- 総合評価 4.5/5 ★★★★☆
- 厚底、軽快な4E
- ソールは厚く、アッパーは薄く
- 晴れの日のクールなランシュー
これがぼくのお気に入り幅広甲高ランニングシューズの第2位に君臨するナイキ エアズームペガサスの簡潔な印象です。旧モデルを含めて、過去に二足を履き潰しました。
安価なナイキダウンシフターやレボリューションとの比較を交えて、この名作シューズを以下に紹介します。
ランニング系のシューズの外箱はオレンジですね。ロゴは小さめです。
ナイキ ペガサスの基本情報とヴェイパー
レース、競技レベルのランニングシューズの覇者はどこでしょう? はい、ナイキです。同社が超厚底シューズの『ヴェイパー』で陸上長距離界を完全に制しました。
おかげでこの数年来のランニングシューズの選択肢は実質的に『ナイキヴェイパーかそれ以外か』になります。
その他のメーカーも負けじと厚底のレーシングモデル、競技モデルを市場に投入しますが、王者の牙城を崩せません。
- ロゴ=最強
- 知名度=最強
- 性能=最強
買わない理由がない。ただし、値段もやっぱり最強でして、同シリーズは25000円~です。
最近ではナイキの超名作のエアマックスシリーズにヴェイパーモデルが登場します。ヴェイパーのバーゲンセール・・・横展開が始まりました。
ヴェイパーの弱点
このように長距離陸上界はナイキヴェイパーの独壇場です。『出場選手の全員がヴェイパーユーザーだった』は日常茶飯事です。
が、ランナーやジョガーの全てが競技系の選手やストイックなスポーツマンではありません。そもそも練習や日課の運動に25000円のシューズを常用するのはクレイジーです。
ぼくのような週に3、4日しか走らないホビーランナーにはヴェイパーは無用の長物です。
ヴェイパーはアウトソールのカーボン製プレートのせいで普段使いが×です。ソールにある程度の反発を与えないと、性能を発揮できません。走りやすいが、歩きにくいのです。
そして、肝心のサイズ、このページの主旨ではワイズがありません。競技モデル、レースモデルの靴幅の展開はほぼ2Eまでです。例→NB HANZO
結果、幅広甲高族にはナイキの看板ヴェイパーシリーズは候補から最初に消えます。まあ、レースで勝負用に我慢して履くとかできますけどね。
エアマックスの遠い親戚
ぼくはレースやイベントや走行会には参加しませんし、日々のランニングさえ頻繁にサボりますが、履き物には多少のお金を出します。
で、凡庸な最廉価の入門ランシューを避けつつ、足幅の4Eの条件でフィルタリングすると、ナイキの多大な商品展開を一気に3つくらいに絞り込めます。
その一つが今回のナイキ エアズームペガサスです。
“PEGASUS”がモデル名、”AIR ZOOM”がテクノロジー名です。AIR=空気の名の通りに圧縮空気がアウトソールに内蔵されます。
空気入りソールの真祖はたしかエアマックスですから、ZOOMモデルはその眷属のようなものです。
片やカーボン板入りのヴェイパー、片や圧縮空気入りのペガサス、両社は同じランシューですが、系列や特徴は別物です。
ヴェイパーの超幅広4Eモデルがあればなあ・・・
ダウンシフターやレボリューションとの違い
4E=幅広甲高=快適クッションタイプ
これはランニングシューズ界のテンプレートです。高速軽量型の4Eモデルの既製品はありません。幅広甲高ランナーは現代の受難者です。
必然的に快適クッションタイプ=入門モデルの公式が成立し、安価なシューズがおすすめに出てきます。こちらは代表格のナイキのレボリューション5です。
もう一つの候補のダウンシフター4Eはぼくがこれを買ったときには品切れでした。カタログ落ちでなく、商品入れ替え時期だった?
