今回の話題は自転車じゃありません、あしからず。主役はPC、パソコンです。瀟洒なマックブックやスマートデバイスにあらず、どっしりしたデスクトップ・パーソナル・コンピューターであります。
自転車とパソコン、アナログとデジタルの代表みたいなこのアンビバレンツな二者には共通点があります。そう、自作の楽しみです。

パーツをひとつひとつ買い集めて、ちゃんと動くもの、使えるものを組み立てるおもしろさは格別です。そして、ささいな性能差、パーツグレード、新規格・謎仕様、メーカーの派閥などなどで一喜一憂するところはまったくそっくりです。
10年ぶりのAMDの逆襲
ぼくは昔から自作パソコン派でして、2009年に組み立てたデスクトップパソコンをメインに使います。用途は文書作成から画像編集、ネットからゲームまでです。スマホよりノートPCよりゲーム機よりデスクトップです。
ところが、1年ほど前からこの愛機の調子がかんばしくありません。
- BIOSが一発で立ち上がらない
- OSが一発で立ち上がらない
- ピープー音が鳴りやまない
- テラリアみたいな軽いゲームが起動しない
- CPUファンが動かない
て、おじいさんの時計みたいな状態です。また、何の気なしに起動中の基盤にパーツクリーナーをぷしゅーと吹っ掛けましたら、パチパチパチてきれいな青白い花火を拝めましたよ、ザーボンさん、ドドリアさん。
それでも、ぶじ? に起動し続けて、真夏の盛りをケースファンと電源ファンと扇風機で乗り切りましたが、秋の夕べに『ブーーン』てついに完全な機能停止に陥りました、ちーん。
壊れどきは替えどきです。くしくもAMDの新型CPU Ryzenシリーズが自作パソコン界にひさびさのインパクトを与えます。これは今年の3月発売の最新鋭CPUです。一年前にはなかった!
実際、一年前に交換を考えた時にはFM2かAM3+で悩んだ挙句に新調をあきらめました。なんか直感的にビミョーさがわかりました。
で、今回のRyzenはAMD AM4です。ナンバリングの完全新作です。一般向けの最高グレードのRyzen 7 1800 Xは8コアの16スレッドです。性能と価格と規格から積年のIntel製CPUの牙城を崩せるポテンシャルを秘めます。
生粋のAMD派にはまさしく10年来の吉報ハッピーニュースです。うちのパソにはintel、入ってな~い。ビバ、AMD! このRyzenでデスクトップパソコンを自作しましょう!
あ、ちなみに今回は自転車のはなしはぜんぜん出てきません。RyzenがたびたびLezyneに見える、てあるあるネタくらいしか提供できません、ははは。
AMD Ryzen 7からの逆算でパーツ選び
さて、今回の自作パソコンの第一の決定事項はCPUです。AMD Ryzenを使います。Ryzen 5とRyzen 7があります。5は6コア12スレッド、7は8コア16スレッドです。
Ryzen 5 1600は2万円台で6コア12スレッドです。ゲーム用CPUには充分でしょう。ごりごりのFPSや海外AAA級の大作にはビデオカードのが重要です。あと、4Kディスプレーです。
で、ぼくはゲームをしますが、よりひんぱんに作業をします。Photoshop、Illustlator、調べ物のネット、3dソフトのBlenderやMAYAのサンプルでたまに遊ぶとかします。レンダリングやエンコードにはCPUとメモリの性能と容量はだいじです。
てことで、ビデオカードやディスプレーをあきらめまして、CPUに予算の半分を割きましょう。最高グレードのRyzen 7 1800 Xに決めます。実売5万5000円です。
マザーボードはA320、B350、X370の三種
ここからマザーボードが決まります。RyzenはAM4です。前世代のAM3+や亜種のFM2とはネバーコンパチです。CPUの基盤のピン数がちがいます。AM4のピンは1331本です。
AMD Ryzen用のマザーボードは基本的に3モデルです。320系、350系、370系のチップセットです。ASUS、GIGABYTE、ASROCK、MSIなどなどがおなじみです。やっぱし、中華台湾メーカーが強力です~。チャリとの共通点です。
A320=オーバークロックなし エントリー向け
B350=オーバークロックあり ミドル向け
X370=クロスファイア コアユーザー向け
です。1700以上のCPUを買えば、オーバークロックを使えます。320はOCなしです。定格で使うにしても、たまにはOCで遊びましょう。
てことで、350か370を物色します。
メモリはDDR4
先代のパソコンのメモリはDDR3です。先々代のパソコンのメモリはDDR2です。メモリは長寿命でそうそう壊れません。存命中にだいたい次世代の規格が出ちゃいます。
じゃあ、AMD AM4のマザーのメモリはDDR4です。AM3+時代からDDR4みたいです。例のごとくDDR3とDDR4の互換性はありません。4×4=16GのDDR3のメモリがおしゃかだよ! ヤフオするかな、ふう・・・
8×2=16Gがよさげです。ちまたのはなしから二枚刺しのがなにかとよさげです。セット15000円前後です。コルセアが人気だなあ。
CPU、マザー、メモリの三つは必須です。見積もりはすでに8万円です。予算は10万しかありません。残2万です。ケース、ディスプレー、ビデオカード、電源、クーラー・・・うーん、優先順位がなやましいはなしです。
日本橋でんでんタウンのPCワンズへ
ところで、なにわとおえどの自作パソコンユーザーはパソコンパーツを買うなら、ネットでポチポチせずに、電気街へ行きます。
はい、大阪日本橋です。これはオタロードの様子です。

