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ロードバイク乗りがすね毛を剃るのは古臭くて理不尽か?



国内のスポーツ競技は閉鎖的な世界です。たくさんの競技団体が旧世紀の封建制度や軍隊式の絶対服従、スポ根、脳筋、ブラック体質、ハラスメントをひきずります。これはプロ、アマに限りません。



アカデミックな自転車界

で、例のごとく自転車競技の風土は非常に保守的です。伝統的に国内の自転車界の中央権力は競輪畑の関係者に集中します。で、競輪は公営競技です。規律が厳格で、役所以上に役所的です。

世界団体のUCIも仏英のイニシアチブの多大な影響のしたにあります。サイクリングの原点が紳士、郷士、ジョンブル、ブルジョワジーのクラブです。ロードはエスタブリッシュでアカデミックです。

実際問題、これは身分制の貴族的な欧州では劇的に変容せず、うみのむこうの自由の国にわたって、ヒッピー文化の影響を受け、完全突然変異を迎えます。MTBはフランクでリベラルです。

で、アカデミックなロードバイク、ロードレーサーにはかずかずの制約、不文律、暗黙の了解、ローカルルールがあります。ぞくに『たしなみ』です。この傾向はゴルフや野球につうじます。

たんに強いすもうとりは真の横綱にはなれません。王者の品性と格式を得て、ようやくリアル・スモウ・チャンプとして認められます。

たんに速いロード乗りは表彰台に立てても、アカデミックな紳士とはみなされません。

ノーヘル、ジーパンの超人がレースで優勝するとか、そこらのおっちゃんがガラクタの寄せ集め自転車で世界最速TTをたたきだすとかしても、なぞの力で栄誉をはくだつされましょうし、ほかのローディの支持をえられません。たしなみが足りない! アカデミックじゃない!

真のサイクリスト、タシナミックなアカデミックチャリダーを堂々と自称するための暗黙の十か条を特集します。

不条理か? 常識か? ロード不文律

ところで、保守的な風土の習慣や伝統はえてして不条理なものです。合理性や妥当性から考えると、とたんに破綻をきたします。

しかし、風土や文化は合理性だけで成立しません。郷に入りては郷に従え。先輩が黒とゆえば白も黒です。水を飲まない。返事は「押忍!」のみ。これは暴力ではありません、これはかわいがりです。

スポ根は永遠に不滅だ!

すね毛をそる

ロードレーサーのたしなみの第一位がこれです、すね毛をそること。ぼーぼーのすね毛は邪悪の象徴です。一時期、スター選手のペーター・サガンがそれでごうごうに避難されました。

すね毛をそることの合理的な理由はつぎのようなものです。

  • 見た目
  • マッサージがしやすくなる
  • けがの手当てがしやすくなる
  • 空気抵抗が減る
  • 清潔さがあがる

はいそうですかて納得できるのは世間知らずのおぼっちゃんか初心のシャイボーイです。じゃあ、なんで腕毛や腋毛をそらない?

すねぴかー
すねぴかー

現実的に腕毛ぼーぼーはノーカンで、すね毛ボーボーは一発レッドです。いちばんの理由は『それがロードの伝統だから』です。

実際、100年前のツールドフランスのポスターや選手のモノクロ写真や記録映像を見ても、つるつるのすねを確認できます。

髪の毛ボーボーのおぼうさんが説得力を欠くようにすね毛ボーボーのロードバイク乗りさんは長老や古参から支持を得られません。「やつは輪界の風紀を乱すものだ!」て陰口をたたかれます。

アカデミックをめざすなら、上みたいなツッルツルのぴかぴかにそりあげましょう。ただし、『すね』を狭義の意味にとらえない。

ここでのすね毛そりはげんみつには『ズボン下の人目に触れる部分の足毛の除毛』です。ひざだしのズボンを履くならひざ毛を、ショートパンツを履くならもも毛をそりましょう。

ジレット!

ウェアとバイクのブランドをそろえる

アカデミックなエスタブリッシュな人々はルールとマナーを尊重します。過度のマナーハラスメントさえがおおむね好意的に解釈されます。逸脱だけは許されない!

で、意見番や本格派の目には何の気なしの不統一がルールやマナーへの挑戦に映ります。なんで車体はアメリカのスペシャライズドで、ウェアはTEAM SKYのレプリカだあ?! ノー!

