ビルケンシュトック Ramses 4e幅広サンダルのレビューと評価

5.0

総合評価は5/5 ★★★★★
最強の幅広サンダル
個人的な使用頻度No1

高級サンダルの代名詞ビルケンシュトックのRamses(ラムゼス)の印象はこのようなものです。

ぼくの真冬以外のメインの履き物は主にこれです。今回の購入は4足目のRamsesなります。このサンダルの魅力を以下で解説します。

Birkenstockの基本情報

ビルケンシュトックは名前の響きのようにドイツのシューズメーカーです。

同社の起源は1774年まで遡ります。ヘッセンの教会の公文書に靴職人のヨハン・アダム・ビルケンシュトックが登録されたのが最も古い記録です。

ビルケンシュトックの箱
ビルケンシュトックの箱

その後、代々のビルケンシュトック一族が会社を大きくして、ドイツの代表的なブランドに育て上げました。

しかし、2000年代後半から家族経営で行き詰まり、創業家の外から人材を招聘します。

現在のCEOはオリヴァー・ライヒェルとマルクス・ベンスベルクです。このやり手の経営者のおかげで売り上げはV字回復します。

さらにはシューズ以外のアパレルに進出し、機能的なバッグなどを販売します。

ビルケン=サンダル

と、200年越えの老舗らしい紆余曲折や試行錯誤はありますが、ビルケンシュトックの本質は靴屋です。

そして、圧倒的な売れ筋はスニーカーや革靴でなく、サンダルだ。むしろ、それ以外のシューズの印象が思い浮かびません。

BIRKENSTOCK RAMSES
BIRKENSTOCK RAMSES

その売れ筋のサンダルのなかの売れ筋はアリゾナやボストンですが、ぼくのお気に入りはこのビーチサンダル風のBIRKENSTOCK RAMSESです。

リアルにこの数年で最も頻繁に出動する履き物です。おかげでぼくの足の甲はこのストラップの形にくっきり日焼けします。

こだわりの素材

ビルケンシュトックのサンダルはそこらの凡庸な類似品とは一線を画します。まずはその価格です。

フラッグシップモデルはおおむね10000円前後です。一般的なサンダルの価格設定ではありません。

またビルケンシュトックは欧州製でこそあれ、きらびやかなハイブランドではありません。

実際にぼくの購入ポイントも耐久度と機能性と履き心地です。ブランドやデザインを重視するなら、ナイキかアディダスのビーサンを買います。

この特異なサンダルの素材に着目して、一覧表を作成しましょう

モデル名BIRKENSTOCK RAMSES
価格税込10450円
アッパーBirko-Flor
インソールレザー製中敷き
フットベッドコルク
アウターソールEVA
原産国ドイツ

サンダルのアッパー=ストラップのことです。ビルケンシュトックのこれはBirko-Florという独自の素材です。本革のように見えて本革ではありません。

一方の足裏のインソールはベロア調のレザー製で、ミッドロースに当たるフットベッドはコルク製です。

天然革とコルクの組み合わせは革靴の構成に通じます。経年と使用で徐々に馴染む。

アウトソールは標準的なEVA素材です。

ビルケンシュトックの素材
ビルケンシュトックの素材

この特徴から全体の印象が革靴やブーツのソール+サンダルのアッパーのようになります。

ぺたぺたのチープなサンダルではありません。天然素材と人工素材のハイブリッドです。いかにもドイツ風ではありませんか?

そして、フラッグシップのサンダルのフッドベッドはこのご時世には貴重な”MADE IN GERMANY”です。

ドイツ製の刻印
ドイツ製の刻印

その他の表記を捕捉しましょう。

41はEU表記の靴のサイズで、26.0cm相当を表します。が、その下に”265″の文字があるようにこのラムゼスのサイズは26.5cmです。

ビルケンシュトックのサイズ感はやや独特です。

足跡のマークも飾りでありません。中抜きのマークはレギュラー幅=幅広タイプです。

中塗りのマークはナロー幅=幅狭タイプです。今回、ぼくはスニーカーと同じく26.5cmを取り寄せました。

使用者の身体情報

ぼくの足のデータは以下の通りです。

性別男性
体系中肉中背
素足サイズ25.5cm
スニーカーサイズ26.0-26.5cm
素足幅11cm
スニーカー幅4E
JISの適正幅F
土踏まず足囲26cm
母指球足囲27cm
足型エジプト・ギリシャ型
※数値は夜に計測したもの

