スタンド・・・広義には幽波紋、パワーを持った像(ヴィジョン)、オラオラ、無駄無駄、ドラララ、アリアリ、ギャルギャル、チュミミィイインetcですが、チャリ界では車体を立てる・支えるツールの総称です。
スポーツバイク的なスタンドはメンテやディスプレイ用の什器で、実用車的なスタンドはバイク付属の車体転倒防止システムです。
で、今日のテーマの『スタンド』は後者です。代表はおなじみ近距離パワー型のサイドスタンド・ザ・ワールドです。
スポーツバイクはノースタンド
オンロード、オフロード、いずれのバイクをゲットすると、まっさきに気づきます。スタンドがない!
ママチャリ、軽快車、折り畳み、ルック車、最廉価帯のクロスバイクはスタンドを搭載します。車種の用途が街乗り、ちょい乗り、お買い物、通勤通学に絞られます。実用度が優先です。
が、10万以上のスポーツバイク、本格自転車にはスタンドは付属しません。ロック、ライト、ペダルはおまけで付くとかしますが、スタンドとカゴは備品の候補から完全に外れます。
スポーツバイクの用途はその名の通りにスポーツです。運動器具だ。車体の実用度は無視されます。むしろ、実用度の低さは美徳です。あちらが下がれば、こちらが上がります。
販売店、製造元、自転車ブランドもスポーツバイクのON/OFF兼用を大っぴらに肯定しません。そうゆうのはシティ、アーバン、コミューターバイクの役目です。
スポーツバイク活用の実態はカオス
しかし、世間は気まぐれで、楽天的で、ざっくばらんです。ロードバイクでスーパーに行っちゃいますし、MTBでご飯を食べに出かけちゃいます。
とたんにスポーツバイクの本来の力が半減して、実用度のなさが身にしみて、ママチャリや軽快車が恋しくなります。カゴ! スタンド! アップライト! ふかふかサドル!
まあ、前カゴは重さと見た目から脱落します。スポーツバイクにてきとうなカゴはこの世にありません。しかも、新品の前カゴやバスケはまあまあの値段です。あさひやホームセンターで3000円からします。
でも、なおさらに実用的なキックスタンドは後ろ髪を引きます。停めどころに困ってうろうろするて場面は意外と多く現れます。
いちばんの問題は車体をほかのチャリとチャリのあいだに停められないことです。ノンスタンドバイクは自立しませんから、となりのママチャリや電動アシストにもたれかかっちゃいます。
毎度毎度、てきとうな金網や柵や壁はありません。ベストポジには先客がしばしばいます。大所帯の駐輪場はとくにくせものです。整備の人は壁際から埋めていきます。利用者もなんとなく端っこに停めます。
「スペースがこのママチャリとママチャリの間にしかあらへんがな~」
そんな場面はたびたびあります。てか、個人的にこの一年でたびたびありました、ははは。で、不便さにたまりかねて、お買い物チャリにはキックスタンドを付けました。
至便です。商品はマスロードのサイドスタンドです。ステーに取り付けするもののなかでは細身のコンパクトなタイプです。車体撮影が非常にはかどります。ブロガーにはありがたいアイテムです。
で、メイン機にこのべんりグッズを取り付けられないかと画策しますが、フレームの素材と仕様の前に出鼻をくじかれます。
はい、カーボンです。おまけにスルーアクスルです。
カーボンフレームにスタンド?
カーボンは軽量で頑丈な素材です。自転車のパーツからスポーツシューズのソール、航空機、F1マシンにまで使われます。
強度や耐久の上限は材質と形状で決まります。で、自転車フレームの形状は全体的にはしっかりですが、局所的にはわりにやわやわです。フレームは基本的にチューブ状の中空構造ですから。
熱と圧がカーボンの弱点
加圧、締めすぎ、オーバートルクがカーボンチューブの弱点です。強度の上限を超えると、金属みたいに変形せず、めきっとぱりっと割れます。
カーボンハンドルをパイプカッターでカットすると、もれなくこういう剥離をやっちゃいます。
そして、カーボンは生地です、繊維質です。薄いシートがミルフィーユのように重なります。はしがほつれると、セーターのように中までえんえんほつれます。
これは先日のシートポストチューブのカーボンクラックです。原因はクランプの締めすぎです。やはり圧です。
じゃあ、カーボンフレームにはなにがしかの台座を取り付けられません。キャリア、スタンド、その他のダイレクトマウントはタブーです。このポストチューブの二の舞です。
また、カーボン以外の金属フレームの超軽量タイプは肉薄です。アルミ合金は鉄やチタンほどにたわみません。過度のオーバートルクはNGです。弱い部分が根こそぎにばつっと抜けます。
カーボンフレームに取り付けできるスタンド
上記のように本来のシーン以外での使用例は少なくありません。スポーツバイク利用者のすべてがカリカリのアスリート志向じゃない。ライトユーザーは格式を尻目にして、べんりさを重視します。
さらに軽量アルミ合金、カーボン素材がこの数年でお安くなって、エントリーモデル、普及価格帯、庶民グレードにまで進出します。格安SAVANEやBianchi Sempre Pro Soraの割引などは好例です。
一台目カーボン、チャリ通カーボン、外置き野ざらしカーボンが視野に入ります。じゃあ、スタンドへの恋しさが募ります。
気軽さのアップが自転車活用度のアップです。ライトユーザーがスポーツバイクを活用しなくなる理由のベスト1、2は『準備がたいへん』と『サドルがかたい』です。気楽さこそが最重要です。
キックスタンドはかくじつにそれをサポートします。しかし、オーソドックスなステー取り付けタイプはカーボンフレームには禁物です。
ステー取り付けはダメ!
