- 日程3泊4日
- 距離670km
- 獲得標高5000
これがぼくの紀伊半島一周サイクリングの概要です。
下調べの段階でげんなりしましたが、2022年1月の成人式がらみの三連休を利用して、この旅行に出発しました、チャリで。
これは紀伊半島一周に不可欠なエビデンスの串本の本州最南端の記念碑です。
ちなみに串本通過は2日目のお昼で、全行程の半分にすら達しません。ここから80km先の熊野がようやく半分です。
ここではこの紀伊半島一周サイクリング、3泊4日の自転車ツーリングの初日の模様を紹介します。
紀伊半島一周スタート!
今回のチャリ旅は過去最長です。おまけに工程の7割が未知の道です。和歌山以南~伊勢志摩が初見ですね。
1泊2日の自転車旅行より入念に計画して、事前に週間天気予報とGoogleマップを調べ尽くしました。
準備編の詳しい内容はこちらです→ロングライドの装備や準備
もちろん、YouTube用のサイクリング動画の撮影を考慮して、とくに晴れの日を選びました。曇りの動画は映えん。
おかげで厚手のセーターが3日目からお荷物になりました。これは今回のチャリ旅の最大の反省点です。
ロングライドの持ち物
零細YouTuberに動画撮影班のような粋なものはありません。基本はワンマンオペレーションです。
しかも、チェックイン後にホテルで編集・アップロードまで目論んで、ノートPCとマウスを持参します。
結果、いつもの日帰りロケや1泊2日チャリ旅行より荷物がかさばりました。
持ち物リストです。
- 財布
- スマホ
- モバイルバッテリー
- ケーブル類
- ノートPC
- マウス
- GoPro
- 外部マイク
- デジカメ
- 三脚
- 予備チューブ
- 携帯工具
- 携帯空気入れ
- 着替え少々
- 車体用ポーチ
- ダイニーマ製B4Cオリジナルバックパック試作品
ノートPCとカメラがずしっと来ます。しかし、持病の左肩の爆弾はこの旅では不発でした。ハイライザーハンドルのおかげです。
ちなみにこのノートPCは軽量でパワフルなASUS ROG FLOW X13という25万!の高級品です。
当然、撮影や編集をしない人はもっと軽量な装備で行けます。
予備チューブ、携帯工具、携帯空気入れ、スマホ、財布、着替え少々でせいぜい1kgでしょう。
また、負担を減らすならば、車体にバッグ類を着けて、そこに収納しましょう。背中と肩の疲れが違います。
自転車はマウンテンバイクのツーリング仕様
自転車旅行の相棒はこれです。
NAGIバイクのクロモリフレームのIINAN+ロード系の軽量ホイールのカスタムバイクです。
本来の用途はごりごりの山用です。長距離用ではありません。
が、ハイライズなハンドルとドロッパーシートポストとクロモリフレームのおかげで乗り心地が快適です。
ここに手組の軽量アルミホイールが加わって、面白いツーリング号が完成しました。
簡単なインプレです。
- 走行性能はクロスバイク以上
- 乗り心地はママチャリ以上
- 取り回しはママチャリ以下
つまり、でかくて重くて快適でよく走るチャリです。だらだら気ままに走るツーリングには良い車体ですよ、ほんとに。
唯一の弱点は見た目ですね。特性のサドルカバーでルックスがさらに激落ちくんです。
個人的にはこういうハードテイルMTBのカスタム仕様かクロスバイクの高速仕様がツーリングにはベストです。
紀伊半島一周サイクリングのルート
ところで、紀伊半島一周のルートは一つだけではありません。
- 正味の半島(和歌山~三重)をさくっと回る300km
- 太平洋岸自転車道を辿る500km
- 大阪京都から自走の600km
ぼくは潮岬への寄り道、昼飯難民、チェックイン後の買い出し、伊勢で迷子などを含めて、正味670kmのフルコースを頂きました。
初日は大阪の梅田から和歌山の白浜までの約190kmです。これは全行程の最長距離です。
理由は3つです。
- チェックアウトなしで早く出られる
- 大阪から和歌山まではおなじみの道
- 北風がフォローになる
この時期、日本海側はすごい雪でしたが、太平洋側はピーカンでした。雪は熊野の山の上と奈良の山の上にしかなかった。
風向き超大事
ならば、注意点は雪より風です。ロングライドで向かい風は最悪です。足も心もガリガリ削られます。
しかも、大阪~和歌山のような一方向への長距離走行では風向きがほぼ変わりません。逆風は終日に逆風です。
裏腹に強風を味方にすれば、永久フォローですいすい走れます。実際、ぼくはわざわざ北風5mの日を選んで、段取りしました。
結果、夕暮れに白浜の白良浜にゴールして、日の光でサムネを撮影できましたで。
ただし、この冬の北風ピープーフォロー作戦は半島時計回り班には文字通りの逆風になります。
実際問題、今回のツーリングで時計回りと反時計回りのサイクリストの比率は1:9くらいでした。たまたまでしょうか?
