ステムはハンドルとフォークを連結するパーツです。和約は『幹』とか『茎』です。百聞はなんちゃらです。横からの画が脳みそを助けます。

ハンドルの位置を変えるときにこのパーツを交換します。こだわり屋さんは複数の別サイズの安いステムを買って、ベストな長さを出します。
ぼくは前傾姿勢を得意にしませんから、おもにMTB系の短いステムを使います。基本的にMTB系はみじかめ、ロード系は長めです。
これはTHOMSON ELITE X4です。サイズは50mmですね。イマドキMTB的には長めです。

ロード風自転車のステム事情
今回、アマゾンの最安のロードバイクを買いまして、Youtubeの動画にしながら、パーツをごっそり入れ替えます。
ただし、余分な出費はNGです。用途がネタ用ですし。で、交換パーツの大部分は以前の機材のおさがりです。ホイール、クランク、ブレーキなど。
しかしながら、ハンドルとステムは一筋縄じゃありません。なぜならこの車体がロードバイク風のスポーツバイク風のチャリだから。

まあ、ぞくにルック車です。ぼくは販売元のオオトモに敬意を表して、「ロードヴァイクス」と呼びます。
ヴィンテージなロード系ルック車
このロードバイク風の日常自転車の構成は現代的ではありません。その実態は日本工業規格=JISの塊です。
その象徴がヘッドチューブとフォークです。この自転車のそれは1インチノーマルサイズです。

1インチ=ノーマルサイズ=25.4mmです。この寸法はスポーツ自転車の世界ではすでに廃れました。現代ではこれはママチャリ、シティサイクルの規格です。

例外は競輪です。競輪の機材は公営競技の特性からガチガチに保守的です。伝統芸能のように古臭さが意図的に保持されます。
主流はオーバーサイズ
現代の標準的なスポーツ自転車のフォークは1 1/8インチ=オーバーサイズ=28.6mmです。略称はOSです。
そして、カーボンフォークやMTBフォークでは強度を稼ぐためにテーパー形状が用いられます。フォークコラムの下側が太くなる。

これより太い1.5=ワンポイントファイブとかそのほかのサイズもありますが、ニッチなサイズです。
現代のスポーツバイクのフォークの標準寸法は28.6mmのオーバーサイズのストレートかテーパーです。コラムの素材はカーボンかアルミです。
25.4mmの時代にはカーボンフォークはレアでしたが、たまに旧式の中古品が出回ります。が、根本がぽきっと折れる報告が過去に頻出します。ビビッて使えない。
ために1インチが廃れて、より大口径な1 1/8インチが生まれ、さらに強固なテーパーが誕生しました。
ステム交換=フォーク交換
大は小を兼ねますが、小は大を兼ねません。オーバーサイズのヘッドチューブに1インチフォークは収まります。アダプターやシムみたいなものがあれば。
他方、1インチのヘッドチューブにオーバーサイズのフォークは収まりません。ちっこい穴にふっとい棒は入らない。物理的にむりです。18禁です、おじょうさん。
てことで、ロードバイクやクロスバイクのOSフォークを1インチヘッドのJISフレームにインストールすることは不可能です。
1インチカーボンフォークは強度面の不安を抱えます。アルミもしかりです。で、結果的にこの規格のフォークは鉄系に落ち着きます。スチールかクロモリだ。
これは別途のSURLYのクールなクロモリフォークです。

もちろん、2万以下の安自転車にこんな上等なものは付属しません。アマゾン最廉価ロードのフォークは最廉価の鉄製品です。

スタイルが30年前です、ははは。推定重量は1.5kgです、ははは…
さいわいうちには上記のSURLYのクロモリフォークがあります。そして、アヘッド化のための小物もあります。フォークの交換は可能です。
これは以前のママチャリのフォーク交換の完成図です。

が、激安ロードをこんなふうにするなら、このママチャリフレームに圧入したヘッドパーツを取り外さねばなりません。めんど!
さらに改造内容が過去の記事とかぶります。これはこのましいことではない。じゃあ、新しいことをやりましょう。
前に見送ったかんたんな方の方法を採用しました。で、このステムエクステンダーをポチりました。

ステムエクステンダー! フォークコラムアダプター! 補助棒!
かんたんアヘッド化のおとも
このステムエクステンダーが1インチフォークのステム交換の定番選手です。ヘッドパーツ入れ替え&フォーク交換の完全アヘッド化は上級者向けですね。
このアクセサリの使い方はかんたんです。ステムを抜いて、こいつを入れます。

JIS1インチのフォークのステムはクイルステムです。このステムの下部はフォークのコラムの上部を兼ねます。つまり、ステムとコラムが一体です。
さっきの画像を見ましょうか。

ふつうのアヘッドステムはこうじゃありません。棒の部分はない。

こっちはあっちにくっつきません。棒がないから! お下がりのステムを使い回しできない。
しかも、このクイルステムのハンドルクランプ径は25.4mmです。これもやや旧式の規格です。現代的なハンドルクランプは31.8mmです。MTBには35mmもある。
てことで、ノーマルサイズのハンドル周りのなにかひとつをアップデートしようとすると、クリーンインストールの必要に迫られます。たいへんだ。
しかし、このステムエクステンダーがあれば、最難関のヘッドパーツの交換が不要になります。

エクステンダーの構造はシンプルです。パーツの下部がクイルステムの形状とおなじもので、上部がオーバーサイズのフォークコラムとおなじものです。
SURLYのクロモリフォークもこの安ロードのフォークの1kgの重量級です。軽量化の効果はびみょうです。とはいえ、1インチのアルミやカーボンは強度的に不安だし。
で、28.6mmの土台を確保すれば、いろんなステムを使えます。ステムを使えるならハンドルを使えます。
めでたくやぼったいアナトミックの式の重いドロップハンドルがアナトミックシャロー式のエアロな中華カーボンドロップハンドルになりました。