一説では20世紀のもっとも画期的な自転車パーツはクイックリリースてゆわれます。イタリアのカンパニョーロの創業者のカンパニョーロさんがレース中のトラブルから着想しました。
では、21世紀のもっとも画期的な自転車パーツはなんでしょうか? はい、それはまちがいなくドロッパーシートポストです。異議なし!
こちらの開発者は台湾のサスペンション屋のKind Shockの社長さんです。レンタルサイクルのサドル高を利用者ごとに調節する手間をはぶくために事務椅子から霊感を得ました。
ドロッパーの原点はそんな街乗り系のべんりグッズですが、現状は完全にオフロード系の標準装備です。これのおかげでライダーは臨機応変にポジションを上げ下げできます。
きつい下りではべた下げ、フラットではハイポジ、登りではグリップとトラクションUPのためにちょい上げ目にして荷重するetcetc…
そして、もともとの用途が用途ですから、街中の自走やちょい乗りがらくちんになります。足つきが格段に向上する。赤信号のつま先立ちが過去のものになりました。
原点回帰の街乗りドロッパーポスト
現状のドロッパーポストはMTB系のアイテムです。オールマウンテン、ENDUROタイプの完成車には高確率でバンドルします。
また、オールロード系の一部の高級モデルが専用のドロッパーを装備します。代表はSpecialized S-works Divergeです。スペシャラ純正の”Command Post XCP”が標準装備です。
グラベル、アドベンチャーバイクにサスペンションやショックスのトレンドがちらほら垣間見えます。ドロッパーポストの普及は遠い未来のはなしではない。
実際問題、クロスバイクやフラットバーロード、アーバンコミューター系の自転車にドロッパーポストは有効です。てか、誕生のいきさつが実用系に由来しますし。
しかし、街乗りドロッパーは異端中の異端です。ボトムネックはシートチューブのサイズです。
27.2mmドロッパーはレア
オフロードバイクのフレームはロードや実用車より圧倒的に高剛性です。ささいな落車や転倒でぶっこ割れるしょぼい車体は使い物になりません。タフさは正義です。
で、フレームのつくりはソリッドでマッシブです。エンドはスルーアクスルですし、BBシェルは幅広、シートチューブは30mmオーバーです。
一方、ドロハンバイクのシートチューブはおおむね27.2mmです。ロードバイクはもちろんですし、ニュージャンルのオールロードも同様です。
で、普及品のドロッパーポストはオフロード用です。FOXやRock Shoxみたいな主要な販売元のラインナップは30mm~です。
ために27.2mmのドロッパーポストは希少商品です。数が出ませんから、価格がたかくなります。街乗り自転車のドロッパー化の雲行きが一気にけわしくなります。
棚から安ドロッパー
ところが、うちの玄関の収納にはそのレアな27.2mmのドロッパーポストがあります。
TMARSの3段式のドロッパーシートポストです。お値段は当時の価格で8000円です。27.2mmドロッパーの最安筆頭です。
これは先代の改造ミニベロや改造クロスバイクのおもしろカスタムの一角でした。
その後、この2台は人手に渡りまして、このチープなドロッパーはおくらいりになります。メインのMTB用にはTHOMSONやEASTONのよいやつをおごりますし。
で、この春先にローンチしたバラ完のフルカーボンロードバイクが私的な事情ではやばや屋外駐輪の街乗り、ちょい乗り号に生まれ変わりました。
はい、街乗りの大型新人です。フォーマルな軽量ロードレーサーのおもかげはフロントホイールとダイレクトマウントブレーキ、そして、シートポストにのみ残ります。
これをより実用的な街乗りスペシャル号へと昇華するためにこのTMARSのドロッパーポストをぶっこみましょう。
フレームのシートチューブは安定と信頼の27.2mmです。外付けのクランプはありません。付け根のところにボルトねじ込み式のストッパーが入ります。
ドロッパーおそうじ
ポストの装着はかんたんです。ふつポストを外して、ドロッパーを入れる。て、そのまえにデッドストックのTMARSをかんたんにメンテしましょう。
こいつのつくりは非常にシンプルです。内蔵のコイルはスチールバネです。でろでろのサビがよい証拠です。556でクリーニングします。
で、バネをポストに戻して、ポストの底のキャップをしめて、タイコ、リモートレバー、アジャスタをセットします。
ちなみにドロッパーポストのケーブルワイヤーはシフター用です。サスペンションやフロントフォークのルーティングもそうです。ブレーキ用はNGです。
ありあわせのアウターケーブルでパッチワークしました。つなぎ目にエンドキャップをきちんと挟めば、遜色なく使えます。
まあ、このリモートはシフターみたいに精密じゃありません。そのせいか高価なドロッパーシートポストのレバーさえがみょうにチープです。
器用な人はフロントディレイラーのシフターを改造して、ドロッパーポストのリモートを自作しちゃいます。別売りのCOOLなレバーは割高だし。
うーむ、ちゃっちさがえげつないレベです。マウントのやぼったさとレバーのアルマイトがへんにめだつ。
ポストまわりの赤々しさはひとしおです。
差し色的には面積がでかすぎますわ~。油性マジックで塗ろうか?
このTMARSのドロッパーにはトラベルは上下中の3段しかありませんけど、ハイポジ上段とべた下げ下段で走行モードと停車モードのオンオフが可能です。さらば、つま先立ち!