになりません。

 

 

未知のかたまり、ドロハンバイク

 

マウンテンバイクやクロスバイクはまだしもですが、ドロハン型のチャリは一見さんにはちんぷんかんぷんです。完全な初心者にはレバーの操作方法が分からない。

 

STIレバー操作方法

STIレバー操作方法

 

スタンディングスタートとクラウチングスタート、ベリーロールと背面飛び、バタ足とバタフライetcetc…一発目から高度な専門的な動きをやれる人はいません。そいつは天才です。

 

で、ぼくらは凡人ですから、先鋭的な専門機材のドロハンバイクにぽんて乗ると、イメージやコツをつかめず、おぼれかけのバタフライみたいなことをやらかします。

 

そして、ひとしきりに操作になれて、いっぱしのサイクリストの自負を持ち始めると、イタい失敗やサムい失態をやらかしてしまいます。自転車乗りの七つの大罪です。

 

自転車初心者の七つの大罪

 

さて、キャッチーなタイトルの『七つの大罪』はキリスト教カトリックの用語です。もとは8つでしたが、えらい人の都合で7つになりました。

 

内容はこんなです。

 

  1. 暴食
  2. 色欲
  3. 強欲
  4. 憤怒
  5. 怠惰
  6. 傲慢
  7. 嫉妬

 

高雅なふんいきと適度な厨二ぽさから創作物のテーマに昔からよく採用されます。人気マンガの七つの大罪や鋼の錬金術師、叙事詩の神曲、映画のセブンとか。

 

この七つの大罪をサイクリストの悪癖?になぞらえましょう。

 

暴食の罪、ヘビーカロリー

 

「自転車の消費カロリーはえげつないレベ!」

「チャリンコに乗るとかんたんにやせます!」

「サイクリングであこがれのモデル体型を手に入れました!」

 

こんなうたい文句がフリスビーのようにとびかいます。たしかにプロのロードレーサーや熱心な自転車乗りはスマートです。

 

が、これはその人の節制や鍛錬のたまものであって、無条件のスペシャル特典ではありません。上記のようなキャッチコピーはスポーツ産業や自転車業界の巧妙なステマです。

 

サイクリングの長距離の目安が100kmです。数値の大きさが混乱をまねきますが、チャリ100kmの実際の強度や負荷はラン15kmです。

 

自転車は圧倒的に効率的な乗り物です。ロードレーサーはなおさらです。小さなエネルギーで遠く早く走れます。この燃費の良さはダイエットには逆効果です。

 

ついでにめんみつにコース取りして、信号のストップアンドゴーを減らして、運動の細切れを防がないと、良好な痩身効果を得られません。初心者はそこまでできない。

 

で、額面の消費カロリーにまどわされて、ライド後に高カロリーな食い物を貪りつくし、酒を浴びるように飲みます。イッツ・オーバーカロリーです。

 

色欲の罪、レーパンガン見

 

ロードレースのフォーマルなウェアはピチピチです。タイツ、レーパン、ビブショーツ、いずれが身体にぴたってフィットします。

 

ちなみに『ビブ』はビブスのことです。チョッキ型の羽織、肩紐の総称です。つまり、ビブタイツ、ビブショーツは上下一体型のウェアを意味します。

 

ロード乗りは人の一線を越えて、この特徴的なピチピチウェアを身にまとい、野に山に街に繰り出します。おっさんローディは英国ではmiddle-aged man in lycra、”MAMIL”て称されます。

 

そして、フォーマルなレーパンの下はノーパン! です。本格派チャリダーは下着を履きません。摩擦軽減と通気のためです。

 

ベテランはこのセミ変態スタイルに違和感を抱きませんが、初心者はたじたじとあとずさりします。そっちの感覚がふつうです。ちょい厚めのストッキング一枚で衆人環視の中にいるようなものですし。

 

で、チャリ乗り始めにこの驚愕の事実を知ると、必要以上にウェアやレーパンを意識して、ステキなイケメンのモッコリッシモやクールなベッピンのフクラミッシモをガン見してしまいます。

 

「この人もノーパン、あの人もノーパン、あなたもわたしもノーパン・・・」

 

 

強欲の罪、欲しい欲しい病

 

自転車は機材スポーツです。10万円のロードバイクは序の口です。上は青天井です。棒一本数万円、チューブ一個数千円、ねじ一つ数百円の世界が雲の上でふわーってひろがります。

