空梅雨の終わりのアホみたいな猛暑に負けて、北海道行きの飛行機のチケットを予約してしまいました、B4Cです。
チケットの日付は2022年8月1日です。片道切符です。帰りの日付は未定です。まあ、サイクリング旅行に飽きるか何か致命的にトラブるかすれば帰ろうかと思いまして・・・
で、大方の予想を裏切って、途中でリタイアせず、北海道一周2500kmを無事に完走して、ついでにバカンスを楽しんで、一か月弱を北の大地で過ごしました。
これを踏まえて、自転車で北海道一周やチャリ旅、サイクリング、ツーリングを予定する人のために費用、日数、ルートなどをここに記録します。
北海道一周サイクリングの基本情報
偉い人は言いました。
「北海道はでっかいどう」
この言葉は真実です。本州の距離感はこの巨大な島には当てはまりません。
はい、北海道一つが全国単位の四国&九州の地域区分に匹敵します。
「最寄りのコンビニは30km先です」
これは日本最北端の宗谷岬の民宿の女将さんの何気ない一言です。30kmは大阪-神戸間です。夜食のおにぎりの調達が容易ではありません。
シン・ホッカイドウな道北とハイカラな道南
その巨大さのために北海道は4つのエリアに大別されます。道央、道東、道南、道北です。ちなみに『道西』はありません。
大都会の札幌は道央にあります。その他の主要都市も道央から南にあります。
- 道北、道東=田舎
- 道央、道南=都会
B4C的な最寄りのコンビニ・スーパーマーケット指数ではこの認識が成立します。とくに道北こそはシン・ホッカイドウです。
天塩から稚内・宗谷までの道道108号=オロロンラインや猿払のエサヌカ線はオートバイや自転車乗りには必見必走のスーパー・ナニモナイ・ストレートです。
道北では車は通りますが、人はそんなにいません。鹿、馬、牛、狐、熊の方が頻繁に現れます。
道東は峠と霧です。北海道一周ルートの最難関の知床峠は網走と羅臼の間にあります。そして、根室、霧多布、厚岸のあたりはミストです。
他方、道南に道央はここまで非都会的なツーリングゾーンではありません。100kmで次の都市部に行けますし、道中で人家や人影をそこそこ見かけます。いわゆる『街続き』です。
逆に札幌に近づくにつれ、交通量が多くなります。殊更に時計回り一周の最終盤の岩内~余市~小樽はトンネル三昧です。事故に注意しましょう。
ぼくは助っ人の北海道10周マンに反射ベストの差し入れを貰って、これを着用しました。
余市の前後のトンネルはマジで恐怖です。こういう事故予防策やリアライトの点灯を忘れない。
獲得標高
ぼくの計測では北海道一周の獲得標高は7000mです。※Googleマップのナビの数値のママ
しかし、北海道一周ライドを定期的に開催する北海道サイクリング協会の記載では14201mです。え、そんなに上った? とにかくGoogleマップのナビの上りはあんま宛てにならんのは確かです。
最大の難所はウトロと羅臼の間に聳える知床峠です。ピークは741m、ウトロ側の方が地味な長い上りで、羅臼側がつづら折りのややきつい上りです。
ぼくはシングルスピードのダホンの折り畳み自転車で行きましたから、この峠には非常に苦労しました。おまけにきっちり熊が出るし、濃霧が沸くし。
アクシデントはYouTube的には良いネタです。しかし、後で皆に言われました、「子熊を見たときが一番危ない! 親熊が近くに100%いるから!」と。ふむ、羆は過保護ですな。
ルート
北海道一周の基本パターンは『海岸線の道をひたすらに走ること』です。ルートはこれに準じて、『海に最も近い国道』となります。
2022年8月時点で北海道全域でGoogleマップの自転車ルートは有効です。これと徒歩ルートのナビを組み合わせれば、簡単に理想のルートを出せます。
実際、ぼくがこの方法で引いたルートと上述のサイクリング協会の推奨ルートはほぼ同じでした。Googleマップの上りはアレですが、距離はおおむね正確です。
以下は中級者向けのオプションです。
- 内陸ルートを組み込む
- 奥尻島や利尻島に渡る
- 岬を完全制覇する
ぼくは札幌に戻った後で「奥尻島に行ってきました」という自転車乗りの方とばったり遭遇しました。これは江差からフェリーの船旅です。
