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ラテックスチューブ ブチルとの違いや重量比較

スポーツバイクのタイヤの種類は3つに分かれます。チューブラー、クリンチャー、チューブレスです。ホイールの型番のTU、CL、TLはこの略称です。

左・チューブラー 中・クリンチャー 右・チューブレス断面図
左・チューブラー 中・クリンチャー 右・チューブレス断面図

チューブレスを展開しないモデルではTがチューブラー、Cがクリンチャーです。チューブラーのがレース用で本格派ですが、クリンチャーより安くなります。リムの形状がシンプルですから。

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この10年のロードはクリンチャーの時代

ちまたのオンロードバイクのタイヤの使用率は1:8:1の割合になります。クリンチャーが多数派です。古参ユーザー=チューブラー、新し物好き=チューブレス、ふつうの人=クリンチャーみたいな感じです。

一転、オフロードのタイヤは1:1:8になります。チューブラーとクリンチャーはマイナーです。安いアルミホイールから高いカーボンホイールまでことごとくチューブレス互換です。

最近のオフロードのカーボンホイールはこんなHOOK lessタイプです。リムのサイドの返しの部分がそもそもありません。

ニップル穴なしでテープレスリム
ニップル穴なしでテープレスリム

このおかげで構造がシンプルになって、強さと軽さが両立します。つい先日、中華サイトで29er用の280gの超軽量リムが出始めました。軽! ひさびさに大物の購入意欲がわきました。

市販のロードバイク、クロスバイク、ミニベロ、折り畳みのホイールとタイヤはほぼクリンチャーです。オフロード以外のスポーツバイクの標準装備です。

しかし、これはせいぜいこの10年前後の一世代の潮流です。それ以前のロードバイクのタイヤの基本はチューブラーです。そして、ホイールは手組です。

工場・メーカーの完組ホイールとクリンチャータイヤ高性能チューブは間違いなくこのロードブームの普及の功労者でしょう。

これが手組ホイール、チューブラータイヤのままであったらば、多分にこの爆発的普及はありえなかった。ライトユーザーには手軽さこそは正義です。

ロードのクリンチャー化の立役者はフランスの名門タイヤ屋のMichelin社です。チューブラー一色だった業界をクリンチャー一色に染め替えました。まさにエポックメイキング。

が、近年の同社の人気はライバルのコンチネンタルやヴィットリアに負けます。また、過去の栄光からかチューブレス互換には消極的です。高級タイヤPOWERのチューブレス版が待ち遠しいところです。

クリンチャーチューブの種類

クリンチャーに不可欠のものはチューブです。タイヤとチューブはニコイチです。一方だけでは機能しません。

MAXXIS DOLOMITE 23c KENDA Tube 23c
MAXXIS DOLOMITE 23c KENDA Tube 23c

と、リムテープです。ニップル穴とチューブの噛みこみを予防します。交換の目安は一年です。ちなみにこれはZEFALの綿テープです。バンデージ風の素材感がお気に入りです。

ZEFALコットンリムテープ
ZEFALコットンリムテープ

ラテックスてなに?

さて、上記のまっくろいチューブはごくごくふつうのクリンチャー用チューブです。素材はブチル、合成科学ゴムです。おおもとは石油です。げんみつにはゴムじゃありません。

反対に正真正銘のオリジナルゴム、植物由来の天然ゴムがラテックスです。おおもとはゴムノキの樹液です。

新鮮なものは白い液で、時間と温度で凝固します。さらに一週間ほどでベージュのゴム色になります。こんなふうに採取します。

latex 取り方
latex 取り方

ラテックスの固着力は強力で、パンク防止剤のシーラントに使われます。これはおなじみSTAN NOTUBESのシーラントの記載です。NATURAL LATEXの文字が見えます。