基本的にステー部分の強度はフレーム内で最弱です。カーボンフレームの破損の大方はここです。弱い箇所に余計なストレスを与えると、あっというまにJUNKにしちゃいます。
うちのカーボンフレームはMTB用です。ステーの太さはロードの比じゃありません。
それでも、爪でこんこんするとか、指ではさむとかの手ごたえはビミョーなところです。太い乾燥マカロニみたい、ははは。
これをネジや金具でギュッと挟もうとは思えません。デニッシュみたいに表面がもろもろパキパキ瓦解しましょう。おおざっぱなぼくさえがそう思います。
同様の理由でセンタースタンドも不可になります。フレームのBB付近のステーorブリッジに取り付けるタイプです。
部位は変われど、方式は変わりません。フレームへの負荷はNGです。
クイックリリース一体型
カーボンフレームのキックスタンドの候補の筆頭がクイックリリース一体型です。フレームはチューブ状の中空構造ですが、ホイールを仮留めするエンド部分はそうじゃありません。中身がぎっしりです。
これはフルカーボンフォークのエンドです。表面が欠けて、中身が見えます。
フレームのエンド部分も同様です。ここを中空にしちゃうと、ホイールを留められません。そこそこの負荷やダメージは想定内です。
で、ここに台座を挟み込むのがQR一体型スタンドです。先代のミニベロのキックスタンドがこのタイプでした。
フレームエンドの外側にこれを挟んで、ホイールやQRと一緒に共締めします。台座部分が露出しませんから、ステー周りの見た目が損なわれません。
台座とポールがアタッチメント式に分離するタイプはさらにスタイリッシュコンパクトです。Upstandてのが元祖ですが、類似品はいろいろあります。
アウトドアと通販折り畳み自転車の名門、なにわのドッペルギャンガーのクイックスタンドです。ドッペルはこういうニッチなべんり自転車グッズをつぎつぎと販売します。
ポール部分が着脱して、小さく短くなって、携帯にべんりになります。コンパクトテントのポールみたいな構造です。
難点は取付けの手間です。キックスタンドクラスの手軽さはありません。出先の写真撮影用、たまのお出かけ用ですか。
クイック式は最有力候補です。しかし、うちのエンドはスルーアクスルです。MTBフレームや最近のディスクロードフレームには付きません。
スルーアクスル一体型はまだ見ませんね~。
BB取り付けタイプ
つぎがBB取り付けタイプです。シマノホローテックタイプのBBの外側の出っ張りに台座をマウントします。N+1 ボトムレッグが売れ筋です。
ポールの細さはQRタイプと一致します。コンパクト、スタイリッシュが命です。ロード乗りは車体のビジュアルにびんかんですから、ははは。
わっかのところをBBのでっぱりに回しこんで、ねじ締めします。ポールはクランクとステーの間に収まります。そう、センタースタンドの亜種進化系です。
収納時のビジュアルはノースタンドバイクに肩を並べます。スタンディングポジションは安定です。サイドスタンドあるあるの『いつのまにかぐりっと旋回』の確率は減ります。
欠点は『停車時にクランクが空転すると、ポールに引っ掛かること』です。これはセンタースタンドあるあるです。
スタンドのポールのキック方向とクランクの空転方向はぶつかり合います。クランクがこの位置まで来ちゃうと、ポールがアームに抵触して、正しい位置まで跳ね上がりません。
解決策はじみに車体を持ち上げて、クランクを順回転させることです。センタースタンドユーザーの通過儀礼です。
で、このBB取り付けタイプはBBのでっぱりにマウントします。うちのBBを見ましょう。
プレスフィット圧入タイプです。でっぱりは無です。台座の取付けの余地はありません。一筋縄じゃ行きません。
クランク、ぺダル取り付け型
こんなふうにスルーアクスル式のカーボンフレームは台座難民です。カーボンの特色なソリッドな造形が仇になります。結果的にキックスタンドは全滅です。
ハードルを下げて、取り付けできるものをとにかく探します。クランク、ペダルタイプがあります。TPEAKのフラッシュスタンドがクールです。
中央部がぱかっと開いて、ペダルを包み込みます。変形機構とポリッシュな見た目がメカ好きの琴線をくすぐります。
しかし、携帯型のアタッチメント式です。いちいち持ち運んで、いちいち取り外ししなけりゃなりません。駐輪場では使えません。
健全な成人男子の厨二心に訴えるものはリアル中学生のリアル童心に強く訴えます。いたずら、盗難、ヤンチャの確率がぐんとはねあがります。
こちらはクランクアームに固定するタイプです。
これは要件を満たします。見た目はスマートだし。耐久度がちょっと気がかりだけど。
ドリンクホルダー取り付けタイプ
カーボンフレームには貴重な台座があります。ドリンクホルダーの取付け穴です。ここに金具をかまして、例のアタッチメント式の折り畳みポールで支えるタイプがバイクツール屋のミノウラにあります。
現状のベターアンサーが上記のクランクタイプとこのドリンクホルダーマウントタイプですわ。
でも、いずれがぼくの希望のキックスタンドではありません。着脱の手間と駐輪スペース探しの手間はどっこいどっこいでしょう。一発でかーんと止められないかな~。
スタンドの模索はまだまだ続きます。ひとおもいに自作するか・・・