運動前、運動後のストレッチやマッサージはパフォーマンスを改善し、怪我を予防し、疲労回復を助けます。一石三鳥だ。しかし、やらない人がなんと多く存在しますか!
サイクリングみたいにぬるい運動ではそうでもありませんが、球蹴りのようにタフなシーンではこれがもろに出ます。
やろう! ストレッチ、準備体操、クールダウン
準備体操とストレッチなしでまともに動けるのは25歳までの特権です。加齢1才毎1%の比率で肉体のフレッシュさは落ちます。
その日に支障が出ずとも、あとあとに予想外の疲労や痛みが出ます。で、日が空く→ひさびさにハッスル!→バキバキの筋肉痛→日が空く…の負のスパイラルに陥ります。
機械も人体もおんなじです。たまに動かさないと、具合を悪くします。長期の放置はNGです。そこからの反動的なフルスロットルこそは最悪です。
激しいオフロードライドや競輪みたいな短距離トラック走行は別ですが、スポーツバイクはマイルドなスポーツorアウトドアです。
体重が各部に分散されます。ペダリングには急停止の瞬間がありません。足が路面とダイレクトに接地しない。極端な切り返しや反動の動作がない。
ために筋肉や関節への負荷はランニングよりマイルドです。老若男女におすすめできる最大の理由です。
それでも、チャリ前とチャリ後のストレッチやマッサージは邪魔になりません。定期的にきっちりやれば、トレーニング的な効果をも見込めます。
以下ではぼくが効果を実感できるハムストリングと太腿のストレッチを紹介します。足腰は運動全般のかなめです。
自転車乗りにおすすめのストレッチ方法
ストレッチ、トレーニング、マッサージ、ケアには正解がありません。存在するのはこまかなインプレとおおまかなトレンドばかりです。
最近の流行は体幹系、インナーマッスル型、姿勢矯正タイプです。激しい筋トレはトレンドでありませんし、ゴリマッチョは不人気です。
嗚呼、ブートキャンプ、加圧トレーニング・・・
壁付きハム伸ばし(仮)
一つ目はハムストリングを手っ取り早く伸ばす方法です。何かのトレーニング本で発見して、わがものとしました。名称は不明です。ぼくは壁ハムと呼びます。
壁一つで手軽にできて、ハムストリングの伸びを如実に体感できます。
- 壁前に立って、両手をつく
- 一方の足を後方に伸ばす
- もう一方の足を尻周りの力でゆっくり引く
- 左右10~20秒x2~3セット
姿勢はアキレス腱伸ばしと同一です。が、ストレッチの部位はハムストリングです。これを尻周り(腰)の筋肉で引きます。
引くときには5~10秒かけて、ゆっくりズズズと引きずります。足裏や靴裏を床面としっかり摩擦させましょう。左右2~4セットです。
これをしっかりやってから歩き出すと、一歩目からあきらかな効果を感じられます。
「足が勝手に前に出る! ナニコレ? 電動アシスト?!!」
ほんとにそんな感覚が起こります。現時点でこれより効果的なハムのストレッチは存在しません。個人的に最高です。ぼくはアキレス伸ばしのついでにやります。
ポイントは尻と腰でゆっくり引くことです。足の力を使ってしまうと、正しい効果を得られません。
足持ちけんけん
ふたつめは『けんけん』です。近畿や四国ではこの呼び名が昔から一般的です。関東では耳新しい言葉のようです。フォーマルな呼称では『片足跳び』です。
けんけん=子供の遊び=楽勝
このイメージは間違いです。片足跳びはハードな動作です。実際にきっちりみっちり数をこなすと、ものすごく疲れます。
もちろん、一回二回はかんたんです。10回20回までヘラヘラ笑いながらできます。それが大人の最後の余裕です。
30回以降がとたんにきつくなります。50回で息が切れます。100回で腿がパンパンになります。ハードな筋トレです。
初心者は50回x左右の足の計100回を目指しましょう。非常なトレーニング効果があります。まあまあの高強度です。痛みを感じるなら、むりをしない。
逆足をこんなふうに掴んですると、腿前のストレッチを同時にこなせます。
左右100回ずつできれば、筋トレ、ストレッチ、バランス感覚を高レベルで養えます。
足を背後でつかめないのはあきらかに柔軟性不足です。ストレッチやマッサージにいそしみましょう。
ヴァジュラーサナ
正座は日常ではとんと廃れました。現代人はもう正座しません。活用場面は剣道、柔道、ヨガくらいです。
そのヨガで正座は『ヴァジュラーサナ』てたいそうな名前で呼ばれます。ヴァジュラ=金剛=雷神インドラの武器=いなずま、アーサナ=座り方、で『金剛坐』です。
この金剛坐は正式な型のひとつです。効果は足首と腿前のストレッチです。とくに前者には効果てきめんです。
ストレッチ、マッサージ目的には1分前後がベターです。気持ちが落ち着いて、足首とふとももが気持ちよく伸びます。
長時間の正座は逆効果です。ヨガの型の維持もせいぜい数分です。修行じゃありませんからね。
ピストルスクワット
最後は王道のスクワットです。屈伸運動。はい、ガチムチの筋トレ感がほのかに漂います。ヒンズースクワットの汗臭さいイメージはなかなか剥がれ落ちません。
イメージ転換のためにスタイリッシュなスクワットを紹介します。ピストルスクワットです。片足スクワットのひとつです。
手順はこうです。
- ふつうに立つ
- 両腕をまっすぐに伸ばす
- 片足をちょろっと浮かす
- 支え足の膝を曲げつつ腰を下ろす
- 1に戻る
ボトム時の形が拳銃みたいに見えます。これがピストルスクワットの名前の由来です。
効果は筋力アップとバランス向上です。ぐらつかずにボトムまで腰を下ろすのはけっこうな難易度です。体幹もみっちり鍛えられます。
ポイントは背中を丸めすぎないこと、リターンに反動を使わないこと、曲げ足のかかとを地面から浮かさないことです。つま先立ちはNGです。
どうしてもつま先立ちでしか屈伸できないなら、最初からかかとの下にかませを置きましょう。雑誌かなにか。角度がらくになります。その分、効果は減ります。
左右10回ずつが良いトレニーング兼ストレッチになります。回数をこなしすぎると、ムキムキになっちゃいます。
左右セットが鉄則
ハム伸ばしもけんけんもスクワットそうですが、左右セットが鉄則です。むしろ、逆足側の鍛錬が重要です。やりやすい方の足ばっかりをやっても、肉体のバランスを悪くしちゃいます。
ピストルスクワットみたいに高度な動作ではバランスの左右差が出ます。足や手に『利き』があるように動作、モーション、重心移動、体裁きの『利き』や『くせ』が存在します。
たとえば、自転車乗りは左乗り・左降りを自然にパターン化します。左左が基本です。で、たまに右に降りると、心地悪さを覚えます。
そこからママチャリのように自転車へ飛び乗りしようとすると、とたんにギクシャクします。右乗りはパターン外のイレギュラーな動きですから。
片足ずつきっちりトレーニングやストレッチをすると、左右のギャップを緩和して、結果的に身体バランスを改善できます。
上記の全部で15-20分の運動です。けんけん100回とピストルスクワット10回は効きますよ。