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ピストバイクのメリットとデメリット

ピストバイク=ノーブレーキの自転車、て連想ゲームはまちがいじゃありませんが、なおさらに正解じゃありません。

ピスト=Pisteです。フランス語で『競技コース』の意味です。イタリア語ではPista、英語ではTrackです。

ピストバイク=トラックバイク=フィックスドバイク

専用の競技トラックを走るバイクはブレーキをしません。トラックには赤信号、危険なブーブー、のろのろおばはん、ふらふらおっさん、予測不能のこども、不意の野良猫などが介入しませんから。

停止=競技ないし走行終了です。自然減速で十分に停まれます。逆にずぎゃーんと急ブレーキすれば、事故を起こしかねません。

そして、ギアが固定です。

16T固定ギア
16T固定ギア

ギア、コグ、歯です。ギアはハブにがっちりくっつきます。ゆえの固定ギア、Fixed Gearです。

対義語がフリーギアです。ギアないしハブのボディが空転します。ギアの集合体のスプロケットの台座の名称がまんまのフリーボディです。

フリー裏
フリー裏

ハブ側の受け部はこんなギザギザくんです。

ハブ内のラチェットとシールドベアリング
ハブ内のラチェットとシールドベアリング

下の左図のようにフリーが順回転すると、ツメがぴょこっと解放状態になります。それがハブ内のギザギザにひっかかって、ホイールが回転し、自転車が前進します。

フリーボディのラチェット 左・ペダリング時 右・ノンペダリング時
フリーボディのラチェット 左・ペダリング時 右・ノンペダリング時

で、ペダリングが止まると、ハブだけが慣性で回転して、ツメはギザギザに押されて引っ込みます。つまり、順回転のときにしかツメはギザギザに掛かりません。ストップ時、逆回転時は空回りします。

この仕組みがラチェット機構です。工具のラチェットレンチも同じ仕組みです。ツメとギザギザの妙技です。これを最初に考え付いた人はザ・天才です~。

フリーボディのツメは基本的にオープンです。バネの力で常に外側へ押し出されます。空転時にはギザギザがツメの頭を抑えてクローズにします。パタパタパタパタ、この連続がホイールの音、ラチェット音です。

シングルスピードのフリーギアは本体にラチェット機構を内蔵します。

固定ギアはこの機構をぜんぜん持ちません。歯はただの金属のカタマリです。ソリッドな一枚岩です。ロックンロールです。

当然、空回りしません。フリーじゃなくて、フィックスです。ペダルが止まれば、チェーンが止まって、ハブが止まって、ギアが止まります。ダイレクト直結です。

身近な例は三輪車や一輪車です。三輪車や一輪車のホイールは空回りしません。足の回り=車輪の回りです。逆回転でバックが可能です。

じゃあ、ピストバイクはこの二輪版です。1速、直結ギア、ノンブレーキが三輪車や一輪車と共通します。フリーギアの自転車よりぜんぜんシンプルな構造です。

激動のピストバイク

で、本来のピストバイク、トラックバイク、Fixed bikeは競技コース専用の自転車です。もっともフォーマルなのは競輪の車両です。

競輪は公営競技、ギャンブルです。そこらへんの自転車のレースや大会より規定は厳密です。八百長や不正があれば、競技の存在が根幹から崩れ去ります。

車体の規定も厳密です。固定ギア、ノンブレーキ、クロモリフレーム、クイルステムが厳守です。ある種、自転車界のガラパゴス的な純粋培養です。

たしかに競輪の競技内容ではトレンドの油圧ブレーキや電動コンポは不要です。主役は競輪の選手、その心技体です。競技内容は完成形の終着駅でもう進化しませんし。

で、この競技用バイクをカルチャーとして定着させたのが海の向こうの方々です。アメリカの都市部の職業自転車乗りが仕事の相棒にしまして、注目を集めて、若者の人気を博します。

で、逆輸入の形で日本に来てばーんと流行ったのが2000年台後半でした。これはプレ弱虫ペダル時代のことで、現在のロードバイクブームの以前の自転車ブームの山場です。

でも、ノンブレーキの自転車を日本の狭苦しいはんざつな都市部の交通状況で使うのはなにかとCONSです。とどめに古参の自転車乗りのヘイトをたっぷり貰って、エクスターミネートされましたね。

それでも、販売側の規制は2013年まで野放しにされました。ブレーキなし自転車の販売規制はせいぜいこの数年です。

本来の野性味を失ってすこし丸くなりましたが、どうどうと公道を走れるようになったのが現在のオンブレーキピストです。

もはやノンブレーキピストが走れるところは閉鎖コース、専用トラック、私有地だけです。競輪場の解放デーなどが数少ないチャンスです。

最後の手段で室内ローラーて方法があります。玄関先やリビングでノンブレーキライドをやりましょう。おポリスにもイシキタカイ系のローディにも咎められません。嫁さんは激オコしますけど、ははは。

