Uber Eats =オンラインフードデリバリー=ネット出前
タイトルの疑問文のシンプルイズベストな答えはこの公式に限ります。
類似サービスのDiDi Foodやmenuなども同様です。マクドナルドのマックデリバリーや出前館はすこし違います。
あのUber Eats の公式の黒いバッグはおかもちです。
一昔前に大阪の下町でお酒を運びまくり、さらにフードデリバリーサービスで配達に復帰したぼくがこの古くて新しいサービスを解説します。
Uber Eats の基本情報
Uber Eats はアメリカ発のオンラインフードデリバリーサービスです。
運営元はUber Technologiesです。配車サービスのUberで2010年代半ばから急成長して、一流企業に仲間入りしました。
Uber系のサービスの一覧です。
- Uber :タクシー配車サービス
- Uber Eats :フードデリバリー
- Uber Freight :貨物シェアリング
- Uber Air :飛行タクシー(小型機)配車?サービス
営業の柱はタクシー配車のUber で、次点はフードデリバリーのUber Eats です。
が、2020年春からコロナのおかげでこの傾向が逆転しました。配車サービスのUber はじり貧ですが、フードデリバリーのUber Eats は右肩上がりです。
だって、家で飯食うくらいしか楽しみがないじゃないか!
現金払い、キャッシュレス決済、置き配、お持ち帰りなどに対応して、さらに便利にアップデートを続けます。引きこもりには不可欠なインフラです。
日本上陸は2016年~
Uber Eats の日本進出は2016年です。東京の一部のエリアでサービスが始まりました。今や北海道から沖縄までカバーします。→Uber Eats のエリア
日本ではこれより古参の『出前館』という宅配サービスがあります。こちらは2000年に事業を始めて、最近ではLINEと提携しました。国内最大手です。
しかしながら、これを押しのけて、後発の外資系のUber Eats がこの分野の代表選手に定着しました。知名度や話題性に事欠きません。
実際、ネットニュースになるのはUber Eats ばかりです。出前館やDiDi Foodはネタにすら上がらない。
DiDiやmenuのバッグで稼働しても、「あ、Uber Eats みたいなやつだ」と言われますが、「あ、出前館みたいなやつだ」とは言われません。
細かいところではUber Eats やDiDi Foodの配達はフリー勤務ですが、出前館やfood pandaはシフト制です。
Uber Eats の仕組み
アナログな出前のシステムは昔からあります。そば屋の出前、すし屋の出前、中華屋の出前、弁当屋の出前、ピザの出前などなど。
ぼくはお酒の出前を十年近くやりました、チャリで。
Uber Eats はこれらの旧式の出前とは一線を画します。なぜならUber Eats は飲食店や配達業者ではないから。
Uber Eats は出前代理店
Uber Eats の本業は紹介、斡旋、仲介です。
- 料理を頼む注文者
- 料理を作る加盟店
- 料理を運ぶ配達パートナー
この三方のユーザーをアプリで繋いで、手数料を得ます。
HISやJTBが旅行代理店であれば、Uber Eats やDiDi Foodは出前代理店です。アプリが窓口です。
配達パートナーの視点ではUber Eats は『一件なんぼのお使いクエストをくれるギルド』みたいなものです。
知り合いの知り合い
Uber Eats の仕組みでは注文者、加盟店、配達パートナーはそれぞれの直接的なユーザーではありません。
この三者はUber Eats から紹介された間接的なユーザーでしかない。Uber Eats さんの知り合いの知り合いみたいなものです。
加盟店はUber Eats の直営店やフランチャイズでなく、配達パートナーは従業員やバイトではありません。
マック地蔵に見られるマクドナルドのオーダー数の多さから全国的なハンバーガーマッチングサービスにも見えます。
『ビッグマック1個を大急ぎで届けて! ドナルドの依頼』
多分、Uber Eats の数%はこのお使いクエストで出来ています。
Uber Eats でできること
繰り返しましょう。Uber Eats のユーザーは三種類です。
- 料理を頼む注文者
- 料理を作る加盟店
- 料理を運ぶ配達パートナー
これらは等しくUber Eats のユーザーです。
注文者
Uber Eats のユーザーの大半はこのアプリを注文者の立場で利用します。
国内のアクティブユーザーは2020年6月の統計で約300万人です。350万の食べログの王座を脅かします。
その食べログでは提携飲食店の予約は可ですが、配達は不可です。
