自転車の足元のシステムはおもに3種類です、チューブラー、クリンチャー、チューブレス。スポーツバイクのシーンやシチュエーションでシェアは分かれます。
一般ロード、ママチャリ、クロスバイク=クリンチャー
プロロード、シクロ、トラック=チューブラー
MTB、オールロード=チューブレス
ピークを過ぎたチューブドクリンチャー
ぼくはミニベロのカスタムでふつうのチューブから軽量チューブへの通過儀礼を済ませました。TIOGA UL、パナレーサーR’AIR、そして、なんちゃってチューブレスを試します。
その後、メイン機がMTBになりまして、必然的にメインホイールがチューブレスになりました。が、サブバイクはチューブラーだったり、チューブレスだったり。
たまにMIXモードが出ます。前チューブラー、後ろチューブレスとか。

世間一般チャリダーがおもに愛好するクリンチャーシステムはうちのチャリ環境ではサブのサブ、マイナーのマイナーになります。
で、軽量タイヤや軽量チューブへの関心と必要性が一時よりうすれましたが、2018-2019のクリンチャー界の超新星がにわかに心をくすぐりました。
はい、すっかりメジャーなTubolitoのチューブですね。

となりはRevoloopです。クリンチャーユーザーのあいだでは有名な新世代軽量チューブです。
え、知らない? ほんとにクリンチャーユーザーですか? 軽量チューブに興味がない? ほぴー?!
50gで王座を狙えた旧世代チューブ
一昔前までラテックスの軽量チューブがクリンチャー界を席巻しました。熱心な軽量化信者がこれを買い求め、カーボンリムで溶かすとか噛みこみで一発KOするとかしました。
ぼくもシクロチューブラーをやっちまいました。奈良と大阪の間の清滝峠で前後バーストパンクの悲劇が起こりました。
で、破裂したDUGASTのハンドメイドチューブラーのインナーチューブは白いラテックスでした。

ちなみにラテックスてのは天然ゴムのことです。原料はゴムの木の樹液ですね。こんなふうに樹皮をエモンダして採取します。
パンク防止剤のシーラントの白い液もこのLATEXのたまものです。おかげでLATEX系のシーラントはなまぐさい香りを発します。もとが木の汁、樹液ですから。
で、この樹液製の天然ゴムのチューブがラテックスチューブです。Vittoria、SOYO、Vredestein、Michelin、Challengeなどのタイヤ屋が販売します。
反対に一部のメーカーはラテックスチューブには消極的です。Schwalbeは公式のQ/Aで「うちはブチルチューブしかしない」て宣言します。
そのため、Schwalbeのチューブラーのインナーチューブはブチルです。これはシュワルベワンチューブラーの中身です。

ブチルは基本的に黒、ラテックスは基本的に白です。まあ、色付けは可能ですけど。
元王者のSOYOラテックス
国内のユーザーのあいだではSOYOのラテックスチューブが人気です。ここは競輪タイヤのしにせです。シームレスのSOYO GOLD STARなどは2万の超高級品でトラックプロ愛用です。
競輪選手は自腹でこれを買って、ちょろっと使って、すぐにポイします。公営競技の規定はタイトです。金が動くから。ちょっとの瑕疵が車検にひっつかかる。
ラテックスは天然ゴムです。これは外気や日光で劣化します。SOYOはそれを考慮して、日本メーカーらしい過剰包装でラテックスチューブを厳重に梱包して、こだわり派のチャリダーをうならせます。
その分、SOYOラテックスは名前違い同一品のVredesteinのラテックスの倍ぐらいの価格になりますけれども。BS EXTENZAチューブとTIOGA ULチューブの事情に似ます。
また、ラテックスの全般が無条件で超軽量ではありません。VittoriaやMichelinのものは70-80gです。計量ブチルやパナレーサーのRairとイーブンです。

50gのコンチSuper Sonic
ブチル系の最軽量はContinentalのSuper Sonicチューブですね。

SOYOが48gで、これが50gです。キャリパーブレーキ用のカーボンリムにはラテックスがNGです。その代替の最有力候補がこいつです。が、国内流通がありません。海外通販頼みです。
結局のところ、軽さはチューブの厚みによります。で、旧来の化学ゴムや天然ゴムの限界値が50g前後です。
経験上、70g以下のチューブの耐久度はかんばしいものじゃない。ぼくはチューブレスのスペアにするなら、ふつうの100gのやつにします。

新世代チューブはポリウレタン
そんなふうに50g前後で最軽量の栄冠を争った軽量チューブ界がポリウレタン系チューブの登場で激変しました。
パイオニアがTubolitoです。ここはオーストリアの新興ブランドです。2017年の後半に顔見せが始まって、さきにMTB用が出て、2018年4月に700C用のデリバリーが始まりました。
で、これがその実物です。

