自転車の本体はフレームです。建物の基礎、パソコンのマザーボードです。固体識別の車体番号はフレームに刻印されます。
で、つぎに重要な部分がホイールです。これは足腰、大腿、下半身みたいなもんです。フレーム+ホイールでチャリの大枠が決定します。
あとは肉=タイヤ、腱=チェーン、節=ドライブです。しかし、これらの交換はフレームやホイールの交換ほどにクリティカルじゃありません。1にフレーム、2にホイールです。
そして、フレームの交換=チャリの交換です。それはもう別物だ。じゃあ、パーツ交換の最大のでかぶつはホイールの交換てことになります。
わりと手軽なホイール交換
スポーツバイクのホイールの交換は簡単です。
ちょい古のロードバイクやクロスバイクの留め具はクイックリリース、MTBやディスクロードやオールロードはスルーアクスルです。
強敵はこれです。
スポーツバイクの整備性の良さにどっぷり浸かると、ママチャリのこの極悪なリアホイールには「うへえ」となります。
ナット外して、キャリアステー外して、スタンド外して、泥除け外して、ブレーキ外して・・・
ホイールのグレード
自転車のホイール、ことさらにロードバイクのホイールは階級社会です。
ひと昔前の手組の時代には牧歌的な多様性がありましたが、メーカー完組の現代ではこれは失われました。
ロードホイールの世界には完全なヒエラルキーがあります、庶民、武士、貴族、聖職者みたいに。ザ・ホイールカースト。
ホイール界のしたっぱのしたっぱは安い完成車付きの重いホイールです。通称『鉄下駄』です。
別売3-5万円のホイールが武士クラスのふつゲタになります。おいしい価格帯です。焼肉屋の上カルビ的なポジションです。
5-10万円が貴族クラスです。アルミの最高クラス、カーボンのエントリークラスです。ぎりぎり周囲の理解を得られるレベです。
10万円以上は聖職者クラスです。
自転車タイヤの基本三種
自転車の足回りには3種類のタイプがあります。チューブラー、クリンチャー、チューブレスです。
チューブラー=古風、クリンチャー=ふつう、チューブレス=新鋭です。ロードバイクの使用率は1:8:1、MTBは1:2:7くらいになります。
また、チューブレスにはピュアチューブレスとチューブレスレディがあります。違いはパンク防止剤のシーラントの是非です。
しかし、おまじないでピュアチューブレスに少量のシーラントを投入するのは常套手段です。
この白い霊液のおかげでピンホールやかすり傷は勝手にふさがります。釘、画びょうクラスの攻撃さえがギリ守備範囲です。
人気のホイールブランド ザ・四天王
では、ロードバイクのおすすめホイールのメーカーないしブランドをピックアップしましょう。有名どころからマニアックなやつまでばくぜんとした所感込みでピックアップします。
Campagnolo
カンパニョーロはイタリアの総合自転車メーカーです。変速機はシマノの後塵を排しますが、ホイールは安定のいちばんです。
看板はゾンダとシャマルです。
ホイール交換の王道中の王道です。見た目、性能、価格、ブランドのグラフが非情に高バランスです。欠点らしい欠点がありません。アディダス。
Fulcrum
フルクラムはカンパニョーロの姉妹メーカーです。現在のプロダクトはホイールのみです。カンパはロードしかしませんが、フルクラムはロードとMTBのホイールを手がけます。
で、実質的にカンパニョーロ=フルクラムです。グレード格付けや部品やスモールパーツは共通します。組み立て工場がおんなじですし。
しかし、出自はおなじであっても、性格はことなります。フルクラムのホイールはカンパ姉さんよりかちっとします。
ほんのりカンパ姉さんか、しゃきしゃきフルクラム妹さんか、ぜいたくな問題です。ナイキだ。
MAVIC
イタリアのおとなりフランスのリヨンのリム屋がMAVICです。任天堂の前身のおもちゃ屋さんと同期です、1889年デビュー。
MAVICのホイールの特徴はWTS、ホイールタイヤシステムてスライルです。タイヤとチューブが最初から付きます。
そして、モデル数が圧倒的です。ロードホイールはなんと60種類以上に上ります。競技系のAERO、ディープ系のCOSMIC、ノーマルなENDURANCEに大別されます。
あと、手組派にはOPEN PROがおなじみです。
2018モデルからUST=チューブレスモデルがどばっと出てきました。MTBのチューブレス技術をおしみなく投入します。
Shimano
シマノはなにわの堺国の自転車&フィッシングメーカーです。ロードバイクの変速機ではばつぐんの売り上げを持ちます。MTBではSRAMの台頭を許しますが。
シマノホイールのメリットはコスパです。CONSはじみさです。部活ホイール、実業団ホイール、そんなふんいきです。ミズノかアシックスの運動靴だ。
ごらんのようにシマノホイールは見た目的には地味子さんです。カンパやフルクラムの華やMAVICみたいな男っぽさがありません。
価格の強みが薄れると、総合点ががたっと落ちます。オールドファンさえがたびたびの値上げに悲鳴を上げますしね。デザインをがんばれ~。
通好みな第二先頭集団
上記のホイール四天王の牙城は強力です。が、魅力的なホイールブランドはまだまだあります。知名度やシェアは劣りますが、実力は伯仲かそれ以上です。通好みのブランドを見ましょう。
DT Swiss
DT Swissはスイスの自転車パーツ屋です。主力の商品はハブ、そして、スポークです。DTのスポークは手組みの定番です。
実のところ、あんな超高級メーカーのハブやこんな大手ブランドのPBホイールのハブがDT製だとかします。
- Cannondale Hollowgramのハブ
- Specialized ROVALのハブ
