ローラー台・・・自転車のトレーニング用機材の総称です。競輪選手の室内練習、雨の日のストレス発散、寒がりなアマチュアの冬場の運動不足解消まではばひろく活躍します。
ちまたの自転車乗りは雨やなんやで土日祝日にチャリに乗れないと、ばくぜんとした焦燥感に駆られます。中二週間、半月ぶりに乗ると、感覚を忘れます。
球けりみたいな手軽なスポーツさえがそうです。二週間のブランクでぞくに『試合勘』が失せます。プレー時の動き方がすぽんと抜ける。びきびきの筋肉痛のおまけつきです。
機材スポーツの自転車はなおさらです。ミニベロにしばらく乗って、一週間振りくらいに700cや29erに乗ると、感覚のちがいにしばらく戸惑います、ハンドリングとか。
また、週に一度のロングライドは100%の運動不足解消にはなりません。皆勤の100km x 月4日で400kmです。解消度は80%ぐらいです。500km~が理想です。
通勤通学のチャリ通をすれば、月間走行距離をかんたんに増やせます。しかし、チャリ通勤では置き場所の確保がたいへんです。
そして、片道20km以上のチャリ通は世間になかなか理解されません。10kmで感心されて、15kmで心配されて、20kmでひかれます。
「満員電車より楽ちんで健全です」
て、ほんとのところを清く正しく力説しても、同意を得られません、ははは。
通勤前のモーニングライド、帰宅後のナイトライドはチャリ好きにさえ苦痛です。ロードバイクの下準備、後片付けのわずらわしさが腰を重くします。
ウェアを着て、メットを被って、空気圧をチェックして、チャリを出して、あ、エレベーターに乗っけて下まで降ろして・・・めんど!
さらに夜間の走行はいろいろストレスフルです。サイクリングロードや田舎道みたいなカイテキコースは日没後にまっくらになります。河川敷のランナーはほんとに見えません。
てことで、是が非にチャリンコだけで運動不足を解消するor月間走行距離を伸ばそうとするならば、室内でローラー台をハムスターのように転がします。
ぼくはチャリの走行距離にはこだわりませんし、運動不足解消にはシンプルにジョギングをします。手軽です。
でも、自転車乗りはわりにランや筋トレを敬遠して、チャリの活用にやたらと執着します。冬場のサイクリング3時間より冬場のランニング1時間のがぜんぜん楽ちんですけどね~。別もの?
で、ぼくはZwiftを始めようかと思い悩んで、ローラー台をひとしきりに調べました。案の定、機材はピンキリです。下は数千円、上は数十万です。
ローラー台の種類
ローラー台の種類はおおまかに2つに分かれます。ローラータイプと固定タイプです。また、それぞれに自重式、リムドライブ、タイヤドライブ、スマートトレーナーみたいな小分類があります。
3本ローラー
ローラー台の基本は3本ローラーです。見た目は脚立です。踏み段のところがローラーです。
フロントホイールを一本、リアホイールを二本のコロコロの上に置いて、ハムスターのようにとっとことっとこ走ります。
バイクをローラーの上にフリーの状態で置いて、実走にこの上なく近いフィーリングを作り出します。競輪選手やスピードスケートの選手のトレーニングでおなじみの機材です。
短所は騒音と振動、そして、落車です。実際に台の上でコロコロ走りますから、何かの拍子にリアを脱輪すると、そのままの勢いで壁に突撃しかねません。
騒音と振動はふつうに出ます。ママチャリをスタンドアップして、玄関でこいでも、そこそこやかましくできます。インドアの音はひびきます。
3本ローラーの音はとみに有名で、愛好者からおもしろおかしくめでられます。Youtubeに比較動画がたくさんあります。ローラー台の音は紙パック式の掃除機といい勝負をします。
家庭用の回転体駆動装置の王、洗濯機も参考になります。静穏タイプの脱水くらいの音です。夜10時以降の木造の集合住宅ではきびしいところです。
対策はゴムを貼る、パッドを二重に敷く、振動部を抑える、とかです。一家建て以外では必須の処置でしょう。
逆に屋根付きのガレージや物置みたいなところに置ければ、手軽な最強トレーナーにできます。次点が玄関やベランダです。
畳やフローリングに直置きすると、もれなくお母さんに怒られます。注意しましょう。
固定ローラー
3本ローラーはバイクを上に載せます。一方、固定ローラーはバイクを間に挟みます。最初にリアホイールをローラーの台座にがしっと固定して、タイヤやリムに負荷をかけます。