安心安全オンブレーキピスト

で、公道の走行には前後のブレーキが必須です。前だけ、後ろだけはアウトです。原則的には片側で『10km前後の徐行で3メートル以内に停まれるブレーキ』です。

じゃあ、おそらくノーメンテの普段使いのママチャリや軽快車の半分はこれに抵触します。経年のママチャリのバンドブレーキやミニベロの安キャリパーはぜんぜん停まりませんから。

そんなブレーキはただのポリ避けのお守りです。実際、おまわりさんはブレーキの有無を見ますが、効きまでチェックしません。てか、巡邏のチャリのブレーキもややグレーですが・・・

とにかくピストであれ、ママチャリであれ、ロードバイクであれ、自転車には前後のブレーキが必須です。種類は不問です。

じゃあ、ピュアなピストバイクはノンブレーキです。そもそもフレームにブレーキの取り付け台座やダボ穴がありません。

ぼくはママチャリフレームをピスト化しました。ママチャリのブレーキ=バンドブレーキです。こんなです。

ママチャリエンド部
ママチャリエンド部

しかし、これはバンドブレーキ用のホイールにしか使えません。うちのホイールはトラックタイプです。ブレーキの取り付けの問題はピストバイクに通じます。

ぼくの解決策はL字金具です。ドロヨケの穴に金具を固定して、そこにキャリパーブレーキをくっつけます。

リアにキャリパーブレーキ
リアにキャリパーブレーキ

取り付け台座の方式は不問です。金具、溶接、接着パテ、なにがしかの方法でブレーキを固定しましょう。

さいわいフロントフォークはVブレーキ用です。Vブレーキやカンチブレーキをぽん付けできます。

ミニVブレーキセット
ミニVブレーキセット

正直、Vブレーキはがっつん効きますから、バンドブレーキやキャリパーブレーキx2くらいの制動力はあります。

でも、交通ルール的には前後の二系統のブレーキが必要です。極論、フロント100、リア0もだめです。ブレーキ的にはOKですが、ルール的にはNGです。

ところで、ピストバイクの基本の止まり方はブレーキレバーを引くことでなくて、『バックを踏む』ことです。

固定ギアのホイールは走行中にはずっとまわり続けます。ハブ、チェーン、クランク、ペダルは常に連動します。

じゃあ、こんなふうに緑矢印方向に踏ん張れば、クランクの回転を和らげられます。

バックを踏む
バックを踏む

左右の足でこれをやって、速度を徐々に落とします。これが『バックを踏む』です。感覚的には踏むてより身体でクランクパワーを緩和するです。足腰の間接をスプリングかストッパーみたいに使います。

レバーブレーキみたいに急激に止まれません。減速です。電車の減速に似ますか。停止位置を逆算して減速を始めます。おのずとブレーキより論理的でテクニカルな乗り方になります。

ピュアピストではこれが唯一のブレーキングです。よりトリッキーなスキッドて方法はありますが、初心者にはハードです。

オンブレーキピストではこのバックを踏むが3系統目のブレーキです。単純に制動の系統数が増えれば、リスクが分散して、安全度は上がります。

ビンディングペダルやトゥークリップで足をペダルに固定しないなら、最後の手段に飛び降りダイレクトブレーキを使えます。第4系統です。ワンモアセーフティです。

てなことで、オンブレーキピストはバンドブレーキのママチャリ、安キャリパーブレーキのロードやクロスより安全な乗り物です。

なにより停止位置を逆算して走りますから、乗り手は集中力を高く保てます。フリーギアみたいにぼんやりのほほんとは走れません。安全意識はおのずと高くなります。

上りは苦手、下りはもっと苦手

ピストないしシングルスピードの苦手科目は山登りです。勾配の強弱でギア数を変えられません。激坂でも1速、ゆる坂でも1速です。

フロントリングを小さくするか、リアのコグを大きくすれば、ギアを軽くできます。が、ギアを軽くすれば、平地で踏み切っちゃいます。

ぼくは平坦な街乗りメインで47x16Tにしました。

チェーンのたるみ取り
チェーンのたるみ取り

ギア比はほぼ3です。平地で気持ちよく回せる重さです。街中の坂はだいたいOKです。歩道橋のスロープはちとハードです。

じゃあ、長いとうげはどうでしょう? ヒルクライムは?