自転車界のセオリーでは湖は反時計回り、島と半島は時計回りです。が、この時期の時計回りは逆風の餌食です。
大阪から白浜の距離と獲得標高
大阪発の時計回りは序盤に奈良の宇陀越えになります。初日にあそこの登りは嫌だ・・・
反時計回りの大阪、和歌山、有田、御坊、白浜はほぼ平坦で一本道です。
が、距離が延びれば、登りも増えます。獲得標高はざっと1200mです。
このルートでは特に有田の周辺が山場です。そもそもこの町はその小高い地形のおかげでミカンの一大産地ですから。
ちなみに直売所のミカンは1kg/200円で超お買い得ですが、リュックには入りません。
以上を踏まえて、ここから1日目の模様をお送りします。
紀伊半島一周サイクリング1日目
当日の出発時刻は4:40です。前日の睡眠時間は零分です。はい、徹夜です。早寝は失敗しました。ありがちです。
それから、忘れ物がいくつかありましたし、厚手のセーターは不要でした。反省点です。
ちょうど5時ぴったりにヨドバシ梅田に到着しました。
紀伊半島の範囲は?
ところで、紀伊半島の範囲に明確な定義はありません。以下はWikipediaからの参照です。
- 広義には名古屋の庄内川河口と大阪の淀川河口を直線で結んだ線より南側
- 半島振興法では三重県の松阪市以南の南勢・志摩・東紀州地域、奈良県の五條・吉野地域、和歌山県の全域(和歌山市を除く)
- 紀伊半島三県知事会は三重県・奈良県・和歌山県の知事で構成
一般的なイメージは2でしょうか。とりあえず、梅田や難波に半島感はありません。
で、和歌山-有田-串本-熊野-志摩-伊勢-松阪のシン・紀伊半島コースは一気に半減して、300kmちょいに落ち着きます。潮岬がちょうど半分ですね。
このライトな紀伊半島一周もけっこうですが、新車の長距離デビューには少し役者不足です。
あと、和歌山まで輪行するのが地味にめんどうですし、朝方の満員電車が非常におっくうです。ぼくは乗り物に酔うと全く動けません。そして、やたら酔う、すぐに酔う。
そんな事情から拡大解釈的な紀伊半島一周自走650kmが確定しました。つまり、梅田は紀伊半島です!
大阪市内からりんくうタウンまで
通勤時間帯の大阪市内、とくに梅田から難波までの進みは非常に滞ります。ここを早く抜けるのが第一関門です。
さいわい早朝の都心には人や車はまばらです。でも、薄着のランナーや散歩のウォーカーはぽつぽついます。
「朝からよーやるわー」と思いますが、朝から白浜までチャリで行く方が断然に「よーやるわー」でしょう。
8時にはりんくうマーブルビーチに着きました。まだ50kmです。
橋の向こうの山が一発目の登りらしい登りです。ここは100mちょいくらいですか。
友が島渡船がある加太へは寄らず、岬町から751号経由で和歌山市に直行しました。加太経由は+10kmになるし、登りはそんなに減らない。
山場の有田
和歌山市への到達が10時頃です。まだランチタイムではありません。そして、醬油とんこつの和歌山ラーメンは補給にはこってりし過ぎる。
和歌山市内からルートは国道42号線に変わります。基本、これがずっと白浜、伊勢まで続きます。
太平洋沿岸部をつなぐ超広域のサイクリングルートの太平洋岸自転車道もこの42号線を辿ります。目印は青のレーンです。
季節柄、ミカンのトラックが良く往来します。
この有田川の界隈は快適ですが、手前の海南から有田の峠越えが自転車にはなかなかハードです。
地味な登り、狭い路肩、歩道なし、大型トラック、道路工事etcetc…
それと、ルート選択で登りのきつさがかなり上下します。酷道42号線以外はまあまあのヒルクライムです。
その42号線も海南側の入り口がなかなかヘビーです。地図では藤白神社のあたりですね。
左から1番目の車線は高速行きで歩行者・軽車両通行不可の外れ、左から2番目の道幅減少の標識のところが当たりです。
有田以南の42号線に特段の難所はありません。あと、景観や眺望もとくにありません。見どころはたわわなミカン山くらいです。海は意外と見えない。
だって、ほら、地名が和歌海じゃなくて、和歌山ですし。
御坊でラーメン
有田で昼を迎えましたが、めあての店に必殺・臨時休業の儀を食らいまして、和歌山ラーメンを食べ損ねました。
さらに日本の醤油発祥の地、湯浅町を通り越して、御坊でようやく昼飯にありつきます。道沿いのラーメンバードマンというお店です。