内陸は富良野や大雪山や摩周湖です。基本的に山ですね。釧路から帯広を経由してえりもに行くルートは割とメジャーな寄り道ぽいです。
岬完全制覇は3000kmです。数十キロ単位の行って来いが何回かあります。ザ・修行です。
時計回りか反時計回りか
「島と湖は時計回り、半島は反時計回り」
これはサイクリングの定説です。車道の左側を走れば、水辺の間近を走れるからです。
で、北海道を大きな島と考えて、このセオリーに従うと、時計回りで走ることになります。ぼくはこの方式で札幌から石狩川の河口まで出て、一から十まで時計回りに走りました。
ただし、道中では反時計回り派の自転車勢も多くいました。有利不利はとくにありません。ご自由に。
路面状況
北海道の道路の路面状況は比較的にラフです。市街地も郊外もアバウトです。
とくに路肩は7割方でこんな感じです。
アスファルトが剥がれて、穴やヒビが無数に入ります。多分にこれは寒さと除雪のためです。
余所者のぼくがそう感じましたし、地元の何人かの人もそう仰いました、「北海道の路面はあんま良くないっすよw」と。
このコンディションはロードバイクの細いタイヤやミニベロの小さいタイヤにはややハードです。現にぼくはこの旅で十数回のパンクと数回のタイヤ破損に見舞われました。
クロスバイク、ママチャリ、グラベルバイクあたりが理想的です。細いタイヤを使うなら、予備チューブと予備タイヤを用意しましょう。
ぼくは3本の予備タイヤを持参し、釧路のイオンバイクで2本を買い足しましたが、完全に使い切ってしまい、最終的にゴリラテープで補修して、何とか走り切りました。
14インチの折り畳み自転車は長期ツーリングには不向きです。
北海道への上陸方法
北海道への上陸方法は主に3つです。
- 飛行機
- フェリー
- 新幹線
何人も道路オンリーでは北海道に渡れませんから、上記のどれかの公共交通機関を使います。
ぼくは旅行大好きの乗り物大嫌いという厄介な性分です。自転車には10時間乗れますが、バスやタクシーには10分乗れません、マジで。
必然的にフェリーの長ーい乗船時間はアウトです。舞鶴-小樽が20時間55分ですね。
新大阪-新函館北斗の新幹線の7時間30分も楽ではありません。桃鉄で行くのもけっこうな手間でしょう?
また、新幹線とフェリーには飛行機チケットみたいな早割がありません。
ANAの飛行機輪行がジャスティス
ということで、自動的にANAのマッハ1のボーイング787が選択されました。大分の別府への旅行以来の約1年ぶりの飛行機輪行です。
伊丹-新千歳は1時間50分です。これもぼくの胃袋的には楽ではありませんが、ぎりぎり許容範囲です。まあ、乗り物酔いする時には最後の着陸の急降下の5分で酔いますけど。
あと、関空発のLCCでは手荷物が別料金になります。自転車は別途3900円です。ここに関空までの電車代が加わると、ピーチの格安さの魅力が薄れます。
関空の第2ターミナルの遠さは世界の果てです。
一方、伊丹空港はうちからチャリで自走圏内です。ANAとJALの手荷物料金はチケット代に含まれます。21日前の早割はかなりお得です。
で、2022年8月1日伊丹-新千歳のANA777便を7月11日にスーパーバリュー21Kで予約しました。お値段は17810円です。
それから、JALよりANAの手荷物の既定の方が少しマイルドです。※手荷物の規定に長辺の制限の記載がない。
新大阪-新函館北斗の新幹線は32790円です。リニアカードが必要です。
舞鶴-小樽のフェリーは11100円+手荷物3300円=14400円です。気長な船旅を楽しめる人にはけっこうでしょう。ぼくには拷問です。
フェリー輪行のメリット
フェリー輪行のメリットは自転車の種類を問わないことです。でっかいフルサスのMTBも電動アシスト自転車もOKです。
ご存知のように飛行機の預かり手荷物にはサイズ制限と重量制限があります。また、無線機器やリチウムイオンバッテリーはNGです。
ライト、サイクルコンピューター、パワーメーターなどを外すのが正しい飛行機輪行です。何と神経質なA型さんはタイヤの空気圧すら下げます!
