自転車のスポーク交換 折れ曲がった一本だけを振れ取り台で修理


ふつうの人は自転車のホイールをただのわっかと認識します。タイヤとリムの混同さえがめずらしくありません。

 

ホイールパーツ

 

しかし、このわっかは自転車好き、機材好きには深淵なる円環の霊妙なる魔法陣です。人心をひきつけ、物欲をかきたてます。ホイールほしいほしいほしい~!

 

で、この魅惑のわっかは4つのパーツから成立します。枠のリム、軸のハブ、要のニップル、そして、柱のスポークです。

 

きゃしゃなこの構成物がチャリダーの全体重と全パワーを支えて、何万回何十万回と回転します。がた、へたり、くたびれは水面下で着実に進行します。

 


スポークが曲がった!

 

そして、しばしばあきらかな不具合が生じます。

 

変形スポーク

 

はい、スポークが曲がりました。真夏の悲劇です。原因はオフロード走行のきついセクションの担ぎ上げか投げ下ろしでしょう。

 

たのしい岩場

 

か、スポークが枯れ枝を拾って噛んだか。木と根のトラブルはオンロードではレアですが、オフロードでは定番です。Roots & Rocks、根と岩はMTBerの宿敵です。

 

振れ取り台デビュー

 

さいわいこのスポークは変形のみにとどまります。クラックやねじれはありません。テンションはふつうです。致命的な破損ではありません。

 

が、二号機のフラットバーロードのホイールのニップルがリムのなかでまっぷたつに砕けたのがついこのあいだのことでした。パーツ交換をして、簡易な振れ取りをしました。

 

ニップルから竹割

 

はじめてのニップル交換と振れ取りは意外とうまく行って、大きな横ぶれはなくなりました。グッドジョブ!

 

で、この成功体験と夏の暑さにふわふわ浮かれて、ついに振れ取り台をゲットしてしまいます。安いミノウラ? プロ用のパークツール? 好評のGORIX?

 

安心安全中華製

 

NONO、そこはこのB4Cのしわざです。安心安全ノーブランドの中華振れ取り台だよ!

 

中華振れ取り台

 

購入先の国内のセラーの情報ではこいつは”RXTR XT1″て型番のようです。同型がAliExpressにあります。300ドル前後です。中華系ツールの最高級クラスのハイエンド工具です。

 

本家の中華セラーの商品紹介の画像が非常にフォトジェニックでした。実物はどうでしょう?

 

ベアリングでスライドする支柱

 

うーん、きれいな仕上がりです。ゴールドの筒の中はベアリングです。支柱は右側のダイヤルでスライドします。うごきはなめらかです。

 

決め手のねじです。

 

よさげなボルト類

 

海外製品のねじ、ボルト、ナットはコスト削減の影響をまっさきに受けます。飴細工かキャラメルみたいなへなへなのボルトが少なくない。

 

この振れ取り台のねじ、ボルト、ナット類は非常に好印象です。ぴかぴか度から多分にステンレス製でしょう。

 

横軸のシャフトはスチール、支柱と土台はアルミです。やすっぽいところはありません。土台の平面がややルーズですか。でも、これはもともと作業台に据え付けるタイプのようです。ねじ穴がある。

 

秘密兵器ダイヤルゲージ

 

そして、秘密兵器があります。ダイヤルケージです。

 

ダイヤルゲージ

 

横振れ用、縦振れ用、もひとつおまけはディスクブレーキローター用です。長針1周が1mm、10桁台の数字が0.1mm、最小目盛りが0.01mm、測定上限が10mm=1cmです。

 

ずぼらなしろうとが安いアナログ工具で感覚的にやると、まちがいなくどっちつかずの泥沼に陥ります。デジタルの力を導入して、一気にジャンプアップします。優勝ホイール!

 

made in Japanでこれを販売しようなら、かるく5万を超えましょう。本体、ダイヤルケージx3、スルーアクスルアダプターの一式が送料込みでなんと27500円です。ビバ・チャイナ!

 

正直、家庭用の振れ取り台にはオーバーテクノロジーで、オーバーコストです。が、今後の十年の自転車ライフを見越して、えいやとふんぱつします。

 

で、これをゲットしたやさきにメイン機のスポークの折れに気づきました。格好のえじきです。てか、こうゆうささいなメンテにどしどし使わないと、ぜんぜん元を取れません。

 

初振れ取り台で初スポーク交換

 

ところで、今回の購入物には説明書がありません。本家の中華ページの画像から手探りで組み立てます。

 

振れ取り台完成

 

はい、OK牧場です。機械的なメカメカしいデザインがCOOLじゃありません? 現実問題、ブランドの売れ筋の定番の振れ取り台より見栄えします。

 

ここに問題のホイールをセットします。MTB用のスルーアクスルのBOOSTのリアです。これに付属のアダプターを通します。

 

で、スライドシャフトのダイヤルをきこきこして、クリアランスをがばっと広げます。そこへホイールをのっけます、どーんと。あ、事前にスプロケットを外しましたで。

 

BOOST 148リアホイールの振れ取り

 

おお、プロショップみたいだ!