ラテックス入りシーラント
ラテックス入りシーラント

植物は樹液は動物の血液に当たります。表皮の傷をいちはやく防いで、貴重な体液の流出を止めるために外気で凝固します。

ですから、シーラントの入れ物のふたの開けっぱなしはNGです。LATEX成分がなかで固まっちゃいます。取り扱い方はのりや接着剤と一緒です。

また、シーラント入りのタイヤをエア入れするときにはバルブを上にします。バルブを下にして空気を入れると、下に降りてきたシーラントに高圧の空気を吹きかけちゃいます。

これは接着剤をふうふう乾かすようなものです。空気の流れでシーラントの凝固が促進します。チューブレス派は気を付けましょう。

天然ゴム製ラテックスチューブ

この天然ゴムの樹液製の自転車用チューブがラテックスチューブです。ラテックスチューブ自体は大昔からあります。ブチル以前のゴムはラテックスです。

自転車の高性能チューブラータイヤのインナーチューブにはしばしばラテックスチューブが使われます。SOYOのものが有名です、おもにそのぶっちぎりの価格で。

他方、シュワルベは公式のQ&Aでラテックスの提供を否定します。”What is a bicycle tube made of? “の”What are the advantages of latex tubes?”のアンサーの原文と機械翻訳の一部です。

  • In addition, latex tubes are very delicate and susceptible to oil, daylight, heat and uneven expansion. The tube must also be replaced every time a tire is changed. Because these sensitivities lead to many problems in the field, we do not offer latex tubes.
  • さらに、ラテックスチューブは非常に繊細で、油、昼光、熱および不均一な膨張の影響を受けやすい。また、タイヤを交換するたびにチューブを交換する必要があります。これらの感度は現場で多くの問題を引き起こすため、ラテックスチューブは提供していません。

油、光、熱は分かります。不均一の膨張はすこしなぞです。そして、タイヤ交換のたびにチューブ交換のワードが注目です。

このシュワルベの文面ではラテックスチューブの修理や継続使用は非推奨です。一回きりの使い捨ての高級機材です。

実質、シュワルベのチューブ単体、チューブラーのインナーチューブはブチル製です。

schwalbe one チューブラー推奨空気圧
schwalbe one チューブラー推奨空気圧

そして、このシュワルベはチューブレス化に積極的です。ロードからミニベロからグラベルまでチューブレスイージータイヤを一大展開します。

かように各タイヤメーカーの方針はまちまちです。

弱点いっぱいラテックス

シュワルベのQ&Aのようにラテックスチューブはたくさんの苦手属性を持ちます。油、熱、光がNGです。使用から保管までせんさいな取り扱いが必要です。

保管の気配りを包装で見せる販売元がSOYOです。ここのラテックスチューブはええところの箱入りむすめのごとく遮光性の銀シート入りでやってきます。

まあ、もともとが樹液です。それを極薄のシート状にして、チューブに加工します。せんさいさが容易に思いうかびます。タフなおかんにはなりえません。薄明の美人です。

ラテックスチューブの長所

天然ゴムのラテックスの長所は弾性です。合成ゴムのブチルより高弾性、高伸縮です。ゴムゴムの実の能力者のようにびよびよ伸びます。

おなじくシュワルベのQ&Aから引用しましょう。

  • ラテックスから作られたチューブは、通常のブチルチューブよりも弾性があります。これにより、彼らはより簡単にロールバックされます。それらの最大の利点は、高いレベルの  穿刺保護にある。 高弾性ラテックス材料は、穿刺するのが非常に困難である。

黒太字がキーワードです。原文では”puncture protection“です。パンク保護、耐パンク性能です。ラテックスはとがったものにはばつぐんの強みを発揮します。あれ、ルフィはエネルに槍で刺されなかったあ?

