先日、Youtubeの動画ネタ用に中古自転車を買いました。購入先はヤフオクです。引き取り場所は大阪市内です。値段は4500円です。
上図のように現場でかんたんなメンテをしましたが、空気入れを忘れて、すかすかタイヤで帰ってきました。
しかし、それはささいな不具合です。ジャンクな訳ありの本領はそんなもんではない。
ぎゃー!
しかし、ほんとの恐怖はこれですらなかった・・・
ジャンクなクロスバイクの修理
帰宅後にざっと洗車をしまして、作業場に入れました。
車体の詳細です。
- モデル名:GIANT ESCAPE RX
- タイプ:ロード系クロスバイク
- 状態:ジャンク
- サイズ:S
- 販売元:あさひのシールあり
- 年式:車体裏の点検シールは2012年
- 購入先:中古屋さん?
点検シールとフロントフォークの刻印が2012年です。てことは、年式的には2012か2013モデルですね。
つまり、推定年齢は7歳です。スポーツバイクは人間より早く年を取ります。いぶしぎんの中年でしょうか。
GIANT ESCAPEシリーズはクロスバイクのベストセラーです。売れ筋はR3ですね。このRXはそれよりスポーティなロードタイプになります。
で、各部の状況から保存状態の劣悪さが知れます。サドルはぼろぼろ、グリップはべとべと、ケーブルはさびさび、タイヤはもろもろ・・・数年来の放置プレイだあ!
金属部分の塗装が往時の姿をにおわせます。表面の黒塗装が落ちて、アルミの地の色が浮かび上がる・・・
まあ、消耗系パーツは全滅です。しかしながら、これらは致命的なダメージではありません。
最大の訳あり部分はこれです。
車体のチェーンステーの中央にけっこうなへこみ傷があります。転倒でこんなことはありえません。追突事故でしょうか?
おかげでまっすぐなステーが内側にゆがみます。
ギャー!
破棄を考えましたが、ネタ用・作業用・練習用と割り切って、実験台の役目を与えました。
パテで修理
さて、このクロスバイクのフレームはアルミ製です。GIANT印の6061Alloyですね。これはわりに柔らかいアルミ合金です。
アルミパーツの修理、加工、塗装はかんたんではありません。いずれの作業が鉄のレストアよりやっかいだ。
てことで、しろうとが室内でできる修復方法を考えて、パテに行きつきました。Holtsのアルミパテです。
自動車のアルミホイールのガリ傷やへこみ傷用です。アルミパウダー入りのパテです。が、結果的にアルミの強度は出ません。装飾的意味合いが大です。
塗装を削る
パテの肉盛りの前に下準備をしましょう。事前にステーを手力の歪みで戻して、へこみの周囲の塗装をけずりました。
幸か不幸か金属に穴やクラックはありません。不具合は凹みと歪みだけです。もちろん、商業レベルでは廃車は確定的です。こんなジャンクは売り物にならない。
※作業は屋外で!
ところで、パテ盛りは塗装とおんなじです。ぼくは撮影の都合で室内でやりましたが、溶剤のにおいでひどい目にあいました。
実際、説明書には「必ず屋外すること」の一文があります。一般人は外でやりましょう。
部屋でパテを練ると、一時的に苦しくなって、何故かその後に楽しくなります!
パテを練る
このアルミパテは人気商品です。アマゾンにはたくさんのレビューがあります。そのなかの失敗例は参考になります。
まず、二つの溶剤を同じ分量で混ぜます。
が、主剤と硬化剤のチューブの大きさがそもそも異なりますから、この同じ分量=同じ容積ではありません。主剤15g、硬化剤5gです。
この同じ分量=同じ長さと幅です。上の写真のように溶剤の幅と長さを合わせます、たぶん。
実際、透明の硬化剤は銀色の主剤みたいに盛り上がらず、わりにさらっと広がります。要領的にはこちらが少なく見える。
よく混ぜる
失敗例の一因に混ぜ混ぜ不足があります。説明書には「2-3分」の文字が踊ります。アマゾンレビューでは10分が推奨です。
10分はしんどいものです。ぼくは間をとって、5分の練りを行いました。
マスクなしでやって、視聴者さんに怒られました。たしかに体調はおかしくなる・・いや、逆になんかハイになる?!
ちなみにパテのパッケージには小さいヘラがバンドルしますが、シートは付きません。上の敷き物は見ての通りに牛乳パックの開きです。
もちろん、油脂は天敵ですから、パックの脱脂は必須です。
※マジで「マスクする、換気する、外でやる」を守りましょう。
肉盛り
パテをよく練ったら、へこみ傷に盛ります。
練り立てのパテの粘度はそんなに強くありません。溶けたチョコやジャム並みです。固形物ではない。で、下にゆっくり垂れます。
ぼくはテープでこんなふうに成形しました。
最初から型を作れば、よりきれいに仕上げられましょう。まあ、このパテは予想よりマイルドでしたから、成型加工は後から可能です。
二時間で初期硬化
パテや塗装は時間泥棒です。乾燥には時間が掛かります。また、塗装と同じく冬場にはパテがうまく固まりません。
で、このHolztのアルミパテの初期硬化は気温20度で二時間です。完全硬化は一二時間です。さいわいこの日の気温は20度前後で、最高のパテびよりでした。
四時間でカッターを入れて、汚い部分を削り落とします。
このときの硬さはゴムくらいです。加工はかんたんですが、強度が不安です。ステーの増強にはならない?
金属用のパテは豊富にあります。外観を補修するもの、強度を上げるもの、さまざまです。
今回、ぼくは「アルミパテ」の商品名にすこし惑わされました。これは「アルミ色のパテ」て意味のようです。金属並みの強度を出せるパテはもう少し割高ですね。
二度塗りは少し失敗
カッター加工→やすり掛け→十二時間経過で第一回目の作業を終了しました。一回目で溶剤の臭気にうんざりしましたが、ここで予定を変更して、二度塗りをしました。
今回はパテの表面のくぼみを埋めるのと淵を揃えるための作業です。が、このときには外が雨でして、乾きがやや鈍化しました。
ついでに溶剤のバランスが変だったか、パテの強度がさらに弱くなった。主剤が足りなかったか? 練りが足りなかったか?
ともあれ、しばらく置いて、紙やすりをかけて、コンパウンドでさらっと艶出ししました。
おや、上出来じゃありません?
上出来でしょう! このあと、下地なしでラッカースプレーで塗装しました。そして、また溶剤のにおいでクラクラしました。
外でやりましょう。
Holtzのアルミパテの総評
今回のHoltzのアルミパテの総評です。
- 価格:やすめ
- 色:灰色、コンパウンドで艶もそこそこ
- 強度:びみょう
- 加工のしやすさ:よい
- くささ:やばい
- 総合:まあまあ
今回のこれはアルミに塗れるパテであって、アルミの強度のパテではありません。がっちがちの補修にはほかのパテが必要です。
ホイールのガリ傷ぐらいはかんたんですね。