自転車は自由なノリモノです。免許、車庫証明、車検、年齢制限みたいなややこしいものが不要です。ホームセンターで買える。3歳から乗れる。がちがちに取り締まられない。
しかし、自転車は自由ではありますが、平等ではありません。トレンドの隆盛、車種の格や箔、歴史や伝統の差異はふつうに存在します。
正直、ハイエンドバイクは一種のブランドものです。機材の値打ち以上の付加価値がごてごてとつきまといます。特注、限定、プレミアム…はい、100万でーす。
ロゴ、ブランド、グレードの魔力は偉大です。それに価値を見出し一喜一憂できるのがニンゲンのすばらしさであり、おろかしさでありましょう。
で、ふつうの世俗のピーポーはランキング、格付け、比較を非常にこのみます。「わたしは他人の評価を気にしませんよ、ほほほ」て高く気取っても、心の奥では自分をだましきれません。
そうゆうぞくっぽいゲスな観点からスポーツ自転車の格付け、バイクカースト、チャリヒエラルキー的なものをつらつらと書き連ねましょう。
また、スポーツバイクの事情をかんがえて、自転車の本場の欧州と北米、チャリ辺境のNIHONの状況をそれぞれ考察します。
もちろん、以下のランキングはぼくの独断と偏見です。本格派の人はそういらいらせず、ライトな層はうのみにせず、おもしろおかしくひやかしませ。
自転車ヒエラルキー基礎編
手始めは自転車のジャンルと車種の総括です。スポーツバイクの本場は欧米です。日本は実用車と電動アシストの天国です。アジア圏は製造の一大産地だ。アフリカは未明です。
スポーツバイクの『スポーツ』をどこまで拡大するかはむずかしいところです。ピュアな競技にはオールロードやランドナーは入りませんが、ツーリングはチャリの草創期からの伝統ジャンルです。
ミニベロや小径車の嗜好性はピュアスポーツバイクを上回ります。ママチャリ、軽快車抜きで自転車ピラミッドをつくれるか? むりです。
てなわけで、スポーツ、非スポーツのくくりを特にもうけず、一般的な『自転車』の全般を対象にぶちこんで、チャリの冠位十二階を決めます。
オンロード vs オフロード! みたいなシンプルな対決よりスマブラ的な異種格闘戦のがおもしろいでしょうし。
ヨーロッパの自転車ヒエラルキー
自転車の母国はイギリスとフランスです。この二国は昔からいろんなことで張り合いまして、おたがいに主導権をゆずらない。最近の好例がイギリスのEU脱退です。人類は進歩しない!
で、自転車はこの英仏の対立の影響をはなはだしくこうむります。英式バルブと仏式バルブ、27インチと700C、BSAとITA…etcetc
国際自転車競技連合UCIの正式名称は”Union Cycliste Internationale”です。仏式表記ですね。国際サッカー連盟のFIFAと同様です。英式表記での略称は”ICU”になります。
一位はロード
そんな欧州のチャリヒエラルキーは頂点はロードレーサーです。ロードレース三大大会のツールドフランス、ジロデイタリア、ブエルタアエスパーニャは仏伊西の三国で行われます。
周辺のドイツ、オランダ、ベルギーは自転車大国です。広大な平野部が国境を越えてひろがりますし、その背骨にはアルプス山脈がそびえます。
海のむこうの英国は地理的には不利ですが、トップクラスの有力選手がひしめきます。トラック、ロード、MTB、トライアル、室内チャリ、全部の分野にスターがいる。人材天国。
二位はMTB
で、そんな欧州の第二位はMTBです。アウトドアがさかんですから、オフロードがさかんです。スキー場の多さはゲレンデコースの多さの裏返しです。アルプデュエズなどなど。
欧州最大の自転車展示会のEUROBIKEの主役はほぼオフロードモデルです。開催地(ドイツ)の関係で電動スポーツバイクのE-bikeがぐいぐい来ます。
実際、欧州系の有力自転車ブランドはオンロードバイクとオフロードバイクの両方をあつかいます。ラピエール、オルベア、キャニオン、フォーカス、いずれが総合メーカーです
例外はイタリア勢です。イタリアは歴史的にロード大国です。オフロードバイクは得意ではありません。だれがDEROSAやPinarelloやCOLNAGOのMTBを買いましょうか?
三位は小径車
はみごのイギリスには特別な二つの自転車メーカーが存在します。ブロンプトンとアレックスモールトンです。
この二社のバイクは英国規格の英国製造です。故モールトン博士のおうちで作られるぞくに『お城製』のモールトンは鉄の工芸とゆわれます。ダブルパイロンのフレームは驚異の200万です。
一時期、ブロンプトンは時代のながれに押されて、アジア製のライセンス品を出しましたが、のちのこの姿勢をあらためて、ブランドステータスの維持のために英国製造一本に切り替えました。
この二社のブランド、ステータスはたしかなものです。made in ENGLANDがステータスやアカデミックでなくてなんでしょうか?