- TREK Bontragerのハブ
- Lightweightのハブ
などなど。
2018年にフルモデルチェンジしたシマノのMTBコンポ最上級のXTRのハブのボディは完全新型のHG+てものです。ローンチでこれに対応するサードパーティはDTのみです。
また、個別のカスタムキットが充実です。ラチェットアップグレードキットはメカイジリ派の心をぐっと掴みます。
Easton
Eastonはアメリカの金属加工屋さんです。主力商品は金属バットやアーチェリーの矢です。かように金属チューブに絶大の自信を持ちます。
もともと自転車のフレームやホイールは円筒の金属チューブです。パイプ屋さんの存在は自転車産業に欠かせません。縁の下の力持ちです。
Eastonの自転車パーツの看板商品はハンドルバーやシートポストです。アルミのEAやカーボンのECは超軽量でがんじょうでロックです。
この加工技術を活かして、自社リムや自社完組ホイールをします。
Reynolds
自転車界には2つのReynolds、レイノルズがあります。アメリカユタ州のホイール屋のレイノルズサイクリング、そして、イギリスバーミンガムのレイノルズテクノロジーです。
イギリスのレイノルズはEASTONと同業の鉄鋼チューブ屋です。自転車の詳細で「クロモリ Reynolds 853」のReynoldsはこの英国レイノルズです。
アメリカのホイール屋のレイノルズはこの鉄鋼屋の分家独立派です。2000年代中盤から本格スタートしまして、いまや完全に別個のカーボンホイール専門店になりました。
ミドルグレードのASSAULT、ATACK、STRIKEはなにかとガンダムチックなイメージを掻き立てます。
全体の印象はEASTONによく似ます。高性能・地味系・通好みブランドです。セールががばっとかかります。
なんの縁か古いレイノルズアサルトリムのカーボンチューブラーがうちにやってきました。
アパレルイメージはレッドウィングです。イギリスのレイノルズはクロケットジョーンズですかねー。
ZIPP
圧縮ファイルみたいな名前のZIPP、ジップはこれまたアメリカの高級ホイールブランドです。ピュアロード・ツール系の世界よりトライアスロンやTTの世界で人気を誇ります。
こちらはもともと単独のカーボンホイール屋さんでしたが、SRAMに買収されて、子会社になっちゃいました。本家SRAMのサイトにがZIPPのロゴがあります。
このホイールのZIPP、サスのRockshox、パーツのTruvativ、パワーメーターのQuarqはSRAM陣営です。人気ストアのWiggle=CRC連合はこのSRAM系ブランドの日本向け出荷をしません、大人の事情です。
が、そのほかの海外ストアにはふつうに在庫が並びます。が、めっさ割高です。
American Classic
アメリカンクラシック、アメクラはアメリカ・タンパのホイール・ハブ・リムのしにせブランドです。「アメリカンクラシック」ではホイールとピザがヒットしますね、ははは。
アイコンは独特のラチェット機構と大きなハブのラージハブとです。
「でっかくて良く回るけど、耐久度や横剛性が神経質だ」てのが大方のアメクラのイメージです。
格安台湾系の快進撃
世界の自転車産業の中心地は母国のヨーロッパや本場のアメリカでなく、中国と台湾です。とくに台湾は質量名実のいずれで世界一を誇ります。
近年、大手有名ブランドの下請けで力を付けた台湾系メーカーが自社開発の商品を積極的に売り出します。コスパのシマノを上回る超コスパで世界市場に挑みます。
- シマノ=ユニクロ
- 台湾系=GU、H&M
てふんいきです。海外ファストファッション系の進出で相対的にユニクロは価格面のアドバンテージを失いました。げんに昔みたいな格安感はしません。生地も安っぽくなっちゃったし。
若い人は安くてそこそこのおしゃれな服を買うなら、GUやH&Mに行きます。ユニクロに行くのは年配の方々だ。慣性でなんとなーくふらふら入ってしまう。
現実問題、ユニクロ=安い、て感覚は2010年ごろのちょいなつかし金銭感覚です。シマノ=安い、もそんなふんいきです。
台湾系の有力どころはTOKEN、NOVATEC、ALEXRIMS、KINESISなどなどです。だいたい大手有名ブランドのOEMをして、自社工場をします。
品質は疑いなしです。台湾製のスマホとPCと自転車パーツは世界最高クラスです。高品質で高コスパだ。ハブから何から自前で出来ます。唯一、スポークはDTやPillarやSAPIMですが。
別の記事に書きましたが、ALEXRIMS のALX473は46000円で1400gのチューブレス互換の軽量アルミホイールです。上記の四天王ブランドの同クラスの製品の半額です。
NOVATEC
NOVATECは台湾大手ハブ屋です。Aliexpressの手組みホイールのド定番です。DAHONの74mmフロントやBOOSTのリア148mmまで幅広いハブを取り揃えます。
加工精度です。
このXDドライバーはそうじゃありませんが、SRAM/SHIMANOフリーのやわらかさは有名です。回転はふつうです。
2017モデルのハブからロゴが変わりまして、旧ロゴよりイマドキスタイリッシュになりました。旧ロゴは赤がちですからね。このマイナー変更はPROSです。
ALEXRIMS
アレックスリムは世界シェアナンバーワンのリム屋さんです。ALEXのリムとNOVATECのハブが全ジャンルの全ホイールをカバーできます。
今年はアレックスのリニューアルイヤーです。ホイール部門のA-classを母体に統合して、意欲的な完組みパッケージホイールを出します。
おすすめロードホイールベスト1は?
やっぱり、旧タイプのQR式の売れ筋はゾンダです。ロングセラーのベストヒットです。