以前、ロードバイクのピスト化に伴うパーツの余剰でママチャリがエアロなドロップハンドルになるとか、SRAM x CAMPAGONOLOのなんちゃって11速になるとかします。
そのあと、諸事情からこのママチャリがおくらいりなります。チャリ部屋のこやしとなって、ほこりをかぶります。
ママチャリ改造再始動
こんなていたらくを見かねて、さらに夏の暑さに半狂乱になって、前々からのアメイジングな計画を再始動します。それはBB交換とクランクアップデートです。
現在のものはふつうのスクエアテーパーのシングルクランクです。Miche Advenced、トラッククランクです。
伝統的なトラッククランクのBCDは144です。で、5アームの5ボルトです。チェーンリングの歯数は47Tです。で、タイプはシングル用の厚歯です。
ふつうのママチャリにはぜいたくなクランクです。が、うちの異常な車体にはややパンチ不足です。ブームでロードパーツが五万と出回ります。ママチャリロード化はもはや陳腐でありきたりです。
BCD144の薄歯リングは骨董品
BCD144の5アーム、この仕様の市販品はトラッククランクのみです。つまり、固定ギア用、シングルスピード用です。ギアは厚歯だ。
厚歯のギアの歯は多段用チェーンには収まりません。クリアランスがぜんぜん別物です。歯のかかりがあさくなって、ちょろいトルクでかんたんに外れます。
で、このシングル系の厚歯リングを使うと、多段チェーンを使えませんから、シフトチェンジできません。また、1速用のチェーンは多段スプロケットの歯と歯の間に挟まります。
解決策はリングの交換かクランクの交換です。しかし、BCD144の5アームの薄歯リングはヴィンテージになります。数世代前のデュラエースやレコードの美品やデッドストックがたよりです。
二つ目はクランクの交換です。安価なクロスバイクや小径車のクランクはだいたいスクエアテーパーです。BCD104やBCD110やBCD130がメジャーです。
これは典型的なクロスバイクのBCD104の4アームです。
リングの選択肢はよりどりみどりです。これを安く調達する。
三つめが回転系の総とっかえです。スクエアBBを外して、中空シャフトのクランクをインストします。
幸か不幸かMTBの12速化に伴うパーツの余剰で超剛性のキュウリがジャンクボックス行きとなります。
ねじ切り用中空BBは手配ずみ
正直、この構想は大昔に決定して、あらたなBBが大陸からやってきます。ねじ切りシェル用の中空型BBです。
シマノのホローテックII型BBの30mmスピンドル用です。硬いキュウリの軸が30mmです。BBがこれに準じます。
RACEFACE ATLAS Cinchです。ごりごりのMTB用のアルミクランクです。海外の手練れはこれを両手持ちして、グリズリーと渡り合うとか渡り合わないとか。
10000km/1年でギアの歯は摩耗します。ちなみにリングはabsoluteBlackのfor Cinchの非BOOSTです。つまり、オフセットは一般的な6mmです。for BOOSTリングは3mmです。
1xのフロントシングルは一枚きりです。ロードのインナー+アウターのようにへたれがばらけません。交換の時期が明白です。
で、このおさがりはオフロードにはちと不安ですが、スーパーの買い出しにはぜんぜんOKです。
カンパ型カップの難
こんなふうにBBとクランクは準備万端です。スクエアテーパーのクランクとBBを外せば、5分でママチャリを1x OVAL Narrow Wide Direct Mount Chain Ring化できます。ながい仕様だ・・・
しかししかし、このスクエアテーパーのBBがくせものです。
MicheのBBです。クランクの付属品です。MADE IN ITALYの刻印が男心をくすぐります。”R”の表記のようにこれが右カップです。
汎用ロックリング工具が×
ねじ方向はBSA=逆ねじです。ふつうのスクエアBBのように見えます。が、カップのソケットが特殊です。なんとカンパニョーロタイプです。ソケットのミゾがシマノ/SRAM系よりやや浅めです。
ためしにラジオペンチでこのカンパタイプのカップに挑みますが、野ざらし雨ざらしのBBのトルクに跳ね返されます。
取り付けのときにはするする入ったのに!
シマノ/SRAM系のロックリング工具はピンのせいではまりません。クランクのシャフトが寸前でじゃまします。歯が溝に届かない。
で、おかげでしばらくこのBB交換は手付かずでしたが、ウエパー本店でようやく安い工具が見つかりました。
はい、カンパ用のBBカップ工具です。現行のカンパニョーロのBBはウルトラトルクです。大半のカンパユーザーはこれをスプロケットのロックリングに使います。
空前絶後のカンパ用スクエアBB外し
ママチャリのBB外しにこれを使うのはチャリの歴史的に非常なレアケースです。貴重な光景です。
ぴったりですね。工具がこんなふうにはまれば、シマノ/SRAMのロックリング外しもOKぽく思えます。みぞの数はおなじ12個ですし。うちのピン付きのものはこんなふうにはまりません。
ソケットレンチのT型スライドハンドルをセットします。イタリア製のBBですが、ITAのBBではありません。じゃないと、JISの申し子のママチャリにはくっつきません。右カップは逆ねじです。
約10か月の雨ざらしの屋外駐輪で固着が不安でしたが、カップはすぐに回りました、ラッキー。で、案の定、ドライブ側のグリスの方がでろでろに汚れます。チェーンめ!
MicheのスクエアBBの近影です。カンパ式のカップはさびませんが、本体のはしっこが錆び錆びします。カップはアルミだあ?
で、魔法の拭き取り紙ワイプオールでフレームのシェルをふきふきします。ここのところ、圧入BBのメンテばっかりでねじ式はひさびさです。
この一事からねじ切りBBの整備性神話はぼくのなかではすでに過去のものとなります。圧入BBのメンテのがぜんぜんらくちんです。
ねじ切り用中空BB取り付け
さて、悲願の中空BBを取り付けましょう。外見はホローテックIIににますが、中身は別物です。カップの外形がホローテックIIカップ外しに入りません。
こんなときには緊急コード”MBHT”を発動しましょう、マイベストハンドトルク、ザ・手締めです。「きゅっきゅっきゅっ! もひおつおまけにきゅっ!」ってします。
ワッシャとプリロードで遊び埋め
で、シャコッとクランクを通します。もののみごとにシャフトの遊びがでます。
これは想定内です。このクランクはMTB用です。BB92が最適サイズです。ロードフレーム+圧入BBやBSAねじきりシェル+カップにはジャストワイドです。
しかも、ママチャリのフレームのBBシェルは特殊サイズです。70mmですね。幅の数値だけはITAみたいです。でも、ねじ方向はBSAです。
はたして、大は小を兼ねます。てきとうなワッシャをぶちこんで、左クランクアームのプリロード機構で調整しましょう。
最近のオフロード系のパーツのトレンドはアジャスタブル、可変式です。『使えれば使える、使えなければ使えない』を地で行きます。
1xママチャリの母体が完成
そんなわけでイマドキスタイリッシュなママチャリが誕生しました。フロントシングルナローワイドダイレクトマウント楕円チェーンリング仕様です。冗長!
トレンディー! アルミのぶっといダウンチューブとMTB用のアルミの30mmスピンドルクランクです。構造的には最強クラスの剛性です。ガッチガチ!
楕円リングがペダリングを助け、より効率的なスーパーのはしごを可能にします。手持ちのパーツを使えば、ここからドロハン化、フラットバー化、シングルスピード化、ピスト化、11速化できます。
しかし、ドロハン化して外置きすると、なんかちょくちょくいじられます。いたずらとパクリのかっこうの的です。うちの近所では危険です。