京都サイクリングコース 観光名所を回避するのが快適ライドの近道

京都は国内最大の観光地です。市内中心部はまさに神社仏閣、重要文化財、国宝、世界遺産のオンパレードです。

JR京都駅から徒歩1km、屈指の駅チカ世界遺産、東寺の五重塔です。毎月第一日曜日には東寺ガラクタ市、21日には弘法市て骨董市が開かれます。

ガラクタ市から五重塔
ガラクタ市から五重塔

そんなゆかしき古都のチャリンコ事情を大阪人の自転車乗りの目線から客観的に探りましょう。

京都の自転車事情

京都の南端は阪奈の北端と接し、さらに桂川、宇治川、木津川に隣します。淀川サイクルロード、八幡木津自転車道線の二大ロングコースへのアクセスが容易です。

さらにJR京都駅の二駅先は滋賀県のJR大津駅です。ビワイチの琵琶湖が目と鼻の先です。

琵琶湖のほとりで朝飯だ

そして、京都は盆地です。郊外には山、坂がわんさかあります。市内北側は有数のヒルクライムのスポットですし、比叡山はMTBの名所です。

奈良の県境の精華町はロードレースのツアーオブジャパンのステージです。桂川のほとりの桂川緑地は関西シクロクロスの最終戦を飾ります。

そして、府の北のはては日本海の舞鶴、天橋立、丹後半島です。伊根の舟屋が有名ですね。

伊根の舟屋
伊根の舟屋

自転車店を見ましょう。京都市内にはワイズロード京都店、シルベスト京都店、リカンベントのLORO京都店、きゅうべえみたいなショップがあります。

マイチャリはNOおいでやす?