食べログの設計には配達パートナーは組み込まれません。より簡易な飲食店とネットユーザーの仲介です。実態は巨大な企業アフィリエイトだ。
食べログでは予約しか出来ませんが、Uber Eats では宅配まで出来ます。場所を指定すれば、外で受け取れる。
注文者のアプリ手数料は商品の一律10%です。例外的に700円以下の少額注文には150円の特別料金が掛かります。700円→150円、701円→70円。
ここに配送料が加わると、平均的な単価は1000円を越えます。クーポンやキャンペーンをやりくりしないと、庶民は気軽に使えません。
お持ち帰り注文の価格もデリバリー注文と変わりません。
加盟店
加盟店はフードデリバリーサービスの求心力や展開力に大きく影響します。
マクドナルド、ケンタッキー、スターバックスみたいな大手飲食チェーンと提携できれば、一気に店舗数とエリアを増やせます。
ちなみにUber Eats はこの御三家をがっちりとホールドします。とくにマクドナルドは最大の上得意客です。
そのマクドナルドには直属の配達員がいます。マックデリバリーですね。
マックデリバリーの配達員はマクドナルドの直属の従業員、マッククルーの一員です。たしか配達専用スタッフです。
マックデリバリーはマクドナルドの注文しか運びません。ロッテリアとかモスバーガーの注文とかを運ばない。そもそもオーダーを受けられない。
マクドナルドのような超大手は運営に厚遇されますが、そのほかのローカルチェーン店や大多数の個人経営店は一律に手数料を取られます。
加盟店の基本料率は35%です。つまり、Uber Eats のアプリ経由で1000円の注文を受けると、350円をUber Eats に天引きされます。
ビールを飲むのは税金を飲むようなものですが、Uber Eats を食うのは手数料を食うようなものです。
ためしに知り合いの飲食店のこの仕組みを教えたら、
「4割! ありえん! ぼったくりや!」
という意見を頂きました。まあ、当然の反応です。零細の小売店にはクレジット信販の手数料さえが意味不明です。
マクドナルドのメニューを比較します。
メニュー | 店頭価格 | Uber Eats 価格 |
ビッグマック | 390円 | 420円 |
フライドポテトM | 270円 | 320円 |
コーラM | 220円 | 260円 |
スマイル | 0円 | 0円 |
ビッグマックが+8%、フライドポテトMとコーラMがともに+20%です。メインのバーガー類が得で、サイドメニューが損です。
マクドナルドがこの調子です。10~20%の割り増しはざらだ。個人経営店は割引を受けられません。手数料の30~40%は持ち出しか料理価格のトッピングとなります。
この手数料の高さはフードデリバリーサービスの全般に共通します。加盟店のアプリ使用料はだいたい30~40%です。
公式ページで520円のゴンチャのタピオカ黒糖ミルク紅茶はmenu経由では650円です。
「だれがこんなアホみたいな値段のタピオカを飲むか!」
平均的な飲食店経営者の率直な感想はこのようなものです。
が、実際にはどこでもいつでも全国同一価格で食べられるマクドのハンバーガーがアプリ経由でめちゃくちゃ注文されて、めちゃくちゃ配達されます。
ゴーストレストラン増殖中
ご存知のようにコロナのせいで世界の景色が一変しました。引きこもりだけが絶対の正義です。遊び、スポーツ、旅行は白い目で見られます。
海外では移動や外出さえが凍結されました。ロックダウンです。レストランや酒場は致命的なダメージを被ります。実際に多くの店が潰れました。
この状況では超人気店、デリバリーや持ち帰りのノウハウを持つところ、臨機応変に切り替えるところだけが生き残れます。
さらにこの異常な時勢から新たな飲食店の形態が生まれます。それがゴーストレストランです。
ゴーストレストランの特徴です。
- 店舗あり
- 厨房あり
- 看板なし
- 客席なし
このような店が雑居ビルやマンションの一室に入ります。ぼくが前に受け取りに行った店は明らかにレンタルビデオ屋の居ぬき物件でした。
店舗はありますが、客席はありません。中身は厨房兼倉庫です。デリバリーフードの小規模工場のようなふんいきです。
店に客を入れなければ、大きな看板、キャッチ、給仕、内装、食器、そのほかの諸々を省略できます。
そのコストを料理の代金や宣伝費用や自前のバイトや配達用の原付にあてれば、デリバリーやテイクアウトだけで店舗を運営できます。
実際問題、このご時世では路面にデカい看板を立てるよりUber Eats のアプリのリストに印象的な店の名前を掲載する方が効果的です。
『裏次郎系スタミナ弁当 いきなり☆ビフテキ』
これにボリューミーなステーキ弁当の写真を添えれば、そこそこ注文を取れる! 価格は1500円だ! 肉は裏切らない!
