ノリモノとハキモノは似た者同士です。自転車は靴に通じます。日頃のお手入れをサボって、無造作なヘビロテ酷使を続けると、美観を損ね、性能を失い、寿命を縮めます。
自転車はへたる
うえのボロボロのランニングシューズは年季物に見えますが、使用期間はせいぜい一年です。小指の穴は半年目に空きました。理由は爪の切り忘れです。
こんなふうに一足オンリーでハードーユースして、ぜんぜんローテーションをせず、日頃のお手入れを抜かると、短期間でここまでズタボロにできます。
自転車、スポーツバイクもこれに通じます。100万のハイエンドも10万の入門機も消耗品です。動けばへたれます。パーツは摩耗しながら駆動します。
で、ふいの一時間のがっつりメンテはけっこうなものですが、日々のこまめなお手入れはなおさらにけっこうなものです。歯石の除去と毎日の歯磨き、どちらもすごくだいじです。
チャリの日々のお手入れはまさに歯磨きのようなものです。一般的なシャカシャカタイムの3分間でぱぱっとできる超手軽なスポーツバイクのメンテナンスを特集します。
メンテの基本は掃除
お手入れ、メンテナンスの基本は掃除です。空気中のダストや路面のノイズは鉱物です。ノリモノやハキモノの塗装や繊維にはかんばしいもんじゃありません。
そして、湿気や水気はゴム、金属、化合物質もろもろを痛めつけます。げに外界はいわ属性とみず属性の攻撃が入り乱れるデンジャラスワールドです。
ぐは!
布や紙で拭く
で、靴底の泥汚れを落とすように、スニーカーを陰干しするように、チャリから水気と粒子を取り除きましょう。
道具は布や紙です。自転車乗りにはマイクロファイバーのタオルや不織布のワイプオールなどが人気です。
めんどくさがり屋さんは使い捨てのワイパーを使いましょう。汚れたタオルの洗濯はずぼらなO型さんにはムリゲーです。チャリの掃除でモチベが尽きる。
で、使用済みのタオルをそのままにすると、つぎの掃除のときにその汚さにげんなりして、チャリのお手入れをドタキャンしてしまいかねません。
駆動系を拭かない
キユーピー3分クッキングではテーブルの影から下ごしらえ済みの食材が出てきますが、ローディ3分メンテナンスではそんな好都合な裏技は起こりません。
回転駆動系のドライブトレイン、チェーン、プーリー、リング、スプロケットはやっかいな強敵です。砂埃や水気にオイルやグリスの汚れ、金属の削れが加わります。
『大』の後のおケツのように拭いても拭いても! おいおいおい! てことが起こりえます。3分間ではドライブのクリーニングはむりです。
そして、駆動系から拭き掃除を始めてしまうと、おなじ布や紙でそのほかの部分をおそうじできません。油汚れがべたべた広がりますから。
- 駆動系→そのほか ×
- そのほか→駆動系 〇
必然的に駆動系の掃除は3分メンテでは尺の都合でカットされます。
フレームとフォークを拭く
掃除の基本は上から下です。窓、壁、家具、いずれがそうです。とろい旦那がこれらを下から上にほへーて掃除すると、もれなく奥さんの失笑を買います。
自転車の拭き始めポイントはフレームとフォークの上端です。ハンドル、サドル、トップチューブ、シートステーなどからふきふきをスタートします。
この際、砂埃をさきにぱぱって払い落しましょう。砂埃のもとは砂ですから、本質的には石で岩です。やみくもにガシガシこすってしまうと、塗装やクリアを傷つけてしまいます。
払い→拭き→磨きがただしいお掃除の手順です。ただ、3分間メンテでは磨きの余裕はありません。払って、拭いて、つぎに行きます。
ホイールを拭く
おそうじの基本の上から下へのながれに沿って、チャリンコの足回りをふきふきしましょう。ホイールとタイヤです。
リムブレーキのホイールのサイドフェイスは削れカスで汚れます。カーボンリム、プラズマコート系のブレーキフェイスはなおさらです。
リムサイドの表面の汚れはブレーキの利きに影響しますよ。
雨天後にはタイヤをチェック
雨天走行時にはついでにタイヤを拭きます。砂利と水気はゴム製品には大敵です。そして、余計なノイズがべちゃってへばりつきます。
こんな草切れはあれですが、枯れ枝の破片、小さいプラスチックのチッピング、細いワイヤーの切れ端などは近い未来のピンホールの原因になりえます。
て、そもそも室内保管するなら、土足のチャリをかまちに上げられません。玄関や軒先でのタイヤ拭き拭きは日本人チャリダーの宿命です。
自転車が部屋のなかにある、ってことがすでに一般人には非常識なものです。これを不遜な態度で繰り返すると、家人の反感を買って、陰でぼろくそにゆわれます。
賃貸物件ではよりシビアです。退去時の清掃費に間接的に影響します。賃貸派も持ち家派もゆめゆめタイヤ拭きを忘れない。
激落ちくんシリーズのマイクロファイバークロスがお買い得です。歯ブラシみたいなものですね。