そんな京都の中心部のチャリ事情はやや特殊です。市内の全域があまねく観光名所です。名所名跡がコンビニのごとく乱立します

観光地ではマイカーやマイバイクは歓迎されません。マイチャリも同じく歓迎されません。

具体的には違法駐輪の取り締まりの厳しさや河原町周辺の自転車走行禁止区間がその表れです。

とくに中心部の一般道の走行禁止は世界的に稀有です。アーケードではありません、二車線-五車線の一般道です。

自動車やオートバイはふつうに走れます。軽車両だけが走行不可です。

京都の自転車走行禁止区間

京都市の案内図をもとにして、Googleマップで作りました。これが河原町周辺の軽車両走行禁止区域です。

緑のラインの烏丸-八坂神社と市役所前-高辻のでっかい車線の自転車通行禁止は痛恨です。

おかげで市内のめぼしい観光地めぐりのポタリングは潔癖紳士やマナー厨にはわりに神経質なライドになります。

そして、駐輪場からめあてのものまでの距離がそこそこある。庭園はべらぼうに広大です。

また、地元民や近隣の他府県民はすでにめぼしいスポットを回りつくします。

てことで、この記事の京都のおすすめサイクリングコースは近郊の自転車乗りがチャリンコを楽しむためのコースです。

遠方からの観光客はこの限りではありません。

淀川サイクリングロード

京都の南端には三つの大きな河川が合流します。桂川、宇治川、木津川です。これらが淀川になって、京阪を縦断し、大阪湾へどんぶらこっことそそぎます。

そのうちの桂川沿いの自転車道は大阪発の淀川サイクルロードの後半部分にあたります。京都部分の正式名称は『木津八幡自転車道線』です。

京都発の起点は嵐山の渡月橋のたもとです。終点は大阪の毛馬こうもんです。片道約50kmの本格サイクリングロードです。

嵐山から三川合流地点の背割提までのサイクルロードはやや手狭です。追い越し、すれちがいには注意しましょう。

桂川サイクルロードはおりおりに河を渡ります。下の画像は左岸の様子です。このあたりの道幅はやや手狭です。

桂川サイクリングロード
桂川サイクリングロード

嵐山-毛馬の中間ポイントの背割提です。さくらの季節にはこんなすてきな光景をおがめます。

背割堤を展望台から
背割堤を展望台から

ここでUターンすれば、往復50kmの初心者向けの中距離ライドにマイルド化できます。クロスバイク、ミニベロ、ロードデビューにもってこいです。

また、ここにはトイレ、自販機、BBQ広場、さくらであい館が併設します。週末には京阪名のチャリダーがわんさか訪れる。

さくらであい館
さくらであい館

御幸橋以南で桂川が淀川に昇格します。サイクルロードは一気に広くなります。枚方の関西医科大付属病院まではちょっとした高速サーキットです。

それを過ぎると、終点の毛馬までかの有名な車止めにたびたび泣かされます。その数は15-20/20kmです。

距離、路面、設備、申し分なしです。嵐山-毛馬はけいはんのチャリダーのはじめての100kmロングライドにぴったりです。

ゴールの毛馬こうもんです。

淀川サイクリングロード起点 毛馬こうもん
淀川サイクリングロード起点 毛馬こうもん

ここから北大阪サイクルラインで大阪市役所や証券取引所、中央公会堂まで行けます。

北浜のおしゃれスイーツ屋の五感、取引所の五代様の像、中の島バラ園(5月)などがおすすめです。

唯一の障壁は車止めと西からの向かい風です。京都~大阪の順路はおおむねアゲインスト、復路はフォローになります。

鴨川沿い

京都の京都ぽい風景をながめながら走れるのが鴨川沿いの遊歩道です。右岸と左岸の水辺のきわきわを走れます。

距離はせいぜい6-7kmです。路面は基本的にダート、部分的に舗装路です。

起点は上加茂や御所のかいわいです。のどかな光景です。

鴨川サイクリングロード
鴨川サイクリングロード

自転車専用道路ではありません。遊歩道です。ウォーカー、ジョガー、ファミリーがふつうに行きかいます。なによりカップルのおおさが特筆です。ザ・デートスポットです。

若干、左岸側の遊歩道の方が不人気のようです。こっちもダートです。雨後の走行には注意しましょう。

鴨川
鴨川

鴨川の右岸の終点は清水五条のたもとです。最後の数百メートルはがたがたです。奥の橋の手前の階段で車道に上がります。

左岸は新幹線の線路より南までつづきます。でも、道幅が手狭で、京都ぽさが一気に薄れます。五条で車道に上がるのがおすすめです。

琵琶湖

京都から大津までは一瞬です。東海道本線の中間駅はJR山科駅しかありません。距離はざっと12kmです。

京都駅前のごちゃっとした地点を避けて、さきほどの五条を起点にしましょう。ゴールは琵琶湖ホテルのかたわらの湖岸公園です。

最短ルートはオレンジの1号線経由になります。京都から山科、山科から大津の二つのとうげが文字通りの山場です。

体力的な不安より道路事情が非常にシビアです。車道は危険です。せまい側道や歩道を縫うように進みます。

名神高速の側道沿いは比較的におだやかです。

名神沿い
名神沿い

京都-山科のトンネルの付近が一見さんの第一関門です。山科市街地はつかのまの休息です。追分-大谷が第二関門です。傾斜と狭路でこころが折れる。

ごほうびです。

琵琶湖到着!
琵琶湖到着!

安全第一宇治川沿い

このほかに宇治川経由の瀬田ルート、30号線ルート、途中越えルートなどがあります。宇治川沿いが安全ですけど、大迂回で走行距離が倍増します。

三川合流地点をスタートにすると、ややこしい中書島の水路に行く手をはばまれます。そのさきの観月橋発の左岸=南側ルートが明快です。

こちらは湖西の北陸方面への動脈ではありませんから、大型車両の交通量が比較的にマイルドです。道中に平等院フェニックスホール、天ヶ瀬ダムて見どころがありますし。

ですから、京都大阪からの自走ビワイチを計画して、なんとなしに1号線経由&時計回りビワイチをしてしまうと、朝から昼までトラックさんやバスさんにヒヤヒヤさせられます。

