自転車のタイヤが靴であれば、空気圧は靴紐のようなものです。空気圧を正しく設定すれば、耐久度、快適さ、走行性能を維持できます。
逆にタイヤの空気圧を管理しないのは靴紐をきちんと結ばないようなものです。
ゆるゆるのシューズでしゃきしゃき動けるか? 無理です。おしゃれもスポーツも足元からです。
自転車のタイヤの空気圧はこれに通じます。とくにマウンテンバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車には最重項目です。
ここではスポーツバイクで標準的に使用されるフレンチバルブ(仏式バルブ)の空気の入れ方を解説します。
未知との遭遇 仏式バルブ
タイヤの空気を入れることは靴紐を結ぶようなものです。これを抜かるのは自転車乗りの名折れです。
自転車ショップも「空気をきちっと入れてくださいね!」と口を酸っぱくします。一般ユーザーは右から左に聞き流して、後で泣きますが。
そして、素直なユーザーは意気揚々とホイールのチューブのキャップを外して、未知との遭遇に困惑します。
はい、フレンチバルブですね。自転車専用の空気入れの口金です。他のジャンルでは全く見ません。
一般人は軽快車やママチャリから自転車遍歴を始めます。これらの空気入れの口金は英式バルブです。
米式バルブはより汎用的な口金です。自転車、自動車、オートバイに幅広く使われます。下のものは自動車ホイール用の米式チューブレスバルブです。
フレンチバルブの取り扱い方
フレンチバルブの特徴です。
- 高圧
- 軽量
- 脆弱
- マイナー
メリットは多くありません。実際、米式や英式の方が明らかに万能です。
ヘッドを緩める
フレンチバルブのヘッドはねじです。左回りで緩みます。
ねじを緩めないと、コアの逆流弁を解放できず、空気の通り道を確保できません。これがフレンチバルブの特徴です。
この構造が極端な高圧を可能にします。ママチャリや自動車やオートバイのタイヤの空気圧はせいぜい3-5barですが、クロスバイクやロードバイクは5-8barです。
ピン押し開通
ここからピンを押し込むと、コアを完全に開通できます。
まれにチューブ内のパウダーやゴムのカスや水気がここに詰まります。軽くぷしゅぷしゅして、目詰まりを防止しましょう。
目には目を、仏式には仏式を
上述のように家庭用の空気入れは英/米式です。駅前の駐輪場の空気入れやスーパーのコンプレッサーも英式です。仏式バルブのチャリンコは自転車全体の数パーセントにすぎません。
もちろん、ガソリンスタンドの空気入れは米式バルブ用です。このために長距離旅行用のツーリング自転車の一部は意図的に米式バルブを採用します。
この一般的な空気入れで仏式バルブに空気を入れるにはこんなアダプターを使います。
英式アダプターです。250円くらい。
しかし、家庭用のポンプの口金の大半は米式です。これに英式のアダプターが付属します。
結果、米式ヘッド|米to英アダプター|英to仏アダプター|仏式バルブ、て連結具だらけのパッチワークが完成します。案の定、空気の入りは最悪です。
そして、上記の写真のように英式のソケットはじつにチープです。空気圧が高くなると、固定が内圧で外れます。応急処置のかなしさです。
快適な仏式自転車ライフを送るなら、仏式対応の空気入れを買いましょう。
ポンプヘッドのON/OFF
最近のスポーツバイク用の空気入れのヘッドは仏式米式兼用です。ヘッドが勝手に判断して、両方のバルブヘッドにポン付けではまります。
ここの注意点はヘッドのロックです。ロックをOFFにして、バルブにセットします。
で、これをバルブにまっすぐに深く挿し込んで、レバーを起こして、ロックをONにします。これで内圧が高くなっても、ヘッドが「ばしゅ!」て吹き飛びません。
仮にロックONのポンプヘッドをバルブにむりやりねじこむと、ヘッドのパッキンを痛めてしまいます。
ここのダメージは空気漏れと固定外れの原因になります。取り外すときにはロックをOFFにしましょう。
空気を入れる
いよいよポンプアップします。ピストンを目一杯に使って、きゅっきゅっきゅっ!と入れます。
タイヤの推奨空気圧の範囲で好ましい数値に調整します。ロードバイクの細タイヤは6-8barです。→自転車タイヤの空気圧は車種によらない?
先述のアダプター+空気入れでは5bar以上のポンプアップがえらいことになります。空気が漏れる、英式ソケットが外れる、あげくにシリンダーが壊れるなどなど。
そして、メーターがなければ、空気圧がわかりません。応急処置を常用するのは禁物です。
ヘッドを取り外す
最後の仕上げです。ヘッドを取り外しましょう。ロックをOFFにして、親指で押し出します。
引っ張るのはNGです。あと、この握りでレバーを倒すと、人差し指の第一関節を打撲します。レバーのバネはなかなか強力ですから。鉄のしっぺです。
バルブのねじをしめて、キャップをつけます。リムナットの有無はバルブの形状によります。
ねじねじタイプのバルブにはリムナットが付属します。逆につるぺたタイプにはナットはぜんぜん付きません。
決定的な機能差はありません。が、つるぺたタイプはややかちゃかちゃします。個人的にはねじねじタイプがおすすめです。チューブレス化にはリムナットが必須ですし。
そんなこんなで本日の足元が完成しました。