本格派の観点では自転車はつねに競技で、つねにスポーツです。あそびやファッションの余地はありません。正装以外は悪です。

たしかに阪神タイガースのシャツに読売ジャイアンツのズボンとかレッズのユニにガンバのジャージとかはへんです。おまえはどっちのサポーターだよ? て。

ロードレースのプロチームのハデハデレプリカジャージの需要はかんばしくありません。ミニマル、シック、大人上品系ウェアが急速に支持を得ます。

そして、このグループの力がつよまって、ASOSSおじさん、Raphaおばさんのような新たなるご意見番が誕生します。パールイズミやカペルミュールの着用者が糾弾のまとです。

コンポーネントとホイールをそろえる

ちぐはぐ、ごたまぜ、ちゃんぽんは悪で醜で偽です。統一感と説得力は善で美で真です。バイクとウェアの不ぞろいがだめですから、コンポーネントとホイールのそれはもっとダメダメです。

自転車の総合パーツメーカーはシマノ、スラム、カンパニョーロの3社です。最後発のスラムへの目はややぬるくなりますが、シマノとカンパへのまなざしは鷹です。

コンポーネントのシマノにするならホイールもシマノにする。ホイールをカンパニョーロにするならコンポーネントもカンパニョーロにする。これがシビアなおやくそくです。

しばりをすこしゆるめると、カンパとサードパーティ、サードパーティとシマノみたいな組み合わせを許せます。

が、3大メーカーの純正のMIXちゃんぽん、これはだめです。審判者のだめだしやなげきがわきあがります。ああ、うつくしくない! ああ、ちぐはぐだ! ああ、不統一だ!

そんな人がこの車体を見れば発狂しましょう。ママチャリ x カンパニョーロアテナ x SRAMのMTB用のグリップシフトのMIXちゃんぽんです。

SRAM x CAMPYママチャリ
SRAM x CAMPYママチャリ

アカデミック派や本格派の方々はまちがいなくこのようなものをおもしろがりません。眉をひそめて、舌打ちをして、スルーを決め込みます。ロードへのぼうとく、輪界の風紀の乱れだ!

交通ルールを厳守する

これはあたりまえです。業界内の暗黙のルール違反には明示的な罰則がありませんけど、交通ルールの違反には罰則、罰金があります。

しかしながら、現実の公道の現場はどろくさいカオスなものですし、ふつうの一般人や自転車乗りはしたたかでおおらかです。

信号無視、歩道走行、逆走、二人乗り、無灯火、酒気帯びはちまたでは日常茶飯事です。そして、おまわりさんはこれをいちいちチェックしません。せいぜい強化週間に見せしめ的に取り締まります。

おまわりさんの自転車がけっこうな勢いで歩道を無灯火で爆走する場面に出くわすことさえが一度や二度ではありません。

アカデミックなローディはこのようなルーズさをみとめません。交通法は絶対です。現実性や合理性は二の次です。原則の厳守こそが最優先事項です。交通法原理主義者だ。

ですから、赤信号では停止線の手前できっちり止まりますし、アリの子一匹通らない田舎の信号を絶対に無視しませんし、狭い車道をKEEP LEFTします。

道狭し
道狭し

広いがらがらの歩道が右手にあっても、それは外道への直滑降にすぎません。天が許しても、おれがおれを許さない。厳守! 厳守! 

・・・はい、これはある種のオカルト、潔癖症の完璧主義者病です。

真のアカデミックチャリダーはフロントライトを点滅させませんし、ベルの装着を忘れませんし、踏切前一時停止をおこたりませんし、びみょうな高架道路を突き進みませんし、ながいダウンヒルで制限時速をオーバーしません。

あ、つい下りでピューッてやってしまった? あーあ。つるつるのひざが泣きます。前科一犯です、ちーん。

そもそも一般道のドラフティングやトレインが道路交通法第26条の『車間距離の保持』の内容にはグレーです。そのビンディングは本当に安全ですか? 

真にして美にして善なるなにものかは現実と原則と自分のトライアングルのどこかにふよふよと漂います。

それを探す努力をせず、安易な基準点に盲目的にもたれかかるのは高貴ではなく、アホの一つ覚えです。

後続を待つ

紳士的な自転車乗りは待ちます。レースでひどい落車や事故が起これば、プロの選手は暗黙の了解でペースを落とすとか復帰を待つとかします。これが有名な紳士協定です。

この風習はアマチュアの集団層やグループライドに踏襲されます。速い乗り手は遅い乗り手を待つ。せかさない、出し抜かない、おいてけぼりにしない。

基本的に英国発のスポーツやレクレーションは長丁場でおおらかです。クリケット、ゴルフ、ルアーフィッシングなど。

せかせかするのは貴族ではありません。貧乏暇なし。せっかちさんはサイクリングに向かない。カフェでぐだぐだだべるのは紳士の集会的には正統派です。

つまり、自転車を過度にスポーツ的にとらえることは紳士のたしなみから逸脱します。限界まで追いこんでゲボを吐くのは上品ではない。ただの脳筋スポ根です。

紳士は常に調和と余裕を欠かしません。