Tubolito S tubo 世界最軽量チューブの重さやパンク耐性など

自転車のタイヤのシステムは主に3つです。チューブラー、クリンチャー、チューブレスです。あと、ノーパンクタイヤがニッチにほそぼそと展開します。

これはチューブレスレディのタイヤです。パンク防止剤のシーラント+タイヤで気密性を保ちます。

STANS NOTUBE ラテックスシーラント
STANS NOTUBE ラテックスシーラント

MTB発のこのスタイルがオールロード、グラベルバイク、ツーリングバイクを経由して、ロードバイクに波及します。

しかしながら、国内の一般の自転車トレンドはながらくクリンチャーのロードバイクですし、このクラスタは非常に保守的です。ほかのジャンルをかたくなに拒否する。

てことで、クリンチャーのロードバイク以外の技術や知識がとんと貧弱です。「ロードも乗るし、マウンテンバイクも乗るよ」て人は少数派だ。

スポーツバイク=ロードバイク=クリンチャー、この古き良きシステムの信徒は多数派です。主神はパンク神、使者は蛇です。不信仰にはリム打ちスネークバイトの天罰が下ります。がつ! ぷしゅー!

チューブを押し込む
チューブを押し込む

一年前、このタイヤ+空気チューブのクリンチャーシステムに最終兵器が登場しました。ポリウレタン系の超軽量チューブです。

Tubolito 700c 実測重量41g
Tubolito 700c 実測重量41g

ドイツとオーストリアの新興メーカーが同時期にこの新素材チューブをローンチしました。ぼくはドイツ系の自転車通販ストアで買いました。

それから一年が経って、国内代理店が取り扱いを始めて、この最終兵器がふつうに流通します。さらに新モデルが加わりました。

もちろん、ぼくにはこんな軽量チューブは宝のもちぐされです。うちの(ママチャリ)ロードのフロントはチューブラー、リアはチューブレスですから。

新超軽量チューブTubolito S-tubo

自転車の軽量チューブの覇権はこの一年ですっかり変わりました。旧世代の王者は圧倒的にラテックスです。SOYOとかVredestainの軽量タイプが名をはせた。

が、くだんのポリウレタンチューブが登場して、ラテックスの最軽量記録を大幅に塗り替えます。30g台の時代が来ました。ラテックスはこのときに完全に終了しました。

軽量ラテックスがもてはやされるのは軽さのためです。実際、ノーマルタイプの70gくらいのVittoriaやMichelinのラテックスはぱっとしません。軽さがジャスティスだ。

TUBOLITOに迫るコンパクトさ
TUBOLITOに迫るコンパクトさ

しかし、ポリウレタン系がこの座を奪いました。ラテックスは最軽量ではない。じゃあ、軽量化厨はとたんに手のひらを返します。

しかも、軽量ブチルのコスパが悪くありません。70gのMAXXISウルトラライト系のチューブは800-1000円です。50gのブチル最軽量のContinental Super Sonicは1500円です。

SOYOラテックスは48gで2700円です。超軽量ではありますが、最軽量ではありません。じゃあ、評価が『中途半端な割高チューブ』になってしまいます。

いまだにラテックスを使い続けるのは熱心な教徒ばかりでしょう。この気持ちは分かります。長年の愛用品がオワコン化するのは心苦しいものです。

しかし、時代はさらに突き進んで、最軽量の記録がまたまた大幅に更新されます。Tubolitoから超軽量モデルのS-tuboが出ました。

左・Tubolito S-tubo 右・Vittoriaブチル
左・Tubolito S-tubo 右・Vittoriaブチル

左のオレンジのちっこいものがそうです。ちっさ! 右のVittoraiの100gのノーマルブチルが大きく見えます。

Tubolito S-tuboの重量

実のところ、このS-tuboモデルはローンチからありました。ただし、マウンテンバイク用です。

本場の海外でのこのポリウレタン系の人気の使い方はMTBの予備チューブです。このTubolitoやREVOLOOPを使えば、携行品のボリュームを減らせますから。

29erやプラス系タイヤのチューブはかさばります。ファットバイクのやつは500gくらいです。

ポリウレタン系チューブのコンパクトさはこれを解消できます。軽さは副産物ですね。実際、ロード系のS-tuboの販売は後発でしたし。

重量です。

25g!
25g!

バルブ長は60mmです。その実測が25gです。無印の2/3だ。手触りはリムテープみたいです、ぺなぺな!

チューブのコンディションをチェックします。楽し気に見えますか? これはヤバい笑みです。空気入れがひやひやものだ。

チューブの状態チェック
チューブの状態チェック

なぜなら、超軽量の薄型チューブはちょっとした空気圧の偏りや素材のムラでたやすくいびつに膨らみます。

上のように素の状態で膨らませるのはNGです。タイヤで周囲をバリアして、やっとまともにシュコシュコできます。

もちろん、取り付けの噛みこみには最新の注意を払います。走行中のリム打ちは厳禁です。超軽量チューブはおおざっぱな人には向きません。

耐パンクはブチルより上だが・・・

このポリウレタン素材の耐久力はブチルより上です、メーカーのうたい文句ですが。しかし、質量のすくなさは防御力に直結します。

耐久的には

ポリウレタン > ブチル

です。が、質量的には

S-Tubo < Super Sonic

です。つまり、チューブの製品の強度はSuper Sonicとイーブンパーでしょう。ブチルの限界が50g、ポリウレタンの限界が25gです。多分、これはそんなに的外れではない。

リムブレーキには使えない

このポリウレタンチューブはラテックスと同じ問題を抱えます。熱にはそんなに強くない。

その証拠にパッケージの台紙の裏にこんな警告があります。

Disc Brake Onlyの注意書き
Disc Brake Onlyの注意書き

“Do Not Use with Rim Brakes”

“Disc Brakes Only”

リムブレーキは門前払いです、ははは。国内のローディの大半がこれで脱落します。

リムブレーキはホイールのリムをじかに掴みます。で、摩擦で熱が(ブレーキは運動エネルギーを熱エネルギーに変換する仕組みだから)発生します。

熱がながく加わると、チューブの中の空気が膨らみます。最悪、バーストパンクや脱輪が起こります。

もっとも、ラテックスチューブをカーボンリムに使うのは禁物ですが、けっこうな人が自己責任の名の下でこの禁じ手を使います。

「ヒルクライムの登りで一発勝負!」とかにはぎりOKでしょう。で、上でブチルに変えて、ふもとまで下りる。

とりあえず、このS-tuboはディスクロード時代の申し子です。

Tubolitoの値段

Tubolitoはすべての計量チューブを過去のものにします。とくに軽量ラテックスの存在意義が完全に薄れてしまいました。トレンドはざんこくです。

Tubolitoのネックは入手性と値段です。国内在庫分はまだまだ割高です。無印がセット9000円くらいですし。

最新のS-tuboは5000円/1本+送料です。まあ、こっちはディスクロード用ですけど。

Tubolitoの最安はスペインの通販ストアのBikeinnですね。ぼくは何度か利用します。小物、ウェア、消耗品は安めです。ホイール、コンポーネント類はふつうだ。

到着までの二週間を待てるなら、Bikeinnで物色しましょう。無印が2500円、S-tuboが3200円です。

そんなに気長に待てないなら、すなおにアマゾンでポチりましょう。