レボリューションやダウンシフターは実売~5000円の最廉価なランニングシューズです。このクラスは非常に平凡です。
完全入門モデルは普段使いや散歩には適当ですが、特段におもしろいシューズではありません。
靴底はノーマルなゴムソールです。カーボンプレートや圧縮空気は採用されません。
エアズームペガサスの最新版 Pegasus 38の定価は14300円、型落ちの実売価格は8000円~です。ここの4Eがぼくのシューズのストライクゾーンになります。
使用者の身体情報
ランニングシューズから永遠の入門者のレッテルを貼られるぼくの足のデータです。
性別 | 男性 |
体系 | 中肉中背 |
素足サイズ | 25.5cm |
スニーカーサイズ | 26.0-26.5cm |
素足幅 | 11cm |
スニーカー幅 | 4E |
土踏まず足囲 | 26cm |
母指球足囲 | 27cm |
足囲=足回りのことです。真の幅広甲高の足囲は縦のサイズを超越します。根っからの靴下嫌いが原因の一つでしょうか。
この足には標準、ワイドタイプ、アジアンフィットの靴は入りません。エクストラワイド、スーパーワイド、4E~が適正です。
靴測定アプリの答えはFです。そんなスポーツシューズがあるか!
ナイキ エアズームペガサスの特徴
ナイキの公式サイトからAIR ZOOM PEGASUSのキャッチコピーを紹介します。2021年の現行モデルは38です。手持ちの品は型落ちの36です。
ナイキ エア ズーム ペガサス 37でストライドに新たな息吹を吹き込もう。ランナーに好まれるフィット感と履き心地を実現。前足部にまったく新しいクッションユニットとフォームを採用し、反発力を最大限に強化。日々のランニングに適した、軽くて丈夫なトレーニングシューズです。
https://www.nike.com/jp/
商品の詳細です。
- テキスタイルのアッパー
- 重量:285g (メンズサイズ28cm)
- オフセット:10mm (前足部:14mm、ヒール:24mm)
- 表示カラー: ブラック/ホワイト
- スタイル: BQ9651-002
- 原産地: 中国
ズームペガサスは定番商品ですから、ナイキのオーダーシステムに対応します。4Eオプションはないけど。
同シリーズのペガサスターボは軽量型の上位モデルです。あちらの方が少し割高です。4Eはないけど。
ちなみにぼくが履き潰した数年前のペガサスは”AIR”なしの”ZOOM PEGASUS”でした。下の写真の左のものです。
これは厚底ブームより前のモデルです。ソールは今よりスマートで、逆にアッパーがややぼってりですね。
一方の準最新作のペガサスです。
圧倒的厚底感! 白いソール、黒いアッパーの対比で靴底の厚さが異常に際立ちます。
いくつかのランシューやスニーカーと比較しましょう。
ナイキの厚底がいちばんだ! とくに土踏まず部分のアーチが他のシューズより目立ちます。が、実際の履き心地は見た目ほどにボリューミーではありません。
メッシュのアッパーと薄いタン
このように近年のナイキのシューズの特徴ないしアイコンは分厚いソールです。その他の部位の印象は相対的に薄まります。
しかし、定価1万円クラスのランニングシューズには相応のテクノロジーやトレンドが盛り込まれます。そして、ペガサスのアッパーは割と特徴的です。
アッパーの素材はシームレスなメッシュ地です。見た目と通気性と履き心地に優れます。
1万円の価格帯のランシューではこのシームレスメッシュアッパーがスタンダードです。縫い目ありのモデルは市場にはほぼ見当たりません。
より特徴的な部分が靴の舌、シュータンです。靴紐の穴のところのぺろっとしたやつです。これがペラペラです。
クッション系シューズのシュータンはおおむね肉厚でフカフカのタイプですが、ズームペガサスのものは規格外に薄手です。
結果、爪先から甲の前方部分の着用感は優しい抱擁系、甲の後方部から足首はすっきりスマート系になります。靴紐の当たりが気になることはありません。
サイズ感はややタイトな4E幅広
欧米のシューズ=タイト
日本国内ではこのイメージが古来より植えつけられます。これはおもに1サイズ展開のキャンパスシューズやスニーカーのせいです。コンバースとかコンバースとかコンバースとか。
ナイキの標準的なスニーカーもこの『タイトなシューズ』の軍団に入りますが、ランニングシューズやウォーキングシューズは別物です。
ぼくの個人的な感覚ではエアズームペガサスの4Eのサイズ感はレボリューションとどっこいです。つまり、ややタイトな4E。
裸足に26.5cmがぴったりですね。
と、上の図のように靴紐がシューズの本体を通らず、アッパーに付属する輪っか状のバンドを通ります。ゆえに靴紐が甲に直に当たりません。結果、タンの薄さが不利にならない。
アッパーの内側に凹凸がありませんから、全体的な履き心地は厚手の靴下か足袋のようです。
インソールがイカす
インソール、中敷きはコスト削減の第一候補です。入門モデルのものはペラペラのウレタンの切れ端だ。このパーツの優先順位は高くありません。
そのうえ、ぼく自身がインソールにこだわりません。しばしば靴の中の容量確保のためにこいつを取っ払っちゃいますし。
ナイキエアズームペガサスのインソールです。
何かやたらクールなロゴが!
