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ディープリムホイールのメリットとデメリット

物体を縦長に扁平にすると、空気抵抗を下げられます。空気抵抗を減らせば、出力のロスを抑えて、速く移動できます。鳥類、魚類の流線形、紡錘形がそれを体現します。

で、ホイールのリムを円筒から扁平にうすひらべったくすると、向かい風をシュパシュパ切りながら高速で走れます。ディープリムホイールです。

カーボンホイールをバイスで固定
カーボンホイールをバイスで固定

形状をこのようにすれば、もれなく空力を上げられます。しかし、質量が増えれば、重量が増えます。アルミや鉄のディープリムは空前のスーパーヘビー級のホイールとなります。

人力の自転車に過度の重さはNGです。空力の向上のメリットが重量増にかき消されてしまう。ロードバイクはなおさらです。

で、より軽量なカーボンファイバーがスポーツバイクのディープリムには適します。うすひらべったく扁平にしても、アルミホイールより軽くできます。

そして、ブラックなカーボンとマッチョなリムが問答無用で車体にいかつさを付与し、ばくぜんとした爆速オーラを演出します。

GIANT PROPEL DISC
GIANT PROPEL DISC

現実問題、このルックスにおってならない健全な男子は少数派でしょう。チャリ好きはもれなくおっとなりますし、門外漢さえが目をうばわれます by うしろのグラサンのおっちゃん。

以下でぼくの個人的な見解と一般論を交えて、このディープリムホイールのPROSとCONSをピックアップしましょう。

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はじめてのディープリムホイール

うちのメインの自転車は29erのMTBです。ホイールはフルカーボンですが、ロープロ、ワイドリム、チューブレス、フックレス、ディスクブレーキ用で、ロード用とは一線を画します。

予備のホイール
予備のホイール

29erのETRTOは622です。700cのタイヤをつけて、高速モードにできます。この画像のタイヤはコンチネンタルの32cのシクロクロスタイヤです。

フックレス構造のおかげで重量は通常のカーボンクリンチャーリムより軽くなり、チューブラーリムにすら肉薄しますが、エアロの仕掛けはきしめんスポークとインナーニップルくらいです。

手持ちの純粋なオンロード用のホイールはお買い物号のトラックホイールです。これはアルミのロープロの完組です。イタリアーンなMiche Pistardです。

miche pistard
miche pistard

ブレーキフェイスなしの黒いつるぺたリムがタイヤとあいまって、セミディープルックスのよそおいを見せます。

が、実質はロープロです。やはり、エアロの工夫はブレードスポークとインナーニップルのみです。

飛び級手組カーボンチューブラー

で、このいきさつから一台目のバラ完ロードバイクにはカーボンディープリムをチョイスします。ものは中古の手組です。

カーボンチューブラー
カーボンチューブラー

つるぺたのブレーキフェイス、20mm幅、チューブラーて数世代前のおくゆかしきレイノルズのリムです。リム高は46-47mmです。

おおよそに35-40mmがセミディープ、45mm以上がふつディープ、60mm以上がすごディープです。上限は80mm、それ以上は一枚板のディスクホイールになります。

Reynolds Assault T 46mm
Reynolds Assault T 46mm

はい、これはふつディープです。

カーボンの地、リムのつなぎ目、フィニッシング、武骨な手作り感がそこかしこにあふれかえります。現行のカーボンリムはもっときれいでスマートです。

ヤフオクの出品者の説明には「1150g」てキャッチコピーがおどりました。Continental Sprinter 28x22mmのタイヤ込みの実測はセット1800gです。

タイヤの公称値が275gです。x2=550、1800-550=1250gです。個体差とリムセメントを加味すると、1200g前後て皮算用できます。軽量なディープリムです。

鉄下駄→ZONDA→SHAMALや、鉄下駄→Racing 3→Racing Zeroてロードホイールのアップデの王道から外れますが、わるい選択肢ではありません。

フックレスのアシンメトリックのチューブレスホイールやトラック用の完組固定ホイールのあとでは半端なバランス型ロードホイールはパンチ力に欠けます。このくらいのピーキーさは必須です。

おかげでペダル抜きの完成車重量は5.9kgになります。持ち応えはなんかプラスチックのおもちゃみたいです。きゃしゃさが伝わります。だいじょうぶですか、これ?

