スポーツバイクのかなめは制動力です。制動力のかなめはブレーキです。MTBの標準は油圧ディスクブレーキです。

ディスクブレーキ
ブレーキフルード交換、ブリーディング、エア抜き、ホースカット、パッド交換、位置の調整てひとしきりにメンテをこなしまして、ふだんの取り扱いにはもうこまりません。
ピストン割れた!
が、この数か月のべらぼうなハードワークであらたな問題が発生します。なんとピストンが割れて、キャリパーから出ません!

グッドピストン
これはHOPE E4です。4ピストンのAM・エンデューロ用の油圧ディスクブレーキキャリパーです。レバーはHOPE TECH 3です。
で、この写真の上側=車体側の2つが出ない。ピストンの表面にいやな欠けが見えます。ブレーキしゅこしゅこでフルードがぶしゅぶしゅ飛び出します。あちゃー!
HOPEのキャリパーのピストンの調整は独特です。オイル交換やエア抜きのときにマイナスドライバーやひらべったいものでピストンを戻します。通称『ピストン戻し』です。

マイナスドライバーでピストンを戻す
このときにでっかいマイナスドライバーでざつにグリグリして、ピストンを割っちゃいました、おそらく。
で、その後の酷使と経年でひびわれが加速して、オイル漏れが致命的になりました。ちーん。
油圧ディスクブレーキのシステムのイメージはこんなです。
上・フルード満タンの圧 下・エア噛みの圧
レバーのシリンダーからホースからキャリパーから完全密封です。どっかに穴があるとか、空気がまざりこむとかすると、圧がさがって、ピストンがまんぞくに出ない。
で、うちのブレーキの穴は最終動作ポイントのピストンです。これを交換すればいけるかと思いまして、ピストンだけを調達しますが、後述の問題で断念します。
油圧ディスクブレーキキャリパー交換
結局、キャリパー本体を買いなおしました。

HOPE TECH3スモールパーツとE4キャリパー
E4のキャリパーとレバーカバーとシリンダーのシール/パッキンセットです。15000円なり~。購入先は英国のChain Reaction Cyclesです。

HOPE E4キャリパー
油圧ブレーキセットの交換はすでにOKですが、キャリパーだけの交換は未知数です。ブリーディングのレポはまあまあありますけど、キャリパーの交換ネタはレアです。
古いキャリパーを分解してみる
てはじめにおふるの本体を取り外します。台座のボルトをアーレンキーできこきこします。

油圧ブレーキディスクキャリパー外す
で、ホースのコネクト部分をレンチでゆるめて、フルードのたれに注意しながら、キャリパーを外します。DOTだからな!

ブレーキホースコネクト緩める
ぶじに取り外せました。

ホースコネクター
しんちゅうのワッシャx2、中空ねじx1、コネクタx1です。
キャリパー本体です。

E4ボアと専用ボアツール
右はHOPEのブレーキボアツールです、別途。ボアてのは星形のふたみたいなキャップのことです。ツールにてきとうな棒をいれて回します。

ボア外し
ここのトルクはそんなにつよくありません。手力ではずれます。ぱかっとな。

DOTフルードとピストン
液体はDOT5.1です。かんばしいケミカルフレーバーが鼻をつきます。目、口に入れない。素手もそんなによろしくない。
DOTをふきとって、手前のピストンを棒でぐいぐい押しますと、これを奥に押し出せます。じゃあ、問題の箇所があらわになります。

HOPE-E4のピストン
拡大しましょう。

バキバキのピストン
バキバキです。ふちの方からオイルがぶしゅぶしゅ漏れます。
このE4の奥側のピストンを外すにはパッドを外して、レバーでしゅこしゅこしゅこしゅこ押し出します。逆側にはボアがありません。
で、そもそもピストンを押し出せないこのE4キャリパーのピストンは完全なるひきこもりです。出ない! 出ない! 部屋から出ない!
で、やけくそでピストンを破壊したれ!て思ってドリルでギュインギィンしますけど、ちっこいくぼみしか作れません。
このピストンの素材はフェノール樹脂(のウッドセラミック?)てもので、衝撃には強くありませんが、熱と圧には無敵です。超固い!
で、あえなくピストンの交換をざせつしまして、キャリパー交換の道をえらびました。おかげで余分な出費をくらいます。ピストンは1個600円、ツールは1000円ですから。
新品キャリパー取り付け
新しいキャリパーをホースにつないで、パッドを入れなおします。このキャリパーセットの内容は本体、コネクター、パッドです。スモパなしのキャリパーだけの販売もあります。

ニューキャリパーセット
交換はひじょうにかんたんです。ブリーディングがくせものです

AZ DOTフルードバイク用
はい、安心安全ブレーキフルードです。HOPEの指定オイルはDOT5.1です。人体に有毒だよ♡
レバーのふたとダイアフラム交換
レバーのふたは前からガリガリくんです。最近、ここにダイアフラムのいたみがくわわります。

へにゃへにゃのダイアフラム
マスターシリンダーのオイル溜まりのゴムパッキンみたいなやつです。これがへにゃへにゃです。熱で変形したか?

おふるのスモールパーツ
ついでにこれらを交換します。新品はそれぞれ1000円です。
あとはいつものブリーディングです。キャリパーのニップルのビニルホースをつないで、ペットボトルをオイル受けにします。

自作ブリードキット
ビニルホースはもともと透明でしたが、DOTの力で白くなりました。おどろきのしろさ!
あと、作業時にはニップルをキャリパー本体より上の位置にあげましょう。この角度ではエアがちゃんと抜けません。
で、このあぶなっかしい液体をレバーのオイルプールにとぷとぷ注ぎます。

DOTひたひた
で、キャリパーのニップル開放→レバー引く→ニップル閉じ→レバー離すを5回ほどします。DOTがじわじわへっていきます。

へるDOT
油圧ディスクブレーキのブリードの工程はメーカーやモデルでちがいます。公式のマニュアルもまあまあ参考になりません。エア抜きには玉押し調整ににます。手探りとニュアンスの世界だ。
ダイアフラムとカバーをリニューアルしました。

ブレーキ復活
OK牧場!
ブレーキ交換は屋内で
ところで、この記事ではぼくは小雨の日に屋外でブリーディングしちゃいましたが、これは非推奨です。DOTは水をよく吸います。水気、湿気、外気はNGです。
屋内のガレージみたいなところでやるのが理想的です。でも、うちにはガレージがない。板の間でDOTしたくないし~。てことで、消去法で屋外でしました。
超強敵! マスターシリンダーのシール交換
実のところ、キャリパー交換もブリーディングもざこです。ジャムったピストンばかりが強敵でした。真のラスボスはこのあとに来ました。
マスターシリンダーのキャップとシールの新品がダイアフラムのセットについてきました。たなぼた。
で、DOTで手を汚したついでに交換してやろうと思って、レバーを分解しまして、シリンダーを抜きまして、シールを外します。
一応、あたらしいのをシリンダーに取り付けましたが、あまりの固さに天をあおぎかけましたが、やけくそのゴリ押しでむりやりはめこみました。必死のパッチです。
激闘のあとばかりが手元にのこります。

マスターシリンダーのシールのざんがい
右上のゴムのパッキンはおふるです。これの取り付けがたいへんでした。で、めずらしく写真がありません。B4Cらしくない。DOTを触りながらスマホをするのはげになんぎです。
ちなみにマスターシリンダーてのはこのへんです。

HOPE TECH3マスターシリンダー
そんなこんなで油圧ディスクブレーキの取り扱いLVがまたひとつ上がりました。シマノとマグラをいじってみたいな~。