パンク修理のゴムのりの正しい使い方

スポーツ自転車のタイヤは3種類です。チューブラー、クリンチャー、チューブレスです。

トラック競技や競輪ではチューブラーがポピュラーです。競輪は公営競技の伝統と厳しい規則で特定メーカーのチューブラーしか認めません。

オフロード、オールロードではチューブレス及びチューブレスイージーがスタンダードです。シーラントで少々のパンクはリジェネします。

シーラント移し
シーラント移し

一般利用のロードバイク、クロスバイク、小径車、ママチャリではクリンチャーが主流派です。

ピュアクリンチャーのタイヤは気密性を持ちません。空気の保持はチューブの役目です。

チューブを押し込む
チューブを押し込む

で、レーサータイプの車体のチューブは極限まで軽量できゃしゃです。

ブチルチューブの最軽量は50g前後、ラテックスチューブが40g後半、ポリウレタンチューブが30-40gです。

必然的にこれらはちょっとやそっとでパンクします。休日にサイクルロードをざらっと流せば、よくパンク修理の場面に出くわします。

てなわけで、ロードバイク、ロード系クロスバイク、ミニベロロード、細軽タイヤをこよなく愛するチャリダーさんにはパンクの不安が付きまといます。

出先の修理はめんどうですし、屋外の作業はアウェーです。チューブ交換がけんめいです。で、『あとで直そう~。家でやるわ~』て宣言して、たなに置いて、すっかり忘れます。

このうらみが世界中から集まって、もったいないおばけの一種、想像上の『パンクの悪魔』を具現化します。

軽量チューブのパンク修理

ブチルチューブの修理方法はシンプルです。パンクの個所をゴムパッチでふさぐ。これだけです。ロードの軽量チューブからママチャリの肉厚チューブまでおなじやり方を使えます。

ラテックスチューブやポリウレタンチューブは別です。基本的にパッチはチューブと同じ素材です。ブチルのパッチをラテックスに、ポリウレタンの切れ端をゴムに・・・みたいなのむりです。

が、自転車チューブの99%はふつうのくろいゴムチューブです。パッチはダイソーや100均ショップにあります。

パンク修理の道具

今回のパンクチューブは一般的なスポーツバイク用の軽量ブチルゴムです。町の自転車屋やホームセンターの自転車コーナーで一切を調達できます。

パンク修理セット

  • タイヤレバー(へら)
  • 荒い紙やすり
  • パッチ
  • ゴムのり

と、水 in せんめんきです。

紙やすりでチューブを荒らす

手始めにパンクの周囲を紙やすりで荒らします。表面積の倍増とゴム地の露出のためです。

パッチ < 荒らし面です。広めにやりましょう。縦横斜め、円三角四角…みたいに不均等な線を入れます。

ゴムのりは瞬間接着剤みたいにカチカチにならない。一定の粘り気は残ります。でないと、修理箇所のしなやかさが失せる。

ためしにやすり掛けなしでパッチを貼ると、速攻でぺろんちょできます。修理箇所の荒らしはだいじな下準備です。

表皮を荒らして、表面積を増やし、ゴムの中身を露出させ、そこにゴムのりを浸透させます。

汚れをとる

荒らしのゴムかすや油分は接着材の敵です。水でさっと洗って、からぶきします。

このとき、穴がどぼんて浸かると、水がチューブの中に入ります。水抜きがめんどくさくなります。濡れぶきん&ワイプオールがベストです。

ゴムのり≠接着剤

水気をとばして、ゴムのりを塗ります。

ゴムのりを薄く延ばす
ゴムのりを薄く延ばす

ぼくはハケとかヘラとかをいろいろ使いましたが、薬指に落ち着きました。もちろん、ワイプオールで事前に指先をカピカピのからからにします。

このあと、のりをきちんと乾かします。これはパッケージの注意書きにあります、「よく乾かしましょう」て。

ゴムのりはグミやジェルやスライムみたいなものです。空気と時間で完全には硬化しません。のり=接着剤=アロンアルファ! の連想ゲームをわきに置きましょう。

やはり、乾きを指でたしかめます。べたつきを感じなければ、パッチをぺたっと貼れます。

パッチをぺったん

で、へらでみっちり圧着します。この圧着がゴムのりのキモです。つまり、ゴムのりは接着剤でなく、圧着剤です。

パッチとチューブとゴムのりの拡大イメージがこうです。

ゴムのりの貼り付き方
ゴムのりの貼り付き方

パッチの接着面には最初から微小な凹凸があります。チューブにはこれがありませんから、荒らしの作業が不可欠になります。

で、パッチとチューブの表面のすきまに入り込んだゴムのりが圧着の広がりから縮んでそれぞれを吸着します。さらに圧力で反応が起こって、ゴム同士が溶けて癒着します。

ですから、つるつるのチューブ+つるつるのチューブはぜんぜん貼り付きません。ゴムのりのモリモリべた塗りもおなじことです。

チューブの表面を荒らして、のりを薄く延ばして、パッチを圧着する。これが上記の理想的なイメージの状態を生み出します。

このゴムのりの仕組みを知らずに、瞬間接着剤感覚でどぶどぶ盛っても、うまく貼り付けられません。

荒らす、薄く延ばす、圧着する、それぞれに意味があります。

洗面器に浸ける

最後にチューブに空気を入れて、洗面器に浸けます。

ロード用の軽量ブチルチューブはほんとにきゃしゃです。パッチの厚みがチューブに勝ちます。バランスはやや崩れますね。

最後の審判者、洗面器&水です。

失敗がまるわかり
失敗がまるわかり

だだもれでございますわ! 

それから、このパッチがチューブに幅広・・・てか、18ー25cのチューブがやたらと細身です。横幅がパッチより手狭です。パンクの箇所次第で貼り付けがむずくなります。

結局、はしっこのオレンジの部分を切って、貼り直しました。