ビード上げはメンテナンスやセッティングではありません、上腕の筋トレです・・・と、このあるあるにシンパシーを覚える方はすでにチューブレスタイヤの経験者でしょう。
チューブレスタイヤへの移行はひとえにビード上げの是非に掛かります。
難関ビード上げ
ビード上げはビード=タイヤの耳をリムのふち=ハンプに上げることです。
チューブレス化にはこの作業がともないます。自動車、オートバイのタイヤも同様です。
ビード上げ後のタイヤとリムは下図の右のイメージのようになります。
タイヤとリムで空気を疑似的に密封します。ビードがきちんと上がらないと、すきまが生じて、空気が抜けます。
リムとタイヤをクリーニング
リムとタイヤのクリーニングは基礎の基礎です。ゴムカス、ほこり、繊維くず、なにがしかの粒子、これらは空気の密封の足かせになります。
リムとタイヤを布でからぶきしましょう。
時間を取れるなら、タイヤを洗剤で水洗いして、しっかり乾燥させましょう。
テープをきっちり貼る
くだんのようにスポークホールありのリムには気密テープを貼って、穴をふさぎます。専用のリムテープの粘着力はそんなに強くありません。ぺなぺなです。
空気を押し出すように地道にちまちま貼ります。親指で指圧するようにやるとぴっちり貼れます。
ちなみに通常のガムテープではチューブレス化は不可ですが、防水気密テープでは可能です。
バルブをきっちり締める
バルブの付近は空気漏れや減圧の主犯格です。クリンチャーの要領でやると、100%で空気漏れを起こします。
ゴム台座を親指でぐっと押し込んで、ぎちぎちにリングを締めます。
ビードをリムのセンターに落とす
テープを貼って、タイヤをリムにはめたら、左右のビードをリムのセンターに落とします。
せっけん水を塗る
ビードの滑りをよくするため、密封を促進するため、せっけん水をぺたぺたと塗ります。ぼくは最初にびゃーっと塗りたくっちゃいます。
これをすると、タイヤをはめるときに苦戦します。が、タオルやレバーでぐいぐいやれば、だいたいはめられます。
シーラントを入れる
チューブレスレディ、チューブレスイージー、2wayタイプのタイヤはパンク防止剤のシーラントありきのシステムです。
また、クリンチャータイヤをチューブレス化するのに使えます。これを入れないと、減圧を防げません。一晩でぺこぺこです。
ロードタイヤで30ml、2インチで50mlが推奨です。
バルブコアを外せるなら、この作業をビード上げ後に回せます。
一気に空気を入れる
空気を入れます、一気に。
最新のオフロードやオールロードのものはフロアポンプでぜんぜんOKです。とくに気合を入れずとも、ふつうのポンピングでパンパンできます。
チューブレスNOコンパチブルのクリンチャータイヤはこんなにやさしくありません。たいてい空気がビードからだだもれになります。チューブレスじゃないからネ!
タイヤをむりやり手で引っ張ってビードを部分的に上げる、回しながら空気入れする、壁に掛けてストレスを減らす、ボディソープの原液をかけるetcetcに励みます。
ぼくはこの方法で25cロードタイヤ、30cグラベルタイヤ、2.35インチオフロード軽量タイヤをパンパンゆわせたりました。いずれがピュアクリンチャーモデルです。
秘技・チューブで片方のビードを上げる
最近、ビード上げの新技を開発しました。上記のポイントを抑えて、なおにビードをあげられなくて、苦し紛れに思い付きで試したら、うまくいきました。
先にてきとうなチューブを入れて、ふつうに空気を入れて、ビードを上げてしまいます。それから、空気を抜いて、片側のビードを落として、チューブを抜きます。
はい、新技ワンサイドビードアップです。上がったビードはそうそう落ちません。ここからチューブレスバルブを取り付けて、シーラントを入れて、外したビードをつけなおします。
片側はすでに完封です。じゃあ、単純計算でビード上げに必要なパワーが半分になります。相対的に空気入れのパワーが二倍になります。アメイジング!
コツはチューブを抜くときに片側のビードだけをこっそり外すことです。慎重にちまちま落としましょう。
この技で頑固なクリンチャータイヤがチューブレスの軍門に屈しました。
こういう2インチオーバーをチューブドにしちゃうと、+100gの増量をまぬがれません。超軽量カーボンリムがだいなしです。
チューブレス用空気入れを使う
チューブレスを常用するなら、チューブレス用のポンプを使いましょう。圧縮タンク付きの安価なものがちらほら出始めました。
こんなふうに空気をチャージできます。簡易エアコンプレッサーですね。チューブレスもピュアクリンチャーも一発でパンパーン!です。