この2018-2019シーズンでスポーツバイクの12速化が一気に進行します。カンパニョーロの機械式レコード12速、Shimano XTR M9100の12速は上半期のHOTな新作トピックスでした。
入門用まで浸透した12速
この二社がそれぞれの初12速ドライブを出すよこで先行のSRAMはすでに12速の普及を進めます。XX1、XO1、GXと来たEAGLE化が入門グレードのNXに到達しました。
つぎには電動無線12速のeTap EAGLEがひかえます。しかしながら、庶民的なMTBerにはこのクラスのドライブトレインは宝のもちぐされです。
実際、XX1やXTRを岩や木にぶつけると、へにゃー!て落ち込みます。パーツの削れは心の削れだ。しかも、国内のチャリ事情からMTBパーツの調達性はかんばしくない。
そんなわけでミドルグレードやエントリーグレードをフランクにガリガリする方が精神衛生的に財政的になにかと好都合です。
GXがボロボロに
で、手持ちの11速のSRAM GXをこの春先からフランクにガリガリしまくったら、あっというまにボロボロに使い古してしまいました。
2-6月の4か月で20回のオフロード走行でこうなりました。本体部分はふつうですが、ケージとプーリが絶不調です。短期間に山へかよいつめすぎたか?
そして、+10000kmのオンロード走行でチェーンリングがめっきり摩耗します。
BOOSTのナローワイドのチェーンリングが5000円~です。単品の別注はめんどうだ。一方、純正リング込みのSRAM GX EAGLEのクランクセットは海外通販で13000~14000円です。
SRAM dubの誘惑
これに追い打ちをかけるのがSRAMの新規格です。GXP BBの後継のdub BBがじつに気がかりです。これが2000-3000円です。リング代+10000円で最新鋭のクランクセットを買える・・・
ぼくはソロで手探りでチャリしますから、パーツのへたり方の目安がさっぱり分かりません。オフロード用はなおさらです。この程度で交換するのはぜいたくだあ?
しかし、遅め < 早めが正解でしょう。メカの不調とリングの摩耗はしろうとにさえあきらかです。ついでにぼくの中の緑ブームが急激に収束します。
で、あれこれ勘案して、ドライブトレイン一式を購入しました。
ドイツの自転車ストアのBike Componentsで357ユーロでした。日本円換算(1ユーロ=130円)で46700円です。消費税と送料が別途ですから、込々の実費はざっと50000円ですね。
クランク抜きの12速ドライブの最小構成(カセット、メカ、チェーン、シフター)の代金は226ユーロ=30000円弱です。型落ちのGX EAGLEのコスパがひかります。
で、この一式を買って、dubクランクとBBを買って、HOPEのブレーキパッドを買って、TubolitoとREVOLOOPを買って、みごとに今夏のチャリ予算を使い果たしました。
せいぜい楽しんで、もとを取りましょう。ミドルグレードのパーツは観賞用のオブジェにはなりません。ガンガン使ってなんぼです。
SARM GX EAGLEセット
変速アップのパーツ交換はひさびさです。3年前にミニベロを9-10-11と一気に改造して、しばらく1×11速に甘んじました。そもそも去年までオフロード熱は微温的でしたし。
そして、くしくもぼくの11速チャリ歴はSRAM歴と被ります。安心安全シマノコンポの手応えは記憶の中にすっかりかすみます。
では、B4C史上初の12速パーツをつぶさに見ていきましょう。
最新鋭SRAM GX EAGLE クランク dub
栄光の一番槍はSRAM GXEAGLE dubクランクセットです。黒字に”dub”の白文字がイカします。左右対称風に見える小文字の”dub”が正式名称です。読みはダブ!