見た目はまんま別付けのママチャリスタンドです。そこにコロコロで圧迫や負荷をかけて、ホイールの空回りを防ぎます。スタンドアップして、ブレーキをかけたママチャリをこぐようなものです。
これはリムドライブです。その名の通りのリム負荷式です。
タイヤドライブタイプはタイヤに圧をかけます。おのずとその部品は局地的に消耗します。フロントは無負荷でリアばかりにストレスがかかります。タイヤの消耗はスピーディです。
インドアトレーニング用のタイヤは必需品です。専用品、安いの、お古を準備しましょう。まちがっても、本番用のおろしたての高級タイヤを使わない。
固定ローラーの長所は安定度と静穏性です。バイクを台に完全に固定します。ペダルを回さなくても、車体を自立させられます。インドア自転車事故てゆうアンビバレンツな危険は皆無です。
そして、ローラーを小さくできますから、騒音振動を軽減できます。3本ローラーには相応の横幅が必要ですが、固定ローラーには不要です。
デメリットは大きさ、実走とのギャップ、車種です。固定ローラーはわりとかさばります。玄関の靴箱のしたには収まりません。
3本ローラーにはロードからファットバイクまで乗っけられますが、固定ローラーには適正サイズのリアホイールしかセットできません。
デフォルトはクイックリリースの130mmか135mmです。スルーアクスルタイプのアダプターは別売りです。BOOSTのアダプターをちらほら見かけます。
そして、固定ローラーへマウントした完全な自立状態は自転車的には不自然なコンディションです。重心は常に安定の一点張りです。車体を傾けられない。
自転車でだいじなものはバイクとの一体感です。この固定ローラーはライダーとバイクとローラー台との混然一体です。つまり、人車一体でなく、人車台一体です。本来、三号機の台は蛇足です。
分かりやすいのは腹筋ですか。足固定してする腹筋と足固定しない腹筋、使う筋肉がぜんぜんちがいます。別物です。
で、自転車の実走の体の使い方は足固定しない腹筋に近くなります。いろんなところが複雑にぐねぐね動きます。
筋トレの観点では固定ローラーは非常に効率的な運動です。力がよそへ逃げません。負荷は一定の場所にかかりつづけます。
で、筋肉は回復しますが、機材は消耗の一途をたどります。固定の効率性があだとなります。ちーん。フレームのステーみたいな細い部位へのストレスはばかになりません。
ダイレクトドライブ
ダイレクトドライブは固定ローラーの高度な進化系です。トレーナー側にドライブが付属します。
このドライブに別途のスプロケットカセットをつけて、そこに車体をリアホイールなしでがちゃっとセットします。
ぱっと見の印象は簡易エアロバイクみたいなふんいきです。タイヤドライブやリムドライブより『台』の占有率が大きくなります。主役はローラー、バイクは脇役です。
駆動部分はローラー側に内蔵されます。おかげでタイヤやリムは消耗しません。さらにここへハイテク要素をもりもり盛り込めます。
最新のものはANT+、Bluetoothの無線チップから負荷の自動調整機能、パワーメーター、登りや下りの再現までやってのけます。
で、無線でスマホやパソコンにデータをリアルタイムで送れますと、オンラインと接続して、Zwiftみたいなチャリゲー兼サイクリングシミュレーターと連動できます。
つまり、チャリトレ機能付きのちょっとしたパソコンです。ストレージ入れて、ディスプレイつければ、WindowsやAndroidをインストールできましょう。
これが最新式のスマートトレーナーです。長所はZwift、短所は価格です。Zwift専用の据え置きハードとしてはお高めです、ははは。
単純にインドアトレーニングの単調さをまぎらわすなら、固定ローラーしながら音楽を聴くとか、アニメを見るとか、ゲームをするとかでまかなえます。むしろ、外へジョギングしに行きます。
必然的にぼくのローラ導入の動機はZwiftオンリーになります。で、Zwift専用の『本体』の候補がAmazonにあります。ミノウラの固定ローラーのアマゾン限定セットです。
まさに手軽にZwiftを始めたいライトユーザーを狙い撃ちするようなローラー台です。これで十分ですわ。
でも、手持ちのチャリがBOOSTのMTBと改造ママチャリだけです。うーん、困った。