このラムゼスのような開放型のサンダルのサイズ感はスニーカーやスポーツシューズほどにシビアではありません。

何より小指と親指が無条件でストレスフリーです。

BIRKENSTOCK RAMSESの着用感
BIRKENSTOCK RAMSESの着用感

もっとも、一定のソールの幅がないと、親指と小指が外に張り出し過ぎて、美観と機能が著しく低下します。

実際にビルケンシュトックのナロー幅のモデルはこの足には合いません。

ストラップの金具は問答無用で大外一杯です。調整のためにパンチ穴を余分に開けるカスタムもありですね。

BIRKENSTOCK RAMSESの特徴

RAMSESはビルケンシュトックのサンダルの中ではマイナーなモデルです。

ウィメンズ版のGIZEHは人気ですが、男子にはアリゾナが人気です。amazonのレビュー数は7000:1200です。

現に私のビルケン初めもアリゾナのブラウンの26.5cmでした。こちらも標準幅で特に細身ではありません。

でも、アッパーのストラップが二つですから、肌との接触部分がラムゼスより多くなります。しかも、指の付け根が完全に解放されない。

アッパーはTストラップ

その点、ラムゼスのアッパーはシンプルなTストラップです。最大幅の母指球-小指球に余計な当たりがない。これが幅広甲高には重要なポイントです。

BIRKENSTOCK-アッパーストラップ
BIRKENSTOCK-アッパーストラップ

で、このストラップがBirko-Florという独自の素材です。見た目も質感も完全に天然皮ですが、実態はPVCプラスチック製の合皮です。

したがって、このアッパーは伸びない、かびない、腐らない。

Tストラップのネックは鼻緒の前緒の付け根です。この一点に負荷が集中しますから、足が慣れないと、親指と人差し指の間が少し傷みます。

馴染む革製インソール

ランニングシューズのインソールはアタッチメント式ですが、サンダルのインソールはミッドソールと一体型です。そもそも状態がインじゃない。

ビルケンシュトックのインソールは天然革の荒い起毛地です。コルク製のミッドソールと共に経年で足に馴染みます。

下図の緑色の層がインソールに当たります。フットベッドの表面ですね。元が革ですから、厚みはこんなものです。

サンダルのインソール
サンダルのインソール

ビルケンシュトックの公式ページの解説には『ベロア』の表現が見えます。スエード、ヌバックとの違いを表にしましょう。

呼び名仕上げ動物
スエード細かい仔牛、羊、豚、山羊
ヌバックすごく細かい
ベロア荒い

足裏には体重が掛かりますから、装飾性より耐久性が必要です。必然的にきめ細やかなスエードやヌバックよりベロアがインソールの仕上げ加工には適します。

革靴のインソールのような鏡面仕上げでないのは滑り止めと靴擦れ対策でしょう。

コルク製のフットベッド

ビルケンシュトックのサンダルの決め手がフットベッドです。これはインソール、ミッドソール、アウトソールの形状とテクノロジーの総称です。

そのフットベッドの大部分を構成するのがコルク製のミッドソールです。さきほどの画像のインソールの下の分厚い粒々の層ですね。

フットベッドのコルク
フットベッドのコルク

コルクの原材料はワインの蓋・・・でなく、コルクガシの樹皮です。

この木はポルトガルとスペインに多く産します。多孔質で柔軟。水を通さず、空気を通します。革靴のミッドソールの定番素材です。

コルクは着用者の重みでじわじわ変形して、足の形に馴染みます。ゴムやEVAやウレタンではこういうエイジングは起こりません。

足に馴染んだビルケンシュトックは最強です。

逆に履き始めの硬さで印象を悪くすると、この天国モードまでビルケンを育てられず、途中でクロッカスや安いビーサンに鞍替えしてしまいます。

ビルケンシュトックの馴染み
ビルケンシュトックの馴染み

左が履き始め、右が履き古しです。ストラップのカラー以外のステータスは同じです。

26.5cmのRAMSES。ヘビーローテーションが過ぎて、一年半ほどで崩壊が始まりました。

で、御覧のように天然素材のソール部分は馴染んで広がりますが、合皮のストラップはほとんど変形しません。鼻緒の付け根も以上に丈夫です。

アウトソールは平凡

Birko-Florのアッパー、革製インソール、コルク製ミッドソール、この三つは特色ですが、アウトソールは平凡なEVAの靴底です。

ビルケンシュトック EVAのアウトソール

このため接地感やグリップ力は普通のサンダルと変わりません。歩き心地はぺたぺたという感じです。ソールは反らない。

ビルケンシュトックのソールの反り
ビルケンシュトックのソールの反り

長い歩きや軽い運動はこのサンダルには向きません。得意なシーンは街履き、買い物、散歩です。

軽量

生地やソールの面積の広さが増量に直結して、幅広の履き物は全般的に重めです。標準的な4E、26.0cmのランニングシューズが250gです。

で、ビルケンシュトックは価格や素材から重厚に見えますが、実測重量は220g前後です。

BIRKENSTOCK RAMSES重量
BIRKENSTOCK RAMSES重量

アッパーの部分の素材の少なさが軽さに貢献します。コルクのフットベッドも見た目の印象より軽量ですし。

そして、ビルケンは軽量ですが、貧弱ではありません。ランニングシューズを10か月で履き潰す私が1年半フル稼働で使えます。

このドイツ製サンダルはそこらの革靴やスニーカーより頑丈です。

標準的な幅広ランシューより重め、超クッション快適型と同等、防水スニーカー寄り軽量です。

BIRKENSTOCK RAMSESのまとめ

ビルケンシュトックのラムゼスはTストラップのシンプルなサンダルです。

自慢のフットベッドは足に馴染めば、最高の使い勝手を発揮します。履き始めの一ヶ月が勝負です。

アウトソールは平凡ですから、接地感はグリップ力は並です。ビルケンの本領はミッドソールより上の部分です。

  • 価格:2
  • ブランド:4
  • デザイン:4
  • 性能:3
  • 機能:5
  • 幅広甲高:4.5
  • トータル:5

定価1万円、実売8000円は高級品です。天然革、コルク製、MADE IN GERMAYを加味しないと、割高に感じます。セールもほぼありません。

しかし、廉価なEVAシリーズはおまけみたいなものです。それはビルケンシュトックの魅力ではない。やはり、このラムゼスやアリゾナがおすすめです。