 

REVOLOOPとTubolitoのポリバルブ

REVOLOOPとTubolitoのポリバルブ

 

で、たかだか1000kmしか走らないうちから手持ちのパーツや装備に不満をいだきはじめ、高いホイールやハイテクメカやブランドウェアに思いをはせます。

 

「ゾンダを買えば、もうすこし早くなれるのに、この鉄げため!」

「ポストとハンドルをカーボン化すればもっと楽に登れるわ!」

「パワーメーター! GARMIN EDGE! スマトレ!」

「ラファ、らふぁ、Rapha・・・」

 

そのタイヤを使い切るのが先決です。

 

憤怒の罪、激おこマナー厨

 

ロードバイクは伝統と格式のスポーツです。紳士のたしなみ。レースにはしきたりや暗黙の了解がやたらとあります。ちまたの集団走行さえが決まりごとのかたまりです。ある種、マナースポーツです。

 

ぺーぺーの初心者はへんにうぶですから、決まりやしきたりに必要以上に感化されると、おのれの負のフォースに呑まれて、マナーやルールの権化となります。

 

で、他人のささいなマナー違反やルール無視に異常にきびしくなり、中世の魔女狩りの異端審問官のようないかめしさをふるいはじめます。

 

しかし、世間の自転車乗りはおおらかでしたたかでマイペースです。逆走、無灯火、二人乗り、信号無視はぜんぜんふつうです。彼らのチャリは紳士のたしなみでない。移動手段の一つに過ぎません。

 

そして、自動車乗りやオートバイ乗りはフォーマルに清く正しく車道を走るスポーツバイク乗りを快く思いません。これは最近の統計学とビッグデータの活用で完全に科学的に証明されました。

 

で、こんな世知辛い現実にピュアな駆け出しローディのハートとプライドはぼこぼこに叩きのめされます。あげくに何気ない子供の逆走やドライバーの幅寄せが挑発や侮辱に見えます。

 

「逆走、無灯火、幅寄せ、ノーヘル、二人乗り、信号無視! 許さん・・・絶対に許さん・・・」

 

はい、無駄です、無駄無駄。「逆走こえ~!」とか「幅寄せやべ~!」ておどけつつ、すっと避けてさっさと行くのがけんめいです。

 

怠惰の罪、整備・装備不足

 

ロードバイクの別名がパンクバイクorトラベルサイクルです。20-28mmの軽量薄型なタイヤは非常にきゃしゃです。

 

バルブのねじをゆるめる

バルブのねじをゆるめる

 

そして、初心者はチューブラーやチューブレスをチョイスせず、ショップの助言やネット情報にしたがって、手軽なクリンチャーを使います。

 

はい、トラブルメーカーのチューブが長旅のおともとなります。

 

チューブを押し込む

チューブを押し込む

 

こまめに空気圧をチェックして、直前に空気入れをおこたらなければ、そうそうパンクには見舞われません。

 

が、初心者は余裕ですっぽかして、ずぼらして、ノーメンテ・ノーチェックのチャリで出かけてしまいます。空気入れをしないのは靴ひもを結ばないようなものだのに!

 

こちらはある日のゆるいサイクリングの道中の光景です。左の人がぼくのつれです。この日のサイクリングはこちらからのおさそいです。

 

走り出してから空気入れ

走り出してから空気入れの図

 

にも関わらず、走り出してサイクリングロードに入ってから、タイヤを気にしはじめて、突発的な空気入れタイムをもうけます。なぜに出発前に入れない・・・

 

そして、なぜか悪路に吸い寄せられる・・・

 

砂利道にすいよせられるの図

砂利道にすいよせられるの図

 

へんな26インチのチャリのタイヤの太さがさいわいです。でも、23cタイヤのクロスバイクでおなじようなことをします、この人。

 

おまけに着替えとおやつを持ってきて、予備チューブを持ってこないし・・・そのりっぱなリュックはかざりですか?!