一部のゴムの木のラテックスはチューインガムのベースの材料になります。チューインガムはかなりの大きさまで膨らみます。うすくなって、半透明状になっても、なかなか破れません。あの伸縮性です。

しかし、このパンク保護性能はブチルからの相対的な強さであって、シーラント+チューブレスの絶対的な無敵度には見劣ります。

むしろ、耐パンク性能でラテックスを選ぶ人はまれでしょう。ラテックスx1は安ブチルx2にリスクヘッジ面から金銭面からぜんぜん勝てません。

パンクはしないが、空気は抜ける

くだんのようにラテックスチューブはハイレベルのパンク保護を有します。リム打ち、鉄片、ワイヤー、ガラス踏みみたいな不測のアクシデントは朝飯前です。

じゃあ、気楽にラフに速く走れるか? て期待がかかりますが、素材の特質からおのずと使い勝手が最悪の部類になります。

ラテックスゴムの分子はブチルゴムの分子より大型です。で、この分子間の隙間から空気がじわじわ抜け出します。

減圧の目安は一日で1-3barです。12時間で0.5-1.5barです。高圧のロードタイヤではこれは重大な問題です。まじで朝と夜で乗り心地が変わります。

ブチルはここまで極端に減圧しません。てか、このラテックスチューブの減圧の問題を安全面とコスト面で解決したのがブチルチューブです。安価で丈夫。

エア抜けの対策はラテックスのチューブを厚く太くすることです、シンプル。が、これはラテックスの最大の決め手を失います。そう、軽さです。

さらにカーボンOK、30gのポリウレタンチューブのせいでラテックスの王座の地位があやぶまれます。

TubolitoとRevoloop
TubolitoとRevoloop

50g台の超軽量 SOYOとVredestein

ラテックスチューブの市販品は限られます。NJS印のSOYO、イタリアVittoria、フランスMichelin、オランダVredesteinの4社がラテックスのおもな販売元です。

SOYOとVredesteinのカタログ重量は最軽量の48g、50gです。SOYOの在庫はそこそこありますが、Vredesteinは主要海外ストアではのきなみOUT OF STOCKです。1200円~で買えたのに!

実質、チューブの本体はSOYO=Vredesteinです。製造元はおんなじです。ちがいは販売元、箱、包装、専用パウダーの有無です。過剰包装は日本企業のお家芸です、ははは。

うーん、SOYOの製品は全体的に高級指向です~。ロードバイクが少数生産の工芸品だった前世紀のおくゆかしさを感じさせます。イマドキのスポバイの感覚では気軽じゃない。

MichelinとVittoriaのものはこれより重くなって、70-90gになります。空気の抜けは改善しますが、重さの優位性は悪化します。

じゃあ、いずれがPanaracerのR’AIRに及びません。パナのR’AIRは軽量チューブの定番選手です。ロードレーサーからミニベロまで幅広いラインアップがあります。

Panaracer Minit系の細タイヤとR’AIRチューブのパナパナセットはミニベロロード乗り、小径車の軽量化の通過儀礼です。

18-23 700c用のR’AIRのカタログ値は65gです。ちょうどふつうのブチルと軽量のラテックスのあいだの数値になります。

転がり抵抗や乗り心地はラテックスに負けますが、フロント+リアのチューブ交換で50gの軽量化をはたせます。

しかし、チューブの品質はまちまちです。バルブ付近のパッチが神経質です。

RAIRバルブ付近のふくらみ
RAIRバルブ付近のふくらみ

普段使いの耐パンク性は優秀です。R’AIRのパンクは記憶の限りで一回だけです。転がりの軽さや乗り心地はふつうです。

R’AIRはたびたびの値上げで価格面のメリットはうすれました。SOYOの高さの後では割安に見えますが、ふつブチルの約2.5倍の価格です。

Vittoriaのラテックスがおすすめ

手頃にラテックスを試すなら、Vittoriaのものをおすすめします。ここのラテックスチューブは公称は75g前後です。

軽さは最軽量のラテックスやR’AIRには負けますが、ノーマルなブチルには勝ります。そして、パンク保護と乗り心地、転がり抵抗の軽さを手軽に格安で体験できます。

Michelin製のは1000円オーバーで、おまけに90gです。イマイチさが先に来ます。重いラテックスチューブは無意味です。

乗り心地を変えるなら、タイヤ幅をクリアランス一杯までワイド化するとか、ブチルをぎりぎりまで低圧化するとかで対応できます。

でも、市販品の全モデルを買っても、1万円以内の出費で済みます。マニア向けの圧倒的ニッチ商材です。タイヤはそうかんたんに行かない。