で、この数週間の試走で未知なカーボンディープリムの特徴がすこし分かりました。

微妙なブレーキ

うちのロードフレームのブレーキはダイレクトマウントです。リムブレーキ界の最後の末裔です。フィーリングはまんまキャリパーブレーキとVブレーキのハイブリッドです。

ダイレクトマウントブレーキセンター出し
ダイレクトマウントブレーキセンター出し

二点止めのボルトとアームの裏のブースターのおかげでふつうのキャリパーブレーキより手応えはかちっとします。なよなよさはありません。

しかし、旧式のカーボンリムのつるつるのブレーキフェイスのせいでブレーキングはあきらかにぬるくなります。

40kmオーバーからのフルブレーキはこんなふんいきです。

「ヒュルヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル…キュキュイィン」

ブレーキ×

減速〇

そんなです。ピストバイクの停まり方がなんとなく思い浮かびました。リアがとくに効きません。ブレーキケーブルのフルアウター化ですこしましになります。

別フレームのミニVブレーキでは制動力が段違いに跳ね上がります。

ミニVブレーキとカーボンリム
ミニVブレーキとカーボンリム

ぼくにはこっちのが好感触です。安心安全クロモリフォークだし。が、たまにただよう焦げ臭いゴムフレーバーが不安をあおります。ブレーキパッドがながすぎる。てか、アルミ用だあ!

ブレーキ点数表

ぼくのブレーキの感覚的な点数表です。油圧DBを基準の100とします。

  • 油圧ディスクブレーキ 100
  • アルミ+Vブレーキ 90
  • カーボン+Vブレーキ 80
  • アルミ+ダイレクトマウント 75
  • カーボン+ダイレクトマウント 70
  • スキッド 50-70
  • アルミ+キャリパー 65
  • カーボン+キャリパー 60
  • バンドブレーキ 50
  • バック踏み 30-40

ケーブル引きのリアブレーキは-20です。ウェットコンディションではそれぞれ-20です。

ためしにホースでパッドとリムをびちゃびちゃにして、家の前でブレーキテストすると、奇怪なヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル音をご近所中に発信できました。ぜんぜん止まら~ん。

宿敵、それは熱

リムブレーキ用のカーボンホイールの弱点は熱です。ブレーキで摩擦熱がリムに発生します。これがカーボンの耐久度を超えると、変形や破損が発生します。

ちなみにディスクブレーキではこの問題は起こりません。ディスクブレーキの熱はディスクローターやブレーキフルードに生じます。

このDOT5.1の沸点は260度です。これは交換後のサラピンのぞくに『ドライ沸点』です。時間経過でオイルが水を吸うと、沸点が180度まで下がります。これが『ウェット沸点』です。

ブレーキフルードDOT
ブレーキフルードDOT

「ブレーキングでそんなに熱が出るかあ?」

はい、平地ではそんな異常な熱は発生しません。しかしながら、スポーツバイクのシーンは平地ばかりではありません。上り、下りがあります。登れば降りねばなりません。

楽しい? 怖い? カーボンホイールダウンヒル

「ダウンヒル!」

この言葉への反応で乗り手のスタイルが分かります。大はしゃぎするのはMTBerです。三度の飯よりダウンヒル、雨にも負けず風にも負けず、野を山を駆け下ります。

大方のオフローディは下るために上ります。ヒルクライムはウォームアップにすぎません。車やロープウェイや電動アシストで登ぼれるならそうします。でかタイヤの自走はハードですから。

他方、ダウンヒルをヒルクライムの事後処理、負の遺産的にとらえる人がオンローディのあいだには少なくありません。ひどい人は『下山』てのたまいます。

グッドな見晴らし
グッドな見晴らし

たしかにドロップハンドルの前傾姿勢、絶対的なブレーキ力の不足、細いタイヤ、ビンディングシューズなどを考慮すれば、下り坂には及び腰になりえます。

この不利な状況にリムブレーキの熱問題が加わります。で、ダウンヒル中の頭の中ではこうゆうジレンマがめくるめきます。

「しっかりブレーキしたいんですけど、でも、たっかいカーボンリムをおしゃかにしたくないんですけど、でも、しっかりブレーキしたいんですけど・・・」

て、初級ディープホイールerは限界点を手探りで調べながら、戦々恐々とダウンヒルします。で、ときどき停まって、リムの温度をたしかめる・・・せっかくのディープリムが泣きます。