1500円の弁当はスーパーや弁当専門店では衝撃的ですが、フードデリバリー界では普通です。
通販ショップはデカい看板や立派な店舗やきれいな内装を必要としません。フードデリバリー専門店もしかりです。
コロナは長引きます。日常はなかなか戻りません。結果的に旧式の飲食店は減り、イマドキのゴーストレストランはこれから増えます。
配達パートナー
前世紀のそば屋やすし屋の出前の兄ちゃんは店員です。マックやピザーラのデリバリーのバイトくんはクルーです。
彼らは従業員であり、直接的な被雇用者であり、組織の一部です。店長や社長やオーナーが実質的な上司や雇い主です。報酬は給与制です。
一方、Uber Eats の黒いバッグを担いで自転車で料理を運ぶ人はマクドの店員やUber Eats のバイトではありません。彼らは配達パートナーです。
運営元のUber Eats と配達パートナーの間には直接の雇用契約がありません。パートナーは文字通りのビジネスパートナーです。
専業にしろ副業にしろ、配達パートナーの業務は事業です。当人が社長で経営者です。報酬は事業収入です。
この立場は個人経営の飲食店のオーナーと完全に一致します。店員やバイトではありません。事業主です。
飯屋は料理で売り上げを稼ぎ、パートナーは配達で事業収入を増やします。
Uber Eats のアプリはゲームの酒場やギルドのようなものです。
『注文者AのオーダーBを加盟店CからAへ運べ! 報酬500円』
勇者は魔物を倒し、ハンターは古龍を捕獲し、配達パートナーはこのお使いクエストをこなします。我々はひとえにフリーの出入り業者です
仮に配達パートナーが飲食店やUber Eats の従業員であれば、働こうとも働かなくとも、自動的に給料を貰えます。
片や配達パートナーは事業主です。お使いクエストをこなさないと、売り上げを得られません。時間給は自動的に発生しない。
フードデリバリーのお使いクエストの注文詳細です。
受け取り、受け渡し、距離で報酬が決まります。時間は条件に入りません。※暇なエリアでの稼働時間あたりの最低保証制度らしきものはあります。
配達パートナーもUber Eats にアプリ使用料を取られます。これは一律10%です。例外的に注文者からのチップはまるまる入ります。
自分で取りに行くお持ち帰りのピックアップは例外です。手数料は不要。→Uber Eats のお持ち帰り クーポン&手数料不要で店よりほんとにお得か?
Uber Eats の仕組みまとめ
Uber Eats はネット出前アプリです。はたまた飯のシェアリング、食べ物のマッチングサービスです。
料理を頼む人だけがユーザーではありません。注文者、加盟店、配達パートナーの三者が等しくユーザーです。
各々はユーザーは直接の関係性を持ちません。知り合いの知り合いです。アプリで繋がる国際メシ組織的なネットワークです。飯テロって言葉があるし。
注文者と配達パートナーは10%、加盟店は35%の手数料をUber Eatsに天引きされます。知り合いはこれを「Uber Eats 税や!」と評しました。
ポストコロナでは従来のレストランは減少し、ゴーストレストランは増加します。
配達パートナーのマナーやモラルがネットでしばしば取り上げられますが、それは当人の良心や配慮に帰結します。
Uber Eats の配達パートナー登録の詳しい始め方はこちらの記事にあります。→Uber Eats の始め方