シティチャリやママチャリのタイヤチューブのバルブは英式バルブです。こんなです。

英式バルブと虫ゴム
バルブコア、虫ゴム、ソケットからなります。

バルブ キャップ 虫ゴム
これはポピュラーな商品です。100円ローソンやダイソーやセリアやの100円ショップで入手できます。

ダイソー100円パンク修理パッチ
一方、ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイク、ミニベロなどなどのスポバイ、ホビバイのバルブは仏式です。

チューブレス用仏式バルブ
さらに汎用の米式があります。

エアサス米式バルブ
これらには互換性がありません。一般的な空気入れはだいたい英・米式です。米式口金に英式ソケットがバンドルします。

ホームセンターの空気入れ 左が米式の口金 右が英式フック
仏式は日常生活ではマイナーです。しかし、チャリ生活にはメジャーのメジャーです。むしろ、英式・米式にはとんと無縁です。
スポバイのタイヤは実用系の自転車のタイヤより神経質です。空気圧はとくに重要です。タイヤ、チューブ、ホイールのそれぞれには推奨空気圧があります。その適正な範囲内で最大の性能が出ます。
ですから、気圧メーターつきの空気入れ、フロアポンプはチャリダーには必須です。ぼくは最初にこそ自宅の汎用空気入れを使いますが、じきに自転車用のものを買いなおします。

BBBフロアポンプ
オランダの自転車パーツブランドBBBのフロアポンプです。もちろん、メーターつきです。そして、口金は米・英・仏のコンパチブルです。口金が勝手にバルブを判断します。かしこ工具です。
3000円~のものはたいていそんなです。パナレーサーのがアマゾンの売れすじ一直線です。楽々ポンプ、名前があれだけど、ははは。
で、ふつうの空気入れでロードの23Cみたいな高圧用タイヤに適正な空気を入れようとすると、かなりの苦戦を強いられます。
マイふつポンプの末路はこんなです。

タンクが壊れた空気入れ
はい、タンクがぐんにゃりしちゃいました。一回の排出量が自転車用より少なめです。何回もむりやりしゅこしゅこしますから、挙句にこんなふうにぶっ壊しちゃます。
で、そんないきさつでBBBのやつを買いました。ほんまにひんぱんに使いますから、すぐに元を取れます。空気入れは必須です。
このありがたみをかみ締めながら、チューブレスタイヤのビードを上げようとハイスピードでしゅこしゅこします。じゃあ、途中で手応えがすかっとなります。あれれ?
空気入れのなかでなにかの異変が生じました。そんなふんいきです。手応えからパッキンの不具合でしょうか。時間を置いて再挑戦しますが、芳しい反応を得られません。
故障です。じゃあ、良い機会だ。空気入れのメンテをしましょう。メンテ品のメンテも大事ですよ。
未知数な空気入れの修理
早速、ネットで自転車空気入れの修理のログを調べます。が、いずれが個別の案件で、内容がまちまちです。
- パッキン系
- 反動板系
- 弁系
- 持ち手破損系
これらがレギュラートラブルみたいです。でも、空気入れのメーカーや種類がばらばらです。BBBのやつは出ない。あえなくネットを閉じます。
こうゆうときの頼みは手探りと勘です。緩められるところを緩めて、開けられるところを開けます。
まずは手仕事です。手で外せるところを外します。空気ホースの口金のソケットと空気圧ケージの根元をぐりぐりします。じゃあ、ぱかっと開きました。

ホース側の連結部は異常なし
異常は見当たりません。汚れがちょびっとだけです。きれいなもんです。ホースの空気漏れて感じははなからしません。筒のなかが怪しげです。
ひっくり返すと、でっかいナットを見つけます。

土台裏のナット
シャフトエンドにでっかいナットです。この止め方で中の仕組みはおおよそに知れます。このナットを外すと、シャフトを引っこ抜けます。これまでのメンテ経験がそう語ります。
で、ナットを外して、筒のサイド側のネジを緩めて、持ち手をぐいぐい引っ張り上げれば、シャフトをすこっと抜けます。
はい、ご対面です。

空気入れインナーチューブ
あらまあ、サビとグリスですわ。チューブはしっとりウェットです。ところどころに水滴がします。
んー? なんででしょうか? この空気入れは完全室内保管だのに? 湿気か? うーん、なぞ。
小首を傾げつつ、サビと古いグリスをふき取ります。なぞシステムが現れます。

空気弁ぽいゴムボール
ここでぼくがしゅこしゅこしますと、球がころっと噴出しました。このボールのところが空気口みたいです。ボール自体は逆流弁でしょうか?
これ以上の分解はむりです。余分な汚れと水分を取って、グリスを塗りなおして、外筒にセットしなおします。
控えめにグリスをしたら、シャフトの根元から空気漏れをしちゃいました。グリスをべッチョり塗りなおします、インナー筒にも薄く塗る。
と、今度は持ち手が全く動きません。完全密封状態です。圧はきちんと掛かりますが。
ふーんと見渡して、ボルトを発見します。これをカチカチ→ちょいゆるにしました。

空気圧調整ボルト
で、しゅこしゅこしなおす・・・お、ばっちり口金からエアが出ます! イレギュラーな空気漏れはありません。修理完了です。やったね!
ためしに23cタイヤを9barまで入れてみました。完全に前より動きがスムーズです。ばっちしじゃないか、B4C!
サビの犯人はおまえだったか!
こんなふうに手探りでうまくできますが、サビと湿気のなぞを解決できません。世の中にはふしぎなことがあるなあ・・・まあ、ええか。
と、ポンプを玄関の片隅の定位置に戻した途端にはっと気付きました。

傘立てだと?
謎はすべて解けた! 犯人はこの中にいます!
そうです、傘ですよ、こいつが水滴の犯人ですよ、おまわりさん!
ここはうちの傘置き場です。雨の日にはカッパとかも一時的にこの上にどちゃっと置かれます。
その水滴が滴って、持ち手を伝い、空気入れのインナーチューブの中に入る。パイプのなかは密閉です。水避け穴みたいなものはありません。シャフトはザ・鉄です。じゃあ、サビがむらむら沸きます。
はい、Q.E.D.です。証明終了。
玄関の傘立てのそばに空気入れを置くのはありがちでしょうよ。ことさらにぬれたカッパのどっちゃり被せはあるあるだあ!
みなさんも注意しましょう。十中八九、傘立てそば置き派チャリダーの空気入れのなかはサビサビでしょうね。室内保管の盲点だ。
見事にアンブレラ社の完全犯罪の迷宮入りを阻止しましたね、クリスか!
あー、すっきりした!