- 外プレート
- 内プレート
- 中ピン
- ローラー
自転車のチェーンはこの4つの部位から構成されます。シマノの安いアレもKMCの高いコレもそうです。
チェーンの連結部分のピンからピンへの間隔=ピッチは共通の1/2インチ=12.7mmです。すなわち、ギア側の歯の大きさも共通です。
一方、チェーンの厚みはギアの変速数で異なります。12-13速用が最細で、1速シングルスピード用が最太です。
チェーンの長さの調整にはこの小さなピンを抜いて、リンクを間引きします。これが俗に『チェーンのカット』です。カット=ばっつんではありません。
カットしたチェーンを繋ぎ直すためには以下の3つの方法があります。
- コネクトピンを圧入
- ミッシングリンク、クイックリンク
- 禁断の外しピン再使用 ※非推奨
ぼくは禁断の3番でぱぱっとやっちゃいます。まあ、テキトーに雑に圧入すると、走行中のチェーンBANで泣きますが。
ピンの圧入の仕上がりは作業者の腕とさじ加減で決まります。そして、多段変速のチェーン=細いピンには余白が少なくなります。
このために細い10速以上のチェーンではピンずれ、ピンはみだしがしばしば起こります。
結果、コネクトピン派の最後の砦だったシマノのチェーンもミッシングリンクタイプになりました。
最近のチェーンにはミッシングリンクが付属します。
これが疑似的に外プレートの役目を果たします。おのずとチェーン側の接続部は内プレートになります。
ミッシングリンクタイプの仕上がりは一定です。構造上、ピンずれが起こりません。不器用な人もかちっと再接続できます。
ちなみに『ミッシングリンク』は台湾の大手自転車チェーンメーカーのKMCの商品名です。クイックリンク、ロッククイック、類似品です。
意外と外れないミッシングリンク
「工具不要で着脱可能! メンテがらくちん!」
ミッシングリンクのキャッチコピーです。
しかし、これを鵜呑みにするのは早とちりです。着脱のしやすさはメーカー、型番、個体、経年で違います。
ぼくが以前に買ったお高いKMCとお軽いINTREPIDの新品チェーンのミッシングリンクはなかなか外れません!
逆にヤフオクで買った中古のスプロケのおまけに付いて来たSRAMの10速用のミッシングリンクはぬるぬるでした。
シマノの二代目クイックリンクの評判もよろしくありません。かちかち疑惑が付きまといます。
初代は黒歴史です。
古リンクのがコンフォート
基本的に新品のリンクはかちかちです。ルブを差しても、グリスを塗っても、クレ556をぶかっけても、ぬるぬるにできません。
これは雑巾みたいなものです。まっさらな新しい雑巾は水を吸いません。繊維がごわごわです。使い古しのぼろ雑巾の方が良く水を吸います。
ミッシングリンク着脱工具の存在
「ミッシングリンク=工具不要のべんりグッズ!」
これは正確ではありません。チェーンカッターは不要ですが、快適な着脱には工具は必須です。
実際、ミッシングリンク着脱工具が存在しますし。
ラジオペンチの親戚みたいな専用工具です。付けるときには外側を使って、外すときには内側を使います。非常に合理的な仕組みです。
汎用の細身のラジオペンチはリンクの内側をかちっとキャッチしません。ローラーの表面で刃先がすべります。
ミッシングリンクの実態は、
「チェーンカッター不要の簡易リンク」
です。
カッターは不要ですが、リムーバーは必要です。現実問題、新品のリンクの着脱を徒手空拳でやるのはけっこうな難題です。
しかも、販売元やメーカーはミッシングリンクの繰り返し利用をおおっぴらに推奨しません。回数の限度は1-5回です。
「気軽に外せて、定期的にクリーニングできるね!」
これも初心者の早とちりです。
ジャンクワイヤーで外す
以前、ぼくは手近な代用品を探して、針金とジャンクワイヤーにたどり着きました。ミッシングリンクの両端に通して、バンバンバン! と突っ張ります。
角度を変えながら、何度か挑戦して、ぶじに外せました。
この方法とルブ&潤滑剤を組み合わせれば、たいていのかちかちリンクを外せます。
ポイントは両どなりのコマをミッシングリンクと並行にすることです。でないと、中ピンがうまくスライドしません。力より技です。
ミッシングリンクやクイックリンクをメインで使うなら、はじめからすなおに専用ツールを用意しましょう。100円ショップのラジオペンチはNGです。