結果、せっかくのロングライドの印象が「車多かった、左寄せえぐかった」て、ざんねんなものになりかねません。

バス、タクシー、観光客がいりみだれます。お茶や抹茶グルメを楽しむなら、左手の参道へ入りましょう。アイスもソバもラーメンも緑色です。

山と川のはざまの林道風の道をすすめば、天ケ瀬ダムやつり橋まで行けます。

天ケ瀬ダム付近
天ケ瀬ダム付近

京見峠ヒルクライム

北大阪のヒルクライムの人気ベスト1は箕面の勝尾寺、六甲山ヒルクライムのベスト1は宝塚の逆瀬川、そして、京都市内のヒルクライムのベスト1が京見峠です。

世界遺産の金閣寺の北側にコースがあります。

距離3km、標高200mの初心者向けのイージーコースです。ロードデビュー、ヒルクラデビュー、ふだんの練習、STRAVAに絶好の坂道です。

スタート地点の目印は光悦茶屋です。

これを少し進むと、ヒルクライムのTTスタートの電光掲示板にたどり着きます。熱心な人はここから美山や堅田や能勢や日本海へ行ってしまいます。

初心者はおとなしく引き返して、スタート地点の脇道のフォトジェニックな千束坂でインスタしましょう。

千束坂 上からの画像
千束坂 上からの画像

まじめに京見峠を登りきると、ゴールの氷室分岐にたどりつきます。

さらに突き進むと、手作りログハウスレストランのはせがわに到着します。名物はハンバーグとオムライスです。

行って来いするか、杉坂まで下りて、162号線で太秦方面へぐるっと戻ります。

セミオフロード長坂道

京見峠のルートは表道です。裏道がこの古道長坂道になります。古い道で長い坂です。一部の自転車乗りのこころを絶妙にくすぐります。

で、そのいかつい名前は期待を裏切りません。アメイジングなノイズだらけの舗装路です。もうセミオフロードだ!

枝をベキバキ、石をガリゴリかき鳴らしながらラフに遊べます。

グッドグラベル!
グッドグラベル!

路面の状況はそんなですし、道のりは京見峠より直線的で峻厳です。MTBにはぬるい道ですが、ドロハンにはちょいハードです。オールロードには絶好です。

人通り、車通りはほぼありませんが、たまに奇特なハイカーやウォーカーは来ます。眺望はからっきしです。徒歩におもしろいコースではありません。

京都市内を一望できません
京都市内を一望できません

はせがわの奥からハイキングコースの京都トレイルに入れば、まさに京都市内を一望できます。

八幡木津自転車道線

嵐山の渡月橋から木津の泉大橋までの45kmが八幡木津自転車道線です。背割提までの区間が淀川サイクリングロードとかぶります。

つまり、さくらであい館はけいはんなのサイクルロードの三つの起点からちょうど中間にあります。どしどし利用しましょう。

背割提から泉大橋までは自転車歩行者専用道路です。車止めのすくなさと路面のきれいさが光ります。ノーストップで20kmオーバーのライドが可能です。

目印は道路の両端の白線です。これに従えば迷いません。

終点の泉大橋と木津川市には見どころがありません。ふつうのひなびた街です。駅前に行けば、食べログ評価3.5オーバーのパンとラーメンにありつけます。

あ、そうそう、大水のたびに流れる流れ橋はこのコースの最初の方にあります。ぼくはこのサイクリングの日にはすっかり見逃しました。

まあ、晴れの日の流れてない流れ橋はふつうのぼろい橋です。

ゴールの木津川市は奈良市の北隣の街です。ここからすこし南下すれば、奈良の都心、東大寺や若草山の奈良公園へたどりつけます。

鹿注意、略してシカチュウ
鹿注意、略してシカチュウ

そのほかの奈良行きのルートはことごとく峠越えになります。木津川沿いは周辺の川沿いサイクリングコースのなかではもっとも明快で快適です。

シカは奈良公園にうじゃうじゃいます。みんなが草に夢中で、こっちを見てくれません。人なれしすぎでしょう。箕面の鹿はもっと神経質だぞー。

鹿のむれ
鹿のむれ

京都市内観光サイクリング

終日自転車走行禁止エリアは河原町と市役所前に集中します。ここを避けて、ぐるっとめぐりましょう。

金閣寺、御所、伏見稲荷、東寺、そして、世界のニンテンドー本社て聖地巡礼のモデルコースです。このルートで約25kmです。

マリオ神社以外には駐輪場があります。金閣寺だけが拝観料を取ります。伏見稲荷、御所、東寺は無料です。

そのほか、京都天満宮、二条城、御金神社、八坂神社、清水寺etcetcていろいろ追加できます。歴史好きにはテーマパークのようなものでしょう。

京都市内のサイクリングコースでした。