はい、実践です。とうげ=箕面でっしゃろ! てシンプルな思いつきで箕面方面に爆走します。はあ、こんな坂がおめみえします。

街中の坂 きついの
街中の坂 きついの

街中の坂のきついやつです。距離の短さが救いです。男気の全力立ち漕ぎでギコギコ駆け上ります。はい、もう疲れました。

そして、箕面駅前について、右手に曲がって、浄水場の方へ上がります。ここの坂が街中のきついやつのきついやつです。本編の峠よりきつい傾斜です。

ひいひい言いながら、スタート地点へ着きました。余裕で10度はあります。現実、ここと五月山の手前がピークです、うへー。

箕面勝尾寺浄水場前ルート
箕面勝尾寺浄水場前ルート

勝尾寺ヒルクライムの箕面駅側ルートです。距離7km、勾配4%、高度250mてとこです。西田橋交差点スタートより道ながめの坂ゆるめです。

はなから立ち漕ぎでえっちらおっちら上ります。目標は足付きなしの勝尾寺到着です。速度を保って、心拍数を抑えます。ひいひいふう、ひいひいふうの呼吸リズムです。

勝尾寺ヒルクライムすると、たいがい一匹二匹の猿を見かけます。が、今日の箕面は平和の山です。猿っ子ひとりいません。

猿休み?
猿休み?

代わりに帰りの自動車がぶいぶい来ます。観光地のとうげに土曜の午後に行くのは失敗だあ!

序盤は上りです。そこからすこし平坦になって、箕面の滝のとこに出ます。走れますけど写メのために降りちゃいました。

左手に箕面の滝
左手に箕面の滝

ここからしばらくフラットです。ちょろっとシッティングで走れます。が、じきに終盤ののぼりが来ます。立ち漕ぎの復活です。妊婦なみの呼吸法でしのぎます。ひいひいふう、ひいひいふう。

はぁ~、ゴールや~。

2017年9月勝尾寺前
2017年9月勝尾寺前

Tシャツ、ジーパン、サンダルでアホみたいに汗だくになりました。おかげで上り区間ではネバー足付きでしたね。意外と上れました。

なんや、ヒルクラ、ちょろすぎ~、楽勝っすわ~、浄水場までの坂のがハードですわ~、おほほほ!

そんな上機嫌はほんの一時です。上りはまあまあですよ。体力勝負です。問題は下りです。ピストのクランクは常にまわり続けます。下り坂では余裕で乗り手の支配を脱して、超高速回転します。

最初のくだりがこんなです。

むりな坂
むりな坂

チャリにまたがって数メートルしか下らない内に危険な気配を感じます。バックを踏むの減速が下りの加速を緩和しきれません。じゃあ、一秒ごとに加速します。

上りや平坦ではぜんぜん使わなかったブレーキレバーを緊急作動させて、降りて押して歩きました。この角度と距離はむりゲーですわ。左カーブの死角が恐怖です。

こんな下りはよゆうです。バック踏み踏みで完全に減速して、等速でゆるゆる降りられます。でも、もうこの写真の位置から減速・停車を意識しはじめます。

OKな下り
OKな下り

そして、ふもとの西田橋までは5kmです。モモ裏とヒザの強化トレーニングです。上りより心身ともにハードです。足付きは計5回になりました。そして、案の定の帰りの車のオンパレードです。うひ~!

せ、生還した・・・

ピストヒルクラトゥルーエンド
トゥルーエンド

真エンディングです。上りがふつボスであれば、下りは裏ボスでありましょう。デスタムーアとダークドレアムです。いや、ウラノーガとニズゼル・・・ファ?

てか、MTBオールマウンテン用の油圧ブレーキでしかダウンヒルしないから、キャリパーやVブレにすら頼りなさを感じます。リムブレーキの長い下りははじめてだあ?!

とにかくピストバイクのヒルクライムの上りはひいひい、下りはヒョエー! です。トレーニングには絶好です。正味、ただの修行です。爽快感はない!

フロントリングを小さくするか、リアギアを大きくすれば、ギアを軽めにできます。上りの立ち漕ぎ、下りのバックがもっと楽になります。

あと、軽めギアはトリック向きです。ギア比3は逆回転のバック走行でもたつきます。一輪車に乗れる人は軽めのギアを入れれば、永遠にスタンディングキープできますよ、きっと。

ぼくは固定ギアのおもしろみと躍動感に目覚めちゃいまして、シングルスピード・フリーギア化には惹かれません。大きめのコグを買って、トリックの練習をしますかね~。

1000円! 固定ギアは割安です。

おすすめピストはFUJIです。ピスト界のベストセラーのロングセラーです。固定ギアはオプションです。でも、1000円で固定化できますからね~。

スケボーやサーフィンを愛する人はロードよりこっちにシンクロしましょう。ダイレクト感がやみつきになります。