自転車のチェーンはプレートとピンとローラーからなります。さらにプレートは外と内に分かれます。

KMC DLCリンク近影
厚みはギアの変速の数でことなります。12速用が最細、シングルスピード用が最太です。一方、ピンからピンへの間隔=ピッチは共通の1/2インチ=12.7mmです。
チェーンの調整にはこの中ピンを抜いて、リンクを間引きします。ぞくにカット作業です。チェーンカッターが活躍します。

コネクトピン寸止め
で、カットしたチェーンのコマをつなぐには以下の3つの方法があります。
- コネクトピンを圧入
- ミッシングリンク、クイックリンク
- 禁断の外しピン再使用 ※非推奨
ぼくは3番でぱぱっとやっちゃいます。ざつに圧入すると、走行中のチェーンBANにみまわれますけど、ははは。
最近のチェーンにはミッシングリンクが付属します。

ミッシングリンク
肉抜きのエッジがおたがいのピンのみぞに噛み込んで、疑似的に外プレートの役目を果たします。おのずとチェーン側の接続部は内プレートになります。
ちなみに『ミッシングリンク』は台湾の大手自転車チェーンメーカーのKMCの商品名です。クイックリンク、ロッククイック、類似品です。
意外と外れないミッシングリンク
さて、このミッシングリンク、
「工具不要で着脱可能! メンテがらくちん!」
て触れ込みです。
しかし、これを早とちりするのは要注意です。着脱のしやすさはメーカー、型番、個体でちがって、さらに新品中古でかわります。
ぼくが以前に買ったお高いKMCとお軽いINTREPIDの新品チェーンのミッシングリンクはなかなか外れません!
逆にヤフオクで買った中古のスプロケのおまけに付いて来たSRAMの10速用のミッシングリンクはぬるぬるでした。
シマノの二代目クイックリンクの評判もよろしくありません。かちかち疑惑が付きまといます。初代は黒歴史です。
SM-CN79 シマノクリックリンク旧
古リンクのがコンフォート
新品のリンクは明らかにかちかちです。ルブを差しても、グリスを塗っても、クレ556をぶかっけても、ぬるぬるにできません。
これはぞうきんみたいなものでしょう。まっさらな新しいぞうきんは水をそんなに吸いません。繊維がごわごわです。使い古しのぼろぞうきんのが良く水を吸います。
新品のミッシングリンクにはなにか角があります。まあ、最初からゆるゆるのがばがばだてのもおかしなはなしですけど。
ミッシングリンク着脱工具の存在
初歩的なまちがいのひとつがうたい文句の早とちりです。
「ミッシングリンク=工具不要のべんりグッズ!」
ぼくは最初にそう思いました。これは正確じゃありません。なぜならリンク着脱工具がれきぜんと存在しますから。
ラジオペンチの親戚みたいな専用工具です。付けるときには内側を使って、外すときには外側を使います。非常に合理的な仕組みです。
汎用の細身のラジオペンチはリンクの内側をかちっとキャッチしません。ピンの表面で刃先がすべります。
完全に脱脂すればギリ行ける? でも、手間がたいへんです。むしろ、コネクトピンとチェーンカッターの方がかんたんになります。
ミッシングリンクのほんとのところは、
「チェーンカッター不要の簡易リンク」
です。
カッターは不要ですが、リムーバーは必要です。現実問題、新品のリンクの着脱を徒手空拳でやるのはけっこうな難題です。
しかも、販売元やメーカーはミッシングリンクの繰り返し利用をおおっぴらに推奨しません。回数の限度は1-5回です。
「気軽に外せて、定期的にクリーニングできるね!」
てのも初心者の早とちりです。きれいずきさんはここでうえーんと泣きます。まめにメンテするような人はイレギュラーを許せませんし。
このことからミッシングリンクのメリットはコネクトピンより細かく調整できることくらいになります。
ジャンクワイヤーで外す
ぼくは最初のオーバーホールのときにこの事実に気づきました。で、チェーンカッターはありますが、リンクリムーバーはありません。ペンチは滑る。
手近な代用品を探して、針金とジャンクワイヤーにたどり着きます。ミッシングリンクの両端に通して、バンバンバン! て突っ張ります。

ジャンクインナーワイヤーで外し
角度を変えながら、何度か挑戦して、ぶじに外せました。

チェーンとミッシングリンクと代用工具のワイヤー
この方法とルブ&潤滑剤を組み合わせれば、たいていのかちかちリンクを外せます。
ポイントは両どなりのコマをミッシングリンクと並行にすることです。でないと、中ピンがうまくスライドしません。力より技です。
天使のようなマイルドなものは指で外れます。リンクを人差し指と親指で挟んで指パッチンするようにスライドさせます。ゴム手袋やニトルリの作業用グローブでやるのが吉です。
ミッシングリンクやクイックリンクをメインで使うなら、はじめからすなおに専用ツールを用意しましょう。100円ショップのラジオペンチはNGです。