 

一応、この人は仏式バルブの存在を認識しますし、100kmロングライドをこなします。が、スポーツバイク初心者、たまにしか乗らない人の危機意識はこんなものです、ふう。

 

傲慢の罪、ロード至上主義

 

ロードレーサーはスポーツ自転車の源流です。伝統と格式のチャリンコだ。もっともフォーマルで、もっともアカデミックです。競輪? あれは別腹です。

 

で、2010年以降の国内の自転車ブームはレーサータイプのドロハンバイクにかたよります。現在の日本のチャリトレンドはロードの一強です。結果、アカデミックな主流派が誕生します。

 

COLNAGO V2R

COLNAGO V2R

 

これらの諸要素から一種のヒエラルキーが容易に成立します。ロードバイク至上主義ならび非ロードバイク排他主義です。

 

もちろん、表向きにサイクリストはこれを否定します。自転車は自由なノリモノです。差別はだめです。自転車乗りは良識的な紳士です。

 

「とはいっても、やっぱし、ロードバイクこそが至上の自転車ですけどね~。ほかのチャリはちょっとざんねんですね~」

 

これが心の闇の声です。ピュアな初心者はびんかんにこの未必の本音を聞き取って、一目散に染まってかぶれて、口や文にしちゃいます。ピュアと無邪気は罪なものです。

 

急進派は「ロード以外はクソ!」や「軽量レーサー以外はクソ!」や「リムブレーキ以外はクソ!」や「23c以外はクソ!」みたいな排他的傾向を強くします。そして、これが一定の支持を集めます。

 

嫉妬の罪、タイムとマネー

 

スポーツバイクの初心者の最初のターゲットは町中のママチャリ、軽快車、ルック車などです。これらをかるがると追い抜いて、勝利の美酒に酔います。おれは無敵だ!

 

で、この連戦連勝に酔いしれて、郊外や山やサイクルロードに行って、スポーツバイクとおなじ土俵に上がると、とたんにみじめな敗北者になります。

 

あきらかに自分より年配の人や女子に抜かれる・・・

フラットバーのクロスバイクやミニベロに抜かれる・・・

太タイヤのMTBにぶっちぎられる・・・

ソロのこっちは坂でひいこらするが、よその集団は雑談しながら上っていく・・・

 

で、地元の初心者向けのヒルクライムコースをどうにかこうにか登り切って、STRAVAやサイクルコンピューターをチェックして、がくぜんとします。

 

「こんなに血反吐をはいて、平均にぜんぜん届かん! 下から3番目だあ?!」

 

はなっぱしらをみごとにへし折られて、失望と嫉妬にさいなまれます。それはそうです。街中のママチャリはスポーツ用機材じゃありません。その勝利や自信は幻想です。

 

そして、ロードバイクはマイナースポーツです。知人友人を気軽に誘えない。同レベルの親しい仲間がなかなか現れない。ショップのグループライド、SNSのメンバー募集、高ハードルです。

 

おのずとデータ重視のソロライドが初心者サイクリストの活動の基本になります。比較、比較、比較!

 

STRAVAのタイムやランクは無慈悲です。おせじをゆわないし、なぐさめをかけない。97/100位は97/100位です。

 

そんな無味乾燥の自転車生活には男女和気あいあいのにぎやかなリア充グループライドがなんとまぶしく思えますか。ねたましさが募ります。

 

で、このもやもやしたやるせなさをストイックなパフォーマンスへ昇華しようと思って、SNSやメディアやブログを徘徊して、ふたたびの敗北感に打ちのめされます。

 

ネットには数十万から100万クラスの機材や車体がジャガイモのようにごろごろあふれかえります。

 

「カーボンホイールを買いました」

「新型電動コンポインプレ」

「これが4000円の軽量チューブです」

「セラミックベアリングのBB投入」

「予備のエアロロードシェイクダウン」

 

これらの高級機材の何気な乱用の情報がうぶなチャリダーに猛然と襲い掛かります。マネー・イズ・パワー! 金額はSTRAVAより無慈悲です。

 

「うちのだいじなロードがこの人のホイールの前輪分にしかならへん・・・」

「ここの管理人がまたコンポを交換してる~」

「IT技術者がまた新車を買った~」

 

ためいきが漏れます。

 

でも、ネットの検索に引っ掛かるようなところはチャリに熱心な人ばかりです。20万のホイールや50万のフレームのうらには地道な節約や計画的な貯金があります。

 

タイム、マネー、この二つの無慈悲な力強い数値を自分なりにうまく消化できれば、むやみなねたみから逃れられます。早い段階で気安いチャリ仲間を見つけられるものはさいわいです。

 

以上、スポーツバイク初心者の七つの大罪でした。

 

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