パソコン工房、イオシスは大阪系です。ジョーシンの本社はこのかいわいです。ドスパラ、じゃんぱらは東京系です。
これらのチェーン店を差し置いて、栄えある人気ベスト1のストアがPCワンズです。大阪の自作PCユーザーはだいたいここに来ます。シンプルなふつうのパーツ屋です。価格は通販最安値クラスです。
たまたま中古のショーケースに箱入りのクーラー付属の1800 Xと箱なしのクーラーなしのバルク品の1800 X がありました。前者は46000円、後者は44000円です。
AMDの付属のクーラーのWraith Coolerはなかなか好評です。箱入りクーラー付きにかたむきますが、真夏のマイルームの灼熱ぶりを思い返して、バルク+別途クーラーにマインドチェンジします。
これまたおあつらえ向きにGYGABITE X370のマザーの中古が15000円で棚にぽつんとありました。事前にチェックしたモデルです。B350の新品+2000円で上位モデルを買えます。
CPUのバルクの後では新品も中古も同列ですわ! て理屈で中古のX370を買います。メモリとクーラーは新品です。
バルクと中古にありつけて、わりに出費を抑えられました。フル新品は10万コースになります。
8年ぶりのパソコン組み立て
マザーボードからの組み立ては8年ぶりです。メーカーは先代とおなじGYGABITEです。モデルはGA-AX370-Gaming 5K、サイズはATXです。

メモリです。8×2=16Gです。CFD製です。これも先代のメモリとおなじメーカーです。

クロック2666版です。定格の推奨値です。早速、これをマザーボードのソケットにばちばちぶっさします。

なんか白黒の具合がTREKかFELTをほうふつさせます。先代のチープな基盤ぽい基盤とはちがいますわ~。
心臓部のCPUです。チャリパーツをおろそかにするぼくさえが丁重な手つきになります。ピン折れ=終了ですし。

1331ピンです。1ピン40円です。こんなちっこいほっそいピンがべビースターラーメン級のおプライスです。
マザーのソケットにそっと入れて、グリスを薄くぬって、クーラーを設置します。虎徹 MarkⅡです。名作小型静音クーラーの評価を取る初代虎徹の正統後継機です。もちろん、AM4対応です。

クーラーのヒートシンク自体は前のものより小さくなりました。が、新型CPUは昔ほどに電気食いの熱血やろうじゃありません。Ryzen 7 1800 XのTDPは95です。ハイエンドの100未満はもうふつうです。
さて、マザー、CPU、メモリ、クーラーをセットしました。ほかのパーツ、SSD、ケース、電源、ビデオカードは引退機のおさがりです。SSDとビデオカードはまだまだ3歳ですし。8歳の電源がややあやしいところですが。
ケースはミドルタワーです。前のボードはmini-ATXです。新調のボードのサイズはATXです。大きさを調べずにその場の気分でひょいと買いましたが、ぎりぎり既存のケース内に収められました。
で、こまかい配線をちまちま差して、電源ボタンをぽちんします。おお、一発で起動しました。

