YouTube動画の平均点は20点です。10点台もざらです。30点以上は優等生です。一般ユーザーの大多数は得点の存在にすら気付きません。
そもそもこれは何の点数でしょうか? 動画のどこにそんな指標があるか? 再生数? コメント数? 評価の数のこと?
たしかに初期のYouTubeのレイアウトにはそんな点数はありません。でも、Chromeの拡張機能でその隠し要素が顕在化します。
YouTube動画にSEOの波
Webサイトの世界ではSEO対策は必須です。Googleの検索エンジンに好かれるか否かでサイトの地位が決まりますから。
ちなみにSEOという単語は”Search Engine Optimization”の略称です。『検索エンジン最適化』と訳されます。
Google検索の利用者の大半は検索結果の1ページ目の情報しか見ません。そこがショップの店頭、雑誌の一面です。
2ページ目以降は裏手の物置かチラシの裏のようなものだ。圧倒的に日の目を見ない。
このGoogleの検索結果の1ページ目という最高の舞台にコンテンツを掲載するための知識や技術がSEOです。
ために世界中のWebサイト運営者やブロガーがこのSEO対策に力を注ぎ、有象無象の業者が横行し、GoogleのAIの挙動で一喜一憂します。
何故かドン・キホーテと風車のエピソードが頭によぎりました。
情報発信が文字から動画に
Webの世界ではSEOは定番の陳腐な話題です。またAIの気分で手法やトレンドがころころ変わります。
サイト運営者がSEOに取り組むと、かの騎士のようにしかめ面になります。
他方、動画の世界ではSEOの利用はまだまだ活発ではありません。YouTubeはコミュニティです。
配信者のキャラクターやチャンネルの雰囲気が小手先のSEO効果を上回ります。
関連動画機能も強力です。視聴者の多くは魅力的な動画のサジェストに吸い寄せられます。
しかし、動画は動画だけで成立しません。ファイル名、タイトル、タグ、概要などを伴います。
これらはテキストです。従来のSEOの知識やテクニックの対象に含まれます。
個人の情報発信は確実に文字から動画に移行します。ならば、これから動画SEO対策はもっと一般的になります。
SEO対策の意味とvidIQの使い方
上述のようにYouTubeの動画は動画だけで成立しません。ファイル名、タイトル、タグ、字幕、概要などのテキストを伴います。
タイトルや概要は直接に視聴者の目に映ります。タグやファイル名はYouTubeのアルゴリズムに引っ掛かります。文字要素は人間にもプログラムにも重要です。
動画SEOは過小評価?
YouTubeのチャンネル運営者は感覚と経験からタイトルを大袈裟にしたり、概要にキーワードを盛り込んだり、適当なタグを付けたりします。
でも、徹底的に対策する人は少数派です。大半が感覚と経験に終始して、それ以上の体系的なテクニックの実践には至りません。
たしかに動画のタイトルやタグや説明文をいちいち推敲するのは煩わしいものです。YouTuberの本業は動画投稿であって、文章作成ではない。
そういう私もブログやサイトの記事ではきっちりSEO対策を施しますが、動画にはときどき手を抜いてしまいます。テロップ入れで文章打ちは満腹ですし。
でも、動画内のテロップは動画の要素です。それはテキストコンテンツではない。ユーザビリティには貢献しますが、SEOスコアには貢献しません。
そんな個人的な反省を踏まえつつ、vidIQを導入して、動画SEO対策の体系化にチャレンジしましょう。
vidIQのインストール
vidIQはYouTube動画の分析ツールです。読み方は『ヴィッドアイキュー』です。Free版とPro版があります。
Googleの純正ツールでこそありませんが、公認ツールです。VidIQのトップページはこちらです→ https://vidiq.com/
左上のロゴの横にYouTubeのお墨付きが見えます。SEO業界には一抹のいかがわしさが常に漂いますから、この公認マークは初心者にはありがたいものです。
会員登録の方法はメールアドレスとパスワード入力→返信メールのURLから本登録のパターンです。
Chromeにインストール
本登録後のログイン画面です。ここは少したどたどしい日本語です。
ところで、vidIQはWebサービスでなく、Webブラウザのプラグインです。Google Chromeのみに対応します。
このvidIQを含むChromeの拡張機能はChromeウェブストアにあります。便利なプラグインやお洒落なテーマがたくさんあります。
このCrhomeウェブストアでvidIQをダウンロードして、ついでにSocial Bladeをインストールすれば、ChromeをYouTube解析ツールにアップグレードできます。
動画のSEOスコアを見る
ChromeにvidIQがインストールされると、YouTubeのレイアウトに色々なデータが加わります。
右上の244 18.8kはデフォルトのレイアウトにはありません。これもvidIQのデータです。
内容は直近のチャンネルの動画の再生回数や登録者の推移のグラフです。
こちらは評価の比率やfacebookのいいね、redditのエンゲージメント、そして動画のSEOの点数です。
この動画のSEO点数は27.1です。これはタイトル、バックリンク、キーワードやタグの質と量、ソーシャルのシェア数、固定コメントの有無などで上限します。
この下部にはチェック項目があります。
- Title=タイトル
- Tags=タグ
- Description=概要、説明
- Cards=動画内のカード(リンクのアラート)
- End Screens=終了画面
- Shared on Facebook,twitter=それぞれのシェア
- Public=動画の公開
- Pinned Comment=固定コメント
- Hearted Comment=コメントの♡(いいね)の有無
と、項目は多岐にわたります。そして、このスコアはまあまあスパルタです。
うちのチャンネルの一番人気の32万再生の動画のスコアがこうです。
総合スコアは54.9、SEOスコアは34.8です。緑文字は再生数100万~でしょうか?