アメリカの自転車カースト
自由の国のアメリカには身分制は存在しません。みんなが平等です。フリーダムイズUSAだ。革新とトレンドはアメリカから生まれます。
が、この建国の精神に反して、あえて順位をつけましょう。
一位はMTB、一応
ロードレーサは欧州うまれの欧州そだちです。伝統と格式のチャリンコです。車体の形式は源流からそうめちゃくちゃかけはなれません。やはり、ヨーロッパは封建的です。アカデミックス。
で、ある日、これが海をわたって、かの地へつきます。ざっくりといろいろなことを経て、こうなりました。
てことで、MTBはアメリカうまれのアメリカそだちです。第三のチャリ母国の名をほしいままにします。
二位以下は混戦
で、このMTBからクロスバイク、ファットバイク、オールロードが派生します。BMXも人気です。都市部にはピスト文化がねづきます。あ、トライアスロンもアメリカ発です。
そして、立場的に二位であろうロードバイクには自転車史上最悪のスキャンダルの影がいろこくのこります。ツールドフランス7連覇の幻の王者アームストロングのドーピングですね。
この絶大な醜聞のおかげでツールドフランスの1999年から2005年の優勝者はN/Aです。世界最高の自転車レースのザ・黒歴史です。
この負の遺産がいまだに尾を引いて、ロードレース界には疑惑がよく集まります。スポーツニュースに出るチャリの話題はだいたい不正がらみです。ドーパー、ドーパー、ドーパー!
そんなわけでアメリカのチャリの身分制度はおおざっぱのアメリカらしくうやむやになります。清濁、裏表、pro et contraをあわせもつおおらかさが彼の国のだいごみでありましょう。
OKOKOKOK! GOGOGOGO!!
アメリカです。
日本の自転車のヒエラルキー
日本はがちがちの身分制です。『士農工商』はテストに出ます。前世紀の部活の伝統では3年生は天皇陛下、1年生は奴隷です。
また、日本はスポーツバイク的には辺境ですが、このガラパゴスな土壌には世界的に稀有な花が開きます。
一位は競輪
正直、国内では趣味のスポーツバイクは市民権を得ません。はやりのロードバイクは道荒らし、酔狂なMTBは山荒らしとさげすまれて、うるさがたのランナーとハイカーにしたうちされます。
そんな状況のなかである自転車ジャンルには金と権力がゴリゴリにあつまります。そう、競輪です。これだけはリアルに特権階級です。ヒエラルキーの頂点だ。
競輪選手は国家資格保持者です。学校があって、試験があります。国家がバックアップです。競輪選手の平均年収は1000万円です。トップのSS選手は1億円オーバーです。
3週間のツールドフランスの優勝賞金はざっと3億。ワンデーレースのKEIRINグランプリの一等は1億160万円です。国内ロードレースの最高賞金は20-30万円です。えげつない格差です。
あまりにもさびしいのでネット情報をあさりまくって、ツアーオブジャパンの賞金額をようやく見つけました。900万です! やったで、ロードバイク!
KEIRINは世界的ブランドです。よそのサイトのアクセス数をざっくり計測できるSimilarwebの自転車カテゴリの世界一位は競輪の公式サイトです。
金、権力、人、競輪が頂点にかがやきます。まさに既得権益、チャリの貴族、自転車界のバラモンです。
二位はママチャリ
昔の一般自転車は実用車でした。
車体重量30kg、積載100kgのいかついバイクです。大の男にはぎりOKですが、女子供にはちとヘビーです。
このごっつい鉄のカタマーリがマイルド化して、カマキリ、軽快車、シティサイクルに派生します。そのなかの婦人用のものがママチャリです。KERINとならぶ日本初のBIKEです。
実際問題、シティサイクルとママチャリが街を完全に支配します。
数の暴力です。このなかではスポーツバイクのいごこちはきゅうくつです。
また、ちいさな子供3人乗りのママさまが逆走してきても、こっちは問答無用でそちらを優先しなければなりません。チャリ通の学生さまもかみさまです。若者には未来がある。
て、人々の文化と生活に完全かんぺきにねづきます。ママチャリがないと、自転車市場がほろびます。まさに士農工商の『農』です。
三位はクロスバイク
日本の風景には自販機とコンビニとイオンとCBあさひがかかせません。そして、山奥までアスファルト舗装がきっちきちです。だてに自動車関連の税金が高くないぜ!
そして、市街地の交通事情はこぢんまりとこみいります。コンパクトでコンプレックス。
そんな交通事情にはクロスバイクがぴったりです。
ジャパニーズはつつしみぶかい人々です。節度をおもんじます。背伸び、イキリ、むちゃは禁物です。
日本でロードやMTBをのるには一種の背伸びが必要です。まず、車体やウェアのサイズが欧米基準ですし。腕の長さも足の長さも足りない。競技用機材にこれはしんこくです。
その点、フィットネス系バイクは気軽です。クロスバイクは地の利と身の丈と懐具合に合う。世間への浸透度、貢献度はピュアスポーツバイクよりぜんぜん上です。
ミニベロ、折り畳み、小径車もGOODです。
このコンパクトさは非常に日本人受けします。