このマザーボードは基板上のREDでこんなふうに輝きます。設定からカラーを変えられます。超クール!
でも、ケースのサイドがガラス張りじゃないから、きれいな装飾がぶこつな黒いサイドカバーの裏に隠れちゃいます。OKOK、しばらくあけっぱにしましょう。
ボードとメモリの相性のミスマッチは発生しません。BIOSはぶじに立ち上がります。しかし、ここで不慮の問題にぶちあたります。
Windows 7でマウスとキーボードが動かない!
SSD内のデータはそのままです。OSはWindows 7です。今回のようにパーツ構成が大幅に変わると、既存のストレージ内のWindows 7はBOOTしません。エラーで落ちますね、100%です。
Windows 10はこの問題と無縁です。パーツが変わっても、OSがふつうに立ち上がります。旧式OSのつらさです。めんどうな再インストール作業のはじまりです。
で、2台のSSDの片方のパーティションをまるっと全削除しまして、フォーマットします。ちなみに写真データ、画像データ、ブログのバックアップ、ゲームのセーブがどっちにあるかはこの時点でさだかじゃありません。すべては勘です。一か八か。
仮に過去データがふっとんでも、特別の支障はありません。昔の旅行の写真とかぜんぜん見返さない人ですし。じゃあ、うちのPCやスマホの容量はつねにスカスカです。ぜんぜん余る。
で、勘で小さい方のSSDをクリーンにしまして、Windows 7のDVDディスクからOSをBOOTして、再インストールを試みようとします。が、BIOS上では動くマウスとキーボードがOS上ではうんともすんとも言いません。なんでや?!
結果的にこれはUSBの互換性の問題でした。AM4のマザーボードのUSBは3.0番台です。一方のWindows 7のOSのUSBは2.0番台です。手持ちのマウスとキーボードも同様に2.0時代のものです。
デバイスとOSは2.0ですが、マウスやキーボードは新型マザーボードのUSB3.0に接続して、それを経緯して、OSに届きます。Windows 7の認識ではこれは3.0です。
「はい、規格外!」
て、らくいんを押されて、門前払いを食らいます。
解決策はエミュレーター、パッチあてたWindows 7入りのリムーバブルディスク、はたまた、PS/2端子のマウスやキーボードです。USB以前の標準の丸い端子です。
たしかにマザーの背面にぽつんてありました!

これはUSB以前のゆかしいソケットです。Windows 7はちゃんと認識します。むしろ、ばくぜんとしたXPのなつかしさが端子の穴から漂います。
で、このタイプのマウスやキーボードをあたふた探して、家じゅうをひっくり返しますが、あえなく見つけられません。あ~、完全に捨てたわ~。
別実に難波のジャンク屋へ古いマウスを見に行きますが、200円て衝撃の価格を告げられます。100円で買えへん・・・
じゃあ、ひとおもいにWindows 10にするっすわ~、て思い直して、Windows 7をそっと引き出しのおくにしまいます。グッバイ、窓七。
以降はふつうのOSインストール作業です。タブレットライクなWindows 8にはうんざりしましたが、この10にはすんなりなじめました。
ついでに残したSSDから過去のデータを見つけられました。うまくOS側のSSDを消せましたね。ラッキー!
デバイスマネージャーが壮観です。

16スレッド! ウラー!
M.2 SSDの速さは6倍、体感は等倍?
AM4の最新マザーボードには注目の規格があります。M.2です。SATA接続のSSDより高速な新型の次世代記憶媒体です。
数値上の速度は従来のSATA SSDの6倍てうそぶかれます。2010年前後のHDDからSSDへの変化は劇的でした。intel製のSSDがトレンディーでしたね~。
このM.2 SSDはそれ以来の衝撃度です。でも、価格/容量は駆け出しのころのSSDよりぜんぜん割安です。2万弱で500gのM.2ディスクを買えちゃいます。SSDはせいぜい60Gでした、OSとソフトでもうパンパンだあ!
ギガバイトクラスの転送量のやつはNVMeです。マザーとSSDを合わせないと、NVMeの真価を味わえません。うちのボードは『PCIe Gen3 x4 M.2 と PCIe NVMe & SATA モード対応』です。最速化できます。
WDの500Gが2万強です。NVMeの8Gbpsです。1Gbps=125MB/sですから、1秒1ギガ! 4秒でDVDコピーが終わる?!
当初の予算の10万ののこり2万をこれに回しますかねー。でも、CPUのおかげかWindows 10のおかげか立ち上げが劇的に早くなりました。電源から正味10秒でスタートアップまで行っちゃいます。
熱も音もほとんど出ません。とくにファンは「止まった?」みたいな静けさです。やったね!
現状、不満はありません。数値上の速さと体感は別物ですし。てか、体感がパソコンの反応に追いつきませんわ、ははは。
HDDからの換装は劇的x2でしょうね。