 

曲がったスポークを抜く

 

さて、作業の時間です。折れ曲がったスポークを抜きましょう。ニップル回しでニップルをゆるめます。サイズは15です。

 

ニップルサイズは15

 

ここで最初の注意点が来ました。このホイールはチューブレス用のつるぺたリムです。ニップル穴がありません。ホールレスリムです。

 

ニップル穴なしでテープレスリム

 

ニップルをリム内に落としまうと、つぎの取り出し・取り付けに苦労します。で、これに留意して、修理箇所を上向きにして、ニップルをしんちょうにゆるめます。

 

スポークをニップルから外す

 

はい、OKです。で、このポジションをキープしつつ、スポークをハブから抜きます。ノーテンションのスポークはぐにゃぐにゃです。軽くたわめながら、するする取り外します。

 

摘出に成功しました。

 

曲がったスポーク

 

ノーテンションでは曲がりがけんちょになります。ちなみに替えのスポークはホイールのおまけです。しかも、たなからすぐに見つかった。ラッキー!

 

単品のスポークのオーダーはわりにやっかいです。サイズの下調べ、材質、送料などがいちいちめんどうです。

 

前回のニップル交換も今回のスポーク交換も予備でOKです。ツキはこちらにありまずぜ~。

 

オイルを差す

 

差し替えの前にニップルかスポークのねじ山に少々の潤滑油を垂らすと、のちのちの増し締めをカリカリにできます。

 

また、緩み防止をきらう人はロックタイトやスポークプレップを塗ります。ぼくはオイル・グリス派です。がちがちに固めてしまうと、もしものときに困りますし。

 

さーて、どれにしようかな~?

 

スポーク潤滑ルーレット

 

て、天の神様ルーレットでサラダ油が引きあたりましたが、理性がチェーンルブを選びました。スポークのねじかニップルの穴に一滴をたらします。

 

チェーンルブを一滴

 

スポークを通す

 

新しいスポークを通しましょう。もちろん、元の通し方を踏襲して、ヘッドの外内、ほかのスポークの交差を決めます。

 

このレイアウトがくずれると、ホイールのバランスが崩れます。で、弱いところがまたジャムります。ほかのスポークの配置を見る、事前に写メをとるとかをして、ただしく通します。

 

今回のところはピンクの箇所です。スポークヘッドは外です。ハブの外側からスポークを通します。交差は3です。ぞくに3クロスてものです。

 

スポーク通し方

 

一個目のとなりのスポークの交差はヘッドの向きから必然的に裏となります。二個目も裏です。三個目が表ですね。

 

一から手組するときにはスポークの交差とレイアウトで四苦八苦します。でも、部分的な補修はかんたんです。

 

ニップルを締める

 

で、ただしくスポークを通して、ニップルを締めます。手である程度まで回して、ニップル回しでこねくり回します。

 

動きのイメージはこんなです。

 

赤・ニップル締め 黄・リムの寄り 青・スポークの縮み

 

1のニップルが赤方向に回る(締まる)と、スポークが青方向に張って、リムが黄方向に寄ります。で、両隣の23のニップルが緩むと、対応のスポークが緩んで、結果的にリムが黄方向に寄ります。

 

1を1/4締めて、23を1/8を緩める・・・みたいな3本セットの考えがオーソドックスです。

 

前回のニップル交換の応急処置には車体ひっくり返しで対応しました。今回のスポーク交換にはデジタルをフル活用します。

 

縦振れと横振れダイヤルゲージ

 

はい、ダブルダイヤルゲージです。縦振れと横振れを一目で視認できます。アナログゲージやブレーキシューとにらめっこする時代は終わりました。デジタルサイコー!

 

おかげでめんどうな振れ取りがあっという間に終わります。とくに横振れ取りはおちゃのこさいさいです。ニップル増し締めの効果が数値でにょじつにわかります。

 

写真を撮りながら、30分前後で仕上げられました。

 

スポーク交換 振れ取り完了

 

振れ取り、ちょろ! 

 

わりとかんたんです。このB4Cが本気をちょろっと出せば、あっというまにホイールマスターになっちゃうよ~。

 

では、ホイール界のご意見番のおふたかたの声をぼくの独断と偏見と想像で幻視しましょう。

 

蟹の人と馬の人のザ・しったげきれい

 

やーめーろー

 

デジタルの力に味を占めて、前輪と予備のホイールまでやっちゃいます。が、イオンバイクのやすもののニップルまわしはやばやへたれて、ニップルがなめました。

 

ニップルなめる

 

焼き入りの硬いのを買いなおすか~。

 

おまけ・オンオフ試走

 

スポーク交換後にさっと試走に行きました。

 

1時間20分のヒルクライム、異常なし。

 

2018年8月六甲一軒茶屋

 

1時間半のオフロード、異常なし。

 

かえる岩

 

OKです。ぶじに生還できました。この調子で壊す、直す、遊ぶを繰り返せば、スーパーチャリダーになれましょう。

 

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