エンド=End、終わりとう意味がメジャーですが、末端、終点、際、はしっこ、はてを意味します。
で、自転車の「エンド」はフォークのエンドないしフレームのエンドです。ホイールのシャフトを嵌めるところです。
「バーエンド」
「ケーブルエンド」
・・・いけず。
ママチャリのフレームのエンドです。がちがちのボルトナット締め。
ここの幅はカテゴリ、ブランド、モデルでまちまちです。
- ピスト、シングル:110mm 120mm ナット締め
- ママチャリ:120-130mm ナット締め
- ロードバイク:130mmクイックリリース
- クロスバイク、ミニベロ、折り畳み:135mm クイックリリース
- MTB:142mm 148mm 150mm 157mm スルーアクスル
- ファットバイク:190mm! とか
スルーアクスルの特徴
スルーアクスルです。
中空のシャフトです。上の細いのが径12mm 幅148mmのリア用、下のが径15mm 110mmのフロント用です。
この組み合わせはSRAMのBOOST規格です。2015年以降のスタンダードです。
超激しいダウンヒル用のものはさらにごつい12mm 150mm、20mm 110mmとかです。
これらはことごとくスルーアクスルです。オフロードではクイックリリースは完全に廃れました。
さらにディスクブレーキが標準化しました。これの強烈な制動力にクイックの固定は力不足です。
スルーアクスルはエンドの穴をさくっと貫通します。構造的にずれない。
この機構のおかげでエンド、ホイール、シャフトが擬似的に一体化します。全体のかちっとしたソリッドさはクイックの比ではありません。
クイックはほんまの仮留めです。
オープンなエンドを外側から締め付けてホイールを止めます。『ホイールのずれ防止』がクイックの役目です。
クイックはシャフトではありませんから、これを支えません。クイックの横棒はガイド&キャップ引っ張りの役目しか持ちません。かんたんに曲がります。
実際にホイールを支えるのはホイール側のエンドキャップと中空棒です。
両者のフロントフォークの断面イメージ図です。
クイックリリースのシャフトはフレームやハブには直にコンタクトしません。これは単なるガイドです。
対照的にスルーアクスルのシャフトはフレームやハブに直にコンタクトします。
スルーアクスルの長所
スルーアクスルの利点は剛性です。
まあ、ロードやクロスはべたーと平地を走りますから、エンドの下側がオープンであっても、ホイールはぽろりとずり落ちません。
オフロードでは車体と車輪はばんばん浮きます。競技系は年々激しくなりますから、QRの仮留めは信頼不足です。いまやなしです。
ロードやクロスではまだまだクイックが主流です。が、この仮留めさえちゃんとしない人は少なくありません。
- 締め過ぎ
- 緩め過ぎ
- レバーをさきに倒してからぐりぐり締める
- レバーを最後まできっちり倒さない
- タケノコバネ逆付け
- タケノコバネ忘却
- え、タケノコバネって何?
スルーアクスルの短所
スルーアクスルの性能的な短所はありません。全ての点でクリックリリースに勝ります。
一時期にQR信者から揶揄された整備性の悪さは電動工具の仕様やホイール全とっかえで解決されました。
むしろ、現代ではクイックリリースの整備性の方がよろしくありません。実際問題、取り付け・取り外しの細かいルールがスルーアクスルより多めですし。
注意点は軸の太さ、幅、ネジのピッチの互換性ですか。Rockshox系、syntace系、e-thru系などがあります。
それから、クイックリリースはホイールの付属品ですが、スルーアクスルはフレーム(フォーク)の付属品です。
メスのネジ穴はフレームやフォーク側にありますので。
サヨナラ・クイックリリース
ロードバイク界はディスクブレーキの解禁にすごく手間取りました。一時期にはレース中の事故の犯人にディスクブレーキが仕立て上げられました。陰謀論です。
しかし、ディスクブレーキのローターの安全性がとやかく言われるなら、レース中の並走オートバイのブレーキはもっとごっついディスクブレーキです。
そもそも形状、大きさ、位置からフロントリングやチェーンの方が危険です。
オールロード系からピュアロードまで油圧ディスクブレーキが拡大するのは必定です。エアロ、エンデュランスにはほぼディスクモデルが出ますし。
シクロのカンチブレーキ、MTBの26インチホイールはすでにレトロです。近年、ロードのキャリパーブレーキとクイックリリースが新しく加わりました。
ユーザーの感覚よりパーツのトレンドの方が流動的です。しかし、機材趣味、機材スポーツの世界はそういうものです。