ロードバイクのバラ完が最終段階に入りました。先日のシフターに続いて、カンパニョーロネタが続きます。
エルゴレバーのグリップの握りやすさと価格のみを念頭に置いて、さきにポテンザのレバーをヤフオしました。あとで気づきます、こいつがパワーシフトだって。

カンパニョーロポテンザ
ウルトラシフトとパワーシフト
カンパのレバーは二種類です。ウルトラシフトとパワーシフト。BBのウルトラトルクとパワートルクの分類に準じます。ウルトラのが上等です。
2016年デビューの初代Campagnolo Potenzaは廉価グレードのAthenaの後継モデルです。このアテナはパワーシフトのパワートルクです。
で、これの正当後継者の1stポテンザもパワーシフトのパワートルクです。このパワートルクはBB界の伝説です。なんと純正工具が存在しない! 公式の取り外し方法もない!
「なんかテキトーな工具でテキトーにぶちぬいてね♡」
てのがカンパニョーロ先生のありがたいアナウンスです。オフロードのe*thirteenのおにぎりシャフトクランクと並ぶ黒歴史です。
当然のごとくこれが絶不評を博します。ためにカンパニョーロはBBをウルトラトルクへ一本化しました。
のちにCentaurが11速で復活します。グレードはポテンザより下ですが、BBはウルトラトルクです。さらに油圧ディスクブレーキ用のPotenza 11が出ます。二代目Potenzaです。
この二つのシフターはパワーシフトの改良型のようです。ウエパーのCentaurの商品ページには「Potenzaとの互換はありません」て備考があります。
互換がちんぷんかんぷん
で、カンパのパワーシフトの互換性をあれこれ調べますが、まんぞくな結論を得られません。初代ポテンザのリアメカを別途で買うのがベストです。
しかし、カンパの最近のリアメカの単体がそんなにぽつんて出てきません。中古のメインはレコードやコーラスです。はたまた、ヴィンテージのレアパーツだ。
国内のカンパの希望小売はファンタジープライスです。海外通販は二週間コースになります。ヤフオクか中古屋でポテンザの良品がでないか~?
そんなときにポテンザ探しの多大なる精神的疾患から出来心が起きます。マウスが勝手にうわわわあ!!
数日後にはこんなものが手元に届きました。

Campagnolo Athena リアディレイラー
AKIRAATEHNAです。聖闘士の指導的存在でなく、サイコソルジャーでなく、ポテンザの先代のエントリーグレードの11速ドライブトレインです。
このアテナのシフターはパワーシフトです。初代ポテンザとの互換性はさだかではありません。でも、おなじパワーシフトで、おなじ系譜です。いけるいける! Allez! Forza!
ところで、今回の戦利品はリアメカだけです。ぼくのなかではフロントディレイラーは古風な代物となりました。FDは補欠です。
でも、EASTONのクランクはスタンダードなダブルじゃなかったか?

EASTON EC90 SLクランク
はい、なんちゃってフロントシングルを見越して、インナーを39Tにしました。アウターはバッシュガードです。
この使い方でトラブルに見舞われれば、WolftoothかabsoluteBlackのナローワイドを別途で発注しましょう。この二社にはこのクランク用のダイレクトマウントのリングがあります。
あと、フロントディレイラーの互換性はリアメカほどに神経質じゃありません。切り替えが一段だけですしね。
カンパのリアメカを見る
さて、この中古のアテナがぼくの1stカンパニョーロのディレイラーです。しょぼい意味の『フルカンパ』です、ははは。
そもそもロード用のメカの扱いがひさびさです。最近のチャリ遍歴はミニベロ、クロスバイク、MTB、ママチャリです。
最初に拭き掃除します。

リアメカお掃除
さっと拭いて、こんなによごれを落とせました。最近のヤフオクの自転車パーツの出品者はぜんぜん掃除しません。物売るっていうレベルじゃねぇぞ! うへ!
上図の左のテンションプーリーは社外製のKCNCのシールドベアリングのやつで、右のガイドプーリーはカンパの純正のベアリングなしのやすいやつです。
ケージの上ではベアリングなしの純正のがよく回ります。プーリーのカスタムはほぼほぼファッションです。
体重測定をしましょう。

カンパアテナリアメカ 220g
ジャスト220gです。ふつうの11速のショートゲージのディレイラーのおもさです。105やRivalクラスですか。アルテやForceには負けます。
ギア調整ボルトの位置がざんしんです。メカの本体の横側にある。

カンパアテナギア調整ボルト
右ねじがトップ用、左ねじがローです。トップは右回しで外に、左回しで内に動きます。ローは右回しで内に、左回しで外に動きます。
上記は完全にぼくの備忘録です。このボルトの動きはほんとにすぐにすっぽ抜ける。ほかのログや公式マニュアルさえがあてになりません。
ギア調整ボルトのほかには特段のシステムは見当たりません。SRAMのメカのケージロックみたいな工夫はない。あれはべんりです。全部のメカにつけてよー。
アテナxポテンザは合うか?
本題です。同系統のパワーシフトのレバーとメカの互換性はいかがでしょう? これが決まらないと、このカンパのアテナが文鎮と化してしまいます。

ポテンザとアテナ
ふんいきはそっくりです。ばくぜんとした期待感がただよいます。紐を通して動きをチェックしましょう。
フルアウターでケーブル仮組
ところで、ドロップハンドルがぜんぜん届きませんから、今回のケーブル取り付けは仮組です。フルアウターでつないでシフトチェンジの動作だけを確認します。
さくって通します。

ケーブル通す
SRAMのローラガイドみたいな機構がありません。シンプルな方式がぎゃくに不安をさそいます。金具のみぞと土台のワイヤー跡をきっちり合わせます。
ハンガーボルトが星形だ!
意外なところに難所が訪れました。ディレイラーハンガーの固定ボルトです。これが星形ねじじゃありませんか!