右のオレンジ色がTubolitoです。左が70g/700円の超コスパ計量ブチルのTIOGA ULです。
そして、まんなかの白いのがおなじみのREVOLOOPです。え、知らない? 反クリンチャー派ですか? REVOLOOPですよ? 軽量チューブに興味がない?
て、まあ、ぼくもつい先日までこのREVOLOOPのイニシャルをすら知らなかったけど。海外サイトのBIKERUMORのTubolitoの記事内のユーザーのコメントでこいつの存在を知りました。
こちらのREVOLOOPの製造元はTPUplusてドイツのアーヘンの熱可塑性ポリウレタン屋さんです。アーヘンはベルギー、オランダに接する国境の地方都市です。世界遺産のアーヘン大聖堂が名物です。
で、たまたまドイツ系ストアのBike ComponentsにHOPEのブレーキパッドとSRAM GX EAGLEの特価を見つけまして、そのついでにこの新世代ポリウレタン系のチューブを買い求めました。
Tubolito 700cのカタログ値は38gで、REVOLOOP 28は39gです。はい、ラテックスチューブは終了しました。一気に-20%の軽量化です。SOYOやSuper Sonicが重量チューブに押しやられます。
バルブが化学素材
軽さの秘訣はここです、バルブ。これが金属じゃありません。

Tubolitoはチューブとおなじポリウレタンバルブ、Revoloopは樹脂のようです。素材の都合でねじみぞはありません。Vittoriaのチューブみたいなツルペタバルブです。
この二つは構造的にはほぼおなじです。特許はどうでしょう? Tubolitoの専売ではない? デビューの時期もかぶります。なんらかのコネやつながりはありえます、ドイツ系だし。
無味無臭でぺなぺな
ポリチューブの手応えははぺなぺなのビニールの被膜です。ちょっと丈夫なサランラップみたいだ。ゴム系のもちもち感はしません。無味無臭です。オレンジ味もミルク味もしない。
Tubolitoのオレンジバルブはわりに目立つ・・・
ちなみにTubolitoとRevoloopの売れ筋はMTB用です。チューブレスタイヤの緊急時の予備チューブとして携行するのがトレンディーみたいです。700C用チューブのレビューはレアです。
Tubolitoはオレンジ一色ですが、Revoloopはタイプ別にカラー展開します。黒、緑、白、青があります。
700C用は”REVOLOOP.white für 28″の一種類のみです。40mm、60mm、80mmがあります。
TubolitoとRevoloopの実測重量
さて、自転車パーツのカタログ値は風見鶏のようにさだかじゃありません。実測しましょう。Tubolitoです。

写真は44gに見えますが、実際のメモリは41gです。3gは誤差の範囲だあ? カタログ値はバルブキャップ抜きの計測でしょうか?
REVOLOOPの実測です。こっちは46gに見えますが、実際は43gですね。アナログ計がなやましいところです、タニタめ!

Tubolitoは25ユーロ、Revoloopは20ユーロです。日本円換算はクレカ払い&輸入消費税5%込々でざっと3700円と2800円です。たっか!
Tubolitoの最大の弱点!
ポリウレタン系チューブはゴム系チューブみたいに極端に伸び縮みしません。そして、皮膜は超薄型です。単体で膨らませると、一発でBAN!!しちゃいます。そうゆうログがレビューに多くあります。
きちんとタイヤに入れて、空気を入れましょう。もちろん、取り付け時の噛み込みやヨレやかたよりは厳禁です。
80g以下の薄型チューブはことごとくきゃしゃで神経質です。腫物を触るように扱いましょう。ああ、ミニベロの軽量チューブの思い出がよみがえります。

そして、Tubolitoには致命的な弱点があります。バルブのオレンジははっきり目立ちます! うちのバイクのテーマカラーに合わない! ぴー!

Brytonの差し色もそうですが、オレンジがところどころにぴろってまざると、ふんいきがドッペルギャンガーぽくなりません?
これはボツだ~、お蔵入りだ~。たんすのおくにそっとしまいます。
ふう、REVOLOOPのバルブはシックです。こっちのが日本人には受けましょう。Tubolitoより安価だし。はい、コンチのロゴもオレンジじゃねーか、とかゆわない。

本来の用途は一発勝負やタイムアタックです。しかも、チューブレスのが快適だし、チューブラーのが軽量だ。
この二つのタイヤシステムを使える人には軽量チューブはレビュー用、計測用のネタアイテムでしかありません。か、内輪のイベントレースの景品とか、SNSのフォロワープレゼントとか。
おまけに海外通販の直販がこんな価格です。国内代理店があいだに入れば、Tubolitoが5000円、Revoloopが4000円に跳ね上がっちゃいます、きっと。CRCかWiggleが取り扱わないかな~。
このふたつのファンタジックチューブのあとではパナのR’airが安く見える・・・でも、76gが重く見える・・・
PS・減圧の経過と国内販売
空気圧は最初の24時間で5bar→4bar、つぎの24時間で4bar→3.75barです。ラテックスみたいにばかすか抜けません。常用はぎり可能です。
海外での販売から一年が経って、国内メディアからようやく情報が出て、amazonに在庫が出始めました。
この一例から日本の自転車メディアて周回遅れのオワコンだなってわかります、ははは。まあ、与えられた当たり障りのない情報しか載せないから、スマートにはなるが、精細や速報性を欠く。
軽量クリンチャー派には一考の価値があります。アマゾン価格もぎり許容範囲だし、自分へのごほうびか決戦用に。