dubの特徴は前代未聞の28.99mmのシャフト径です。BBとクランクの構造自体は既存のPF30系に通じます。
体重をはかりましょう。
165mmの左右クランク、32TのBOOSTリング、ペダルワッシャ込みの重量が635gです。アームの単体は550g前後でしょう。まあまあ軽量なクランクです。製法は鍛造です。
dub BBです。圧入タイプです。カップはアルミ、スペーサーとスリーブは樹脂です。
こちらの重量は80gです。
635-80=715g、これがSRAM GX EAGLE dubの足回りです。12速のBOOSTクランクのなかでは最安クラスです。国内希望小売りはクランク単品23000円(税抜き)になっちゃいますけど。
左アームのプリロード調整機構です。オフロードクランクではもうおなじみです。遊びを取って、2mmアーレンで小ねじを締めます。なぜかトルクスのT8がぴったしです。
このボルトとプリロードリングのねじ山はきゃしゃです。締め過ぎは禁物です。上みたいな隙間はOKですね。むしろ、ぴっちり閉じちゃうのはNGです。
GX EAGLE リアディレイラー
GX EAGLEディレイラーです。
旧GXよりケージもテンションプーリーもビッグです。もちろん、歯先はおはこのナローワイドです。
ひさびさGX EAGLE トリガーシフター
シフターは1年ぶりのトリガーシフターです。マウントが別個になりました。
グリップシフトの使い勝手はPROSですが、あいにくとグリップが純正品に固定されちゃいます。これの手触りがぼくの好みにすこし合いません。
SRAM GX EAGLEシフターとマウントの重さは140gです。
シフターのグレードの差は表面の質感のみです。軽さも中身もおんなじです。XX1 EAGLEシフターは27000円、GX EAGLEシフターは6000円です。
GX EAGLE XG-1275 カセット
SRAM GX EAGLE XG-1275 カセットスプロケットです。EAGLEのギアレシオは10-50Tの一種類のみです。歯数は10-12-14-16-18-21-24-28-32-36-42-50です。
でっか! で、460gです。カセットの値段は相応に有意義です。XX1は355gです。XTRカセットはもっと軽量です。E*thirteen TRS+ 12はさらにさらに軽量です。
XTRはHG+フリーでノーコンパチですが、E*thirteenの新型はXD用です。値段は300ドルだ。11速化キット付きでおもしろい選択です。
きゃしゃな12速チェーン
12速チェーンです。ShimanoはKMC製ですが、SRAMはどこ製でしょうか? ミッシングリンクの形状はYBNのチェーンにそっくりですけど。
変速が増えると、チェーンが細くなります。見た目のボリュームが11速チェーンよりあきらかにきゃしゃです。13速、14速チェーンの先行きと耐久度が不安になります。
チェーンの重量計測は無意味です。カットで正味が増減しますから。ぼくはデフォルトの118LINKからここまで切りました。
6リンクです。てことは、118-6=112リンク+クリックリンクがうちのベストチェーン長です。もちろん、リアセンターやチェーンラインでこの数値は変動します。
こういうでっかいカセットには『プーリー垂直方式』のチェーン合わせは通用しません。『最大ギア+2リンク方式』が正解です。
まあ、32Tと50Tの組み合わせは112-114リンク前後に落ち着きましょう。
SRAMのメカのワイヤーの通し方
で、これらをぱぱっと組み付けて、ワイヤーを張って、変速調整をします。SRAMのMTB用のリアメカのルーティングは独特です。
インナーワイヤーはローラーガイド、カーブの裏の穴、固定ボルトの順に流れます。一見さんはだいたいカーブの裏の穴を見落とします。
変速調整の方法は定番です。トップ合わせ、ロー合わせ、前後合わせです。
下側二つねじの左がトップ側調整、右がロー側調整で、上が前後調整です。これは既存のSRAMメカのまんまです。ねじソケットは安全安心の六角ですね。
結果的に12速のインデックス調整は15分で終わりました。予想よりかんたんでしたわ。
12速化完了!
そんなこんなでリニューアルが完成しました。
はい、時代遅れのGX 1×11だったKONAさんがGX EAGLE 1×12に生まれ変わりましたよ、イマドキッシモなSRAM dubを引っ提げて!
新しいグリップとバーエンドをくっつければ、しばらくぶいぶいゆわせられます、ぶいぶい~。