ここのラーメンは典型的な和歌山風ではありません。店名の通りにスープは鶏白湯です。醤油は甘め、スパイスは多めです。
和歌山ラーメンは超濃厚なこってりとんこつ醤油です。スープは透明にならず、どろっと濁ります。
カラカラの喉にはこちらのノーマルな美味しい醤油ラーメンのがフレンドリーでした。
御坊から白浜までは50km弱です。進行方向が南から南東になります。例のごとくこの時期には風はほぼフォローです。
白浜到着
出発から12時間後、ヨドバシ梅田前通過から11時間30分後に白浜の白良浜に辿り着きました。初日のゴールです。
白浜の日没時刻は大阪とほぼ同じです。これが紀伊半島東端の伊勢になると、経度が東に100kmほどずれて、日没が5分ほど早まります。
仮に大阪からまっすぐ西向きの岡山方面へ太陽を追っかけながら、200kmのロングライドをすると、20分ほど日中時間を延ばせます。
地方の田舎の幹線道路は夜には闇のダンジョンと化します。夜間走行の大型トラックが非常に脅威です。20分のアドバンテージは馬鹿になりません。
え、岡山に行くの? え、自走しまなみ海道ですか? うーん、まあ、行けたら行くわ。
シーモア別館の自転車宿に泊まる
さて、ぼくの初日は3連休前夜の金曜日でして、白浜の人手や賑わいはまばらでした。行程3日目、連休中日の夕方の伊勢のおかげ横丁はえぐい混雑でしたが。
あと、白浜は屈指の温泉街ですが、やっぱりピークは夏です。日本海側みたいにカニがないし。
で、ホテルの予約はより取り見取りでした。テンプレートの1部屋1人、素泊まり、シングルの部屋はいくつもありました。
結局、ホテルシーモアの別館のホテルシーモアレジデンスという宿を取りました。はやりの滞在型ホテルちゅうやつですわ。
手前がシーモア本館です。GIANTストア南紀白浜はこのテナントにあります。左奥の”KEY2″が別館のレジデンスの2号棟です。
このレジデンスのオープンは最近ですが、建物はそんなに新しくありません。階段とかの作りは寮か校舎みたいな感じでした。
レジデンスの玄関は無人くんで、24時間フリーです。本館でチェックインして、鍵を貰えば、翌朝のチェックアウトまで自由に出入りできます。
部屋はおしゃれなワンルームみたいな感じです。ホテルのはからいで地下部屋から2階にグレードアップされました。やったね!
お値段は楽天トラベルで6949円でした。
玄関にはバイクラックやバイクポールがあります。
しかし、空気入れが見当たらぬ! そして、自転車組はぼく一人だけですか? なぜだ?! 大阪から11時間で来れるのに!!!
目玉はセルフキッチンです。調理器具、食器、カトラリー、調味料が豊富です。乾燥米も少しありました。
シーモア本館にはレストラン、坂の下には飲食店街、白良浜の方には24時間営業のグルメシティがあります。外食、自炊、どっちもOKです。
ぼくはうどんとちりめんじゃことお菓子を買ってきて、この立派なキッチンで夕食と朝食を自炊しました。2回の買い出しで190kmの大台に乗ってもうた。
で、本館の大浴場で汗を流して、動画のカット編集だけを済ませて、夜の9時には眠りました。いや、翌朝4時から本編集~YouTubeアップまでやりましたけど。
追い風のせいかツーリング仕様のせいか190kmは意外とぬるゲーでした。たぶん、体力的には串本まで余裕で行けますが、日没後には撮影に困るからなあ。
大阪から白浜までのサイクリングまとめ
大阪市内から白浜の白良浜までは180~200kmです。加太港経由や有田のルート選びで+10kmになります。最短は751号-42号をひたすら走るコースです。
梅田は広義には紀伊半島らしいです。
シン・紀伊半島の起点は和歌山市以南です。海南スタート伊勢ゴールは300kmに縮まります。
山場は有田の峠越えです。海南側の42号線の入り口が要注意地点です。徒歩にはヘビーでして、Googleマップのナビでは案内されません。
冬には北風が反時計回りの強力なフォローになります。通年の基本風は西風です。淡路島の西側みたいな風車がいくつかあります。
道中の峠のピークはせいぜい100~150mですが、細かく積み重なって、最終的に1200mオーバーに達します。
日帰りするなら、ここから白浜駅まで戻って、特急くろしおに乗りましょう。
ぼくのサイクリングは紀伊半島一周2日目の白浜から串本経由の熊野編に続きます。