ちなみに電動アシスト自転車のバッテリーは旅客機には完全にブラックな代物です。預け手荷物にも持ち込み手回り品にも出来ません。
電動のベテラン愛好者はバッテリーをヤマトか何かで空港内の営業所止めとか初日の宿とかに送って、電動アシスト自転車本体を預け手荷物にして、現地で完全体にします。
フェリーではこんな手間は不要です。梱包なし、折り畳みなしでそのまま船底に乗せられます。
北海道一周の日数
北海道一周の基本ルートは2500kmの海沿いの平坦なルートです。極端に上る箇所は知床峠のみです。次点が苫小牧-長万部の4段アップダウンですか。それ以外はほぼフラットです。
100km/1day
趣味でサイクリングをする人の平均的な目安はこうでしょう。
- 100km/1dayで25日
これはそんなに難しい段取りではありません。非常に現実的な目標です。※台風とか事故とかメカトラとか体調不良などのトラブル&アクシデントがなければ。
前述の北海道サイクリング協会のツアー日程も24日です。サポートカーあり、サポートライダーあり、グループライドありでこれは相当なゆったりペースです。
ぼくは少し詰めて、8月2日から20日の正味19日で回りました。130km/1dayです。変速なしの14インチのDAHON DOVE PLUSでこの日程は超人的な体力と知力、類稀な機転と根性、天運によります。
一般人の凡庸なる諸君はくれぐれ自分の能力を過信せず、身の程をわきまえ、よりマイルドな日程を組みましょう。乗り手か機材のどちらかを言わします。
うちのダホンのBBは強行日程の犠牲になりました。
北海道一周の費用
北海道一周の費用は日数によります。主な出費が食費と宿泊費ですから。
ぼくは動画編集とYouTubeへのアップロードを見越して、宿泊先を完全に確保しました。お盆のときのソロの素泊まりの予約にやや手間取りましたが、ほぼ理想的な間隔で宿を取れました。※上図参照。
で、YouTuberが動画を作れば、旅費と食費を経費にできます。ためにきっちり領収書を貰って、計算をしました。
交通費
- ANA 伊丹-新千歳 17810円
- ANA 新千歳-伊丹 16610円
- JR新千歳-札幌 1150円x2
交通費は36720円です。 最強の早割のスーパーバリュー21Kのおかげで飛行機代がかなり安くなりました。自宅から伊丹空港までは自走で0円です。
北海道一周後のバカンスの交通費はここに含まれません。
宿泊費
宿泊費の明細です。ネット予約の事前決済と現地現金払いに分かれます。
宿泊費 | 宿泊先 | 宿泊日 |
3800円 | 楽天トラベル 札幌ユースホステル | 8月1日 |
5000円 | 楽天トラベル 民宿宗谷岬 | 8月4日 |
6930円 | じゃらん 北海ホテル | 8月6日 |
3500円 | 楽天トラベル 民宿かのう | 8月10日 |
4700円 | 楽天トラベル サンスポット | 8月12日 |
5150円 | 楽天トラベル 室蘭プラザホテル | 8月13日 |
4480円 | 楽天トラベル ゲストハウス絆&Koboro | 8月14日 |
10000円 | 楽天トラベル ロンシャンサッポロ | 8月20日 |
宿泊費 | 宿泊先 | 宿泊日 |
4600円 | 広見屋旅館 | 8月2日 |
5500円 | いち花 | 8月3日 |
4400円 | 浅倉旅館 | 8月5日 |
4500円 | 民宿花咲 | 8月8日 |
6000円 | 霧多布里 | 8月9日 |
4510円 | ひろお館 | 8月11日 |
6200円 | 恵風 | 8月15日 |
6000円 | 竹内旅館 | 8月16日 |
なぜか4泊分の現地払いの領収書がありません。貰い忘れです。会計に怒られるぞ!
たしか7日お気軽屋2500円、17日レンタルルーム十河3500円、18日民宿海の家失念、19日盃温泉5375円です。
19泊分の宿泊費の合計は97645円です。1日の平均宿代は5139円です。
最安はお気軽屋の2500円ですが、ここはお風呂なしのライダーハウスの個室貸しです。次点が民宿かのうと民泊ぽいレンタルーム十河の3500円ですね。
最高は北海道一周最終日のホテルロンシャンサッポロの10000円です。この日は8月20日土曜日で、夏休み補正と週末補正でやたらお高くなってしまいました。
平均はだいたい5000円です。現地払いもネット予約もそう変わりません。
ぼくは7月中に最初の10泊分を予約して、道中で直近の2、3日分を確保しながら、札幌までリレーしました。お盆の最中の函館から小樽までのソロ泊の確保がけっこう面倒でした。
とはいえ、キャンセルと無駄な停滞なく行けました。ひとえにぼくの素晴らしいマネジメント能力と圧倒的なメンタルのタフさによります。
ほら、雨で明日の宿をキャンセルするとか無駄に連泊するとかヘタレとダサさの極みでしょう?
