自転車のブレーキは多彩です。
オンロードバイクのキャリパーブレーキ、TTのダイレクトブレーキ、シクロクロスのカンチブレーキ、オフロードバイクのディスクブレーキ、ママチャリのローラーブレーキ、実用車のロッドブレーキなどなど。
Vブレーキは二昔前の初期のMTBのブレーキです。Vブレーキはカンチブレーキの進化系です。開発はわれらのシマノです。なので、カンチとVブレの台座はコンパチです。
ブレーキ力はキャリパーやローラーブレーキより高めです。しかも、値段は割安です。なので、クロスバイクやミニベロなどのノット競技自転車に良く使われます。
弱点はリムブレーキであることです。ホイールのリムのコンディションでブレーキ力が大きく左右されます。
その後のディスクブレーキの台頭でオフロードバイクのVブレーキは完全に消えました。さらにクロスバイクのディスクブレーキ化が現在進行系です。
しかし、Vブレーキは絶滅危惧種じゃありません。街中の実体数は多勢です。小径車のブレーキはたいていVブレーキです。
なので、これの調整に悩む人はわりに多くいます。しかも、大方がチャリの整備に不案内な初心者です。
「ブレーキが効かんけど、整備の仕方が分からん。チャリ屋に行くのはめんどうや。ようし、見て見ぬふりをしよう!」
こういう人は少なくありません。そんなずぼらさんのための初級Vブレーキ講座を始めます。
Vブレーキ調整
最初に工具を用意しましょう。アーレンキーとプラスドライバーです。ついでに紙切れを用意すると、プチ裏技まで行けます。
まず、アームを解放します。Vブレーキパーツとかバナナとか言われる金属のチューブをアームのガイドから外します。
簡単なやり方です。
つぎはパッドの調整です。工具はアーレンキーです。ちなみにうちのクロスバイクはこんなやつです。
これは確実にタイヤを挟んじゃいます。音鳴りの原因はこれです。なんでこのハイポジションでしょうか? うーん、なぞだ。
最後のメンテナンスはボルトをスプレー塗りしたときでしたか。そのときに手を抜いたかずぼらをしたか。
適正位置はここです。
ちゃんとホイールのリムに目印の線がありますやん。ボルトの締めあとがくっきりします。
バナナを戻して、ワイヤーを調整します。
もし、アームの偏りを見つけたら、こいつで調整します、ちっこいネジ。プラスドライバー用です。
このネジを締めると、アームを外側に開けます。逆に緩めると内側に絞れます。レバーを引いて、左右の偏りと動きを見ながら、グッドあんばいバランスを出しましょう。
「あのお、片側のアームだけがびくびくします」
はい、それはぞくに片効きです。バネの強さに偏りがあります。
左のピンばねのテンションを調整するのが上記のちっこいねじです。手探りフィーリングでネジネジして、左右均等にバランスよく調整しましょう。
パッドの動きの振れ幅を同じくらいにするのがセオリーです。これはパッドのクリアランスです。平行です。
このバイクはこれで音鳴りしません。が、トゥインてゆうテクニックを使うと、さらにくろうとぽくメンテできます。
裏技、トゥインことハの字パッド
で、トゥイン=Toe inです。紙切れを1mmくらいの厚さにして、リムとパッドの間にかませます。
かませる箇所はパッドの後ろ側です。ここからブレーキレバーをしっかり引いて、それを維持しながら、パッドのボルトを緩めて、締めなおします。
すると、後ろ側のクリアランスだけが前側より広くなります。
ザ・ハの字です、マルタン・マルジェラのライダースジャケットのごときフォルムです。
つまり、パッドの前側・爪先=Toeが相対的に内側=inになるから、トゥインです。
間違って前側にかませをすると、ヒールインになっちゃいます。これはNGです、裏技じゃなくて、ただの失敗です。でも、実体はヒールアウトじゃないか!
このトゥインはメジャーなテクニックです。しかし、ブレーキとリムの相性やコンディションで効果的だったり、逆効果だったりします。
DIYチャリダーは愛機の様子を見ながら、臨機応変にこつこつやりましょう。こういうあんばいメンテものは技術より愛情です。