ペダルは自転車パーツのなかで最大のダイレクトでストレスフルな部分です。シューズでがしがし踏まれて、ビンディングでごつごつ足蹴にされて、石や段差でがりがり削られます。消耗品です。
でも、ペダルはがんじょうですから、タイヤやチェーンみたいにこまめに扱われません。むしろ、がたがたにぶっ壊すのが自転車乗りの勲章です。ボロボロのペダルは走りこんだ証です。
ぼくは過去に一度だけペダルのシャフトをべきっと折っちゃいました。ドッペルギャンガーの付属品の安い折り畳みのペダルです。ノーメンテ、野ざらしでラフに何年か乗った末の出来事です。
スポーツバイクでは不調や不具合よりフィーリング、乗り心地のイメチェン、軽量化、ビンディング化、フラット回帰みたいなことが交換の理由になります。
げんにぼくはこの二年でペダル交換を何度かしますが、クロスバイクのフルオーバーホールのときにすらペダルのメンテをスルーしました。なんか忘れてしまう・・・
で、たまたま過去の記事を整理して、チタンシャフトのペダルの購入のログを見つけます。日付は2016年10月です。そろそろ1年です。
ペダルの交換と購入の記事はありますが、メンテの記録がありません。じゃあ、この機にペダルのメンテとクリーニングをしましょう。
ペダルのナットにはソケットレンチ
くだんのペダルの状況です。
メインの街乗りグラベルMTBの足元をかざります。先代のメインバイクのミニベロ『ペガサス号』の形見です。
プラットフォームはマグネシウム、シャフトはチタニウムです。ペア170g、片側85gの最軽量級のペダルです。
踏み面の広さが幅広べた足のぼくはすこし物足りません。ピンの食いつきはGOODです。おかげでサンダルのソールがべこべこになりました。
ペダルの取り外しは過去の記事にあります。左は正ネジ、右は逆ネジ。左右のいずれが外側から見て進行方向で締まる。ペダル交換のための最重要の合言葉です。
で、外しました。
ガリが目立ちます。いくらかは淀川サイクルロードの車止めのツメアトです、ははは。そして、ピンの何本かが行方不明です。なにかにHITしたときに落としたか。ピンはわりとなくなります。
それから、右のペダルのキャップです。これは購入から数日で早々に消え去りました。このキャップはほんまに行方不明の優勝候補です。高確率でどっちかがいつのまにか雲隠れします。
げに新品のペダルのネジ系のトルクはアバウト・ルーズです。回転の滑らかさが左右でぜんぜん違う! てのもペダルあるあるです。
奇跡的に残った左のキャップはゆるゆるでした。六角レンチを持ち出す前に手でぽろっと外れます。首の皮一枚だあ!
シャフトの外側エンドのナットを外しましょう。自転車の整備ではとみに珍しいソケットレンチの出番です。たまたま8mmがぴたっとはまりました。
この左ペダルのナットは正ネジです。左回しで緩みます。が、そのまま緩めようとすると軸を一緒にぐるぐるさせちゃいますから、アーレンキーでシャフトの反対側を抑えます。
はい、ぶじに外せました。
このナットはそんなにガチガチじゃありません。ガチガチのナットはたいがい固着です。左ペダルではネジ方向は正ネジで確定ですし。後述のように右ペダルは別ですが。
プラットフォームの中を見ましょう。こんなです。
お、シールドベアリングです。パッキンの型番は『685RS』て読めます。てっきりカップアンドコーンのベアリングだと早合点して、バラバラ鋼球の受け皿を用意したのに!
このペダルのシールドベアリングは外側に1、内側に2のトリプルシールドベアリングです。この名称は三ヶ島のページにありました。
どおりで回転はばつぐんです、このチタンシャフトペダル。本家? の三ヶ島ペダルよりぜんぜんギュルギュルします。ギュルギュルギュルギュル・・・こんな回転性能が街乗りに要るう?
正ネジ、逆ネジ混在の右ペダルのナット
左ペダルから分解したのはぐうぜんじゃありません。右ペダルの方が左よりクセモノです。ナットのネジ方向がまちまちです。
ソケットレンチをセットします。
手探りでぐりぐりやって、ネジ方向をチェックします。左回しで締まって、右回しで緩みます。逆ネジです。
一方のこのチープポップなWellgoの右ペダルのナットは右回りで締まって、左回りで緩みます。正ネジです。
ついでにシャフトの六角受けの大きさ、ナットのソケットレンチの大きさも上のペダルとはちがいます。このソケットレンチは10mmです。
Wellgoの別のペダルのナットは8mmではまらず、10mmでがばがばです。9mmレンチは手元にない! ブランド、モデルで規格は別々みたいです。じゃあ、ペダルのメンテはわりとカオスです~。
プラットフォーム内のシールドベアリングをまるまる引きずり出しましたで。
根元に2、先端に1です。ペダルのシャフトは先細りですから、おのずと外側のシールドベアリングの内径は小さくなります。根元の2個のベアリングの型番がなぞです。
このちっこいシールドベアリングのパッキンを縫い針や自作シールめくりんちょで剥くのは経済的じゃありません。ゴロゴロ、ガタガタはありませんし。
ティッシュでふきふきしまして、クリーニングを終えます。
毎度のごとくAZ万能グリスを各部にべちょ付けして、元通りに組み立てます。さいわいこのシールドベアリングは非圧入です。かぱっと外して、かぽっと嵌められます。かんたんです。
ネジ方向をうっかり忘れて、右ペダルのナットを永遠に右回しするのはお約束です。
玉押し調整不要でもナットの加減は大事だよ
シールドベアリングにはカップアンドコーンのお決まりの行程の球当たりの調整は無用です。メンテフリー、メンテーイージーがシールドベアリングの売りです。
でも、やっぱし、このペダルのナットをきつく締めすぎると、滑らかな回転を損ねちゃいます。ぎゅうぎゅう締め=2回転、ぎゅう締め=5回転、ふつ締め=ギュルギュル! です。
そして、無条件にルーズに緩めすぎると、多少のガタを引き起こしちゃいます。ぼくは『ふつ締め+ぎゅ』にしました。『ぎゅう』まで締めると、回転の気持ちよさを失います。
結局、ナットの締め加減の匙加減は重要です~。『ええあんばい』が決め手ですわ~