野宿を厭わなければ、各地のキャンプ場や日帰り温泉を利用して、非常に安上がりで一周できます。メーカーものの良いテントを買っても、十分に元を取れまっせ。
食費
食費の明細はやや煩雑です。これはクレカ決済のデータの一部で、夕食・夜食の支払いです。牛乳代が5000円くらいですか。
支払い | 購入先 | 日付 |
797円 | ベーシック | 8月6日 |
319円 | セコマ | 8月6日 |
577円 | セコマ | 8月7日 |
732円 | フクハラ | 8月11日 |
1170円 | イオン | 8月12日 |
790円 | コープ | 8月13日 |
609円 | セコマ | 8月14日 |
557円 | サツドラ | 8月15日 |
827円 | ラルズマート | 8月17日 |
943円 | ラッキー | 8月19日 |
170円 | イエローグローブ | 8月19日 |
527円 | セイユウ | 8月21日 |
679円 | コープ | 8月22日 |
で、こちらは道の駅や飯屋でのニコニコ現金払い、おもに昼食です。
支払い | お店 | 日付 | メニュー |
1200円 | メディスンマン | 8月21日 | スープカレー |
1120円 | バーベキューパークブロイラー | 8月13日 | から揚げ |
920円 | ちゅーりっぷ | 8月6日 | 帆立フライカレー |
400円 | 四季の館 | 8月13日 | ソフトクリーム |
1100円 | ラッキーピエロ | 8月16日 | バーガーセットとアイス |
1000円 | う美〇 | 8月5日 | 定食 |
1400円 | 弁財天 | 8月24日 | ザンギと点心 |
4400円 | 八田寿司 | 8月23日 | 寿司食いねえ! |
1265円 | 短角王国 | 8月12日 | スープカレーと牛肉ソーセージ |
1500円 | コンキリエ | 8月10日 | ウニリゾット 生ガキ付き |
- ランチ1200円
- 夕食800円
- ソフトクリーム350円
おおむね1日の食費は2500円に収まりました。ちなみにぼくの夕食は『牛乳、かりんとう、食パン』とか、『牛乳、バナナ、きな粉ねじり』とか『牛乳、ポテチ、どん兵衛、グレープフルーツ』とかです。
もっとも、これはぼくの特殊な事情のためです。宿に着いたら、速攻で動画編集をして、YouTubeにアップしなければなりません。夕飯に時間を割けない。
ということで、到着後はほぼこんなスタイルです。
あ、部屋にポットがないと、カップ麺はただのオブジェになります、ちーん。
個人的なランチベスト3は以下の通り。
- 短角王国の牛肉ソーセージ
- コンキリエのウニリゾット
- ラッキーピエロのチャイニーズチキンバーガーセット
え、4400円の寿司は? はい、生ものは不得意です。海鮮丼やシラス丼もそんなに得意ではない・・
北海道一周の必需品
ぼくは長万部で一時的に財布を失い(スーパーに置き忘れた)まして、予備の大切さを痛感しました。ほんとにマジで詰み掛けた。
正味、お金があれば、現地調達が可能です。ただし、うちのダホンの14インチタイヤは店頭にはほぼ存在しません。マイナー規格の自転車でツーリングは非推奨です。
そういうときには通販で購入して、ヤマトの営業所止め、郵便局の局留め、宿泊先に送付などの裏技を使いましょう。
北海道の地方都市では自転車屋はマイナーな商売です。アサヒとかイオンバイクは都市部にしかないし、個人店は稀です。大方はオートバイ屋の兼業ですね。
パンク対策
パンクは自転車の宿命です。ある種、ロードバイクのほっそいクリンチャータイヤはパンク神の召喚装置です。
ぼくは着用済み2本+予備3本のタイヤと予備チューブ2本を持っていきましたが、行程の半分くらいで全滅を食らいました。
その後、奇跡的に釧路のイオンバイクで14インチタイヤとチューブを見つけて、これを買い足しましたが、数百キロでビードをやられました。
これは極端な例ですが、2500kmの長丁場をノーパンク、ノートラブルで行くのは現実的ではありません。
やはり、携帯空気入れポンプとパンク修理キットは必須です。あと、手を汚さないための軍手や手ぬぐいやウェットティッシュはありがたいものです。
屋外修理で手が汚れると、モチベーションがめっきり下がります。これは割とメンタルに来ます。
携帯ツール
パンクは自転車トラブルの序の口です。長旅では意想外のことが起きます。とくに華奢な折り畳み自転車は機材不調のオンパレードに見舞われました。
- スローパンク
- 穿孔パンク
- バーストパンク
- タイヤ変形
- チェーン落ち
- ビード裂け
- グリップ剥がれ
- クランクのガタ
- BBカップ飛び出し
- スポーク折れ
- 後輪空転
黒字が想定内、赤字が想定外です。後輪のフリーボディのラチェットの爪抑えのバネの破損とか誰が予想できんねん・・・
お出かけ3点セット=携帯空気入れ、パンク修理キット、携帯工具は必須です。
これはクランクブラザーズのマルチツールM17です。この部分がニップル回しです。スポーク破損の際に役立ちました。
北海道一周サイクリングのまとめ
ぼくの北海道一周サイクリング旅行のまとめです。
- 走行距離:2500km
- 獲得標高:14000m
- 日数:19泊20日
- 時期:2022年8月
- 進行方向:時計回り
- 宿泊費:5000円x20日
- 食費:2500円x20日
- 飛行機代:34000円
- 電車代:2300円
- トラブル:無数
- ピンチ:熊出現、台風直撃、夜中の地震、財布置き忘れ
- ラッキー:ファンの方々の応援と差し入れ