ディレイラーハンガーボルトが星形ねじ
このたまさかの星形ねじやプラスねじは意味不明です。サイズは25Tみたいです。25Tのトルクスドライバーはながらく行方不明です。
しかし、ピュアナチュラルDIYラーは慌てません。手持ちの工具を手当たり次第にぶつけます。結果的に一本のアーレンが表から入らずも裏からかっちりフィットしました。

裏をかく
逆ねじで締ります。じゃあ、こっちは正道じゃありません。表からトルクスドライバーで締めるのが正解みたいです。
ほんとにマジでこれもギア調整ボルトのプラスねじもひとおもいに六角にしてよ! ここのプラスねじはチャリ界の七不思議のひとつです。すぐにナメるし。

取付
はい、形はできました。メカはカンパ、アウターケーブルはJagwire、インナーはBBBのシマスラ用、チェーンはKMC、カセットはSUNRACE…すごいちゃんぽん、チャンポニッシモです。
チェーンの長さやケーブルの処理はてきとうです。今回の目的はメカの動きと互換のチェックです。ドロップハンドルがぜんぜん来ない・・・
現物合わせの変速調整
山場が来ました。変速調整です。はたして、アテナxポテンザはきちんと動くか? 互換性はあるか? そもそも中古のレバーとメカはジャンクじゃないか?
て、その前にカンパニョーロのリアディレイラーの変速方法をおさらいします。基本のながれはシマノやSRAMと変わりません。
手順はこうです。
- インナーワイヤー張り
- トップ調整
- ロー調整
- アジャスタで微調整
工具はアーレンキーとプラスドライバーです。変速調整にププププラスドライバー! ですよ。SRAM派には別世界のはなしです。

NXリアメカ 調整ボルト 3mm
なんでシマノとカンパはこれをやらない? メカのボルトの六角ボルトはSRAMの専売特許じゃあるまいし。ねじひとつさえも統一できんけ? ほえ?
そんなふうにぼやきながら、カンパメカをプラスドライバーでちまちま動かします。で、通説のようにガイドプーリーをトップギアの直下のちょい外にポジショニングします。
未知の現物合わせには完璧な答えがありません。一応の定番の方法でやって、手探りでベターな着地点を探ります。
「着地点がなかったわ」
てことはときどきあります、ははは。
おなじくロー側をスタンダードな調整方法で合わせて、手回しでクランクをグルグルして、シフターをカチカチします。このあと、グルグルカチカチタイムが120分ほど続きます。
- メカがしゃきしゃき動かん→レバーのケーブルの通し道の間違い
- へんなガタがある→ハブのフリーのゆるみ
作業中のトラブルの原因はこんなふうに解決しました。初歩的なミスばかりです。で、かんじんの結果は・・・OK牧場です。11速をフルに使えます。
パワーシフトの3段シフトダウン、1段シフトアップの動きも問題なく発動します。歯跳び、ギア跳び、インデックスずれ、とくにありません。
手探りでここまでできれば、及第点を上げられます。
最終調整は5速で
メカのアウター受けのアジャスタで最終調整をしましょう。このとき、シマノSTIではギアを2速に入れますが、カンパのEPでは5速に入れます。

5速に入れてアジャスタをいじる
で、アジャスタをいじって、シャリシャリを消します。まあ、ここの優先度は高くありません。トップとローの調整のがだいじです。
最後の最後にテンションアジャスタをいじって、ガイドプーリーの歯先とギアの歯先のクリアランスを調整します。定説では5mm前後です。SRAMではここがキモです。
とにかく、このアテナxポテンザのカンパニョーロ別世代ミックスちゃんぽんはぶじに成功しました。

アテポテドライブの誕生
アテンザ・・・は車みたくなっちゃいますから、「アテポテ」と命名しましょう。カンパミックスのニューバイクはアテポテ号に決定しました。
フラットバーをつけてみる
室内の手回しクランクでは実際の動作がよくわかりません。テキトーなハンドルをくっつけて、ちょろって走りに行きました。

フラットバーロード?
こ、これはひどいカスタムだあ! デュアルレバーの操作性やエルゴパワーの握り心地がだいなしです。
しかしながら、変速、ブレーキは問題なく動作します。インナーの39Tはちょっと軽すぎかも?
まあ、アホなビジュアルです。

アテポテ号プロトタイプ
ふぎゃー!
・・・ドロップハンドルがまちどおしいところです。