勝尾寺でダウンヒル&ブレーキ実験

ぼくはリムの安否をはなから重視しません。中古の強みを活かして、ガシガシ使い倒します。そして、好奇心につきうごかされて、最寄りのとうげに向かいます。おなじみの勝尾寺です。

2017年9月勝尾寺前
2017年9月勝尾寺前

西田橋から山門までヒルクライムして、山門から駅前(の手前のたいてい引っかかる信号 at YOSHIOKA)までダウンヒルします。

条件はこんなです。距離とアップダウンはGoogleマップの数値です。他地域のみなさまは想像力を働かせませ。

  • 距離7.7km
  • 下り365m 上り46m
  • 晴れ 気温20度 湿度ふつう
  • フロントのみ使う
  • 禁断のゆるあてブレーキ
  • 時速20-30kmキープ
  • 決してビビッて停まらない

前半はゆるい下り、中盤はゆるいアップダウン、後半はきつい下りです。項目のブレーキングのルールは非常に悪い例です。とくにゆるあてブレーキングは最悪です。

で、このしばりを守って、わーっとダウンヒルして、ぶじにふもとまで帰還しました。即座にゴールの駅前でフロントのリム温度をチェックします。

「あっつ!」

ふつうにあつあつのフライパンです。一瞬しか触れません。かくじつに目玉焼きは焼きあがります。100度は軽く越えましょう。

でも、ふしぎとブレーキフェイスのとなりの部分はぜんぜん熱くなりません。熱がパッドの接触個所に局所的に集中する? そんな印象です。

うーん、これより長丁場の六甲山逆瀬川やゲキサカの暗峠のダウンヒルはむりでしょう。リム冷ましのインターバルが必要です、おそらく。

その後、平地でながして、熱を散らします。でも、わりに温度低下はマイルドです。金属リムみたいに一気に冷めない。ほんのりとしたぬくもりがながなが残ります。

カーボンディープリムやエアロロードですかっとダウンヒルするなら、ディスクブレーキにしましょう。逆にアルミのDBホイールはビミョーになります。

あと、うちのホイールの22mmタイヤは現代の感覚では細すぎる。グリップと安定力がぜんぜん足りません。むしろ、ブレーキよりタイヤのがネックです。

伏兵、横風

ディープホイールのもう一つの宿敵が風です。ひらべったいリムは向かい風には無敵ですが、横風にはめっきりぽんこつです。水、熱、風と弱点属性がつぎつぎ増えます、ははは。

が、この46mmリムはそこまで極端にあおられません。60kg以下のがりがり体系の人は定かじゃありませんが、ふつうの平均体重の人は自重で耐えられます。

線路の踏切のきわきわに停まって、特急や急行にばーってあおられると、すこし持っていかれます。それ以上の突風はぼくの活動エリアではなかなか来ません。

アワイチとかの海沿いコースがちと不安ですか。島の南の端の道路はずっと横風でした。海風で潮が道路まで来ますし。

南淡の海岸沿い
南淡の海岸沿い

この結果からぼくの中では熱 > 水 > 風の公式が成立します。じゃあ、晴れた日のサイクルロードや主要幹線でせいぜい遊びましょう。もともとのヒルクラ嫌いに救われます。

はじめてのディープリムの総括

総括的なインプレは「ふつう」です。ブレーキの効き以外は事前のイメージの範囲に収まります。可もなく不可もなし。

手組のカーボンチューブラーてまあまあピーキーなものを選びますが、MTBの超ワイドなフックレスチューブレスや完組固定ピストホイールの後では特別な衝撃や感動を得られません。

もう一枚板のディスクホイールしかないか・・・

はじめてのディープリムの率直な感想でした。

あ! それから、カーボンリム用の青色パッドや黄色パッドは即座にカラフルな消しゴムカスみたいになって、いかついリムの外観をだいなしにします。黒パッドにしましょう。