クッション性、通気性、アーチの形状は標準的なインソールです。
ヒールのサポートは浅め
実際に靴に足を通して、ぺたぺた歩くと、すぐに一つの事実に気付きます。ヒールの掛かりの浅さです。
白いソールの位置から想像できるようにヒールの高さががそれほどありません。そして、形状がトンガリ系です。これはナイキシューズのいくつかのモデルに共通します。
ペガサスとレボリューションを並べて比較しましょう。
ヒールの上端の位置はほぼ水平ですが、白いソールの位置が5mmほど違います。このギャップのために足全体が前傾気味になり、ヒールの掛かりがやや弱まります。
勿論、脚の踵のボリュームは個人で異なります。ぼくは足幅では悩まされますが、踵では悩まされません。ならば、おそらく標準的な踵のオーナーでしょう。
アッパーの前側の抱擁感や追従感と比べると、ヒールの着用感やサポート感には若干の物足りなさを感じます。
もっとも、スポスポすっぽ抜けたり、靴擦れしたりとかしませんが。そもそも歩きと走りでは足の動きが変わりますし。
ヒールのプリント通りにNIKE AIR ZOOM PEGASUSは”RUNNING”シューズです。入門用のダウンシフターやレボリューションより走りに特化します。
ちょいハード・ローグリップな厚底アウトソール
ついにナイキの真骨頂、アウトソールの出番が来ました。今一度、自慢の厚底をとくと拝みましょう。
うーむ、ボリューミーです。アッパーとソールが半々くらいですね。
カタログにはシューズのオフセット(靴底の前の厚みと後ろの厚みの差)が前足部:14mm、ヒール:24mmの10mmとあります。
とくに厚底感を強調しないBROOKS GHOSTのオフセットが12mmです。こちらのヒールはしっかり抱擁系です。
GHOSTはマジの傑作です。これを知らなかったら、ペガサスを履き続けたで・・・
で、ペガサスのアウトソールの裏面です。
ヒールのトンガリが良く分かります。ブロックパターンは旧モデルからそう変わりません。親指側のべルギーワッフルみたいな四角形が特徴です。圧縮空気の在り処は謎だ。
ペガサスのソールはけっこうハードです。ぐにゃぐにゃ反りません。
接地感は「たったった」という感じです。ナイキスピードライバルとかの軽快なドライさに通じます。反面、グリップ力が貧弱です。ソールに粘りがない。
正味、ドライなアスファルト以外のコンディションにはこのソールは向きません。街履きの兼用は微妙にNGです。石床、駅の構内、マンホールは要注意地点です。
雨の日や雨上がりには別のシューズで出かけましょう。
重さはふつう
シューズの重量は素材の質量に比例します。ボリューミーな幅広甲高モデルは必然的に標準モデルや細身モデルより重くなります。これは不可避の宿命です。
ナイキペガサス4Eの26.5cmの実測重量は274gでした。
最軽量はPUMAのエクスペダイトワイドやNB RALAXAの227gで、最重量はBROOKS GHOSTやレボリューションの290gです。シューズの価格は重さの参考になりません。
手持ちのシューズの中では276gのasics GT2000が近い存在です。
NIKE AIR ZOOM PEGASUS のまとめ
ナイキの厚底は完全に定着しました。エアマックスのようにヴェイパーは一つの源流になりえます。かつての愛馬ペガサスもこの流れを受けて、エア入りの厚底にアップデートされました。
BROOKS GHOST、asics GT-2000、そして、このNIKE AIR ZOOM PEGASUSはぼくのランシューベスト3です。
- 価格:3
- ブランド:5
- デザイン:5
- 性能:4 ※雨天には2
- 機能:5
- 幅広甲高:3.5 ※ややタイト、ヒールが浅め
- トータル:4.5
履き心地や幅広甲高感はマイベストのBROOKS GHOSTに及びませんが、それ以外はほぼ満点の4Eランニングシューズです。型落ちがとくに美味。
雨天や雨上がりでは評価が下がります。ソールのグリップが効かない。街履きの兼用も微妙です。建造物のつるつる床が苦手だ。
つまり、『晴れの日のクールなランシュー』です。