鍵付きの指標は有料版で解放されます。
動画のタグ一覧とサジェスト機能
この枠の最後のデータは動画のタグの一覧です。
動画のタグは半ば隠し要素です。初期の動画ページには出ませんから。それがこんなふうに一瞬で暴露されます。
しかもこのタグを右上の↓からCSVでダウンロードできるし、クリップボードにワンクリックでコピーできます。
これを使えば、人気動画や急上昇チャンネル、同ジャンルの配信者やライバルYouTuberのタグ設定を活用できます。
さらに自分の動画のタグ設定のときにサジェスト機能がアシストしてくれます。
『ママチャリ』は出てこなかった・・・多分、この候補はYouTube内の人気動画のタグから優先的にサジェストされます。つまり、ママチャリはホットな話題ではありません。
このようにvidIQのタグ対策は過剰気味に万全です。無料版がこの機能ですから、有料版が気になりますが、PRO版やその上のBOOST版は完全に業務用です。
SEOの優先順位
動画投稿の初心者や駆け出しのYouTuberが便利なツールを使っても、最初から100点を取れません。そもそもこの手のツールで現実的な満点はありえない。
初心者は一から十まで複雑な設定をしようとせず、SEO要素に優先順位を付けて、効率的にリソースを使いましょう。
タイトルは命
タイトルは常に最重要です。動画の内容を端的に表しつつ、注目のキーワードを組み込んで、視聴者の心とYouTubeのアルゴリズムの双方にアピールします。
現在のこの記事のタイトルは非常に典型的です。
『vidIQの使い方 YouTube動画のSEO対策に必須のプラグイン』
『vidIQ』というキーワードを冒頭に配置し、『使い方』という目的で内容を示唆します。『Youtube動画』や『SEO対策』や『プラグイン』は第二キーワード群です。
ハウツー系コンテンツのタイトルは基本的にこうなります。YouTubeのハウツー系の動画タイトルも同様です。
アルゴリズムはプログラムです。これは常に冒頭からデータを読み始めます。つまり、ここに最重要ワードを置くのが基本です。
欧米の利用者も左から右に読みます。Webサービスのレイアウト自体がそうです。左上が基点だ。
また最重要キーワードが左上にあれば、Googleの自動翻訳の支障が少し減ります。
アルゴリズムの元のプログラムの元は英語です。で、英語の基点はやっぱり左上です。
動画の内容や方向性で理想的なタイトルのパターンは異なります。衝撃映像には【※衝撃※】のような括弧つきの短文の装飾が良く使われます。
これは主に人間用の装飾です。
勿論、アルゴリズムやユーザーに訴えるためだけに動画の内容に無関係なキーワードを盛り込むことは禁物です。SEOとスパムは紙一重です。
実際問題、タイトルとサムネイルで動画の動員力の8割は決定します。この二つをしっかり作り込んで、以下の要素を設定しましょう。
長文OKの概要欄
概要欄は柔軟性に富みます。
長文を記載できますから、動画の説明、チャンネル登録のお願い、商品の紹介、ブログやSNSアカウントの告知、他所へのリンク、連絡先等々を書き込めます。
私は動画の説明と共に以下の項目を概要に記述します。
- チャンネル登録のお願い
- メンバーシップのお願い
- 再生リスト
- ブログのリンク
- Twitterのリンク
- 連絡先
いちいち書くのは大変です。YouTube Studioのチャンネルカスタマイズで概要欄の基本のテンプレートを設定しましょう。
ただし、概要欄はモバイルのYouTubeアプリではメニューの下に隠れますし、PC版では最初の三行しか見えません。
内容の紹介かチャンネル登録&高評価のお願いが定番です。
タグ付け
タグ付け設定は意外と簡単です。人気動画やライバルチャンネルのタグ設定をvidIQやSocial Bladeで暴いて、めぼしいワードを自分の動画に使い回します。
付け過ぎやミスマッチは逆効果です。やはり、スパムになりかねません。10~20個が適量です。
チャンネルの基本タグも概要欄の基本項目と同様にチャンネルカスタマイズでテンプレート化しましょう。
自転車チャンネルのうちでは『自転車』とか『bike』ですね。あと、タグに英単語を交えるのは初歩的な海外対策です。
翻訳と字幕
翻訳と字幕は中級者向けの海外対策です。動画の全編に英語字幕を付けるのはなかなかのコストです。だいたい英語できるなら英語で収録しますし。
ですが、上記のSEO設定に慣れたら、動画に新しい言語を追加して、タイトルの英訳を入れてみましょう。
YouTubeの海外ユーザーは国内ユーザーの数十倍です。まあ、競争率も数十倍ですけど。
vidIQのまとめ
vidIQはGoogle Chrome専用の拡張機能で、YouTubeのSEOに効果的なツールです。
動画のスコアはSEOの点数はあくまで目安ですが、タグの分析やサジェストは非常に実用的です。
動画SEO初心者はまずタイトルとサムネイルを作り込んで、つぎに概要とタグを設定し、最後に翻訳や字幕に挑戦してみてください。