爆音派? 静か派? ラチェット音でホイールと乗り手の性格が分かる


自転車のホイール、フロントとリアはニコイチですが、別物です。構造的にフロントのハブの方がぜんぜんシンプルです。軸、ベアリング、ガワで成立します。

 

推定4年放置のフロントハブベアリング

 

軽さや強度やかっこよさの差はありますが、高いのから安いのまで大方がよく空転します。そして、静かです。逆にフロントの異音はなにがしかのトラブルのシグナルです。

 


音の秘密はハブの中の構造

 

一方のリアホイールのハブは複雑怪奇です。こちらには駆動部のスプロケットカセットがつきます。で、おのずとカセットの台座のフリーボディがつきます。

 

SRAM/シマノフリーボディ

 

このフリーボディは3大メーカーで異なります。これはスタンダードなShimano/SRAMのフリーです。ロードバイクやクロスバイクの普及タイプです。

 

MTBやオールロード系の主流はアメリカSRAM社の新規格のXDフリーボディになります。こんなです。

 

Novatec ハブ とXDフリー

 

フリーの先端がオフセットします。この形状のおかげで変速のトップやセカンドに9Tや10Tの小さいギアを乗せられます。

 

こうゆうフリーの形状はUSBとマイクロUSB、iPhoneのUSB Type-Cみたいなものです。フリーでカセットが決まりますから、ギア比、変速数、ドライブトレインの全体がほぼ決まります。

 

で、このフリーボディは台座です、土台です、プラットフォームです。ホイールの回転はあくまでハブの役目です。

 

フリーボディを取り外すと、ハブの核心を拝めます。これはうちのホワイトインダストリーのハブの恥部です、きゃあ!

 

ふつうのラチェット

 

中空のシャフト、シールドベアリング、そして、ギザギザくんが見えます。このギザギザがラチェットです。

 

このラチェットのおかげで自転車は一方方向にしか進めません。フリーボディのフリーは自由、解放て意味です。ペダリングが止まっても、ホイールとハブとフリーは自由に勝手に回ります。

 

対極がノットフリーボディのハブです。ピスト、競輪なんかのギアはこれです。固定ギア、フィックスギアと呼ばれます。

 

16T固定ギア

 

このフィックスギアにはラチェットがありません。構造はシンプルです。『フロントホイールに固定ギアが付いた』みたいなものです。

 

ペダルリング=ギア回転=ホイール回転はつねに連動します。足が止まれば、ブレーキが掛かって、回転が止まります。逆回転でバックできます。

 

往年の人気漫画ブラックエンジェルズの主人公の雪藤がドロハンのバイクを愛用します。序盤でペダル逆回転でバックするシーンがあります。じゃあ、これのバイクは固定ギアです。

 

black angels

 

この固定ギア自転車はラチエット機構を持ちません。必然的にラチェット音を出しません。ラチェット音はホイールの空転時の音ですから。

 

なんでラチェット音がするか?

 

上記の写真のようにハブのなかのラチェットはただのギザギザくんです。音の要素は皆無です。

 

からから鳴るのはこちらです。フリーボディの裏の爪です。

 

チタンフリーと爪の向き

 

3つの爪が見えます。これは解放状態です。このオープンな爪がギザギザくんの返しにひっかかって、ハブを順回転させます。

 

逆回転or空回り時にはこの爪はギザギザくんの縁に当たって、内側に収納されます。

 

ラチェット 左・ペダリング時 右・空転時

 

左のフリー状態が爪のナチュラルモードです。右が空転時のクローズドの状態です。爪がなかに収まります。が、この爪は常にバネの力でそとへ押し出されます。

 

つまり、爪がギザギザのおさえを越えると、遊びの空隙で瞬間的にぱちっとフリー状態になります。そして、またすぐにつぎのおさえでクローズド状態になります。

 

このオープン、クローズ、オープン、クローズ・・・の連続がラチエット音の正体です。

 

ペダリング時の爪はギザギザくんにずっとひっかかります。擬似的、一時的な固定ギア状態です。パタパタ動きませんから、音を出しません。

 

この爪とギザギザのラチェットの形状は各メーカー、各ブランドでさまざまです。ハブ屋の腕の見せ所のひとつです。

 

アメリカンクラシックのラチェットはこんなです。

 

アメクラハブ構造

 

フリーの裏側には爪がありません。細い針金だけがあります。これはハブ内の爪のトリガーです。そして、爪数は六本です。

 

この場合のフリー解放モードはこのクローズドの状態です。ペダリング時に針金がハブ内のくぼみに当たって、爪が外に出ます。ふつうのハブのオンオフとは完全に逆です。

 

安価なハブのラチェットの爪はだいたい3本、ギザギザは30前後です。高級モデルは50とか60です。

 

これは台湾製のなぞハブSS35のラチェットです。MTB用。60Tです。

 

こまかいラチェット

 

で、爪が3段オフセットの6爪です。

 

凝ったハブ

 

さて、ラチェット音はどうなりましょう? 答えは甲高いリール並みの爆音ハブです。ジッィィィィィイ!!! うるせー!

 

爆音好きには乗り物好きが多め

 

ラチェット音はホイールの声みたいなものです。それぞれに個性があります。

 

えてしてオートバイ好き、自動車好き、ドライブ好きは爆音系を好みます。エンジン音的な感覚でしょう。ウィンウィン、ブンブン、ヒィーヤ!

 

ぼくの単車乗りの友だちもやっかましいバイクのエンジン音を「この音がええんや~。味があるんや~」とかほざきます。

 

個人的にはこの爆音系にはぜんぜん賛同できません。爆音エンジンも爆音ラチェットもザ・耳障りなノイズです。ハイブリッドか電気自動車の静けさがジャスティスです。

 

爆音系の代表格がカンパニョーロのホイールです。空転時の音はアブラゼミににた甲高い『ジッーーーィィィ!』て音です。

 

たいていこの音が後ろからすると、フォーマルなルックスの自転車乗りが追い越していきます。そして、信号ストップからの出発時にビンディングを『ぱっつん』と鳴らします。ノイズィー!

 

静か系の代表はマビックです。音は大人しめの『シャーーーー!』で、クマゼミみたいな音です。街中ではそのほかの雑音にまぎれますから、カンパラーほどに目立ちません。

 

シマノハブも静か系です。が、昔のシマノハブはもっと静かでした。わざと音をでかくしたあ?

 

これはGIANTの安クロスバイクROAM3のFolmuraハブのGIANT純正ホイールです。

 

ホイール

 

ラチェット音は絶無です。あまりに静か過ぎて、歩行者に気付かれません。人寂しい河川敷を夜中に走って、ようやく自分で聞こえるレベです。タイヤのノイズのがノイジーです。

 

台湾のシールドベアリング系のコスパハブ群はまあまあうるさめです。マイルドカンパぐらいの音量です。うちのNovatecとDATIのハブ音は良く似ます。

 

最後にいろんなハブの比較動画を紹介します。手組系ですが。